「全く明久のヤツ……。新学期から遅刻かよ……」
……まあアイツの事だからまたバカな理由で遅れているのだろうが……。まぁ……、何はともあれ、今年からようやく試召戦争を起こす事ができる……。その為に俺はFクラスとEクラスのボーダーを調べ……、上手くこのクラスの代表になるように調整したんだからな……。
(まぁ、
去年からのクラスメイトである秀吉やムッツリーニ、後はまだ日本語に苦戦している島田あたりもFクラスに来るだろう……。それに1年の時から召喚獣の扱いに慣れている明久を加えれば、戦術次第でAクラス打倒もできる筈だ。
(アイツの召喚獣の操作能力と物理干渉は使い方次第で最強のワイルドカードとなるだろうからな……!)
そんな時、教室の入り口付近が騒がしくなる。恐らくまた、
「すみません、遅れました」
「早く座れ、このウジ虫野郎」
やれやれ、漸く来やがったか。明久。
(全く、いきなり罵倒か……。本当に雄二らしいよ……)
半ば定番となりつつあるその呼び掛けに苦笑しながら、暴言をはいたであろう悪友、坂本雄二を見やる。
「聞こえないのか?あぁ?」
「…………雄二、何やってんの?」
呆れながらも、返答のわかっている会話を投げ掛けてみる。
「先生が遅れているみたいでな……。代わりに教壇に上がってみた」
「もしかして……雄二がFクラスの代表なの?」
「ああ、一応このクラスの最高得点者だからな」
予想通りにそう言ってニヤリと笑う雄二。まあ点数を調整してFクラスの代表となったんだろう……。元神童と呼ばれていたらしい彼ならば、それも出来る。僕や秀吉、そしてムッツリーニがいるであろうFクラスの代表となり、試召戦争を起こすために……。
(正直なところ、あまり試召戦争自体はやる気がしないんだけどな……。まあなるようになるんだろうけど……)
僕はある事情から、やはり定番となりつつある振分試験初っ端の試召戦争には、あまり乗り気はしなくなっている。でもこの流れからすると、避けるのは難しいんだろうな……。
「ところで……、席は決まってるの?」
「決まってねえみたいだから適当に座ればいいんじゃねえか。他の奴らもそうしてるぞ」
とはいっても机代わりの卓袱台も数台しかないし、座布団も綿すら入っていないものもある……。さすがFクラス……。まぁ、最低のクラスだし、しょうがないんだろう……。そう思って矢先、背後から声を掛けられる。
「おお、明久。おぬしもFクラスじゃったか」
「…………同じクラス」
声を掛けてきたのは、前学年から一緒であった木下秀吉に……、
「おはよう秀吉、ムッツリーニ。また1年間よろしくね」
「ああ、こちらこそよろしくの」
「…………よろしく」
秀吉達とはやっぱり同じクラスか。となると、当然彼女も……。
「はろはろー」
……やっぱりいるんだろうな……、はぁ……。
「吉井、アンタもFクラスだったのね。まあ当然のような気もするけど」
「……島田、さん……。相変わらずだね……」
……今回も、出来ればあんまり島田さんとは関わりたくないんだけど……、というより正直な話、近づきたくない……。自分の腕に、ゾワッと鳥肌が、出てきたようにも感じている。
「また吉井を殴れると思うと嬉しいわ。まあ1年間よろしくね」
「あ、あはは……」
……全く冗談じゃない。笑顔でそんな事を言ってくる島田さんに、僕はこれからどうやって彼女をかわしていくのかを考え始めた時、クラスの扉が開く音を聞く。振り返るとどうやら担任である、福原先生が教室にやってきたみたいだ。
「お早う御座います、ホームルームを始めますので皆さん席について下さい」
そう言って、福原先生は教壇?のような所につき、僕達に席につくよう促すのだった。