文章表現、訂正致しました。(2017.12.8)
「あれ?どうしたの、雄二……」
「明久か……、なんかやるみたいだぞ」
登校してみるとクラスメイトが教室の前に集まっていた。何々……、
「文月学園主催お宝争奪オリエンテーリング大会……?」
……また、何考えてるんだ……?あの学園長は……。
「ずいぶんと商品も豪華なようじゃのう……」
「…………多分、スポンサーがらみの商品」
えーと……、MP3プレイヤーに新作ゲーム……、喫茶ラ・ぺディスでの商品券。学食1年分の食券やら1日生徒会長になれる券なんてのもある。……確かに豪華商品だ……。一部、気になる商品もあるけど……。
「……で、どうやったら貰えるの?」
「用意されている試験問題を解き、その答えが地図のチェックポイントの座標になっていて、そこに隠してカプセルの中に商品の引換券があるようだな……」
「…………ようするにテストが解けなければアウト」
「しかも早い者勝ちで、他のチームとぶつかった時は召喚獣バトルで奪い取ってもいいそうじゃ」
……成程ね。Fクラスには色々な意味で不利な内容だ……。
「皆さん、席に着いて下さい」
だいたいルールを把握したところでHRの時間となり福原先生が来る……。あれ?西村先生も……?
「……えー、今日からですね、西村先生が私にかわってFクラスの担任となってもらう事になりました」
「「「「な、なに――――!??」」」」
その瞬間、教室中が阿鼻叫喚に包まれる……。
「先日、お前らが起こした騒動が問題になってな……。俺がお前らを監視する意味を含めて担任となる事になったのだ」
「先日の騒動は吉井が悪いんですっ!!」
「そうです!アイツがラブレターなんて貰うから!!」
「俺達は悪くないんです!!」
……ふう、コイツらは学習能力はないのか……。
「やかましい!!とりあえずこれは決定事項だ!!それよりも今日はこれからオリエンテーリング大会が行われる。もう知ってはいるだろうが、念の為ルールを確認しておくぞ。ルールは、三人一組となりチームで行動してもらう……。そして、そのチーム分けがこれだ」
一喝してクラスを黙らせ、オリエンテーリングの説明を始める西村先生。それでチームは……、雄二と秀吉とか……。
「……制限時間は放課後のチャイムまで!これも授業の一環だ!真面目に取り組むように」
「それでは頑張って下さい……。ああ……、あと吉井君。学園長が呼んでいたので、すみませんがオリエンテーリングが終わったら学園長室に来てください」
そう言って教室を出て行く西村先生たち……。何かわかったのかな?まあ、放課後でもいいみたいだし、とりあえず着替えに行くか……。
それぞれ体操着に着替えて、各自問題に向かっているんだけど……、
「…………」
「……雄二。そちらはどうじゃ……?」
「……ダメだな。問題が難しすぎる……」
そう、問題が難しすぎるんだ……。少なくとも、Fクラスの僕達が解ける問題ではない……。
「あー、もう!数学以外はお手上げだわ――っ!!」
「……ムッツリーニ。お前、凄いな……」
「…………保健体育だけ。他はお手上げ」
ムッツリーニは、島田さんと須川君か……。向こうも向こうで大変そうだな……。それにしても……、
「……全部、選択問題か……。じゃあ、あれを試してみるか……」
「うん?何か手があるのか?」
「僕が高校受験の時に、お世話になった方法なんだけど……」
そう言って僕はあるモノを取り出す。
「…………」
「……なんじゃ?それは……」
「えーとね、数学は『ストライカーシグマⅤ』、現国は『プロブレムブレイカー』、歴史は『シャイニングアンサー』。なかなか正解率が高くて……」
「……一瞬でも期待した俺がバカだった……。お前の人生はサイコロに左右されてきたのか……?」
「はぁ……。久しぶりにお主のバカな発言を聞いた気がするぞい……」
……そう言って呆れた様子で溜息をつく雄二達……。う、うるさいな。僕だってわかっているけど……、問題が解けないんだから仕方ないじゃないか……!
