バカとテストと召喚獣~新たな始まり~   作:時斗

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問題(生物)
以下の問いに答えなさい
「人が生きていく上で必要となる5大栄養素を全て答えなさい」


姫路瑞希の答え
「1.脂肪 2.炭水化物 3.タンパク質 4.ビタミン 5.ミネラル」

教師のコメント
流石は姫路さんですね。正解です。


吉井明久の答え
「呪われた腕輪がある限り、僕は生きていけます……強制的に……」

教師のコメント
……それは君だけのルールです。


土屋康太の答え
「初潮年齢が十歳未満の時は早発月経という。また十五歳になっても初潮がない……(省略)……」

教師のコメント
保健体育のテストは先程終わりました。土屋君は後で補習室に行くように。



第27話 試合が終わって……

「よかった……本当に……!」

 

 

 ……雄二も素直になってくれたようだ……。会場での二人を見ながら、僕はかつて『彼』と交わした約束を思い出す……。

 

 

 

 

『…………翔子の事、頼む……』

『お前はお前らしくしてればいい……。ただ、もし気にかけてくれるなら……ウジウジしている俺を引っぱたいてくれ。……今の翔子みたいにさせないように……』

 

 

 

 

 ……あの時の雄二は……、本当に後悔していた……。あんな思いはもう、してほしくなかった……。さて……、こうしてはいられない……。僕はFクラスの方に視線を向けると、予想通りドス黒いオーラを抱えながら黒装束に着替えようとしているFクラスのクラスメイト達が目に映る……。

 

 

「……ちょっと、君達。……一体何やってるのさ……?」

『知れた事……。あの第一級異端者に死の鉄槌を……!』

『そうだ!血祭りにあげてやる!!』

『あんな屑の幸せなど許すか――!!』

『『『異端者に死をっ!!』』』

 

 

 ……さすがFFF団。……相変わらずの嫉妬深さだ……。

 

 

「……でも、そんな事している暇があるなら……、準備した方がいいんじゃない?」

『一体何の準備だと……っ!』

「考えてもみなよ……。僕達は今、Aクラスとの試合に勝った……。その時の条件を忘れたの?」

『勝った時の条件……だと?』

「Aクラス入りのチャンスを与えられるんだよ。……君達全員に」

『そ、そうだった!!』

「それでいいんですよね?学園長……?」

 

 

 僕は学園長の方に目を向けると、そう尋ねてみる。

 

 

「まあ、勝ったんだから……、そうなるさね。……Fクラスの生徒で、再振分試験を受けたい奴は視聴覚室の方へ行きな……」

「ほら、そういう訳だからさ……。Aクラスに入れれば、別に羨ましがる必要もないんじゃない……?」

 

 

 お前らでは天地がひっくり返っても無理だけど。

 

 

『確かに!こうしてはおれん!すぐ準備しなくては!!』

『俺達はAクラスに勝ったんだ!!……という事は……、俺もAクラス並の実力があるという事!!』

『待ってろよ!Aクラスの女子!!』

『待て!俺が先だ!!』

 

 

 そうして我先にと視聴覚室の方へ向かって行った……。コイツらの、その行動力だけは本当に侮れない……。

 

 

(……Aクラスに勝ったからって、Aクラス並の学力がいきなり身に付くわけないじゃないか……)

 

 

 まあ、五月蠅い奴らがいなくなってくれたので良しとしておく。

 

 

「……すまないな、明久……」

 

 

 今のやり取りを見ていた雄二が、試合会場より戻ってきた。

 

 

「別にいいよ。それより雄二……、吹っ切れたんだね」

「…………まあな」

 

 

 顔を逸らす雄二。おそらく恥ずかしいんだろう……。そして、姫路さんが僕に話しかけようとしている気配を察知し、彼女へと視線を移す。……恐らくは先程の件の事に違いない……。

 

 

「よ、吉井君……」

「姫路さん。君も再振分試験を受けた方が良い……。君なら絶対にAクラスになれる筈だ……」

「……で、でも……!」

 

 

 まだ迷っているような姫路さんを諭すように僕は言う。

 

 

「……姫路さん。利光君が言った意味は……、わかっているよね……?」

「…………はい……」

「……君は本来、Fクラスにいるべき人じゃない。振分試験の時に体調を崩し、Fクラスになってしまったのは仕方ない事なのかもしれないけど……。でも、こうして僕達は再振分試験のチャンスを貰ったんだ。それを活かさなかったら……、再振分試験をしてもらう意味も無くなってしまうでしょう?」

「!……やっぱり、吉井君達は……!」

「……今回の提案はその為のものだったんだよ……。僕や雄二たちは別に設備に拘っていたわけではないからね。でも、Fクラスの設備は姫路さんの身体にはツラいでしょう……?それに……」

 

 

 そこで一旦言葉をきり、

 

