藤丸立香の聖杯鯖になるTSオリ主   作:生き恥マラミュート

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僕は君に変わらぬ忠誠を誓おう

吾輩は君に純粋な力を与えよう

俺は貴女に溢れんばかりの愛を捧げよう

私は貴公に賞賛と拍手を贈ろう

儂はお前に知恵と真実を授けよう

私は貴女に私の全てで贖い続けよう







ならば私はこの宿痾たる使命を受け入れよう


              『王と6人の騎士』


しょうがねぇだろローマなんだから

 

 

A.D.0060 永続狂気帝国 セプテム

 

 

『アンサモンプログラム スタート。

霊子変換を開始します。

レイシフト開始まで あと3、2、1……

全工程 完了。

グランドオーダー 実証を開始します』

 

 オルレアンの修復を終え早数日。藤丸立香、マシュ・キリエライトは次なる特異点へとレイシフトを行った。降り立った先は一世紀のヨーロッパ。イタリア半島から始まり地中海を制した大帝国、古代ローマである。

 本特異点におけるカルデアの目標は、前回に引き続き特異点の調査と修正。聖杯の調査、並びにその入手、破壊。

 

 青々と茂る大地を踏み締め、雄大な空を仰ぎ見る。そんな光景を眺めるマシュ・キリエライトの姿が 、管制室から見守るアテーノの瞳にはいやに眩しく映っていた。

 

 と、まぁそんな彼女の様子は兎も角。

 

 カルデアの二人の耳に飛び込んだ嵐波のような雄叫び。個ではなくぶつかり合う軍勢と軍勢によるもの。

 そこで出会ったのは"真紅と黄金”に身を包んだ部隊を率いる女性。マシュは彼女の部隊と共に  の盾を振るった。小部隊が人数差を覆し勝利を収めたのは、援軍として二人を迎え入れたことだけが理由ではなく、統べる者のカリスマと指揮によるものだろう。

 

 彼女こそ、ネロ・クラウディウス。

栄華を極めた絢爛たるローマの第五代皇帝その人。

 

 皇帝ネロによると、現在彼女が統べるローマ帝国の他に「連合ローマ帝国」と呼ばれる敵対勢力が存在しており、連合軍は既にローマ帝国の首都まで迫っている。

 連合軍を統べている「皇帝達」の何者かが聖杯を所有していると考えたカルデアは、ネロと協力し共に打倒連合ローマ帝国を掲げた。

 

 エトナ火山にて霊脈を確保し終えると、一行は連合に占領され、最前線となったガリアへと向かう。

 

 ローマのその一幕。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

 体に魔力が巡る感覚にはまだ慣れない。

 令呪の刻まれた右手をマシュの盾に翳し、詠唱を口にすれば、それに応えるかのように風が渦を巻く。

やがて旋風は光を帯びて、眩しさに目が眩んでしまう。

ゆっくりと目を開く。立ち込める砂埃の中に現れた彼女の影に思わず安堵する。

 

 艶やかに靡く金色。

威風堂々と大地を踏み締め、腕を組む彼女の美しい姿に、思わず呼吸すら忘れて見惚れてしまう。

その佇まい、大気を震わす威圧感、獰猛な獣を彷彿とさせる鋭い眼光。

 

 纏う全てが、彼女を大英雄たらしめる。

 

 なにも、威容に気圧されているのは自分だけでは無い。周囲を見ればネロに、ネロが率いる後続のローマ兵、マシュもその姿に瞠目している。

 

 緊張が走る空気の中、英雄アテーノは静かに呟いた。

 

 「──可愛い」

 

「は?」

 

 いつの間にか、困惑する皇帝の目の前へ移動し、両手を握りしめる彼女。

つい先程までの凛々しい表情はどこへやら。だらしなく下がる目尻に締まらない口元。

俺もマシュも、それを見て思わず頭を抱える。

しかし、そんな俺達をよそにアテーノは高揚したまま言葉を発している。

 

「いやぁ、通信越しでも思ってたけどめちゃくちゃ顔が良いじゃんか!ジャンヌに引き続き今回も案内役が美女!うんうん、やっぱり私は幸運Eの割にツイてるなぁ!」

 

「……フジマルよ、余の勘違いでなければ先程『任せて下さい陛下!俺達の頼りになる切り札を呼びます!』と申していた気がするのだが」

 

 意気揚々と令呪を掲げて見せた自分がなんだか恥ずかしくなってきた。いや、しかし彼女を呼んだ判断は間違いではない筈だ。確かにこの言動だけを見れば不安になってしまうのも分かる。