「と、とにかくいくよ!うなれっ、ストライカーシグマⅤ!!」
呆れている雄二達を尻目に、僕はサイコロ……、コホンッ、ストライカーシグマⅤを放り投げる!そしてその結果……、X座標『652』、Y座標『237』、Z座標『5』……。
「わかった……。ターゲットは……、あそこだっ!」
僕はその導き出された方向を指さすと……、
「おもいっきり空中じゃな」
「お前、とってこい」
………………ごめんなさい。
「やれやれ……、ん?あれは、姉上達かの……」
そんな時校庭を見てみると、ちょうど宝を掘り出した優子さん達が見えた。
『あった、商品の引き換えチケットだ~♪』
『最初から正解ね』
『……学食のデザート1年分……』
『3人で分けよう~』
「……X軸とY軸は当たってたようじゃな……」
その様子を見ていた秀吉がポツリと呟く。
「ほ……、ほら!ストライカーシグマⅤは凄いでしょ!?」
「……信じてるお前が凄いと思うがな……」
……ま、まあ冗談はこれくらいにしておくとしよう。……そんなこんなで僕達は再び捜索を開始する……。
「全く……、くだらない行事に時間をさく位なら、少しでも授業を進めてほしいものだが……」
「まあまあ、久保君……。それより地図だとこの辺りですね……」
そんな会話が交わされる中、私は久保君と、佐藤さんと一緒にチームを組んで探していたんですけど……、
「えっと、ここですね……、えっ!?」
「どうしたんだい?姫路さん……!?」
「……吉井君の下駄箱の中、ですか……」
が……学園長先生!?ど……どうして吉井君の下駄箱に景品を!?
「これって……、開けちゃっていいんでしょうか……?」
「……どうだろう?僕はいろんな意味で開ける訳にはいかないと思うんだが……」
「……この間の騒ぎも、元はといえば吉井君の下駄箱に入っていたものが原因でしたからね……」
……皆さん、開けるべきか悩んでいるようです……。私も開けたいんですけど……、色々と見たくないような物を見てしまう気がして……。主に、ラブレター、とか……。吉井君の下駄箱の前で躊躇している内に、誰か来たのでしょうか、声が聞こえてきました……。
「……ん?姫路さんじゃないか。それに、Aクラスの久保君達も……」
「……そういう君たちは……?」
「えっと、平賀君……、ですよね?あと……」
平賀君と一緒にいるおっとりとした感じの、三つ編みの女の子……Dクラスとの試召戦争時も見かけた私の友達……、
「あの……。私、Dクラスの玉野美紀って言います」
「玉野さん、ですね……。よく、優子に会いに来る……」
「ええ、彼女とは……、その……」
佐藤さんは玉野さんの事を知っているのでしょうか……?私も彼女から色々と吉井君の事を聞いたりしていますし……。確か……、『たくましい坂本君と美少年の吉井君が歩いているのって絵になるよね』とか『やっぱり吉井君が受けなのかな?』とか……。
「そうか……、それで君達もオリエンテーリングでまわっているのかい?それにしては……、一人いないようだが……」
「ああ…、もう一人は…」
「……清水さんがいたんですが、途中で『お姉さま~』と言って島田さんを追いかけて行っちゃって……」
「……美波ちゃん」
……美波ちゃんと清水さんって……、実際の所どうなんでしょう?美波ちゃんは否定してましたけど……。
「それより姫路さん達は、ここで何を……」
「ああ、実は吉井君の下駄箱に宝があるらしい事がわかったんだが……」
「勝手に開けるのもどうかと思って悩んでいたんですよ」
「……成程、そう言う事か……」
平賀君も私達の話を聞いて、何を悩んでいたのかわかってくれたみたいです。…………一人をのぞいて。
「アキちゃ……、吉井君のっ!?」
バンッ!!
