バカとテストと召喚獣~新たな始まり~   作:時斗

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問題(英語)
以下の英文を訳しなさい。
『This is the bookshelf that my grandmother had used regularly.』

姫路瑞希、木下優子、久保利光の答え
『これは私の祖母が愛用していた本棚です。』

教師のコメント
正解です。きちんと勉強していますね。


土屋康太の答え
『これは  』

教師のコメント
訳せたのはThisだけですか。


吉井明久の答え
『これは私のグランドマザーが普段から使っていたブックシェルフです。』

教師のコメント
吉井君とは思えない回答に驚いています。ただこの場合、『use regularly』で『愛用する』という意味になります。
……あと間違いではないのですが、『bookshelf』、『grandmother』も和訳してくれると助かります。


須川亮の答え
『★○◇▼×?♯』

教師のコメント
できれば地球上の言語で。



第8話 久保の思い

「そう……じゃあ、あの放送は嘘だったのね……」

 

 

 僕達は今、体育館裏で待っていた船越先生に先程の放送について、説明をしている。……余談だが、待っていた船越先生が吉井君を見つけた時、恐ろしい程の形相で襲いかかってきた為、冷静にさせるのが本当に大変だった……。挙句の果てには止めようとしている僕にまで矛先を向けられ、木下さんがなんとか説得してくれていなければ一体どうなっていたことやら……。

 

 

「はい……、Fクラスの須川君が流した偽情報かと思われます」

「吉井君は観察処分者の仕事で私達とAクラスにいましたし……」

「「「お騒がせして、申し訳御座いませんでした……」」」

 

 

 そう言って、3人で頭を下げる。それを見た船越先生は溜息をひとつつき……、

 

 

「ふう……。事情はわかったわ……、こちらこそ御免なさいね……」

 

 

 僕達の説明に納得してもらえたのか、ひとまず落ち着いてくれたみたいだ……。よかった……。

 

 

「それにしても一体どういうつもりかしら……。いくら試召戦争と言っても、寄りにもよってこんな嘘をつくなんて……。」

「それは……」

 

 

 ……恐らくFクラスは数学の担当をされている船越先生に、来て欲しくなかったのだろう……。船越先生が婚期を逃し、それに付け込まれた、というのが今回の騒動の原因に違いない……。だが、それを直接本人に伝えるのは……。

 

 

「……だったら、直接聞いてみたらどうですか?須川君ですけど……、まだ放送室にいるかと思いますよ。……もしかしたら、船越先生に何か言いたかった事があったのかもしれないですし……」

 

 

 吉井君!?君は何を……。それに、今放送室には……。

 Aクラスから出たあと、光の速さかと思うほどのスピードで走って行った吉井君を追って放送室に着いた時には、グルグル巻きにされ気絶した須川君?が転がっていた……。そこに、船越先生が乗り込んだら……!

 

 

「何かって……?」

「放送では恥ずかしくて僕の名前を出してしまったようですけど……、普段話せないような事とか……、あったんじゃないですかね……?まあ、後は本人に聞いてみなければわからないので……」

「放送室ね!?じゃ、じゃあ、ちょっと行ってくるわ!!」

 

 

 そう言うと、船越先生は走り去っていってしまう……。あの様子だとまた暴走してしまっているようだ……。

 

 

「容赦ないわね……、まあ自業自得だと思うけど……」

 

 

 3人だけになり、木下さんが溜息をつきながら、吉井君に言う。……こうなれば、後は須川君?の冥福を祈るしかない。

 

 

「ん?ああ……、でも彼も覚悟の上でしょう?……人を貶める、という事は自分も貶められるかもしれない……、ってね。……正直、久保君と木下さんがいなかったら、僕もどうなっていたかわからなかったし……」

 

 

 そう言ってブルッと身震いする吉井君。……正直、僕も船越女史からは恐怖しか感じなかった。

 

 

「それには僕も同感だね……、今回の件は彼の自業自得だよ。それよりも吉井君、君は……」

「明久~、そこにおったか~」

 

 

 僕の言葉を遮るように、遠くから木下さん?が手を振ってやってくるのが見える。……ん?木下さんはここにいるが……。

 

 

「……秀吉?」

「あら、本当……。秀吉じゃない、どうしたのよ?」

「うむ?姉上に、久保かの?どうして明久と一緒にいるのじゃ?」

 

 

 やってきた木下さん?に2人はそう答える。ああ、彼が木下さんの双子の弟なのか……。それにしても、そっくりすぎて見分けがつかない……、というのが正直なところだが……。

 

 

「……観察処分者の仕事でAクラスにいたところに、あの放送が流されたからさ……、久保君と秀吉のお姉さんが一緒に誤解を解いてくれたんだよ。……それよりも秀吉はどうしたの?」

「ワシもお主が戻らんから心配しとったところにあの放送じゃ。しかもDクラスの数人が明久を補修室送りにしようと探しておったようぢゃし、ちょっとお主を探しておったのじゃよ。……して、船越女史の誤解は解けたのかの?」

 

 

 心配したようにそう尋ねてくる木下君に、

 

 

「二人のおかげでなんとかね……。それより秀吉はいいの?……僕が言えた義理じゃないけど、試召戦争中でしょ?……抜け出して大丈夫なの?」

「それは雄二に断ってきたから大丈夫じゃ。……雄二もお主を少し気にしておったし。……しかし、姉上達がいるとは思わんかったのう……」

 

 

 そう言って木下君がこちらを見る。……心なしか、木下さんを見るとき、緊張しているような気もするが……?