 

「……だ、大丈夫!こんなだけど強いし、きっとなんとかしてくれるから!」

「せっ、先輩の言う通りです!少々女性に対してだらしがないだけで、戦闘面においてはトップサーヴァントと呼んで差し支えません!」

「全く褒められてる気がしない」

 

 事実、彼女は強い。

ただ、それはそれとして胡散臭い。

 

「軟派な使い魔のようだが分かるぞ。この完璧な()()を見抜く観察眼!更に一瞬と言えど感じた、圧倒的強者の雰囲気!貴様、中々に良き勇者であるな?」

 

 突如として現れ、距離を詰め寄る使い魔に戸惑いの表情を浮かべていたネロだったが、流石は現皇帝陛下。

直ぐにいつもの調子を取り戻し、未だに自身の手を握り続けるアテーノへと話しかける。

 

「………?」

 

 今度はアテーノが困惑する番だった。

余談にはなるが、小柄であるネロと比べるとアテーノの方がかなり大きい。そのため先程から自然と見下ろす形になっている。

……だが、ネロの言葉を受けてから視線は更に下へ落ち、ある一点に集中している。

 

「………男装?」

「?、どう見てもそうであろう?」

 

 まずい、嫌な予感がする。

まさか言ってしまうのか。

頼むから止まってくれ。

君を呼んだのを間違いだと思わせないでくれ。

 

「ハッハッハ!流石にそのおっp「「ストォォォォップ!!!」」ンブゥ!??」

「おお!!素晴らしい連携だな!」

 

 マシュと二人がかりで確信犯をネロから引き剥がし、口を塞ぐ。最早、言葉も必要ない。

 

「何言おうとしてるの!?」

「アテーノさん流石にこれ以上は!」

「───ぷはっ……!まっ、まさかマスターと仲間に二人がかりで襲われるなんて!?私処女神の生まれ変わりなのに……!周りにもいっぱい人が居るのに……!せ、せめて夜になってか…ら………。止めよ?そのゴミ見るような目止めよ?泣くぞ?」

 

 頬を赤く染めながら、身をくねらせる大英雄。

そういえばドクターによると、マシュもドクターと同じくアテーノ伝説の大ファンらしい。

憧れの英雄のこの姿をどういう気持ちで見てるのだろうか。

少し、可哀想に感じる。マシュが。

 

「ともかく、マスター。早急に現状を説明しましょう。このままではアテーノさんの名声値に影響しかねません」

「そこまでか!?」

「「そこまで」」

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

「ふむふむ。目的地の方向は分かる、ただ森に入った途端カルデアからの通信が届かない、と」

「はい……。敵の規模や人数も不明なため、サーヴァントの召喚も多用出来ません。しかし、連合軍の敵将が自ら現れる可能性もあります。そのため、白兵戦に優れた一騎を呼ぶことに決まりました」

 

 生い茂る森の中を歩きながら、自分達の置かれた状況を説明する。

ネロには、隣を歩いている人物が英雄アテーノであることを明かしていない。

というのも、ネロにはサーヴァントという存在のことを伏せているからだ。この時代、このローマにもアテーノ伝説が存在する以上、名を明かすことは出来ない。

なので、"プリテンダー”と名乗っている。

 

「成程。つまり、斥候兵としてじゃなく護衛としての役目か。……ところで、ここ先遣部隊だよな。トップの皇帝様がこんなところに居て大丈夫なのか?」

「む、侮るでないプリテンダー。確かに余は皇帝、だからこそ前線に立ち己の勇姿を魅せる。仕える者が腑抜けてしまっていては軍全体の士気にも関わる故な。それに余は天才だ、そう簡単に死なぬ」

「……すんません」

「これが本物のカリスマかぁ……。負けたね、カルデアツアーガイド」

「おいこら」

 

……

………

 

 

 脚が重い。

 息も続かなくなってきた。

 

「マスター、やはり馬を借りるべきだったのでは」

 

 マシュの提案に対し首を横に振る。

出発前に一度乗らせてもらったのだが……どうも、駄目なのだ。

不安定で不規則な揺れ、酔う。とても酔う。

だけど、体力の方が中々キツくなってきた……!

 

「だ、大丈夫!まだ自力で歩けるから。それに馬は馬酔いがちょっと……」

「なんだ、一応乗れるんだな。じゃあ私の馬でも乗ってみるか?乗り心地違うかもよ」

 

 マシュの目が点になる。もちろん、驚愕の対象は隣りを歩く彼女だ。

サラッと言っているが、馬。

馬?