((((あっさりと開けた!?))))
吉井君の名前が出た瞬間、玉野さんは目にも止まらぬ速さで、吉井君の下駄箱を躊躇せずに開けちゃいました……。そして……、
カチャ……、コロコロ……。
幸い?な事に吉井君の下駄箱から商品の引換券が入っていると思われるカプセルが出てきて……それ以外のものは何もなく、私はホッと息を撫でおろしました……。
「ハッ!?私ったら何を……?」
我に返ったようにそんな事を言う玉野さん。ほとんど条件反射だったんですね……。
「……ああ、最初に見つけたのは姫路さんたちだし、僕たちは大丈夫だから……。君たちが貰ってくれ……」
「……わかった。有難く貰っておくよ……」
……久保君も佐藤さんも呆然としてしまってますね……。まあ、さっきの玉野さんは……、その……、
「……僕達は行こう、玉野さん……。清水さんを探さないと……」
「は、はい……。そ、それでは、失礼します……」
そう言って去ってゆく平賀君達を見ながら……、
「……久保君。さっきのは……?」
「……佐藤さん。気にしたら負けだ……」
「あ、あはは……」
とりあえず、先程の事は見なかった事になりました。……肉食獣もかくやと思う玉野さんなんて……、私たちは見なかったんですっ!そして気を取り直して、オリエンテーリングを再開しました。
……ちなみに商品は『喫茶ラ・ペディスの商品券』が入っていました。久保君達と分けたんですけど……、あそこのお店はケーキがおいしいので、また太っちゃいそうです……。
「輝けっ!シャイニングアンサー!」
……結局、秀吉が明久に唆されてサイコロ?を振ってる中、俺は問題を解きながらコイツらについていき……、
「あったよ!さすが秀吉だね!」
「……ワシは関係ないと思うのじゃが……」
明久が男子トイレの水タンクの中に隠されていたカプセルを開けると……、
「さて、商品は何かな……って、ハズレッ!?」
「……ここは違うという訳じゃの」
「くそっ……!引っかけ問題だったのか……!」
「……サイコロに引っかけも何もないだろう……」
……いくら変わったといっても、基本的に明久はやはりバカだった……。まあ、見ていてある意味、安心するんだが……。
「……さてと、これならどうだ?」
「何と!真面目に解いたのか!?」
俺がそう言うと大層秀吉が驚いていたが……サイコロに頼るくらいなら解いた方がいいだろうが……。
「さすが雄二だね!じゃあ早速行こう!」
――それで体育倉庫に行き、その場所を調べてみると……、
「ホントだ!あった!」
「よくこれが解けたのう!」
「……俺でも解けそうな問題ばかり選んだんだ。それより商品は何だったんだ?」
「えーと、映画の無料チケットのようだね……」
それにしても明久も随分楽しんでいるみたいだな……。俺はちょっと気になった事を聞いてみる事にした。
「明久、『繰り返し』た時にこんなオリエンテーリング大会はなかったのか?」
「……うーん。あまり覚えてないなあ。……前にも言ったけど、僕も『繰り返す』最中に、いろんな事をしてきてるから……。この行事はあんまり覚えてないから、参加してなかったのかも……」
成程な……。学園長もそこのところを考えて、こんな行事を行ったのかもしれない……。
「そうか……。ところでどうする?他の奴らに見つかって召喚獣バトルを起こした方がいいのか?」
この行事は1年や3年も参加している……。普通、他学年相手に召喚獣で戦う機会など無い為、都合がいいと言えば都合がいいのかもしれない……。尤も、召喚バトルがまだ出来ない1年生とぶつかった場合、そこは先輩が譲らないといけないという暗黙のルールもあるが……。
「……いや、大丈夫だよ、雄二……。挑まれたんならわかるけど、わざわざ待つ事もないさ。それに……、なんだかんだ言って、僕も楽しんでるしね」
……確かに明久を見る限りは楽しんでいるように見える……。今までの言動からも、まるで、『以前』の明久であるかのように……。これは、良い兆候と解釈していいのだろうか……。ふと隣を見てみると、秀吉は俺に向かって頷いてみせた。ならば、それが明久の『演技』ではないという事だ……。何だかんだで明久は嘘がつけないのだから……。だったら……、
「そうじゃな!このオリエンテーリング大会は、なかなかバカには厳しい行事じゃが……、こうなったらとことん楽しむとしようかの!」
「そうだな……。あとは問題をどうするかだが、残ってる問題はどれも難しいぞ。いっそ手当たり次第に校庭でも掘ってみるか?」
「手当たり次第……?そうか、なら答案用紙に、答えの選択肢にある座標を全部塗りつぶすんだ……!」
全部……?ああ成程……、そう言う事か……!
