以下の( )にあてはまる歴史上の人物を記入しなさい。
『楽市楽座や関所の撤廃を行い、商工業や経済の発展を促したのは( )である。』
姫路瑞希、吉井明久の答え
『織田信長』
教師のコメント
正解です。吉井君もよくできました。
島田美波の答え
『ちょんまげ』
教師のコメント
日本にはもう慣れましたか?
この解答を見て、また常日頃からの行動を見て、先生は少し不安になりました。
土屋康太の答え
『ノブ』
教師のコメント
ちょっと慣れ慣れしいと思います。
須川亮の答え
『俺』
教師のコメント
……いるんですよね。毎回こんな事を書く生徒が……。
第35話 明久へのラブレター(前編)
「木下さんのことが……、好きなんだっ!僕と付き合ってくれないかっ!」
「…………えっ?」
……呼び出された体育館裏にて、私は一人の男子生徒から愛の告白を受けていた……。いきなりの事に私も何て答えたら良いか迷っていると、
「……木下さん……?」
「え、あ、ごめんなさい……」
再度、私に確認をとる男子生徒……。とりあえず、私は疑問に思っている事を一応伝えておく事にする……。
「……あの、本当にその……、アタシであっているのかしら……?秀吉じゃなくて……?」
「……?そのつもりだけど……?木下”優子”さん、だよね……?」
……どうやら『私』で間違いないみたい……。告白されると一瞬『秀吉』かな、と思ってしまうのは今までの経験上の事である……。勿論、私だって告白された事はあるけれど、秀吉にラブレターを渡して下さいなんて言われた事もあるし……。
「それで、どうかな……?」
私の返事を心待ちにしている様子で目の前の彼からそう尋ねられ、私は戸惑いながらも返事をする……。
「……その気持ちはとても嬉しいんだけど……、ごめんなさい……」
彼の気持ちは嬉しいけれど、その気持ちには答える事が出来ない……。自分の気持ちが決まっている以上、気を持たせるのも誠実でないし、ここははっきりと伝えておくことにする……。
「……一応、理由を聞いてもいいかな……?」
「……ええ、実は……、アタシも、好きな人が……」
「いや~、大人気だね~!優子~♪」
相手に伝え終わり、体育館裏を後にしようとしている時、そんな声がかかる……。こんな調子で私に話しかけてくるのは、一人しかいない……。
「…………愛子。見てたの……?」
「最近、優子、告白される事多いよね~」
私の疑問には答えずこう切り返してくる。……事実、私はここのところ、こういった告白を何度も受けていた……。大事な事なのでもう一度言っておくけれど、今までにだって告白は無かった訳じゃない……。だけど……、最近は本当に多い……。
勿論、告白される事はとても嬉しい……。『私』に魅力を感じてくれて、想いを伝えてくれる事は……。だが正直、戸惑いも覚えている……。明久君を意識している以上、告白されてもそれに答える事が出来ないからだ……。それを知っている愛子も、なんだかんだで私を心配してくれているのだろう……。
「……でも、本当にどうしたのかしらね……」
「……優子、自覚ないんだ……?」
……自覚?……いったい何の……?
「ここ最近の優子、すごく可愛くなってると思うよ?今までは優等生っていうか、カタイ感じだったのに、何ていうのカナ?自然さやひたむきさっていうのがあって、すごく魅力的に見えるんじゃないカナ?」
誰かに恋してるって感じもするしね~、と冷やかしてくる……。でも……、そうなんだ……。
「まあ……、優子も自分でわかってるんでしょ?吉井君の事……」
「…………ええ」
「おっ?素直だね~♪てっきり誤魔化すかと思ってたのに~♪……でも吉井君も最近かなり人気があるみたいだよ?」
それも知ってる……。数日前におこなわれたエキシビジョンゲームを皮切りに、学年を問わず結構騒がれているようなのだ……。さらに実際の彼の雰囲気と、今まで知られていた『観察処分者』としてのギャップがあまりにも違いすぎ、それも魅力に感じるらしい……。
「……優子、自覚してるんだったら、告白はしないの?吉井君、誰かにとられちゃうかもよ?」
「……それは、愛子も含めて……?」
「えっ?う、うーん。まあ、ボクも吉井君はいいと思うケド……、優子もいるからね~♪」
……愛子も明久君に気があると思っていたんだけどな……。でも、愛子の気持ちもわかるけど……、
「……それに、今はそんな事を言ってられないわ……」
「えっ……?」
そう……、今はそんな事を言っていられる状況じゃない……。明久君もそれに構っているようには思えなかった……。だから、私達が一先ず目指す事は、
(明久君の例の『腕輪』を外す……。それが……、いま一番アタシ達がしなければならない事……!)