 

「……姫路さんのお父さんやお母さんも……、君がFクラスの設備で勉強している事を満足しているの?」

「!……そ、それは……」

「……悪い事は言わない。利光君の言うとおり、君はAクラスに行くべきだよ……。大丈夫。教室が変わるだけさ。別に今までと何かが変わるわけじゃない……」

「その通りさ」

 

 

 その声と共に、久保君を筆頭にAクラスのメンバーもやってきた。

 

 

「明久君の言うとおり、教室が変わるだけよ。Aクラスに来たければいつでも来てって明久君達にも伝えているしね」

「そもそも、姫路さんがFクラスという事がイレギュラーなんですから……」

「……姫路は努力している。貴女がAクラスになるのは私も含め、皆歓迎する」

「皆さん……」

 

 

 今回の再振分試験では代わりに誰かがBクラスに落ちるといった事もない。ただそのかわり、仮に誰かがEクラス並みの成績をとれたとしても、Eクラスに行けるという訳でもない。……あくまで『Aクラス』に入れるチャンスが与えられるだけだ。

 

 

「……実は、私達が勝ったとしても、同じ事をお願いするつもりだったのよ……。これだけの勝負をしたFクラスの人達に、もう一度振分試験のチャンスを与えて欲しいってね……。まぁ、負けてしまった訳だけど……」

「そう……。だから、再振分試験を受けよう、姫路さん……。君ならば絶対Aクラスになれる」

「…………わかりました。私、再振分試験を受けます……」

 

 

 利光君の言葉に、再振分試験を受けると決める姫路さん。そこに、

 

 

「そうと決まれば……、代表、ちょっと姫路さんについていきますね~。行こ、姫路さん♪」

「え?あ、はい……」

 

 

 そして、工藤さんが姫路さんと一緒に会場を出て行った。

 

 

「やれやれ……、では先に向かったバカ共も含めて、テストの準備をせんといかんな……」

「西村先生、それなら私が……」

「高橋先生、貴女はまだこのエキシビジョンゲームの後片付け等もあるでしょう……。私が行ってきますよ……。吉井、お前も無茶するなよ」

 

 

 そう言って西村先生も後に続いて会場を後にする。

 

 

「利光君、ありがとう……」

「なに、お礼を言われることをした覚えはないよ。それより明久君はこうなる事を……?」

「……そうだね。まさか優子さん達がそう言ってくるなんて思わなかったけれど……、もしAクラスとの試合に負けていても、一人だけでいいから再試験を受けさせてもらえるよう頼むつもりだったんだ……。駄目と言われたとしても、学園長に認めさせるよう交渉してでも、ね……。身体の弱い姫路さんを、これ以上Fクラスに居させるわけにはいかなかったから……」

「そうか……」

 

 

 それに……、いろいろな意味で、姫路さんをFクラスに染まらせるわけにはいかないから……。会場を見渡すと、先生方に促されながら少しずつ他の生徒たちも興奮冷めやらぬ様子で教室へと戻っていく姿も見える……。

 

 

「じゃあ、僕らも戻ろう」

「うん、そうだね……」

 

 

(とりあえず戻って、その後で雄二達に話さないといけないからな……)

 

 

 今後の予定を考えながら、僕も皆と一緒に行こうとしたその時、

 

 

「!?グッ……!」

 

 

 骨折している左腕に激痛が走る。……誰かが左腕を掴み、そのまま関節技をかけているのがわかった……。

 

 

 

「吉井~!アンタ、よくもウチの事をハブってくれたわね~!!昨日までに何度もウチを補習室送りにしてくれてっ!覚悟は出来てるのかしら……っ!!」

 

 

 クッ……、油断……した……!島田さんは折れている左腕にさらに関節技をかけていく……!

 

 ミシミシ……ギリッ

 

 

「ぐぅ……っ!!ッ~~!!」

 

 

 骨折の痛みに続き、関節でも苦しめられるこの状況。さらには島田さんに触れられている事自体がトラウマとなっている為、上手く痛みを逃がす事も出来ずそのまま苦しむ事となる……。

 

 

「そうね~、ウチも鬼じゃないからこの後、駅前の『ラ・ペディス』でクレープ奢ってくれるなら、許してあげてもいいわよ?」

 

 

 ……空気の読めない島田さんは僕の苦痛も知らずにこんな事を言っている……!ま、まずい……。余りの激痛に……意識が、ぼやけてくる……。

 

 

 ―――パシンッ……!