「X軸とY軸のクロスした場所は宝が隠されている可能性がある……!高さはわからないから……、全部まわる!!」
「何か所もあるのじゃぞ!?それを全部探すのはとても……!」
「……おもしろそうじゃねえか、秀吉!どうせ問題は解けないんだ……。ならばバカにはバカの戦い方があるって見せてやろうじゃないか!」
「……全くお主らは……」
そう言いながらも秀吉、お前もやる気満々じゃないか……!よし、そうと決まれば……!
「俺は4階をまわる!明久は3階、2階は秀吉がまわれ!」
「うん!わかった!」
「承知!」
こうして俺達はまわる階層を決め、総当たりでまわっていった……!そしてその結果……、
「あった!あったよ、雄二、秀吉……!」
最後にきた屋上にて明久が宝を見つける……。やれやれ、結局最後にまわった場所にあるとはな……。明久が墨をかけられたように真っ黒なのと、秀吉がチャイナ服になっているのは正直意味がわからないが……。
「ほら秀吉、問題が解けなくても見つける事が……」
「あら、アタシは自分で解いてここにきたんだけど?」
明久がカプセルを開けようとした時、何処からか声がかかる。……コイツらは……!
「ゆ、優子さん!?」
「姉上!?何故ここに!?」
木下優子に……、翔子!?それに工藤も……!
「ふふっ……」
「……ルールだと召喚獣バトルで奪い取ってもいいんだよね♪」
おいおい、マジかよ……!いくらなんでも、Aクラスのこの3人が相手では……!
「承認します」
「ふ、福原先生!?いつの間に……」
明久が驚いているところに、元Fクラスの担任が現れ、召喚フィールドが形成される……。
「「「(……)
そして、それに応じて翔子たちが召喚獣を呼び出した……!
「……手加減はしない」
「覚悟はいいかしら?」
「それじゃあ、いくよ~!これも勝負だし、悪く思わないでね!」
「まさか、翔子たちと当たるとは……!」
「不味いぞ、明久……!いくらなんでも戦力が違いすぎる……!」
「しょうがないよ……、とりあえず召喚しないと敵前逃亡になる……」
俺達も召喚獣を呼び出すしかないか……。しかし正直、Aクラスのコイツら相手に勝つのはいくら明久でも……。まあ、何の科目で戦うかにもよるが……。
「「「
【日本史】
Aクラス-霧島 翔子(384点)
Aクラス-木下 優子(322点)
Aクラス-工藤 愛子(309点)
VS
Fクラス-坂本 雄二(234点)
Fクラス-吉井 明久(410点)
Fクラス-木下 秀吉(54点)
…………………………は?なんだ?この明久の点数は……?
「……よ、410点……!」
「えっ!?明久君、そんなに高かったの!?」
「こ、これはビックリしたよ!」
「……お、俺達も驚いた……」
「あ、明久よ……!まさか、そんなに点数が高かったとは……!?」
「……雄二達には言ってなかったっけ?僕は一応腕輪を取った事があるって……」
……そう言えばそんな事を言っていたか……?だが、正直明久がこんな点数を取るのは違和感しかないが……。
「……僕の召喚獣に『腕輪』が付くのは久しぶりだからね……。雄二の点数も高いし、ちょうどいいか……」
明久はそう呟くと俺に向かって、
「ねぇ雄二?雄二も召喚獣の『腕輪』を使ってみたくない?」
いきなりこんな事を言い出す明久。……いったい何を言っている……?