――同時刻、某場所にて……。
『逃がすなっ!追撃隊を組織しろ!!』
『手紙を奪えっ!そして吉井を殺せぇ――!!』
『サーチ&デェスッ!!』
「全く……、この朝っぱらから……!」
今、僕はウチのクラスメイトに追いかけられている……。僕の持つ手紙を狙って……。何故こうなったか……、少し時間を遡る……。
「先生、おはようございます」
「おう、おはよう!部活の朝練か?感心だ――」
そこで西村先生は振り向いた瞬間、固まる。
「……先生。そんなに僕が早く来たら変ですか……?」
「……すまんが、変か変じゃないかと聞かれたら間違いなく変だな。……お前が真面目になる、この違和感はまだ慣れた訳ではない……」
……先生に僕の事を話してまだ数日……。仕方ないといえば仕方ないのだけど……。
「まあいい……。吉井、今、手は空いているのか?」
「……『観察処分者』の仕事ですか?」
「ああ、古くなったサッカーのゴールを撤去してほしい」
「わかりました。じゃあ案内して下さい」
そして校庭に向かう途中、
「おう、吉井じゃないか」
「こんな朝からどうしたんだ?お前も陸上部に入るのか?」
そこに僕に声を掛けてくる。彼らは確かEクラスの陸上部のメンバーだったっけ。
「おはよう。ちょっと今から『観察処分者』の仕事をしにきたのさ」
「ああ、確かお前、観察処分者だったっけ」
「結構大変なんだな……」
「まあ、自業自得だしね。じゃあまた」
「暇があったら、今度見学に来いよ!」
「怪我が治ったらね……」
そう言って、彼らと別れる。
「なんだ、吉井。お前、陸上部に入るのか?」
「いえ……。ただ先日のEクラスとの試召戦争を通して、色々言われてるだけですよ……」
そう……、浩平に言われているだけじゃなく、実は他の部活からも声がかかっている……。『前』の体験では、試召戦争から離れて部活動に励んだ時もあったから、顔見知りといえば顔見知りでもあり……、この間ちょっと話したら、いろんなところから部活に誘われるようになってしまった……。
「そうか……。おっとこれだ。そのゴールを運んでほしい」
「了解です。――
僕は召喚獣を呼び出すと、身の丈の何倍もあるサッカーゴールを担ぐ。
「それじゃ、そのゴールをだな……」
「はい」
「街外れの産廃場まで運んできてくれ」
「わかりました」
僕はそのまま召喚獣にゴールを持たせて学園を出ようとすると、
「おい待て吉井!冗談だ!ゴールネットを外して校門前に邪魔にならない様に置いとくだけでいい!」
「えっ?冗談だったんですか?」
「……産廃場まで何キロあると思っとるんだ……。それに召喚する為にそこまで俺も立ち会わんといけなくなるだろう……」
「それなら大丈夫ですよ?『僕』の召喚獣は『立ち合い』は必要ありませんから」
僕の召喚獣は何時でも、何処でも召喚する事ができる……。だから、そもそも立ち合い自体が必要ない。
「……とりあえず外したネットは別口で処分するから、とりあえずは体育用具室にでも置いといてくれ…」
何処か疲れたような顔で言う西村先生。……それなら最初から冗談なんて言わないで下さいよ……。僕はネットを外しそれを体育用具室に持って行った後、下駄箱へ向かった……。
「む、明久ではないか。今日は早いのう」
「あ、おはよう、秀吉。ちょっと今日は早く目が覚めてね……」
下駄箱のところで秀吉に会う……。まだ結構早い時間だが……、恐らくは部活の関係なのだろう……。話をそこそこにして、僕は靴箱を開けると……、
「………………」
「む?どうしたのじゃ、明久?うん?それは……手紙……かの?」
秀吉は僕の靴箱を覗き込むと、そこにあった手紙に気付く。
「もしかするとラブレターじゃないかの……って、明久!?どうしたのじゃ!?」