──そういえば、ライダーのクラスを冠するサーヴァントは、宝具として生前の愛馬を持つ者が多いとダ・ヴィンチちゃんが言っていたような気がする。

でも、それはあくまでライダーの話の筈。

 

「ア……プリテンダーさんは馬をお持ちなのですか?しかし、プリテンダーさんのクラスはプリテンダーで……」

「ややこしい!別にライダーだけが馬を持ってるって訳じゃないだろ。ウチのアーチャーなんか両手剣が主武装だし、案外クラスなんてのは曖昧なんだよ」

「アテーノさんの乗る馬と言うと……!やはりペガサスでしょうか!!」

 

 一応の偽名すら忘れ、興奮した様子で大きな声を上げるマシュ。可愛い。

目もキラキラに輝いている、それはもう今まで見たことないくらいに。

幸いにもネロは後方で兵士たちと話している様子。こちらの会話は耳に入っていないようだ。

それにしても、ペガサスとはあのペガサスだろうか。

 

「ふふ、教えてやれマシュ。私の偉大さを」

「いやアテーノじゃなくてペガサスについて教えて欲しいんだけど」

「御本人の前で話すのは些か緊張しますが……分かりました!不肖マシュ・キリエライト、僭越ながら語らせていただきます!」

「俺の声聞こえてるんだよね?」

「よっ!可愛い、可愛いぞマシュ!」

 

 張本人から手を叩き、囃し立てられてたマシュ。緊張した面持ちでゆっくりと深呼吸をした後、語り部は口を開いた。

 

 

「コホン……!世界各地、西暦以降はほぼ全ての時代にアテーノさんの物語が存在しています。なので、人類史に残る全ての逸話の中で最も有名かつバリエーションが多い伝説とされています。

 

 その中でも、ギリシャに伝わるアテーノ伝説では、女神であった彼女は自身を人間の体へと変化させた後に、天界より神馬を連れ大地に降り立ったのです」

 マシュはそこまで言うと、確認するかのようにアテーノへ視線を送る。視線を受けたアテーノも肯定するかのように満足気にコクリと頷く。

 

 違う。それが"英雄アテーノ”の始まりでないことは、あの夜を共に見た俺は知っている。

たまたまその場に居合わせ、アテーノを継いだだけの普通の少女だ。人間の体に変わったのではなく、元より人間なのだ。

 

 否定してしまえばいいのに。なぜ、まだ英雄であろうとするのだろうか。

 

「立香、大丈夫か?……話に夢中で疲労困憊なの忘れてたわごめん。取り敢えず休憩といこうや、私はその間に馬呼んどくから」

「私もすっかり……申し訳ありませんマスター」

「ゼェ……ゼェ……。う、うん。一旦休もうかな」

「ネロにも伝えて来るから二人とも座ってな」

 

 歩みを止め、促されるまま倒れた大木に腰掛ける。どうやら後続の部隊達も少しの間休息を取るらしい。

マシュから水分を受け取り、喉に流し込む。身体中に染み渡り、まるで生き返るかのような感覚……!

 

「あ“ぁ“~“美味しい」

「品性の欠片も無い声出しやがって。……なんだよその目は。いや、あるだろ。あるだろ品性、私にも。……あるよな、マシュ?」

「………勿論です!」

「その間は効くからやめてくれ。──っと、そろそろやるか。じゃあちゃっちゃと呼びまーす。馬呼びまーす。アテーノ行きまーす」

 

 これから神馬を召喚するとは思えない程、軽い様子でスキップをしながら開けた場所へと移動するアテーノ。

何故だろう。

何か不安になってきた。

 

 

 「──英雄アテーノが此処に告げよう」

 

 

 握る直剣を空へと向ける。普段纏っている飄々とした雰囲気が今は息を潜め、圧倒的な威圧感が場を支配し空気を軋ませる。

 ……前言撤回、杞憂かもしれない。

 

「なにやら面白そうなことをやっておるではないか!全く水臭い、余も混ぜよ!」

「陛下。ちょうどア……、プリテンダー!プリテンダーが馬を呼んでくれるらしくて」

「使い魔による使い魔の召喚だと!?」

 

 急激に高まる魔力に気づいたネロも駆け付ける。

マシュ、俺、ネロと並び固唾を呑んでその様子を見守っている。

 

 

 「再び我が元へ参れ、天の駿馬!」

 

 

 叫んだ刹那、彼女は突風と閃光に包まれた。

 

 ペガサス。

ギリシャ神話に語られる超常の存在だ。翼の生えた白馬の名を聞けば、誰だって心の中の男の子が騒がずにはいられない。

そんな誰もが夢見たファンタジーに出会えると思うと心は踊ってしまう。

 

 風が止む。

 期待を胸に、ゆっくりと目を開けるとそこには……!

