バカとテストと召喚獣~新たな始まり~   作:時斗

11 / 52
問題(数学)
以下の問いに答えなさい。
(1)4sinX+3cos3X=2の方程式を満たし、かつ第一象限に存在するXの値を一つ答えなさい。
(2)sin(A+B)と等しい式を示すのは次の内どれか、①~④の中から選びなさい。
①sinA+cosB ②sinA-cosB
③sinAcosB ④sinAcosB+cosAsinB


姫路瑞希の答え
(1) X=π/6
(2) ④

教師のコメント
そうですね。角度を『゜』ではなく『π』で書いてありますし、完璧です。


土屋康太の答え
(1) X=およそ3

教師のコメント
およそをつけて誤魔化したい気持ちもわかりますが、これでは解答に近くても点数は上げられません。


須川亮の答え
(2) およそ3

教師のコメント
先生は今まで沢山の生徒を見てきましたが、選択問題でおよそをつける生徒は君が初めてです。


吉井明久の答え
(1) X=π/6
(2)①←たしか……コレ?②×③←これも違う×④←…微妙

教師のコメント
(1)の答えは正解ですが、(2)の答えは違います。…たださんざん迷ったのか用紙が凄いことになっていましたね。ただここ最近の吉井君の点数は伸びているので先生は嬉しいです。


第10話 戦後対談

どうやら姫路がDクラスの代表を倒したようだな……。

だが……、その前にあの明久が見せていた召喚獣の操作能力……、点数が倍近くの差があったのにも関わらず、ほぼ一撃で相手を仕留めていやがった……。

 

 

(……観察処分者の召喚獣の操作能力を見誤っていたようだな……。まあいい)

 

 

 明久が戦えるというのは嬉しい誤算だ……。尤も、あまり試召戦争に乗り気ではないみたいだがな……。Fクラスの勝鬨とDクラスの悲鳴が支配する中、俺はDクラス代表の下に向かう。

 

 

「姫路さんがいた事もそうだが……、まさかFクラスがこんなに強かったとは……」

 

 

 Dクラス代表である平賀はまだショックから回復していないようだった。まぁ、気持ちはわかる。格下と思っていた相手に、自分達が負けてしまったんだからな……。

 

 

「Dクラス代表の平賀か?これから戦後対談を行いたいんだが……」

「……ああ、今回は僕たちの完敗だ。ルールに則って教室を明け渡そう。ただ、今日はこんな時間だから、作業は明日でもかまわないだろうか?」

「いや、その必要はない。俺たちはDクラスを奪う気はないからな」

 

 

 俺の言葉に周りがざわめきだす。

 

 

「皆、落ち着け。俺たちの目標はAクラスの筈だ」

「それは僕たちには有難いが……、それでいいのか?」

「もちろん、条件がある……、俺が指示を出したら、窓の外のアレを壊して貰いたい」

「アレって……、Bクラスの室外機か?」

「ああ、そう……」

「待って、雄二……」

 

 

 そうだ……。そう言おうとした所に、明久が会話に割り込んでくる。

 

 

「……今の雄二の提案って、絶対に室外機を壊さないと駄目なの?」

「……次の試召戦争はBクラスだ。今回の提案はその為の布石だ」

 

 

 次のBクラス戦、俺の戦略ではエアコンが故障している事が絶対条件……。であるからこの提案は譲れないものだった。

 

 

「……そう、じゃあ仕方ない……。雄二、次からの試召戦争は僕も前線に出る。だから、この提案は無かった事にしてほしい」

 

 

 そんな事を言ってくる明久。……またコイツは……。しかし、今、明久は次からと言った。何はともあれコイツを試召戦争に引っ張り出す事ができた訳だから、ここはとりあえずよしとしておくか……。

 

 

「……わかった、じゃあDクラスは3ヶ月の間、Fクラスに協力してほしい……それに加え勝手に宣戦布告をする事の禁止、これを飲んでもらえるならば設備交換はしない、これでいいか?」

「うん……。ありがとう、雄二」

「協力というと?」

「別にヤバい事をさせる訳じゃない。例えば他のクラスへのけん制、とかだな。俺達は次はBクラスに試召戦争を仕掛ける訳だが、消耗してきた時を狙って、CクラスやEクラスが攻め込んでくるかもしれないからな……。その為の措置だ」

「それくらいならお安い御用だ、その提案、有難く呑ませて貰おう」

 

 

 設備が入れ替わらずに済んだ事でDクラスの連中も喜びが隠せないようだ。……まあ、あのFクラスの設備は誰だって嫌だろうしな。

 

 

「じゃあ戦後対談は成立だ、今日はもう行っていいぞ」

「ああ、ありがとう。君たちがBクラスは勿論、Aクラスにも勝てるよう願っているよ」

「ははっ、無理するな。勝てっこないと思ってるだろ?」

 

 

 ま、普通に考えたら無理だと思うよな。だが、俺達は……!