「……お、おい明久。何の話だ?」
「いいから。使ってみたいの?みたくないの?」
「そりゃあ、使ってみたいが……」
自分の召喚獣の『腕輪』がわかるなら、俺も知りたいが……、
「じゃあ雄二、そのままでいてね……?いくよ……、『転身』!」
そして明久がそう言った瞬間、召喚獣の腕輪が光りだし……、
Fクラス-坂本 雄二(400点)
Fクラス-吉井 明久(78点)
な、なん……だと……!?何故、俺の召喚獣が……!?
「え?え?なんで?何が起こったの!?」
「……雄二の、召喚獣の点数が……!?」
「すごーい!!それが吉井君の腕輪の効果なんだ~」
「……いったいワシには何が何やら……」
「お、俺もだ……」
「……それより雄二。腕輪が使える筈だから、使ってみなよ……」
……見てみると俺の召喚獣に腕輪がついている……。という事は、俺の召喚獣は400点をとった召喚獣として扱われているという事だ。明久の召喚獣は……、召喚獣の点数を『
「あ、ああ……、だが、どうやったら使えるんだ……?」
「使いたいって念じれば召喚獣の腕輪が光るはずだよ……。別に能力を発動させるのに台詞を言う必要もなかった筈だし……」
僕はつい言っちゃうけどね……、と明久はごちる……。俺の、召喚獣の腕輪か……。はたしてどんな効果なのか……。俺が腕輪なんて使える事になるとは思わなかったから……、ちょっとワクワクしてきたぜ……!俺は召喚獣に腕輪を使わせるように念じると、その腕輪が光りだした……!
「……いったい、何が起こるのかしら……」
「……雄二が腕輪とはのう」
「腕輪の効果は、どれも強力だからねぇ……」
「……!?雄二の、右手が……!」
翔子たちも固唾を飲んで見守る中、俺の召喚獣の右手が淡い輝きを放っていた。
「こ、これは……」
「うーん………。まあ、戦ってみればわかると思うけど……」
まあ、そうだろうな……、ならば……!
「いくぜ、翔子!ちょっと俺の召喚獣に付き合って貰うぜ!!」
「……雄二!」
翔子の召喚獣が構える中、俺はその光っている右手で攻撃する。すると……!
ズガァァァ―――ンッ!!
正面から俺の攻撃を受け止めた翔子の召喚獣が吹き飛んだ!?こ、これは……!
「……雄二の腕輪は、腕とか脚とか……その部分を強化できる効果があるみたいだね……」
「……強化?」
「……その光ってる部分がそうだと思うけど……。多分、その気になれば他の部分も強化できるようになるんじゃないかな……?」
部分の強化か……。成程、なかなか便利な能力じゃないか!あまり力を入れた感じもしないのに、あの翔子の召喚獣を吹き飛ばした事といい……。
「だ、代表!!大丈夫なの!?」
「……大分点数を削られたけど……、大丈夫」
「……あの一撃でそんなに削られちゃったんだ……」
【日本史】
Aクラス-霧島 翔子(106点)
Aクラス-木下 優子(322点)
Aクラス-工藤 愛子(309点)
VS
Fクラス-坂本 雄二(350点)
Fクラス-吉井 明久(78点)
Fクラス-木下 秀吉(54点)
たった一撃で、こんなに点数を削っちまうとはな……。
「明久よ、ワシも腕輪が使えるようにならんか?」
「……ゴメン。秀吉に腕輪が使えるようになるまでの点数にさせるには……、僕の点数が足りない……」
「……秀吉。演劇もいいけど、アンタはもう少し勉強しなさい……」
「……わかったのじゃ…」
秀吉、そんなあからさまに落ち込むな。しかし、まさか他人に点数を付加させる事ができるとはな……。まあそれが腕輪の効果だと言われれば納得するしかないが……。
「……ん?という事はお前が俺を倒せば……」
「……雄二。言いたい事はわかるけど、僕にその気はないよ。……そもそも、この状態で雄二には勝てないと思う」
「いや、だからわざと……――」
「わざと負けるように戦われても……意味はないよ。わかるでしょ……?」
