ジャンヌ・ダルクに恋煩い~幼馴染みの彼女と紡ぐ、千夜一夜の恋の唄~ 作:さと かんひこ
・・・・・・誰もいなくなった部屋で、ボクは今とてつもなく後悔してる。
ほんの出来心のつもりだったんだ。なのに、どうして・・・・・・
「・・・・・・なんでボクがメイド服を着る流れになってるの!?」
しかも猫耳カチューシャと尻尾まで!! 絶対似合わないって!! だってボクだよ!? ちびでナイチチのボクだよ!? ・・・・・・どうしてこうなるかなぁー。って、ナイチチって自分で言っちゃった・・・・・・それもこれも全部ナオが悪いんだからね!
「もぉ、バカナオ・・・・・・」
猫耳メイド? なんて、恥ずかしいことこの上ない・・・・・・。恥ずか死ぬ。もうお嫁に行けない・・・・・・。あ、ナオは別だけど。
「くそぅ、絶対ナオに仕返ししてやるぅー!」
負けっぱなしやられっぱなしはボクのポリシーに関わる! ・・・・・・乙女のプライドを傷つけた対価は、きっちり払って貰うからっ!
「──ん? これは・・・・・・なんだろ?」
クローゼットの中に、白いフリフリのついた見覚えのある服が・・・・・・って、これはもしや!
「・・・・・・ふっふっふ。ナオ、覚悟しろぉー!」
・・・・・・それはともかく、ボクこの服本当に似合うのかなぁ。・・・・・・ナオ、喜んでくれると良いなぁ・・・・・・。
あー、これは予想外だったなぁ・・・・・・。
俺は、目の前に広がる光景を見て、この世全てに感謝した。
「・・・・・・どう、かな?」
「・・・・・・」
「な、ナオ・・・・・・? やっぱりボク、似合わない・・・・・・?」
「・・・・・・はっ! すまん望愛、可愛すぎて気絶してた」
「・・・・・・ふぇっ!? 真顔でそんな恥ずかしいこと言うのやめてよぉ~! ナオのバカぁ・・・・・・」
・・・・・・いや、事実なのだから仕方無い。
状況を端的に述べよう。望愛は今、猫耳メイドになっている。それも右耳が垂れていて、尻尾にはピンクのリボンがついている。ただでさえ可愛いのに、メイドコスでさらにそれがパワーアップし、そして今、猫耳&尻尾をつけて覚醒した。・・・・・・その上今、望愛は顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。最高だ。食べ物で例えるならカツカレースライスチーズのせ、バジルを添えてって所だ。え? わかりずらい? 考えるな、感じろ。
「でも望愛、ほんとに似合ってるぞ。可愛い」
「うんうん、望愛、似合ってるぞぉ」
俺の言葉に、ヤスも同調する。
「ほ、ほんと? えへへ・・・・・・やったぁ~」
望愛はそう言って顔をほころばせ、喜んだ。
・・・・・・可愛い。この姿、是非とも写真に収めたい。
「なぁ望愛」
「ん? どしたの?」
「写真、撮ってもいいか?」
俺はスマホを取り出し、望愛に聞く。
「・・・・・・!? と、撮るの!?」
望愛は、びっくりしたように後ろに少しのけぞった。
当たり前じゃないか! こんなに可愛い姿、撮らないなんてバチが当たる!
「・・・・・・ダメ?」
「もう、ずるいよぉ・・・・・・。わかった、特別ね?」
望愛は、渋々了承してくれた。
「やった!!」
望愛、ありがとう!!
「どんなポーズが良い?」
「えっとなぁ、まずはなぁ────」
俺達はそこから二時間以上に渡って部屋に二人で閉じ籠り・・・・・・否、閉じ込められ、大撮影会を行った。気づけばヤスは部屋から消え、扉は何故だか開かず、俺は猫耳メイドコスの望愛と密室で二人閉じ込められた。・・・・・・それだけなら良かったのだ。それだけなら──
「おふたりさーん、どうだぁ? ・・・・・・って、ナオ、なんでお前がその服着てんの?」
二時間後、ニヤニヤのヤスがようやく扉を開けて部屋に姿を現した。・・・・・・見るな。頼むから見るんじゃない! 死ぬぞ!? 俺が!!
「・・・・・・見るな」
俺は自分史上もっとも鋭い眼光で、ヤスを睨み付ける。
「えー、ナオ似合ってるよぉー? ねぇ、ヤスも思うでしょ?」
そんな俺を、望愛は後ろから両肩に手を置いてにやにやしながらそう言った。
二時間と少し前、俺は望愛の事を確かに神と呼んだな? ・・・・・・それを訂正しよう。こいつは悪魔だ。凶悪すぎる小悪魔だ!!
「一個聞いても良いかぁ?」
ヤスがそう聞く。
「・・・・・・なんだ」
「あ、いや・・・・・・なーんでお前そんなに似合ってるんだと思ってなぁ。レイヤーとしては百二十点だぞ?」
ヤスはさらっと、そんなことを抜かした。
「殺すぞ!!」
俺の怒号が、響いた。
・・・・・・説明しよう。俺は今、猫耳メイド服を着させられている。
そもそもなんでもう一着あるんだよ!! ・・・・・・もういい、いっそ殺してくれ。さもなきゃ俺がヤスを殺す!
──パシャ
「撮るな!!」
「いやぁー、あんまりにも似合ってるからなぁ・・・・・・」
「ね、言ったでしょ! やっぱりナオも似合うんだよー!」
「・・・・・・もうお婿に行けない」
・・・・・・まぁ、行くつもりなんて毛頭ないのだが。にしても恥ずかしすぎる! こんな恥辱、耐えられん!
「まぁまぁ・・・・・・でも、これでボクたちペアルックだね!」
「・・・・・・そういやそうか」
なるほど、そういう考え方なら有りか。・・・・・・ってなるかぁ!?
「ちなみにナオ、こっちのは着る気ないのかぁ?」
「・・・・・・お前、命知らずな奴だな」
「えぇー。マイクロビキニ、似合うと思うぞぉ?」
「死ね、もしくは殺す」
俺直々に引導を渡してやろうか?