 

 

「いや、そうでもない。……そちらの吉井君の召喚獣を見ていたらホントにAクラス打倒も夢じゃないように感じたよ」

「……それはどういう事?平賀君」

 

 

 てっきり鼻で笑ってくるかと思っていた俺の予想を覆し、平賀はそんな事を言ってくる。

 

 

「君が玉野さんの召喚獣を倒した時の動きを見てね……。点数が明らかに差があるにも関わらずに勝利したじゃないか?……おまけに単独行動した中野達も吉井君が倒したんだろう?」

「…………」

「君も言った通り、試召戦争は点数で決まるわけじゃない……。最後に立っていた者が勝者だ。僕は今回の試召戦争で学ばされたよ……」

 

 

 それは、俺も先程の明久の召喚獣の動きを見ていて感じたことだ。最初、明久が試召戦争に反対したときは、単純に自信がないのかと思っていたが、それは先程の明久をみてその考えは変わった。ましてや今、平賀の言った事が正しければ複数人相手にしてなお、勝利を収めたという事になる。

 

 

(尤も、今の明久に聞いても話す気はなさそうだけどな……)

 

 

 戻ってきた秀吉にも聞いてみたが、『確かにいつもと違う雰囲気じゃが、アヤツは間違いなく、明久じゃ!』と言っていた事からも、そうなのだろう。

 

 

「ま、何かある時はいつでも言ってくれ、じゃあ僕たちは失礼するよ」

「ああ、その時はよろしく頼む」

 

 

 そう言って平賀はDクラスをまとめて帰って行った。

 

 

「さて、皆!今日はご苦労だった!明日は消費した点数の補給を行うから、今日のところは帰ってゆっくりと休んでくれ、解散!」

 

 

 俺はクラス全員に号令を出すと、ぞろぞろと教室から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……吉井、何があったのかは知らんが、今日はお前も試召戦争をしているんだ。観察処分者の仕事は、今日はいいから帰ってゆっくり休め」

 

 

 ここは補習室、僕は西村先生に観察処分者の仕事はないかと聞きに来たのだが、またしてもこう言われてしまう。先に職員室に顔を出して仕事はないか聞いていたのだが、私はいいから補習室にいる西村先生に聞いてみろと言われ現在に至る訳だけど……。

 

 

(……まあ、今までの僕の行動から見ると信じられないんだろうな……)

 

 

 僕が何も企む事無く、自分達の仕事を手伝おうとするなんて……。

 

 

「……わかりました、今日はこれで失礼します」

「……吉井、本当にお前に何があった?最初は何か企んでいるのかと思っていたが、どうも演技でやっているわけじゃないようだしな。まぁ、真面目になってくれるに越した事はないが……、気になってな……」

 

 

 西村先生はそう言って、僕を見てくれる……。一見すると怖い先生だが……、実は、どんな生徒にも真摯に向き合ってくれる、信頼できる先生だという事を、僕は知っている。

 

 

「……僕が変わった、と思うのならばそうなのでしょう……。実際、今の僕は先生方に深い感謝の思いを持っています……。理由は……、ちょっと理解しにくいと思いますが……、お世話になったから、というのが大きいですかね……」

 

 

 『あの事』を話さない限り、それは理解されないだろう。……そして、それはまだ言うべき時ではない。

 

 

「……お前の言ってる事はいまいち理解はできんが、嘘は言ってないようだな。それに先生としては、真面目になってくれるに越した事はない。だが、吉井。悩みがあるならば相談しろ?その為に俺たち教師がいるんだからな?」

「……有難う御座います、西村先生。その時は勿論相談させてもらいます。……でも、大変ですよ?僕は『バカ』ですからね……」

「それも今更だろう?まあいい、吉井。気を付けて帰りなさい」

「……それでは失礼します」

 

 

西村先生にそう告げて、僕は補習室を後にする。

 

 

 

 

 

「……いるんでしょ?ムッツリーニ……」

「…………よくわかったな、明久」

 

 

 補習室から出てしばらくした後、僕はそう告げると何処からとも無く、ムッツリーニこと土屋康太が現れる。

 

 

「どうしたの?雄二に何か言われた?」

「…………いや、これは俺の意思。今日のお前の様子がおかしかったから気になった」

「……そう、それで?ムッツリーニは僕をどう思う?」

 

 

 目の前の友人が今の僕を見て、どう思ったか。気になった僕は、彼に聞いてみると、

 

 

「…………確かにいつもの明久ではない。だが、お前は『明久』だと思う」

「えっと、どういう事?」

「…………俺もうまく言えない。ただ、……お前らしい、としか」

 

 

 ……うーん、わかるようなわからないような……。まぁ、流石ムッツリーニ、ってところかな……?

 

 

「ゴメン、ムッツリーニ……よくわからないよ……」

「…………気にするな。ただ明久、一つだけ聞きたいことがある」

 

 

 ムッツリーニが僕に向き直り、質問する。

 

 

「…………さっきの鉄人との会話、あれは『本当』か?」

 

 

 ……流石はムッツリーニ。あの会話だけで違和感の正体に気付いたのかな……?

 

 

「……本当だよ……」

「…………そうか、ならいい」

 

 

 てっきり追求してくるかと思ったけれど、こう答えるとムッツリーニはそれ以上僕には何も聞いてこなかった。いまのでムッツリーニは何かわかったのかもしれない……。いや、ムッツリーニだけじゃない、秀吉も、雄二も何かはわかっているのだろう……。でも無用に詮索してこない彼らの思いは、僕にはありがたかった。

 

 

「…………じゃあ俺は行く」

「……待って、ムッツリーニ。ちょっと調べてくれないかな?」

「…………?一体、何を調べる?」

「えっとね、二つあるんだけど、その内の一つはBクラス代表が『根本恭二』であるかどうかという事だね」

「…………根本というとあの『根本』か?」

「そう、その『根本』だよ、それで、もし彼が代表がであるならその交友関係を調べてほしいんだ」

「…………わかった、それでもう一つは?」

「うん、もう一つはすぐには調べられないかもしれないんだけど……」

 

 

 ……そう、このもう一つが僕にとって大事なことなんだ……。

 

 

「この文月学園で召喚獣に『腕輪』が持てる程の高得点者が何人いるか、を調べてほしいんだ」

 

 

 

 




文章表現、訂正致しました。(2017.11.19)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。