ジャンヌ・ダルクに恋煩い~幼馴染みの彼女と紡ぐ、千夜一夜の恋の唄~ 作:さと かんひこ
青い空! 白い雲! 照りつける日射し! そして海!!
この日のために俺は入念な準備と下調べ、下見に至っては都合四度に至るまで徹底的に行った!(余談だが、下見にはヤスも同伴した)
脳内では何度もシュミレーションを行い、若干ながら筋トレにも勤しんだ──もっとも、メニューは望愛に教えて貰ったどぎつい代物だったが。あんなのずっとやってたらハゲるわ!!
俺がここまでするのには訳がある。一つは単純に俺が楽しみだからだ。せっかく遊ぶのだから、全力で楽しまなくちゃ損だろ? そしてもう一つの理由、それは・・・・・・望愛は天性のカナヅチだからだ。
あいつは常日頃から「ボクどんなスポーツでも出来ますが?」みたいな雰囲気を醸し出してるし、事実運動神経は抜群だ。ただし、水泳に関しては全くの別問題。
ある時俺は望愛にこう聞いた。なんで他のスポーツは国体選手並みに出来るのに、水泳だけは出来ないのか、と。すると奴は、苦し紛れにこう答えたのだ!
「い、いや、よく考えてみて? ボクたちって陸で生きてるでしょ? 水で生きるように出来てないわけで・・・・・・」
つまり、単純に泳ぎがドヘタなのだ。その癖やれ海水浴に行きたいだの、プールに行きたいだの言うのだから、全くもって困ったものだ。別に俺はなんとも思ってはいないが?
話題は少し俺の心の話に変わる。少しばかり付き合って欲しい。あの日から俺の心境にある変化が訪れた。白血病と、自分の思い。二つの告白をしたことで、肩の荷が降りたようにすっと楽になったのだ。今までよりも自然体で望愛に接することが出来ている気がする。フラれた癖にと言われればそれまでなのだが。・・・・・・別に俺はドMじゃねぇからな?
それにまだ、諦めた訳じゃない。例え俺と結ばれなくても、望愛が戦わなくて良い世界を、望愛が自由に恋人を選べる世界を作る手立てはまだ、あるはずだ。その世界を作るためなら、俺は喜んでこの命を捧げる──っと、俺がカッコつけてる間に、望愛はもう水着に着替えてきたようだ。さて、望愛の水着姿をじっくり拝見しようじゃないか!
「ナオー! 着替えてきたよー!」
望愛はそう言って大きな浮き輪を小脇に抱え、頭には麦わら帽子を被って小走りでこっちに向かってきた。・・・・・・俺は今、例えこの瞬間死が訪れたとしても後悔することは無いだろう。
望愛の水着は、フリフリがついたピンクに白の水玉つきのものだ。ぶっちゃけ望愛が着ていればどんな水着でも(例えマイクロビキニであろうとも)すごぶる可愛いのだが、今着ているこの水着はベストマッチではないかと俺は思う!(例外として異論は大いに認める! 皆で望愛に似合う水着を議論しようではないか!)
「どう? 似合う?」
「一発KOだ。すっごく似合ってる!」
「ほ、ほんと? やった・・・・・・!」
そう言って望愛は小さくガッツポーズをして喜ぶ。とてもかわいい。
俺達は合流した後、二人でレジャーシートとパラソルを設置た。そして荷物を置き、諸々の準備をしているまさにそのとき、事件は起こった。
「ナオー、へるぷみー」
サンオイルを塗っている望愛から、助けを求める声が聞こえた。
「んぁ、どしたの?」
「背中、届かない・・・・・・」
瞬間、振り返った俺の脳に稲妻が走った。つまりこれは・・・・・・
「俺にそれを塗れ、と?」
「お願いしても良い?」
神と言うものは、やはり存在しているのかも知れない。俺はごくりと唾を飲み、緊張した面持ちでその場に臨んだ。ありがとうございます!!!!