藤丸立香の聖杯鯖になるTSオリ主   作:生き恥マラミュート

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面識は無かったけどよ。オレらは二人とも、クソ野郎共から頼んでもねぇ呪い紛いの祝福を受けた似たもん同士だ。

憎んでねぇのかよ?

……ハッ、そうかい!
わざわざ聞くのも野暮だったな、悪ぃ。

ただ、それはそれとしてだ!怒る責任は十分にある。もしアイツらがカルデアに来た時は、オレとお前でぶっ殺してやろうぜ。

トライデントで貫いて、アナトル何とかで切り刻む。

ははははははは!面白ぇくらい単純だろ!


              『戦士と英雄のはなし』


やめられないとまらない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 室内に魔力が充満し、収束。三層の光輪が渦を巻いて、新たな役者達の登場を告げる。

第一特異点オルレアンの修復、並びに聖杯の確保。その翌日の朝、新たに縁を結んだ英霊の召喚だ。

 

 人理継続保証機関フィニス・カルデアの一室。召喚室に私、英雄アテーノとそのマスターである藤丸立香は居る。本来であれば、わざわざこの場に立ち会う必要はないのだけれど。

Dr.ロマン曰く「藤丸くんの警護を頼まれてくれるかな。召喚が常に安全とは限らないし、フランスで相対したバーサーカーが突然襲って来る可能性もある。君の強さならこっちも楽……安心だからね!」とのこと。

 

 召喚に盾を用いる以上、ステゴロになるマシュにこの役目を任せるのも気が引けるので大人しく引き受けた。

 

 などと事の顛末を思い返しているうちに、魔力の中心からサーヴァントと思われる人影が現れた。

1人……2人……、3、4、5…………いや多くない?

 

「サーヴァント──ルーラー、ジャンヌ・ダルク。お会いできて、本当によかった!」

(顔が良いなこの聖女)

 

「あなたもわたしが好きなのね?いいわ、それじゃあ──ヴィヴ・ラ・フランス!」

(顔が良いなこの王妃)

 

「僕はアマデウス、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト!戦闘はともかく、キミの人生を飾る事だけは約束しよう!」

(顔が良いなこの音楽家)

 

「私はシュヴァリエ・デオン。フランス王家とキミとを守る——白百合の騎士!」

(顔が良いなこの騎士)

 

「サーヴァント、アサシン。シャルル=アンリ・サンソン。召喚に応じ、参上しました」

(顔が良いなこの処刑人)

 

 戦闘中にも思ったけれど錚々たる顔ぶれだ。救国の聖女に稀代の音楽家。見れば竜の魔女が従えていた英雄も召喚されている。別に不思議な話ではない、私達の前に立ちはだかった彼らは狂化を付与されていた。その呪縛とも言える強制が無いのが本来の姿、元は人理を取り戻す側の英雄だろう。

昨日の敵は今日の何とやらだ。

 

「サーヴァント、清姫。こう見えてバーサーカーですのよ?どうかよろしくお願いしますね、マスター様」

………素でバーサーカーも居るみたいだけど。

「お、多すぎない?」

 

 マスターが狼狽えながら助けを求めるように私を見る。

左から右へ、ざっと見わたせば10人以上は居るようだ。確かに多いな。前回は3騎だったのにいきなりこの数は困惑するのも無理は無い。

いや、そもそも3騎同時召喚とかも十分例外かも。

 

「動じるな立香、こういうのは舐められないのが大事なんだぜ?今回は特別に、英雄アテーノ様のカリスマS++スキルを見せてやる」

 

 スキルのランクにSとか存在しないし、そもそもカリスマEすら持ってないけどこういうのは自信と勢いが大事だ。主たる立香が不安げなのに棒立ちしていちゃカッコつかない。

立香と話しながら自分の腰に巻いた赤布を解く。勿論、ただの布では無く魔力付与のための礼装なのだが今は全く関係無い。左手に剣、右手に布。

 

「それでどうするの?」

「まぁ見てなって」

 

 剣に布の端部を巻き付けて、掲げる。

 

「……旗?」

「えー、サーヴァント諸君。まずは呼び掛けに応じてくれて感謝する!私の右手側の彼が君たちのマスター藤丸立香だ!……ほら、お前も挨拶」

 

 声を張り、呼び掛ける。

立香が私を見て目を丸くしている。……なんだその目は。

 

「ふ、藤丸立香でーす!よろしくお願いしまーす!」 

 挨拶を返す者、唖然とする者、拍手を贈る者。

彼に敵意を持つサーヴァントが居ないことに安心し、一応の警戒態勢を解く。まぁ、どう見てもただの少年にしか見えないし、敵意を向けることの方が難しいのかもしれない。てか、実際ただの少年だし。

 

「はい、ということで!私、英雄アテーノがカルデアを案内するのでー!サーヴァントの皆、質問もあるだろうがとりあえず一列に並んで下さーい!そこ喋らない!」

「これがカリスマ……?」

 

 新たな仲間を引き連れて召喚室を出た。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

「ははーん、それでさっきの行列か」

 一仕事を終えた私は食堂で息をついていた。向かいにはキャスターのサーヴァント、クーフーリンが座っている。先程の出来事を彼に話しているところだ。あらましを聞いた彼はニヤニヤと笑う。どこが可笑しいというんだ。

 

「そんな笑うことかオッサン?こっちだってなぁ、好きでカルデアツアーガイドやったわけじゃねぇんだわ。てか美味これ」

 

 机の上に置かれた菓子をつまむ。

 

