バカとテストと召喚獣~新たな始まり~   作:時斗

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問題(化学)
『調理の為に火にかける鍋を制作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、調理を始めると問題が発生した。このときの問題とマグネシウムの代わりに用いるべき合金の例を1つあげなさい』


姫路瑞希の答え
『問題点……マグネシウムは炎にかけると、激しく酸素と反応するため危険であるという点
合金の例……ジュラルミン』

教師のコメント
正解です。合金なので、『鉄』では駄目という引っ掛け問題なのですが、引っかかりませんでしたね。


土屋康太の答え
『問題点……ガス代を払っていなかった事』

教師のコメント
そこは問題じゃありません。


吉井明久の答え
『問題点……普通は鍋の材料にマグネシウムなんて使わないのに使ってしまった点』
『合金の例……無抵抗アルミニウム合金(未来合金)』

教師のコメント
問題文を問題点に使わないでください……あと、無抵抗アルミニウム合金ってなんですか?



第4話 雄二の演説、そして試召戦争へ!

 雄二との会話を途中で切り上げて教室へ戻り、自分の席につく。強引に話を切り上げはしたけれど、あのするどい雄二の事だ、僕が何時もと違う、という事は気付いているかもしれない……。

 ……尤も、僕自身はべつに何もおかしなところもなければ、変わったというつもりはない……。ある、一点だけを除けば……。

 

 

(……ただ、皆にしてみれば、それを「変わった」と言うんだろうなぁ……)

 

 

「坂本君、君が自己紹介、最後の一人ですよ。ついでにFクラス代表としての挨拶もお願いします」

 

 

 ……考え事をしていて気が付かなかったけど、いつの間にか福原先生が戻ってきており、雄二の自己紹介の番となっていた。

 

 

「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺の事は代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ。

そこで早速皆に聞きたいんだが、――――かび臭い教室、古く汚れた座布団、薄汚れた卓袱台、Aクラスは冷暖房完備の上に、座席はリクライニングシートらしいが―――……不満はないか?」

「「「「「大有りじゃあーーーー!!!」」」」」

 

 

(さすがは雄二、扇動力があるなぁ……)

 

 

 不満をあおり、自分の進ませたい方向へ扇動する力……。とても、僕にはない力だ。雄二はAクラスへの試召戦争を宣言し、それに勝つための秘策を伝えている……。説得力のある言葉で、クラスメイトもだんだんその気になってきているようだった。

 

 

「――――それに、吉井明久だっている」

 

 

 ……雄二。前から思ってはいたのだけど……。どうしてここで僕の名前を出すのかなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰だよ、吉井明久って」

「聞いたことがないぞ」

 

 

 クラスの士気に陰りがでているものの、アイツを試召戦争に引っ張り込む為にあえて名前を挙げる。そして観察処分者の利点を伝えておけば、Fクラスの連中もアイツの有効性がわかるだろう。……そうすればアイツの事だ、いくらその気がなくとも試召戦争に参加せざるを得ない。……と、そこまで考えていたのだが、いくら待っても明久のバカが騒ぎ立てないので気になってアイツを見てみると、

 

 

「……本当に誰の事だろうねぇ?」

 

 

(…………あの野郎)

 

 

 自分の印象があまり皆に知られていないのをいい事に、あろうことか他人のフリをしていやがった明久を見て、俺は自分のコメカミがひきつるのを実感する。そして、アイツがとことん試召戦争に関わる気が無い事がよくわかった。

 それならそれで、俺にも考えがある。

 

 

「おい、お前の事だ、バカ明久!ちょっとこっちに来い!」

「……やれやれ、で?僕は皆みたいに何かできるわけじゃないよ?」

 

 

 しぶしぶ、といった感じで明久が前にやってくる。……そんなにやる気がないなら、強引に巻き込んでやろうじゃねぇか。

 

 

「謙遜するな、明久。お前は『観察処分者』じゃないか」

 

 

 『観察処分者』。その言葉を聞き、教室にざわめきがおこる……。観察処分者とは学生生活を営む上で問題のある生徒に課せられる処分である。具体的にいうと召喚獣で教師の手伝いをできるようにしたというものでその召喚獣は物理干渉ができるようになるものの、その負担の何割かは召喚者にフィードバックしてしまう。だから観察処分者とは成績不良かつ学習意欲に欠ける生徒に与えられるペナルティであり、それ故にバカの代名詞、とも言われている。

 

 

「観察処分者って事は、試召戦争で召喚獣がやられると痛いってことだろ」

「ということはおいそれと召喚できないヤツが一人いるってことになるよな」

 

 

 と、まぁ普通の奴は思うだろうな。だが、逆に考えれば1年早く召喚獣を動かされているという事で、操作に慣れているという事でもあるのだ。それを説明する為に俺は……、

 

 

「気にするな。どうせ、いてもいなくても同じような雑魚だ」

「そう、雄二の言う通り、いてもいなくても同じような雑魚だから極力邪魔しないようにしておくよ……」

 

 

 ……いつもの癖で、明久をバカにしてしまったが、それを利用されて話を終了させられてしまった。席に戻っていく明久の姿を見て、あの野郎、と思いもするが、そういう話にしてしまったのは俺の落ち度でもある。ただ……、

 

 

(色々と煽ってみたが、本当にやる気がないようだな……。まあ仕方がない。Dクラス戦では明久がいなくてもどうにかなるだろうからな……)

 

 

 今回は何とかなるだろうが、次のBクラス戦からは、アイツがいるといないのとでは大きく戦況が変わる事となる……。なんとか明久を引っ張りだす方法を考えるか……。

 

 

「……とにかくだ。俺達の力の証明として、まずはDクラスを征服してみようと思う!そこで明久、お前にはDクラスへの使者になってもらう、無事大役を果たせ!」

「まあ、宣戦布告だけなら別にいいよ……、時間は、今日の午後からでいい?」

「ああ、行って来い」

 

 

 気軽に使者の役目を負おうとする明久に、俺は内心でほくそ笑む。……恐らく明久は下位勢力からの宣戦布告をする『意味』を知らないのだろう。痛い目にあってくるがいい……。そう思い、ニヤリとしてしまいそうになる口角を我慢しながら明久を送り出す事にする。

 

 

「じゃあ、伝えたらそのまま職員室に行ってくるから」

「ん?お前、また何かやったのか……?」

「ちょっとね……、じゃあ行ってくるよ」

 

 

 こうして明久が出ていく。……だが、いくら明久といっても下位勢力の使者がどうなるか位は知っていると思うが……。そもそも、今日ずっと観察してきたが、いろいろとアイツらしからぬ事が多い。姫路の件を引き合いに出したら、一にも二にも賛成すると踏んでいたにも関わらず断られてしまった事といい……。

 

 

(……といっても考えてもわからんから、とりあえず様子をみるしかないな……。尤も……おかしいと思っているのも俺一人じゃないみたいだしな……)

 

 

 明久を追って、密かに教室を出て行った1年の頃からの友人に、後で聞いてみるとするか……。

 そう思い直し、俺はDクラス戦の戦略を見直していくのだった。

 

 




文章表現、訂正致しました。(2017.11.18)
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