………………はっ、いけない、つい意識が……。
「ああゴメン、秀吉……。あまりの事に意識が……」
「……何故手紙を貰うだけで、鳥肌が立っておるのじゃ……?」
「……今まで『手紙』を貰っていい思い出がないからさ……」
……そう、本当にろくな思い出がない……。果たし状だったり、脅迫状だったり、不幸の手紙だったりと……。
「……まあ最近のお主から判断すると、十中八、九ラブレターじゃないかと思うのじゃが……」
「何を言ってるの、秀吉……。僕にそんな想いを抱く人がいる訳ないじゃないか……」
「………………姉上も報われんのう」
何か秀吉が小声で呟いたが……、ま、今は置いておこう。……やっぱり手紙を確認するしかないのか……。
「……仕方ない、後で確認してみるよ……。とりあえず教室へ行かないと……」
「……そうじゃな……。時間もあるし、教室でゆっくりと見たらよかろう……」
早めに来たと言うこともあり、とりあえず教室に向かうと……、
『吉井を殺せぇ―――!!』
教室に入るなりいきなりFクラスのクラスメイト達に取り囲まれる……。こんな早い時間にFクラスメンバーのほぼ全員が揃い踏みとは恐れ入る……。
「な……何じゃ!?何の騒ぎじゃ!?」
「…………多分、この手紙の事じゃない……?」
恐らくは、この手紙をラブレターか何かと勘違いしているのだろう……。僕が手紙を取り出すと、
『アレがそうか!!』
『おのれ……!何故、吉井に……!』
『吉井のような屑が貰えるならくらいなら、俺達だって貰っていてもおかしくないはずなのに……!!』
『出てきたのは腐りかけのパンや食べかけのパンしか出てこないというのはどういう事だ!?』
……知らないよ、そんなの……。だいたい……、
「……そもそも、これがラブレターかどうかも分かっていないんだけど……?」
「……じゃあ、その手紙を見せてみなさいよ……!」
…………この声は……。恐る恐る振り返ると、僕にとってはおなじみの人が立っていた……。
「……いや、宛先は僕だし……、他の人に見せる訳にはいかないでしょ……?」
「……誰からなの?どんな手紙なのよ……!とにかく……おとなしく指の骨を――じゃなくて、手紙を渡しなさいよ……!!」
……残念ながら……全然僕の話を聞く様子は見られないな……。
「待つのじゃ、島田よ!お主は姉上より、明久に近付かぬよう言われておったじゃろう!?」
「木下は黙ってなさいっ!これは吉井とウチの問題なんだから!!」
「いや……、島田さんも関係ないよね……?」
掴みかかってくる島田さんをかわしながら、僕はクラスの状況を把握する……。雄二やムッツリーニもまだ教室には来ていない……。現状で僕の味方は秀吉だけのようだ……。そしていつの間にかクラスメイトと島田さんに壁際まで追いつめられてしまう……。
「(明久……、ワシが隙を作る……。その隙に逃げるんじゃ!)」
「(秀吉……でも……)」
「(お主はまだ腕の怪我も治っておらぬしの……。無理せず何処かに避難するのが賢明じゃろう……)」
「(…………わかった。お願いするよ……)」
僕は秀吉とアイコンタクトでそんな会話をする……。、今から外に逃げるとなると……、他のクラスのHRを潰しかねないんだけどな……。でも、このままここにいても事態は一向によくはならないし……、ここは秀吉の好意に甘えるとしよう……!
『貴様ら、何をしておるかっ!!』
『!?て、鉄人!?』
秀吉が西村先生の声真似で皆を引き付けると、その隙を突き、僕は教室を脱出する……!
『よ、吉井が逃げたぞっ!?』
『逃がすなっ!!』
こうして、僕とFクラスの手紙争奪戦という名の鬼ごっこが始まったのだ……。
文章表現、訂正致しました。(2017.12.6)