『大阪』から来た先生   作:ゆっくりいんⅡ

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 明けましておめでとうございます。本年も『大阪から来た先生』を、よろしくお願いします(誕生日くらいしか書いてない)
 新年初ということで、登山時のチヒロとの絡みを。早くマキと一緒に別衣装実装してくれ……

※本文はイベント『電脳新春行進曲』の、若干のネタバレを含みます。


空気が違えば感じるものも違う(各務チヒロ)

「げっ」

「……先生。人の顔見るなり、そういう反応されるのは傷付くんだけど?」

「ああうんすまん、ユウカに吸いすぎです! って怒られたの思い出して」

「悪いことしてるって、自覚はあるんだね」

「喫煙が悪って概念は、キヴォトスで学んだからな」

 

 何それ、とキャンプ用の帽子を脱ぎ、身軽になったチヒロの顔が、顰めっ面から苦笑に変わる。事実なんだよなあ、大阪では酒も煙草も常飲品みたいなもんだし。

 初日の出を拝み、古代壁画(偽)の誤解を解いた後(犯人のマキにはデコピンしておいた)。

 騒々しくなったキャンプ場で朝メシを終え、少し離れたところで一服してたら、チヒロに見つかったでござる。

 

「もう片付けか?」

「ううん、もう少し休んでからかな。ウチの子達、ご飯食べたらへばっちゃったし。

 ……スミレ部長は、すぐさまトレーニングに向かったけど」

「あいつを基準にしたらダメだろ。寧ろ、インドア派にしては頑張った方じゃないかね」

 

 どこのどいつがクマを見てスピードトレーニングにいい、なんて言えるんだよ。キヴォトス人だから痛いで済むとか、そういう問題じゃねえだろうし。

 

「それ、あの子達に言わないでね? 先生に褒められたら、じゃあ次はやらなくていいよね! とか言いそうだし」

「及第点のつもりなんだがなあ。体力ないのは事実だし。

 俺より引率は厳しいね」

「引率は先生でしょ」

 

 言いながら横に座ろうとしてきたので、咥えていた煙管の火を消すーーところで、自分とは違う、柔らかい手が添えられた。

 

「んお?」

「いいよ、先生。私からのお年玉ってことで、今日は吸わせてあげる」

「あらま、お優しいことで」

 

 普段なら悩むところだが、景色のいい場所での初喫煙なんて早々できないため、お言葉に甘えさせてもらうことにする。

 

「ふう……」

 

 紫煙がチヒロの方に流れないよう、反対へ向けて細く、ゆっくり吐き出す。これこれ、生きてるって感覚を得られる。

 

「あー……沁みるわあ……」

「……いつもより美味しそうだね、先生」

「空気澄んでるところでの一服は格別なんよ、チヒロ」

「現在進行形で先生が汚してるけどね」

「くはは、その通り過ぎて反論の余地がねー」

 

 ど正論にケラケラ笑いつつ、それでも環境汚染はやめられない。これと酒のせいでハレのこと言えねえんだよな、先生の癖して。

 

「前から聞きたかったんだけどさ、先生。それ、美味しいの?」

「んー? 個人差じゃないかね、吸えば分かると思うぞ。

 まあ、吸わない方がいいんだろうけど」

「先生としては?」

「水か空気」

「生命維持に必要な物品じゃないでしょ……」

 

 紫煙を目で追っていたチヒロの質問に答えてやったら、お前は何を言ってるんだって目を向けられた。

 いやいるんだって、この前禁煙チャレンジしたら二日目の朝に死人みたいなツラして、当番のノアが本気で動揺するなんてレアなもん見れたんだから。

 

「チヒロが大人になって、興味があれば試してみるといいさ」

「やめておくよ。ウチは健康に悪いのを好んで飲むのが多いけど、その流れに乗る必要はないし」

「くはは、そりゃそうだ。

 じゃあ、そんな健康志向の副部長さんに、お年玉ってことで」

「え? いや、悪いよそんな」

 

 ポケットに突っ込んでおいた『お年玉』を渡すと、チヒロは初め申し訳なさそうに、次いで怪訝そうな顔になって手元を見下ろして、

 

「先生、これって……」

「キヴォトスだと一番いい銘柄の奴だったかな? キャンプ場に戻ったら淹れてやるから、一服しようや。

 去年はお疲れ様、今年もよろしくな。それは引率のご褒美と、いつもシャーレのセキュリティを見てくれてるお礼ってことで」

「だから、引率は先生だって……でも、ありがと。気持ち込みで、お年玉は貰っておくよ」

「いや、これ以外にもお年玉あるけど」

「それはあげ過ぎじゃない?」

「寧ろ足りないくらいじゃねえか?」

 

 普段世話になってるのと、ヴェリタスの面々(部長含む)の面倒見てるのを考えれば、これでもまだまだな気がする。

 

「まあ、それは大変だけど……好きでやってるところもあるから。

 とにかく、ありがとう。それと先生、改めて。今年もよろしくお願いします」

「こちらこそ、今年もよろしくな。頼りにしてるよ、チヒロ」

「まあ、最善は尽くすよ」

 

 渡したコーヒーのパックを手に持ち、返答しながら微笑むチヒロは、酷く優しい姿だなと感じた。自分でも良く分からんが、そういう風に見えるからヴェリタスの面々も素直に言うこと聞くのかね。

 

 

 

 なお余談だが、連れて行ってくれなかった部長のヒマリがお冠となり、宥めるためチヒロからヘルプが来たのは別の話。

 車椅子で山道は無理だろと言ったら、

 

「先生、私がミレニアム1の天才清楚系病弱美少女ということをお忘れですか? 

 山道を軽々と超える二足歩行ロボくらい、用意してあります!」

 

 いつものドヤ顔を見せながら持ってきたのは、人が乗れるよう改造されたドビーコくんだった。

 なんでキヴォトスで大阪産のものが出てくるんだよ、相変わらずドア○みたいなツラしてんな。

 ちなみに暖房とドリンクサーバー機能付きらしい。絵面が悪すぎるんだよ、何で耳からジュース出るんだ。

 

 

 




用語説明
ドビーコくん
 大阪のとある大学教授が開発・販売されている二足歩行ロボット。
 キヴォトスのドローンと遜色ないAIを積まれ、銃火器だけでなく後付けで色々付けられるため、戦闘用、護衛用、鑑賞用、自爆用と用途は様々。
 見た目はメカにして色々付け足した色違いドアラ。一部女子高生からはキモかわいいと人気。


あとがき
 三が日にあげようとしたら、気付いたら信念のお休み最終日になっていたでござる(遅筆)。
 というわけでどうも、作者のりいんです。眼鏡キャラって自分が眼鏡族なのもあってあまり好きになれないんですが、チーちゃんは例外的に好きです。
 機械があれば、眼鏡取る姿も見せて欲しい。というと、メガネスキーの人にぶん殴られそうな気がしますが、私はチーちゃんの、眼鏡を取る姿を見れる可能性を、捨てたくない……!(何)
 そんなわけで読んでくださり、ありがとうございました。改めて、本年もよろしくお願いします。
 感想と評価もお待ちしております(強欲)




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