バカとテストと召喚獣~新たな始まり~   作:時斗

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問題(日本史)
(   )に正しい年号を書きなさい
「(  )年 キリスト教伝来」


霧島翔子、姫路瑞希の答え
「1549年」

教師のコメント
正解。特に問題ありませんね。


吉井明久の答え
「以後よく(1549年)伝わるキリスト教」

教師のコメント
語呂の覚え方もバッチシですね。2学年になってからの吉井君の日本史の成績は本当に目を見張るものがありますね。


坂本雄二の答え
「雪の降り積もる中、寒さに震える君の手を握った……中で苺をよく(1549年)食った」

教師のコメント
ロマンチックな表現を強引に変えましたね……。途中で間違いに気付いたんでしょうが、その覚え方はやめた方がいいと思います。


土屋康太の答え
「去年」

教師のコメント
……もっと前から伝わっています。


第28話 懇願 (番外2)

「よお、明久。やったようだな!」

「勇人……。うん、ありがとう!」

 

 

 彼奴は……、高橋、じゃったかの。そして……。

 

 

「……おめでとう御座います……、と言ってよろしいのでしょうか……?Aクラスの方々もいらっしゃるので失礼かもしれませんが……」

 

 

 Cクラス代表の小山と一緒におった……確か、神崎といったかの……?

 

 

「いや、かまわないよ。僕達も全力でやった結果だしね」

「それで負けたのだから仕方がありません……」

 

 

 利光と佐藤がそれに続く……。事実、他のAクラスのメンバーは誰一人霧島達を責める者はおらんかった。

 

 

(……尤も、負けたからといって特別なリスクがあった訳ではないがの……)

 

 

 そして、さらにDクラスの代表である平賀も降りてきたようじゃった。

 

 

「おめでとう、坂本君達。まさか本当にAクラスを倒してしまうとは思わなかったよ」

「平賀か。……確かAクラスに勝つ事も夢ではないと言っていなかったか?」

 

 

 雄二の言葉に、平賀は、

 

 

「確かにそう言ったけどね……。実際見てみてここまでの点数差を相手に勝てるとは思えなかったからさ……」

 

 

 …………まあワシも正直Aクラスと戦って勝ったという実感が湧かないのじゃがのう……。

 

 

「さて、明久。これからどうするんだ?」

 

 

 そこへ雄二が明久へと声を掛ける。

 

 

「どうするって……、昨日話した通り学園長室に行く」

 

 

 明久の言葉に、ワシと姉上が反対する。

 

 

「何言ってるの!?まず病院でしょ!?」

「そうじゃ、明久!話はいつでも……」

 

 

 ワシがそこまで話そうとすると、明久が遮った。

 

 

「……秀吉、この話は僕にとってもすごく大事な話なんだ……。『今日が駄目なら明日……』くらいの考えなら話さない方がいいし、それに……聞かない方がいいと思う」

「……すまなかったのじゃ、明久……」

「……秀吉、明久君の話って何なの……?」

 

 

 明久に真剣な顔で窘められ、軽率だったと感じて謝罪すると、姉上が怪訝に思い、ワシに尋ねてくる。

 

 

「……すまんのじゃ、姉上……。ワシの口からは、なんとも……」

「……明久君……?」

 

 

 ……正直、ワシも明久がどんな話をしようとしているかはわからないのじゃし、先程の様子ともなると生半可な話ではなさそうじゃ……。そして、明久の秘密……ともなるとワシの口からどうこう言えるモノでもない……。姉上もそれがわかったのか、明久に直接聞くことにしたようじゃった。

 姉上に「教えて……」と問いかけるような視線を受け、明久も口を開く……。

 

 

「……このあと雄二にムッツリーニ、秀吉にね……、僕の事を話すって約束していたんだ……。学園長室で、ね……」

「学園長室……!?いったい何を……!」

「……僕の、『秘密』さ……。昨日、学園長と西村先生には伝えてきたんだけどね……」

 

 

 明久の……、秘密……。西村教諭は……、既に知っておるのか……。

 

 

「……明久君の……秘密……?」

「…………去年までの僕を知っている人なら皆、何かしらの『違和感』を感じたんじゃないかな……?だから、特に違和感を感じているであろう雄二達には話しておこうって思ってね……」

 

 

 そう言うと……、明久の雰囲気が変わる……。とても、とても重い雰囲気……。演劇に励むワシでも……、今の明久を演じる事は出来んじゃろう……。周りもその雰囲気に、誰も口を挟めなくなる……。

 

 

「……でも、確かに病院には行かないとね……。それなら早く話を終わらせようか……」

 

 

 明久は雰囲気を戻し、ワシらに行こうと促す。それに続こうとワシらも出て行こうとした時、

 

 

 