 

 

「…………」

 

剣を掲げたまま硬直するアテーノ"だけ”が居た。

アテーノ"だけ”が居た。

アテーノ"だけ”が。

 

 

 

 

 

 静寂が訪れる。

 時が止まったようだ、気まずい。とても気まずい。

「誰かあの嬢ちゃん慰めた方がいいんじゃないか?」「突っ込んでやった方がいいのか?」

挙句の果てに、周りのローマ兵達がどのように声を掛けるかの話し合いを始めだした。

 

 何だか俺が恥ずかしくなってきた。

 

(そういえば教科書のコラム欄に載ってたアテーノの銅像あんな感じだったなぁ)

 

 なんてどうでもいい事を考え、自身の思考を意図的に逸らす。

 彼女もよほど恥ずか……悔しかったのだろうか。直立不動、石のように固まっていた体がプルプルと微動を行う。

 そして………。

 

 

 「痛たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたぁぁぁぁっっ!!!!????」

 

 

 壊れた。

 なんで?

 

「なんで?」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 呆気に取られる俺の隣。頭を押え痛みを訴える彼女を案じて、マシュが大慌てで駆け寄る。

悶える様子は冗談には見えない。

本当に大丈夫かな、流石に心配「……どうしよう、女の子に心配されるの久しぶりすぎて泣きそうだ」するのはやめておこうか。全然平気そうだし。

二人のやり取りを静観していたネロが口を開く。

 

「うむ、どう見ても馬ではないな!」

「?、プリテンダーは馬じゃないですよ」

「?、知っているぞ」

 

 何故か会話が噛み合わない。

 

「居るであろう、そこに」

 

 そう言って指した指の先には、未だ頭を押さえ続ける大英雄。

 

「やっぱりプリテンダーですね」

「そうではない!思いっきり居るではないか、そのプリテンダーの頭に!」

「おーい!プリテンダー!俺意味が分からなーい!!」

 

 考えるのをやめた。

埒が明かないだろうし、きっと本人に聞くのが一番手っ取り早いと思ったから。

大声で呼びかけ、状況の説明を促す。

 

「ああ、すっかり忘れてた!よーし、待ってろ痛たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた。テメェこの野郎!!」

 

 どこからか湧き出る怒りを撒き散らしながら、俺の声に応える彼女は自身の頭へ人差し指を翳し、"幻術を行使した”。

 

「ほれ、ビビデバビデブーっと」

 

 おどけて言うアテーノの言葉と共にソレは現れた。いや、ネロの言葉を聞く限り、元からそこに居た。見えるようになったという方が正しい。

 獣の膨張した巨大な瞳からは正気を感じられない。更に、血を啜ったように赤く染まった口元。

 

 「ワゥ!!!」

 

 犬だ。

 

 犬っぽい生き物が金髪にかぶりついている。

全身を覆う体毛に、尻尾。大きく垂れ下がる耳は自分のよく知る犬のようだが、6本の手足が異質さを物語っている。

 

「フォウ」

「あれ、フォウさん急にどうしたんですか」

 

 いつの間にか、マシュの盾からフォウくんが飛び出していた。

見つめ合う二匹の小動物。

心做しか、両者の視線は穏やかなものに見える。

この犬(審議中)のことはよく分からないが、アテーノの使役する使い魔なのだとしたら、カルデアに住むフォウくんとは、共に人理修復をする仲間ということだ。

 

 人間には分からないけど、もしかしたら何か二匹の中で通じるものがあるのかも…………。

 

 

 

 「フォウ!フォウフォフォーーーーーウ!!!シスベシフォーーーウ!!」

 

 「ワゥ!!!ガルルルル………!!ギャギャギャァァヴァ!!」

 

 

 じゃれ合い(殺し合い)が始まった。






『序章 忘れじの夜』
Buster
ランク:EX 
種別:対人宝具
自身にフィールドを〔夜〕特性にする状態を付与(3ターン)+〔夜〕のフィールドにおいてのみ〔フォーリナー〕クラスに対して相性有利になる状態を付与(3ターン)+敵全体に強力な〔悪〕特攻攻撃<オーバーチャージで特攻威力アップ>


◇◇◇◇


お久しぶりです。前回から大分間隔が空いてしまいました。もう少し投稿頻度上げられるよう頑張ります。
2部7章最高でした、ね。
FGO最高、星5排出率以外。
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