「オッサンじゃなくてお兄さんな。そりゃ、伝説に名高い大英雄がそんな頓痴気やってたら面白いに決まってらぁ。よくジャンヌダルクの前で出来たなそれ。うめぇなこれ」

 

 彼も菓子をつまむ。

 

「良い案だと思ったんだけどなーー実際。てか話変わるけどさ、アンタはどうしてキャスターなんだ?クーフーリンといえば槍じゃないのか?うまっ」

 

 ピクリと眉が動く。

 

「……さぁ、何でだろうねぇ。まぁ、それは一旦置いといてだ。お前さん、先の特異点では大活躍だったらしいじゃねぇか。うまっ」

 

 話を逸らされる。

特に詮索しようとしたわけではなく純粋に疑問に思っただけなのだが、彼に答える気が無いのならわざわざ無理に聞く必要もない。

 

「おうとも。霊基も未強化の状態で全戦闘最前線だ。危うく10回ほど座に帰るところでしたわよ美味ぇな」

 

 現地の兵士にワイバーンの群れ、それにサーヴァント多数だ。正直なところ、召喚されて数日でここまで酷使されるとは考えていなかった。魔獣の討伐は慣れているが、英霊との連戦は流石にキツい。

勿論、弓兵や王様。それにこのキャスターも共に現地での簡易召喚に応じ戦ったのだが、私だけが全ての戦闘に駆り出された。どういうシフトなんだ。

 

「そいつはご苦労さん。坊主もまだ駆け出しだからな、お前さんに頼りきっちまうのも仕方ねぇってもんさ。

………霊基の強化に関しては、あれだ。大英雄アテーノ様なら問題ないだろうっていうカルデア職員達の判断かね」

 

 サーヴァントにはクラスによる適正というものがある。白兵戦ならセイバーやランサー、ライダーなど。遠距離戦闘なら言わずもがなアーチャー、それに一部のキャスター。森林地帯や都市部などの入り組んだ場所ではアサシンが真価を発揮するだろう。

他にも、各クラススキルや宝具を考慮した上での召喚がマスターには求められる。随分と要求されるハードルは高いが、その咄嗟の判断が生死を分けることになる。

 

 彼の言うとおり、藤丸立香は魔術師として未熟だ。

 

 だから私が出突っ張りになるのも致し方ない。

人員の不足している今は、今だけは受け入れよう。

 

「……その言いぶりから察するにオッサンはもう強化されたのかよ。は?私が必死で戦ってる間に?」

「おいおいその黒い目を止めろ。俺だってまだだよ。何せカルデア召喚式は初めてだし良く分からん。気になるならこれ食い終わったらダ・ヴィンチにでも聞きに行くか、美味っ」

 

 いや、それにしてもホントに美味いなこの菓子。

器の上には規則的な多角形が盛られている。銀色で結晶のような見た目をしている。ふむ、見ればいくつかは金色のものも混じっているようだ。

固めの食感も良いが何より味が良い。噛み砕けばじんわりと、身体に旨味が広がっていく感覚。

凄いな。美味さだけで霊基の向上を錯覚してしまう。

 

「なぁ、ずっと気になってたんだがこの食べ物結局何だ?別に美味いから良いんだけどよ。……美味っ、クッキーってやつか?」

「美味っ、いや焼き菓子には見えんだろ。菓子には詳しくないし、よく分からないけど飴細工じゃないか?………あ、そういやさっきこれ置いていったのは立香だったような」

 

 

「藤丸くんに代わり私が説明しよう!!!」

 

 そ、その通信越しでも分かる美声と黄金律の具現化如きでっっっ…!なナイスバディは!?

 

「女家庭教師ダ・ヴィンチちゃん!」

「家庭教師になった覚えはないなぁ?」

 

 万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチがいつの間にか背後に居た。スタイルすっっっご。

……いやいや、目を奪われている場合ではない。一つ問いたださねば。

 

「丁度いい、召喚ホヤホヤで駆り出されたことについて説明してもらおうと思ってたところだぜ私は?」

 

 そう!私は聞かねばならぬのだ!

労働者には雇用している企業の上層部に直接意見を申し立てる権利がある筈だ。何故、私は未強化Lv1のままの戦闘を強いられたんだ!レベルハラスメントだ!レベハラだ!

 

「その件は本当に申し訳ないと思ってる。ごめんね?」

「可愛い!許す!」

「許すのかよ」

 

 美人に謝られたのなら許さないわけにもいかない。大英雄は心の広さも大サイズなのだ。

 

「次の特異点……ええと確か、ローマだったか?そこまでには霊基の強化をお願いしたいんだけど」

「まぁ待ちたまえ。私もその事について説明を………しようと思って食堂に来たんだけど、どうやらもう不要みたいだね」

「不要だぁ?」

 

 キャスターと揃って首を傾げる。

 

 

 

 

「だって君たちもう強化済みだよ?分かりやすく言うと二人ともLv30ってところかな」

 

 

 

 向かいの男と目が合う。

二人の目線は自然と机中央の空になった皿に引き寄せられる。いやま、まさか……!

 

 

 「「魔力リソース(種火)じゃねぇかこれ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 経口摂取かよ…………。

 

 

 

 




会話1(クエスト出発)「さ、そろそろ行かないと疑われちまう。もちろん付き合ってもらうぜ」

会話2(主従について)「任せとけ、誰かに命じられて動くのには慣れてるよ。生前と何も変わらないさ」

会話3(サーヴァントについて)「サーヴァントは兵器だ。お前はただ指を指すだけで、後は私の仕事だ…って言っても納得しないか」

 ◇◇◇◇

お気に入り、評価、感想ありがとうございます。
めちゃくちゃ嬉しいです、跳ねて喜んでます。
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