「待って……。明久君、その話……、私達も聞いたら、ダメかしら……?」

 

 

 姉上がその率直な言葉で、明久を引き止めておった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……吉井には私たちの為に助けてもらった。できれば……私も聞きたい……」

「そうだね……。どうやら真面目な話らしいし……、出来れば僕も聞きたいんだが……」

 

 

 優子さんの言葉を皮切りに、利光君や霧島さんまでこう言ってくる……。だから、言っておかないといけない……。

 

 

「……やめておいた方がいいよ……。正直なところ、雄二達に話すのも、気が引けるんだ……。だけど、雄二達には親友として、話さない訳にはいかないし……。それに、一度聞いたら、多分引き返せないよ……?『聞かない方が良かった』という言葉は、この為にあるものと、僕は思ってるくらいだから……」

 

 

 その言葉とともに雄二達にも注意を促しておく……。この話は一度聞いたら絶対に巻き込まれてしまう……。今回こそ……、『繰り返す』状況にピリオドを打てればいい……。だが出来なければ……、お互いに辛い思いをする事になる……。深く関われば、関わるほどに……、『別れ』が辛くなるから……。

 

 

「……それでも、それでも私は聞きたいの……!お願い、聞かせて……、明久君……!」

 

 

 優子さんが真剣な目で僕に訴える……。…利光君や霧島さんも同じようだ……。そして……、

 

 

「……俺も聞いていいか?明久……」

 

 

 勇人も声を掛けてくる……。

 

 

「勇人……?」

「……俺もお前について不思議に思っていた事がある……。後悔はしないよう努力しよう……。だから、聞かせてくれ……」

 

 

 勇人もか……。彼とも『以前』に別れを経験した事がある……。彼らにも色々と……『お世話』になったから……。

 

 

「……私はやめておきましょう……。とりあえず勇人が聞くというのなら……、今はそれで引き下がります。普通の話ではないようですしね……」

「そうだね……、どうやら生半可に聞いてはいけない話のようだ……。僕も遠慮しておくよ……」

「私も正直そこまでの覚悟はないと思うので……、聞かないでおきます……」

 

 

 神崎さんに平賀君、佐藤さんは引き下がってくれたようだ……。それでも雄二達の他に、優子さん、利光君、霧島さん、それに勇人は聞きたいのか……。『今まで』においてもこんなにたくさんの友人達に一回で話した事はない……。これが今後どう響いてくるかはわからないけど……。

 

 

 

「……わかった……。ただ……、覚悟はしておいてね……?じゃあ、行こう……」

 

 

 考えてもはじまらない。こうなったらなるようになる……。そう思う事にし、僕達は高橋先生とともに学園長室に向かった……。

 

 

 

 

 




とある時の明久の体験(2)



 ―――文月学園屋上にて。

 僕は一人、屋上のフェンス部分に腕を置きながらただじっと佇んでいた……。その右腕から除く腕輪は紅く輝いている……。
 僕の『行動』の度に、腕輪の輝く間隔が短くなっていたから、気にはなっていた……。だから今回は特に腕輪が輝いていた時の傾向を、ある程度検討をつける事ができた……。あの『2人』のおかげだろう……。


「それにしても……、本当に厄介な腕輪だよ……」


 もう正直、何回『繰り返し』たかは数えていない……。数十回『繰り返し』た時点で、もう数える事はやめた……。その中で気が狂った事もあったが、なんとかこうして今、乗り越えようと努力はしている……。
 ……ただ、今回は残念ながら『繰り返し』てしまうようだ……。あと数分、といったところだろうか……。お世話になった2人、そして先生たちには既にメールで伝えておいた……。会ったら、辛くなってしまうから……。だけど、そんな僕の思いも空しく……、


「「明久ッ!!」」


 ……ほとんど同じタイミングで屋上にやってくる……。さすがは『双子』、というところだろうか……。


「……来ちゃったんだね……。秀吉、優子さん……」


 僕は2人に振り返る……。また、『別れ』を経験することになる……。


「明久っ!これは一体どういう事じゃ!?お主の話では、『期限』はまだ先の筈じゃろう!?」
「それなのに、このメールは……!?そ、その腕輪……!」


 秀吉と優子さんが問い詰めてくる……。そして……、優子さんは僕の腕輪に気付いたようだ……。


「……限界が来たみたいだ……。恐らく、『期限』と……、『自己防衛』以外の条件だと思う……」
「…………この前、話していた……、もう1つの……?」
「……多分ね……。今回、僕は秀吉や優子さんのフォローのおかげで『自己防衛』の方は問題なかった……。ただ……、僕は自分を『抑えて』しまっていた……」