「……そう言えばそうだったな……、スマン……」
……明久の『行動』によって……とかいう奴か……。厄介な事だぜ……。だが逆に……、それは明久に『本気』で戦っていると思わせれば大丈夫、という事も示している……。
「僕を心配してくれるのは嬉しいけどね……。まあ目的が逸れちゃったけど、そろそろ戦わない?」
「「「「「あ……」」」」」
明久や俺の腕輪やらで驚いていて、召喚獣バトルの最中だって事を忘れていたな……。
「……すまないな、翔子……。いけるか?」
「……気にしなくていい、雄二。私はまだ大丈夫……」
「……確かに話が逸れたわね……。商品の争奪戦だったはずだけど……」
「……すっかり忘れてたのじゃ……」
そして新たに臨戦態勢に入ったところで……、
キーンコーンカーンコーン……――
「な、何……!?」
「時間切れです」
福原教諭がそう宣言し、召喚フィールドが取り消される……。召喚獣バトルが途中で終わったという事は……、
「え……という事は……?」
「そういう事」
「じゃな!」
最初に見つけた俺達のモノ、って事だ!
「取られちゃったか……。でも、いいんじゃない?ボクとしてはおもしろいモノもみれたしね♪」
「……他の商品も大分、手に入ったし……」
「まあ、それもそうね……。それで……、その商品は何だったの?明久君」
「んーとね……、何々……!?」
ん?なんだったんだ?何か随分驚いているようだが……。
「どうしたんじゃ?明久……」
「…………西村先生の『1週間個別授業』引換券……だって」
シ――――――ン……。
………ナ、ナンダッテ?オレハ……、ナニモキコエナカッタゾ?あまりの商品に、他の連中も固まっているようだ……。そんな中で明久は……、
「随分変わった商品だね……、雄二、いる?」
「そんな恐ろしいものを俺に見せるな!?いや、俺は何も見なかったし、そんなもの見つけなかった……!」
「……そんなに拒絶しなくても……。ならいいよ、これは僕が使うから……」
「お前はソレを使うつもりなのか!?」
いったい何をどうすれば、自分からあの地獄におもむくようになるんだ!?……今までの明久に何があったのか、俺は非常に気になった……。
「……よ、吉井君も勇気があるよね……。あの西村先生の個別授業なんて……、普通は耐えられないと思うよ……」
「愛子……、それは勇気とは言わないと思うけど……」
「……勇者じゃ。勇者がここにおる……」
「秀吉まで……。それより、さっきから気になってたんだけど……、2人のそのチャイナ服はなんなの……?」
「「あっ……!こ……これは(じゃな)……!」」
……ようやく明久が突っ込んだか……。秀吉と、木下優子の姿に……。明久が墨をぶっ掛けられたように真っ黒になって現れた事といい、競技の最中に何があったんだ……?
「……まあ僕は別にいいんだけどね」
「「ちっともよくないわよ(ぞい)!?」」
「そう言うな、2人とも。こんな事を言っているが、コイツも心の中では喜んでるしな。明久、お前チャイナドレスが好きだよな?」
「大好……――愛してる」
……コイツは本当に嘘をつけないヤツだな。
「えっ……!そ、そうなの……!?」
「良かったね~、優子!吉井君、愛してるって♪」
「チャ、チャイナ服がでしょ!?からかわないでよ、愛子っ!」
「待つのじゃ、雄二!ワシは……男じゃ!」
秀吉……、その服を着てそんな事を言っても説得力がないぞ……。
「まったく何て事を言うんだよ、雄二!これじゃあ僕がそういった趣味を持ってるみたいじゃないか!?」
「……いや、事実だろ?」
「僕にそんな事を言っている暇があったら、さっき手に入った映画のチケットで霧島さんを誘うとかできないの!?」
「なっ!?お、お前!?いきなり何を言い出すんだ!?」
こ……コイツ……!翔子の前で何を……!