 

 

 乾いた音が鳴り響くと同時に、僕は島田さんより解放された……。

 

 

「明久ッ!!大丈夫かの!?」

「ひで……よし……?」

「そうじゃ!意識をしっかり持つのじゃ!!」

 

 

 ふと島田さんの方を見てみると、そこには優子さんが立っていた。手を振りぬいているところを見ると、さっきの音は優子さんが島田さんを叩いた音みたいだった……。

 

 

「ちょ、ちょっと、木下!何するのよっ!?」

「……それはこっちの台詞よ……。島田さん……貴女こそ、一体何してるのかしら……?」

「何って決まってるでしょ!?吉井にお仕置きしてたのよ!!」

「……ごめんなさい?……貴女の言っている意味が『まったく』わからないんだけど?……アタシはね、アンタがどうして明久君に暴力を振るってるのかって聞いてんのよっ!!」

「!?」

 

 

 優子さんのあまりの剣幕に島田さんが押し黙る。

 

 

「……島田。お前、一体何をしてるんだ……?」

 

 

 そこに雄二達もやってきて島田さんを問いただした。

 

 

「さ、坂本!ウチはただ吉井にお仕置きを……!」

「……すまない。僕には彼女の言っている意味がさっぱり理解できないんだが……」

「……悪いが、俺にもわからない……」

「…………同感」

 

 

 気が付くと他のメンバーも戻ってきたようだ……。それにしても危なかった……。まあ、今回は『腕輪』も反応してなかったようだし、『繰り返し』の心配は無いと思うけど……。

 

 

「……島田さん、あなた、しばらく明久君に近寄らないで貰える……?」

「!?な、何言ってるのよ、木下!?一体何の権限があって……!」

「……それはワシも賛成じゃの。……まさか骨折している腕を、さらに痛めつける者がおろうとは思わんかった……」

 

 

 ……やっぱり、秀吉達にもバレていたのか……。僕が、骨折しているであろう事は……。僕に付いていた秀吉も島田さんへ向き直り、優子さんを援護する。

 

 

「木下も何を言って……、骨折?」

「……貴女は一体、明久君の何を見ていたの?先程の試合から今までずっと左腕を抑えていたじゃない……!骨折してるとは知らなくても、痛そうに庇っている腕に関節技をかけるなんて、一体何を考えてるのよ!!」

「そ……そんな事……。ウチだって……吉井には……」

 

 

 しどろもどろになりながらも、まだ言い訳を続けようとする島田さんに対し、

 

 

「……もういい……。高橋先生、島田さんに召喚獣勝負を申し込みたいのですけど……」

「ハァ!?木下、アンタ何を……」

「……わかりました、承認します。『古典』は先程の試合で『0点』となってますので、『数学』でよろしいですか?」

「かまいません」

 

 

 ……事情を聴いていた高橋先生が召喚獣勝負を承認する。状況を理解できない島田さんを余所に、話が進められていく……。

 

 

 

【数学】

Aクラス-木下 優子(376点)

 

 

 

「島田さん、早く召喚しなさいよ……!」

「そ……そんな……、ウチが勝てるわけ……」

「……島田さん、召喚しないなら敵前逃亡で失格になりますよ……?」

 

 

 成り行きを見守っていた佐藤さんがそう言うと、島田さんが慌てて自分の召喚獣を呼び出す。

 

 

「サ……試獣召喚(サモン)!」

 

 

 

Fクラス-島田 美波(182点)

 

 

 

 そして、島田さんが召喚獣を呼び出したところで……、すぐさま優子さんの召喚獣が距離を詰め……、

 

 

 

【数学】

Aクラス-木下 優子(376点)

VS

Fクラス-島田 美波(0点)

 

 

 

 結局何も出来ないまま、優子さんの召喚獣は島田さんの召喚獣をランスで一突きにし、一撃で戦死させた。

 

 

「……島田、こんな時にお前は一体何をやっとるんだ……。まあいい、戦死者は補習だ」

「ちょっ……!?何で……何でウチがこんな目にあうのよー!!」

 

 

 視聴覚室から戦死者を運ぶ為に、わざわざやってきた西村先生が島田さんを連れて再び出て行った。そして召喚獣勝負を終えた優子さんが心配げな表情で戻ってくる。

 

 

「明久君……大丈夫なの……?」

「……うん、一瞬意識を持って行かれそうになったけど、なんとか……。それよりも……バレてたみたいだね……?」

「……当たり前よ……。注意深く見てなくても、その庇い方で普通はわかるわよ……」

「……むしろわからんかった島田がおかしいと思うのじゃ……」

「……最初アイツは明久に好意があると思っていたが……、一体何を考えているのやら……」

 

 

 ……島田さんが好意?……雄二、それはないよ……。もし、好意があるのなら……、あんな事はしない……。必死に懇願する僕に向かって……、とどめを刺すような真似を……、するはずがない……。

 

 

「よお、明久。やったようだな!」

 

 

 少し過去の回想をしていた僕に話しかける声がする。振り返ると、勇人や他にも何人かがやって来ていた。

 

 

 

 




文章表現、訂正致しました。(2017.12.3)
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