 

 

「君が木下さんの弟さんか、……君のことはなんと呼べばいいのかな?」

「……お主はワシを男だと見てくれるのか?」

「?……男子の制服を着ているのだから男子なのだろう?」

 

 

 そう答えた瞬間、ガシッと肩を掴まれる。

 

 

「……久保、ワシを男と見てくれて嬉しいのじゃ!!」

 

 

 そう、とても嬉しそうに話してきた。……成程、その容姿から男子とみられていない訳か……。

 正直なところ僕は今、恋愛にあまり興味がない……。興味を持っている人物はいる……。それが目の前の吉井君だ……。一年の時から見てきたが、いろいろ問題を起こしてはいるものの、彼には人を引き付ける何かがある……。さらに今の彼からは、それに加えて何処か落ち着いた雰囲気も併せ持っている。今までは吉井君に対して抱いていた感情が分からなかった……。だけど今、吉井君と一緒にいて気付いた面もある。

 

 

「落ち着きなさい秀吉、全く……話の腰を折らないでよね……」

「す、すまんのじゃ姉上、……つい嬉しくてのう……」

「でも、確かに何て呼べばいいかな?秀吉がいる時に木下さんっていうのも変だしね……」

「それは、そうだね……。僕も木下さんがいる時、君を弟君、というのもおかしな気もするが……」

 

 

 僕と吉井君が、そう苦言を呈すと、木下さん達はお互いに顔を見合わせて、こう伝えてくる。

 

 

「ワシは秀吉でよいぞ。明久たちからもそう呼ばれておるしのう」

「アタシも優子でいいわ、双子なんだし木下さんだとわからないでしょうから……」

「わかったよ、これからは優子さんって呼ばせてもらうね。久保君は……そうだね、利光君って呼んでいいかな?僕の事もこれからは明久でいいからさ……」

 

 

 彼が屈託ない笑顔でそう伝えてくるのを見て、僕は気付いた事がある。……そう、僕は……、

 

 

「ああ、僕もこれからは明久君、秀吉君、優子さんと呼ばせてもらうよ、僕の事も利光でかまわない」

「わかったわ、これからもよろしくね、明久君、利光君」

「こちらも了解じゃ、明久、利光」

 

 

 僕は、こうやって吉井君の作る輪に入って、笑いあっていたかったんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秀吉と共にFクラスに戻る途中、

 

 

「それにしても……姉上が、のう……」

「?どうしたの秀吉?」

 

 

 意味ありげにそんな事を呟く秀吉に、僕は聞いてみる。

 

 

「いや、先程姉上が言っておったじゃろう?いつでもAクラスに遊びに来なさい、と」

「ああ、確かに言ってたね……。でもそれがどうしたの?」

「あの姉上が利光が傍におったからといっても、Fクラスであるワシらにあんな事を言うとは思わなかったのじゃ」

 

 

 教室に戻る為に、優子さん達にお礼を言った時の話だろう……。何時でもAクラスにいらっしゃい……。最後に優子さんは、そう僕達に伝えてきた。

 

 

「……そんなに意外なんだ?」

「うむ、普段の姉上ならばFクラスの人と関わり合いになろう等とは思わん筈じゃし、何より猫かぶっとる姉上が、明久の弁解に出るという事自体が信じられん……」

 

 

 ……普段の優子さんとのギャップが秀吉の中にあるのか、少し処理落ちしかかっているように見える。でも……、例え秀吉がそう言っても、

 

 

「……彼女が僕の弁解に来てくれたのは事実だし、ああ言ってくれたのも本心からだと思うよ。秀吉ならば演技しているかどうかなんて、見たらわかるでしょ?」

「だからわからんのじゃ……。あのズボラで猫かぶっとる姉上が…………ハッ!?」

 

 

 優子さんの日常らしくものを口走ってしまい、しまったという顔をしている秀吉がぎこちなく僕の方を向く……。

 

 

「あ、明久……。今のは……、その……」

「普段からポーカーフェイスを身に付けている秀吉らしくないね。まぁ安心してよ、お姉さんには内緒にしておくから」

 

 

 それを聞き、ホッと胸をなでおろす秀吉を尻目に、それに、と続ける。

 

 

「普段、優子さんがどうだったとしても……、彼女は友達だよ。本当に助けられたし、困ってたら助けてあげたいと思う。……尤も、それは優子さんだけじゃなく、秀吉や利光君、雄二達もだけどね」

「……やっぱり明久は明久じゃのう」

 

 

 僕の言葉を聞き、秀吉が嬉しそうにそう呟く。それを見ながら僕は少し昔を思い出す……。

 

 

(……本当に君達には助けてもらってるよ、君達がいなかったら僕は……)

 

 

「おう、ここにいたか、明久、秀吉」

 

 

 過去の記憶に思いを馳せようとしたその時、聞こえてきた声に引き戻され、僕はその人物を確認する。

 

 

「……雄二」

 

 

 振り向いたその先、そこにはFクラスの代表である坂本雄二が立っていた……。

 

 




文章表現、訂正致しました。(2017.11.18)
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