「あのエキシビジョンゲームの後で、まだ一度も霧島さんとデートもしてないんだって!?」
「ちょ……ちょっと待て!?なんでお前がそんな事……」
「霧島さん本人から聞いたんだよ!」
「そう言えば代表、この間寂しそうにしてたわね……」
「坂本君、代表が可哀相だよ……」
いつの間にやら矛先が俺に変わり戸惑っていると、翔子が……、
「……雄二……」
「しょ、翔子ッ!?」
クッ……!こんな期待に満ちた目で見られたら……、断れねぇじゃねえか……!!
「雄二よ……。男らしくないぞい……」
「だ……だが、俺だってデートなんてした事ないんだぞ……!」
「ん?それなら……2人っきりじゃなかったら行けるって事カナ?」
「……愛子?」
工藤の台詞に、俺はひとつの光明をみる。
「あ?……ああ、流石に俺も何をしていいかわからんからな……。誰かいればまだ別だが……」
「それだったらさ、代表に付き添って行けばいいんじゃない?もちろん女子だけじゃなくて……、男子もね♪」
……ようするに、どういう事だ……?いまいち工藤の提案がわからない……。俺にとっては都合のいい事だとは思うが……。
「だから~、優子も代表についていけばいいんだよ。そして坂本君には……吉井君がね♪」
「あ、愛子!?何を言ってっ!?」
「そしたらちょうど、ダブルデートになるからさ♪それなら坂本君も恥ずかしくないでしょ?」
成程……、そう言う訳か……。やはり、俺にとっても有難い提案だ……。勿論、こんな状況に追い込められた明久に礼をする訳では断じてない。何やら明久に丸め込まれたような気がして悔しいから、明久も巻き込もうなんて事は……。隣を見てみると、秀吉も頷いていた。
「そうだな……、という訳だから明久。お前も来るんだ」
「……なんか雄二のその清々しい程の笑顔が気になるけど……、わかったよ。霧島さんの為でもあるしね……」
「姉上、明久もこう言っておるのじゃ。まさか断るなんて事はないじゃろうのう?(ニヤニヤ)」
「ひ、秀吉!だったらアンタも来なさい!!」
「それじゃダブルデートの意味がなかろうに!?」
木下姉の言った一言で、秀吉も参加する事になったようだ……。やれやれ……、折角のチャンスだと言うのに……。まあ、そうは言っても……、
「……わかった。雄二、じゃあ今度の休日に……!」
「あ、ああ……」
……俺も翔子とデートする事になった……。まあ……、嬉しいといっちゃ嬉しいんだが……。
「じゃあ、優子さん……、それに秀吉も……。雄二達の付き添いで悪いけど……、付き合ってもらえるかな……?」
「わ、わかったわ、明久君ッ!!つ、次の休日ねッ!」
「……わかったのじゃ、明久。(ボソッ)……ワシは遠慮しておいた方がいいのじゃろうに……姉上も変なところで意地を張るのう……」
「……秀吉?何か言ったかしら……?」
「い、いや、何も言っておらんのじゃっ!?」
「もう……優子ったら……。折角のチャンスなのに……」
「??何で付き添うのにそんなに熱くなってるんだろう……?」
……明久は完全に付添だと割り切ってしまってるな……。尤も、翔子をそのままにはしておけないと思ってたし……、今日のところは素直に感謝しておくか……。
こうして俺達のダブルデート?が決定した中、文月学園主催お宝争奪オリエンテーリング大会は終わりを告げたのだった……。