 僕はそこで言葉をきり、


「……そして、自分を『抑えて』いた時、腕輪が反応していた……。どうもこの腕輪は……、自分を抑えたらいけないんだと思う……」


 ――この前、葉月ちゃんがらみの事で困っている島田さんがいて……、だけど……、彼女から距離を置いていた僕らはそれを見ないふりをする事にしていた……。




『……行くわよ、明久、秀吉』
『ちょっ……優子さん!?』
『……あ、姉上……』
『明久がそんな事する必要なんてないじゃない!!島田さんの自業自得でしょ!?』
『まあ、普段の態度が態度じゃからのう……』
『……うん、確かに、ね……!?(腕輪が……、反応してる……!?それも……かなり……!)』




 あの時の腕輪の輝きが、ピークだったのだろう……。結果、その輝きが止まらなくなり……、現在に至るという訳だ……。今までもこんな事があった。だから今回、もう1つの条件が正確に分かった。

 ――この腕輪は……、僕の『行動』によって発動する……。僕が……、『僕』らしからぬ行動をとった時に『腕輪』が紅く光り出す……。そして、だんだん腕輪の輝く間隔が短くなっていき……。それが限界を超えると……、自動的に『繰り返す』ようだ……。


「そ、そんな……ことって……!」
「……あのメールは……、嘘じゃ……ないと……いうことか、の……?」


 2人からの質問にゆっくりと頷き、僕は腕輪を見る……。


「……本当は、会うつもりはなかった……。まさか間に合うとは……、思わなかったけどね……。本当に、いつも思うよ……。『繰り返し』てて、一番辛い時は……『別れ』の時だって……!」


 僕は話している途中で空を仰ぎ見る。……涙が零れそうになった為だ……。2人もどこか啜り泣いているような気配がする……。


「……明久は、また戻るのかの……。あの『時』に……」
「……そうだね……、またやり直しだよ……。折角、今回は優子さんとも仲良くなれたのにな……」
「…………そうよね。戻った際は……、また元に戻ってるわよね……。アタシは……、そんなに明久と……仲良く、なかったし……」


 そんな他愛のない話を、涙ながらにしながら最後の時を過ごす……。もうお互いにわかっている……。他に、どうしょうもないという事が……。


「……ねえ、明久が『いなく』なったら、ここでの明久は……どうなるの……?」


 ……優子さんの質問に、僕は答える事ができない……。『僕』が繰り返す時、自分の意識と経験、召喚獣を引き継いで向こうへ戻る……。戻る前の世界がどうなるか……。僕は知らない……。身体は残り、僕じゃない別の『吉井明久』の意識が宿るのか、それとも、すっかり僕自身が『失踪』という形になってしまうのか。……はたまた、最初から『いなかった事』にされるのか……。


「……嫌じゃ……、明久と……離れるのは……、嫌じゃ!!」


 耐えきれなくなり、秀吉が僕に飛びついてくる……。そして、優子さんも……。


「……大丈夫だよ……。いつか……いつかきっと、なんとかなるよ……」
「……いつかって……いつよ……!」
「そんなの……僕だってわからないよ……!でも、いつか、いつの日か……。僕がこの『繰り返し』を乗り越えたら……、何とかなるかもしれない……」
「……そんなの……わからないじゃない……!」
「嫌じゃあ!明久がいなくなるのは、嫌じゃあ!!」


 ……もうそろそろ限界だ……。このまま、別れたくはない……!僕は涙を堪え、2人の肩を掴み、少し引き離すと、笑顔を作り、そしてこう言った。


「2人とも、『約束』するから。いつか、いつの日か、僕は絶対乗り越えてみせる!そしたら、なんとかする……。やり方も、どうしたらいいかもわからないけど、絶対なんとかしてみせるから……!この『世界』だけじゃない……!今まで、別れてきた世界の人達にも……!だから、待っていて……!僕が……なんとかするのを!乗り越えるのを!!……だから、お願い……!最後は……最後は笑って……?笑って僕を……送り出してくれないかな……?」


僕 の話を受け、お願いをきこうと、2人は泣きながら笑う……!


「明久っ……!わかったのじゃ!ワシは……その言葉を信じて……お主が乗り越え、何とかしてくれるのを……待っておる!いつまでも……待っておるぞ!!」
「……それまで、この世界で、貴方が何とかしてくれるのを待ってるわ……。だから……、いってらっしゃい、明久……!」


 秀吉と優子さんが僕からゆっくりと離れる……。その瞬間、僕を激しい光が包む……!


「うん、約束だよ!どんな事をしても、何とかしてみせる……!絶対に、僕はあきらめないから……!じゃあ、行ってくるね……!!」


 それが最後の言葉となり、僕はこの世界から消えた……。


 その『約束』は……、まだ達成されていない……。




とある時の明久の体験(2) 終
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