お久しぶりです(二回目)
一回筆が止まると、何かきっかけが無ければ書かなくなってしまうんですよね・・・・・・というわけで、リハビリ(n回目)も兼ねてミドリのバレンタインストーリーINウチの先生をお送りします。
※バレンタインストーリーの若干のネタバレを含んでいます
「感想とか、モモトークでもいいから伝えてもらえるとう、嬉しいです! それでは!」
「いや待て待て」
2月14日、バレンタインデー当日、の早朝。呼び出されたと思ったら、押し付ける勢いでバレンタインチョコを渡されてダッシュで帰ろうとするミドリの襟首を俺、シャーレの先生が掴んで持ち上げる。うわ軽、銃持っててこれとか痩せすぎなんじゃないか。
「ふえ!? な、何するんですか先生!? 下ろしてください!」
「いや礼もしてないのに帰せる訳ないだろ、そんなダッシュで行くほど余裕ないなら離すけど。
昨日からずっと頑張ってたってことは、ろくに食ってないんだろ? 朝食くらい食べてけって」
「お、お礼・・・・・・それは、一ヶ月後で大丈夫ですから! マカロンかマドレーヌだとより嬉しいです!」
「何で菓子指定? いや欲しいならそれ用意するけど。
それとは別の分だよ。空腹の生徒をそのまま帰すほど、俺は薄情じゃねえつもりだ」
「いや、えと、お誘いは嬉しいですけど、ちゃんと食べてきたからだいじょ」
グウ。ジタバタしていたミドリの腹部から、可愛らしい音が鳴った。慌てて両手で抑えるが、それ自分が発信源だって言ってるようなものだぞ。
「・・・・・・食うか?」
「・・・・・・いただきます」
何かいたたまれない空気になりながらも問い掛けると、真っ赤になったミドリが項垂れながらも素直に頷いた。
貰ったチョコを片手に、シャーレ、ではなく間借りしている我が家へ。本当は適当な店に入ろうかと思ったんだけど、早朝なんで近場が空いてなかったんだよな。
ミドリには近いしウチでいい? と聞いたら、「行きます! 行きたいです!」と、さっきの遠慮っぷりは何だったんだという勢いで頷かれたけど。そんな大したものはないから、期待されても困るんだが。
「お、お邪魔します・・・・・・」
やたら緊張した様子のミドリを促しながら、二階建て一軒家、日当たり良好、適度に連邦生徒会やシャーレから離れている距離の我が家に二人で入る。仕事の関係で週一回くらいしか帰ってないけど、お掃除ロボ(ミレニアム製、自爆機能は取り外させた)が定期的に掃除しているため、中は綺麗だ。
そのまま帰ってきたので、冷蔵庫の中身を確認。言っといて何もなかったら間抜けもいいところだが、食材ヨシ! 酒ヨシ! な状態で一安心。
二つ目いらないだろ? 何言ってるんだ、常備品だろ(真顔)
「適当に座っててくれ。簡単なものになっちまうけど和食と洋食、どっちがいい?」
「えっと、それじゃあ洋食が良いです。
その、先生・・・・・・わ、私も手伝いたいですっ。二人の方が、早いと思うので!」
「ん? そりゃありがたいけど。
・・・・・・じゃあ、野菜とか切るのお願いしていいか? 食材は俺が出すから」
これ遠慮しても押し切って頼み込んでくる奴だな。姉と違いここ一番の推しが強いミドリの瞳を見て即座に遠慮を辞めると、嬉しそうにコクコクと頷いた。赤べこみたいやな、可愛い(?)
で、並んで料理をすることになったのだが。
「・・・・・・・・・・・・」
「あー・・・・・・踏み台いるか?」
「お願いしま、って、先生笑わないでくださいよ!?」
「く、くくっ、すまんすまん、あんまりにもしょぼくれた顔してるもんだから・・・・・・」
俺目線のサイズに合わせた台所を見て途方に暮れるミドリを見て、思わず笑いが漏れてしまった。私怒ってますって今はなってるけど、そんな分かりやすく落ち込むことでもないだろうに。
(こ、これ、並んでお揃いのエプロン着てると、一緒に暮らしてるみたーー)
「ミドリー? 手ぇ止まってるけどどうした、まな板ごと食材切り落とした?」
「へあ!? だ、だいじょうぶでしゅ!!
