ジャンヌ・ダルクに恋煩い~幼馴染みの彼女と紡ぐ、千夜一夜の恋の唄~   作:さと かんひこ

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第十話 猫耳メイド=神

 ・・・・・・誰もいなくなった部屋で、ボクは今とてつもなく後悔してる。

 ほんの出来心のつもりだったんだ。なのに、どうして・・・・・・

 

 

「・・・・・・なんでボクがメイド服を着る流れになってるの!?」

 

 

 しかも猫耳カチューシャと尻尾まで!! 絶対似合わないって!! だってボクだよ!? ちびでナイチチのボクだよ!? ・・・・・・どうしてこうなるかなぁー。って、ナイチチって自分で言っちゃった・・・・・・それもこれも全部ナオが悪いんだからね!

 

「もぉ、バカナオ・・・・・・」

 

 猫耳メイド? なんて、恥ずかしいことこの上ない・・・・・・。恥ずか死ぬ。もうお嫁に行けない・・・・・・。あ、ナオは別だけど。

 

「くそぅ、絶対ナオに仕返ししてやるぅー!」

 

 負けっぱなしやられっぱなしはボクのポリシーに関わる! ・・・・・・乙女のプライドを傷つけた対価は、きっちり払って貰うからっ!

 

 

「──ん? これは・・・・・・なんだろ?」

 

 クローゼットの中に、白いフリフリのついた見覚えのある服が・・・・・・って、これはもしや!

 

「・・・・・・ふっふっふ。ナオ、覚悟しろぉー!」

 

 

 ・・・・・・それはともかく、ボクこの服本当に似合うのかなぁ。・・・・・・ナオ、喜んでくれると良いなぁ・・・・・・。

 

 

 

 

 あー、これは予想外だったなぁ・・・・・・。

 俺は、目の前に広がる光景を見て、この世全てに感謝した。

 

「・・・・・・どう、かな?」

「・・・・・・」

「な、ナオ・・・・・・? やっぱりボク、似合わない・・・・・・?」

「・・・・・・はっ! すまん望愛、可愛すぎて気絶してた」

「・・・・・・ふぇっ!? 真顔でそんな恥ずかしいこと言うのやめてよぉ~! ナオのバカぁ・・・・・・」

 

 ・・・・・・いや、事実なのだから仕方無い。

 状況を端的に述べよう。望愛は今、猫耳メイドになっている。それも右耳が垂れていて、尻尾にはピンクのリボンがついている。ただでさえ可愛いのに、メイドコスでさらにそれがパワーアップし、そして今、猫耳&尻尾をつけて覚醒した。・・・・・・その上今、望愛は顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。最高だ。食べ物で例えるならカツカレースライスチーズのせ、バジルを添えてって所だ。え? わかりずらい? 考えるな、感じろ。

 

「でも望愛、ほんとに似合ってるぞ。可愛い」

「うんうん、望愛、似合ってるぞぉ」

 

 俺の言葉に、ヤスも同調する。

 

「ほ、ほんと? えへへ・・・・・・やったぁ~」

 

 望愛はそう言って顔をほころばせ、喜んだ。

 

 ・・・・・・可愛い。この姿、是非とも写真に収めたい。

 

「なぁ望愛」

「ん? どしたの?」

「写真、撮ってもいいか?」

 

 俺はスマホを取り出し、望愛に聞く。

 

「・・・・・・!? と、撮るの!?」

 

 望愛は、びっくりしたように後ろに少しのけぞった。

 当たり前じゃないか! こんなに可愛い姿、撮らないなんてバチが当たる!

 

「・・・・・・ダメ?」

「もう、ずるいよぉ・・・・・・。わかった、特別ね?」

 

 望愛は、渋々了承してくれた。

 

「やった!!」

 

 望愛、ありがとう!!

 

「どんなポーズが良い?」

「えっとなぁ、まずはなぁ────」

 

 

 俺達はそこから二時間以上に渡って部屋に二人で閉じ籠り・・・・・・否、閉じ込められ、大撮影会を行った。気づけばヤスは部屋から消え、扉は何故だか開かず、俺は猫耳メイドコスの望愛と密室で二人閉じ込められた。・・・・・・それだけなら良かったのだ。それだけなら──

 

 

 

 

「おふたりさーん、どうだぁ? ・・・・・・って、ナオ、なんでお前がその服着てんの?」

 

 二時間後、ニヤニヤのヤスがようやく扉を開けて部屋に姿を現した。・・・・・・見るな。頼むから見るんじゃない! 死ぬぞ!? 俺が!!

 

「・・・・・・見るな」

 

 俺は自分史上もっとも鋭い眼光で、ヤスを睨み付ける。

 

「えー、ナオ似合ってるよぉー? ねぇ、ヤスも思うでしょ?」

 

 そんな俺を、望愛は後ろから両肩に手を置いてにやにやしながらそう言った。

 

 二時間と少し前、俺は望愛の事を確かに神と呼んだな? ・・・・・・それを訂正しよう。こいつは悪魔だ。凶悪すぎる小悪魔だ!!

 

「一個聞いても良いかぁ?」

 

 ヤスがそう聞く。

 

「・・・・・・なんだ」

「あ、いや・・・・・・なーんでお前そんなに似合ってるんだと思ってなぁ。レイヤーとしては百二十点だぞ?」

 

 ヤスはさらっと、そんなことを抜かした。

 

「殺すぞ!!」

 

 俺の怒号が、響いた。

 

 ・・・・・・説明しよう。俺は今、猫耳メイド服を着させられている。

 そもそもなんでもう一着あるんだよ!! ・・・・・・もういい、いっそ殺してくれ。さもなきゃ俺がヤスを殺す!

 

 ──パシャ

 

「撮るな!!」

「いやぁー、あんまりにも似合ってるからなぁ・・・・・・」

「ね、言ったでしょ! やっぱりナオも似合うんだよー!」

「・・・・・・もうお婿に行けない」

 

 ・・・・・・まぁ、行くつもりなんて毛頭ないのだが。にしても恥ずかしすぎる! こんな恥辱、耐えられん!

 

「まぁまぁ・・・・・・でも、これでボクたちペアルックだね!」

「・・・・・・そういやそうか」

 

 なるほど、そういう考え方なら有りか。・・・・・・ってなるかぁ!?

 

「ちなみにナオ、こっちのは着る気ないのかぁ?」

「・・・・・・お前、命知らずな奴だな」

「えぇー。マイクロビキニ、似合うと思うぞぉ?」

「死ね、もしくは殺す」

 

 俺直々に引導を渡してやろうか?

 

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