ジャンヌ・ダルクに恋煩い~幼馴染みの彼女と紡ぐ、千夜一夜の恋の唄~   作:さと かんひこ

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第一章 ジャンヌ・ダルクの彼氏は辛いが、彼女のためなら苦にならぬ
第一話 注、これはラブコメです


「ナオ~。暑い~」

 

 梅雨も明け、セミ達が大合唱を始めた夏中旬。うだるような暑さ、セミ達の合唱コンクールが外で開催されている。

 そんな最中、ノースリーブの白シャツと、デニムの短パンを履いた望愛が、後ろから俺にもたれ掛かるように抱きついてくる。

 

「暑いならくっつくなよ・・・・・・」

 

 矛盾してるからな? あ、ちなみにこれは望愛に言ってるんじゃなくてもちろんこの俺、城崎直人(きのさきなおと)自身に向けた言葉だ。

 超絶可愛いボーイッシュショートカット彼女に後ろから抱きつかれるとか、最高ではなかろうか。俺は今この瞬間、この世でもっとも幸福な男児になった! なお、彼女の胸がないだとか、お前童貞だろとか言うセリフは一切受け付けない! (ちなみに俺は貧乳派だ) 

 今が幸せなら、それで良いではないか。あ、望愛シャンプー変えたな?

 

「うおっ・・・・・・!」

「ん? 望愛どした?」

「今背筋ゾクッてした!」

 

 ぎくり。

 

「キ、キノセイダロ・・・・・・」

「ナオ、なんで片言なの?」

「前世がブリキのロボットだったからさ」

「・・・・・・怪しい。さてはまたエッチなこと考えてたでしょ」

 

 ・・・・・・俺の彼女は読心術が使えるらしい。もはや言い逃れは出来んな。諦めよう。

 

「・・・・・・なにか問題でも?」

「・・・・・・変態」

 

 望愛はジト目で俺からちょっと距離をおく。

 ははっ、残念だったな! その言葉は俺にとってはご褒美だぜ!

 

「お前が可愛いのが悪いんだ」

「・・・・・・!? って、その手はボクには通用しないからね?」

 

 おっと、既に対策済みか。だが望愛よ、ちょっと顔赤いぞ?

 

「全く・・・・・・。ナオはボクに何のエッチさを感じるの?」

「お前の細胞のゴルジ体まで愛してる」

「・・・・・・それ、ボクがいなくなった後に出来た彼女さんには絶対言わない方がいいよ?」

 

 ハッ、馬鹿が! 俺はお前以外を彼女にするつもりは毛頭ない! つまり言い放題だ!

 

「望愛以外に彼女作るつもりなんて無いから心配ご無用!」

「それが心配なんだよぉ~。お願いだからナオはちゃんといい人見つけて結婚してね?」

 

 呆れ顔の望愛はそう言って俺の頬を突っつく。

 

「望愛以上にいい人この世にいないから無理」

 

 

 当然だ。お前以外の女と添い遂げるなんて、考えたくもない。

 

「もぉ~・・・・・・。・・・・・・バカ。そんなんじゃ一生童貞? だよ?」

「三十代まで童貞なら、魔法使いになれるらしいぞ?」

 

 どんな魔法が使えるか、今から楽しみだ。

 

「片やスーパーヒーロー。片や魔法使い。カッコいいだろ?」

「・・・・・・ナオには戦って欲しくないなぁ」

 

 望愛はちょっと声のトーンを落としてボソッと呟いた。

 

「・・・・・・それな、俺もお前に対して同じこと思ってる」

 

 セミ達の大合唱が盛り上りを見せる。彼らの愛の歌は、メス達に届くのだろうか。

 

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