ーーいや待ってください、まな板ごと斬るなんてこと出来ませんよ!?」
「え、大阪では割と見たけど。その度に斬ったまな板でぶん殴ったし」
「えぇ……」
「「いただきます」」
バターの塗られた食パン、ウインナー付きのソーセージ、オニオンスープに付け合わせのサラダ定番中の定番と言える朝のメニューが完成し、二人向かい合って手を合わせる。
「! 美味しいです、先生」
「そりゃ良かった。スープならおかわりもあるから、遠慮なく食べてくれ」
目を輝かせるミドリに笑いかけると、一転して目を伏せて頷き、スプーンを動かす。別にがっついてる訳じゃないんだし、ちゃんと食ってくれた方がこっちは安心というか、嬉しいんだけどねえ。
(・・・・・・よく考えたら年頃の女子を家に連れ込んでる光景だよな、これ)
シャーレ勤務が長いので忘れていたが、一般的にはヴァルキューレのお世話になっても文句の言えない状況である。大阪だったら? 少女誘拐のついでに余罪(もちろん冤罪)をクソほど付けられてぶち込まれるか、少女本人が殺人鬼で刺されるかだな(真顔)
「・・・・・・まあ、ぶち込まれたらその時か」
「え・・・・・・? 先生、何か悪いことしたんですか?」
「こっちではしてないぞ。・・・・・・多分」
「自信無いじゃないですか!?」
スプーンを置いてツッコミを入れるミドリから目を逸らす。しょうがねえだろ、こちとら大阪育ちでキヴォトスの犯罪基準が分からねえんだよ(言い訳)
余談だが、先生は料理上手な人が好みですか? と、ミドリに聞かれたので、
「作ってくれるなら、食えないもの以外なら文句言うつもりはねえなあ。
まあ上手いに越したことはねえだろうけど、それを判断基準にはしないかな」
と正直に答えたら、何故か両拳を握って頑張る、と小さく気合を入れるミドリ。お前さんなら大丈夫なラインだよ、美味い方がそりゃありがたいけどさ。
「ほい、紅茶どうぞ。砂糖とミルクはいるか?」
「あ、ありがとうございます。じゃあ、ミルクと・・・・・・砂糖もください」
食後のアフタヌーンティー(トリニティ産)で、こちらを見たミドリは素直に砂糖も頼んでくる。そうだよ、俺は紅茶に砂糖入れるしコーヒーは通常の三倍ミルク砂糖を入れる大人だよ(真顔)
「ふう。さて、それじゃあーー開けていいか? ミドリ」
「は、はい、どうぞ!
・・・・・・何か、目の前で食べてもらうのは、緊張しますね・・・・・・」
「そんな審査員を前にした料理人じゃないんだから」
カップを両手に持ち、ガチガチでこちらを凝視してくるミドリに苦笑しながら、丁寧に包まれた包装を剥がしていく。ちょいと破いてるけどこういうのは苦手なんだ、許せ。
「それじゃあ」
「・・・・・・・・・・・・」
「視線が痛い」
物理的な威力があったら穴開きそう。そんなゲーム脳的思考を交えながら、貰ったチョコを一かじり。パキリ、と小気味のいい音を立てて、ハート型のそれを欠けさせ、口の中で堪能する。
「うん。美味い」
「!」
ありきたりというかもっとあるだろという感想だったが、ミドリは分かりやすく安堵というか、嬉しそうに頬を緩めた。
「チョコの味、ミルクにしてくれたんだな」
「は、はい! 以前、先生は好きな味だって聞いた覚えがあったので!
えへへ、合ってて良かったです」
「よく覚えてたなあ。ゲームやってる時にちょっと言ったくらいだろ?」
「先生の言ったこととか思い出は、いっぱい覚えておきたいですから」
はにかむミドリに何となく居心地が悪くなり、そうかいと目を逸らしながら頬を掻く。全く、健気なこと言ってくれるじゃないの。
「うん、ありがとうなミドリ。こんないいもの貰えるなんて、先生冥利に尽きるねえ」
「そんな、私こそ朝食までご馳走になっちゃいましたし、喜んでもらえたなら嬉しいです。
でも、来年は色々調べて学んで、もっと先生に相応しいものになりますから!」
「そりゃ楽しみだ」
(・・・・・・チョコの話だよな?)
気炎を吐く勢いで立ち上がり、むんっと両拳を握って宣誓するミドリに微笑みながら、そんな疑問を抱く。こう言われるのは、幸せな事なんだろうし。
まあ、些細な違いだろう。些細だよな、多分。
登場人物紹介
先生
未成年誘拐にならないかと家に招待してから気付いたボケナスチンピラ先生。寝起きで頭が働いていなかったともいう。
ミドリ
(バレンタインにおける)先生の初めてを奪った生徒。ユウカへの対抗心があるとかないとか。
その後、先生と別れてから
ちなみにマカロンとマドレーヌの意味は・・・・・・咄嗟に出てくるとはミドリ、恐ろしい子・・・・・・!(何)
あとがき
バレンタインの終わりに最初に渡したこの話を書き終えるという()
というわけでどうも、作者のりいんです。前書きでも述べましたが、ミドリのバレンタインストーリーの続き物という漢字で書かせていただきました。
ミドリは先生という大人への憧れと背伸びをしながらのアプローチ、その中でも成長していく子供というイメージがあるので、今後のポテンシャルをこんなに秘めているぞというイメージで書いてみました。伝わるかな? 伝わって欲しい(願望)
それでは、今回はここまでで。読んでいただき、ありがとうございました。
PS
次回は未定です(オイ)