璃月 無妄の丘にて
美しい少女と謎の飛行生命体が、身の丈をはるかに超える巨大な人型機械と相対している。
人型機械――遺跡守衛は少女に背を向けて地面に手を付く。するとどこに格納していたのか、背中から4発の誘導ミサイルが打ち出された。
少女がただ者であれば数瞬後には目を背けたくなるような悲劇的な光景が広がっていることだろう。
しかし、そのような光景は訪れなかった。
少女は落ち着いた様子で片手剣を取り出す。そしてギリギリまでミサイルを引きつけると隙間をかいくぐって一息で間合いを詰める。
遺跡守衛も間合いを潰されたことに反応したもののその動きは少女からするとあまりに緩慢だった。
遺跡守衛が正面を向き直る頃には、膝関節は少女の斬撃によって重量に耐え切れないほど破壊されていた。
少女は膝から崩れ落ちた遺跡守衛に手を向ける。
そして――
「風刃!」
言葉と共に少女の手から風による斬撃の渦が放たれる。
風は拡散することなく遺跡守衛の核を切り刻み、炸裂する。
核を失った遺跡守衛は完全に沈黙しうつ伏せに倒れる。
「旅人、怪我はないか」
旅人と呼ばれた少女は汗と埃を払い、見守っていて謎の飛行生命体――パイモンの方へ振り向く。
「いい運動になったよ。キャサリンに報告しに行こう」
「ちょっと待った!この前、鍾離から貰った"オケアノス"ってレストランの通行証憶えているか?せっかくだからお昼はそこで食べないか」
パイモンの言葉に旅人は思案する。確かに今回の依頼は急ぎでもないし、朝から何かと用事があって昼前なのに腹ペコである。
なによりあの鍾離が勧めるレストランである。絶対に美味しい。
「えっと、人がいないところで札を掲げるとお店の前にワープできるんだっけ...。うん、周りに誰もいないしいい機会かも」
「決まりだな。さっそく行ってみようぜ」
旅人が通行証を掲げるとどこからか霧が立ちこみ始め二人を包む、ほどなく二人の影と共に霧散した。
霧が晴れると二人の前には草原が広がっていた。その中に璃月式の建築物が取り残されたように佇んでいる。
期待を膨らませながら店まで歩き、大きくなった期待と少しの不安を胸に少し重いドアに手をかける。
店内にはお昼というには早い時間ということもあってか他にお客さんはいないようだ。
店はシンプルモダンな落ちついた内装で雰囲気に包まれている。初めてくる店なのに肩肘張らずにリラックスできる。
ただ一角だけ周りと雰囲気が異なる壁がある。丁寧に手入れされていることは伺えるが、経年によって色褪せてしまっている。
よく見ると何か文字が書かれているようだ。
店内を観察しているとカウンターを拭いていた店員と思しき青年が二人に気づく。
「いらっしゃいませ。お好きな席にお掛け下さい」
青年に促されて二人は近くのカウンターに座る。
「本日はどなたからの紹介でしょうか」
「鍾離から。料理がとても美味しいと聞いて」
「鍾離様から...。お話は伺っております。璃月を救ってくれた旅人とその相棒と」
「えへへ、照れるぜ。」
純粋な賞賛の言葉に少し照れてしまう。
「食事ですが苦手なものなどありませんでしょうか。お二人のお話を伺いまして召し上がっていただきたい料理があります」
「食べて欲しいもの?じゃあそれでお願い」
~パニーニ~
パニーニ、それはイタリア語でパンで具材を挟んだもの意味する料理で、要するにサンドウィッチである。
今回用意する具材は王道的なものでハム、チーズ、トマトにピクルス。
まずはバケットを適度な大きさに切り分けて半分にカットする。半分にカットしたバケットにニンニクを擦り付けて、オリーブオイルを敷いたフライパンで焼いていく。
そして潰す。パンを思いっきり潰す。
「待て!潰すのか?せっかくのフワフワなのに!」
「はい、そうすることで食べやすくなりますし、噛む回数も増えてより味わっていただくことができますので」
思わずパイモンが声を上げるが青年は手を止めず潰していく。
パンが焼き上がるまでの間、青年がなぜパニーニを旅人たちに食べて欲しいと思ったかお話ししましょう。
それはパンが星の数ほどある料理の中で最も旅した料理だからです。
パンの原型は今から6000年以上前に作られました。この時のパンは小麦粉を水でこねて焼いただけのものでした。
それが時代と共に山を越え、海を越えて世界中に広まる中で進化・変化して皆さんが知る美味しいパンになりました。
特にパニーニは1970年ごろに今のようなプレスして焼く形になった新しい部類のようです。
青年はこの後も長く続いていくであろう旅人たちの旅がパンのように、より豊かに、味わい深いものになることを願ったのかもしれません。
おや、パンが焼き上がったようです。
パンが焼き上がったの確認すると火から上げて具材をそれぞれスライスする。そしてチーズ、ハム、ピクルス、トマトの順に焼き上がったバケットに乗せていく。
「どうぞ、パニーニです」
「パニーニ、初めて食べる料理だ!旨そうだな」
「「いただきます!」」
二人は仲良くパニーニを頬張る。
カリッとしたパンの食感に、トマトとピクルスの酸味、ハムの旨味、チーズの塩味が絶妙なハーモニーを奏でる。
そしてオリーブオイルと、食べてから気づくニンニクの香りが食欲をさらに刺激する。
それに空腹は最高の調味料。腹ペコの二人は二口、三口と自然と口が求めてしまう。
二人――特にパイモンは無限に食べるのではないかと思えるほどのスピードで食べ進めていく。
「これ、美味すぎるぜ。手が止まらないぞ!マスターもう一個貰えるか?」
「うん、こんなに美味しいパニーニ初めて。私もお代わり」
「はい、少々お待ち下さい」
青年は二人のオーダーに応えてパニーニだけでなく、クロワッサンサンドなどの様々なサンドウィッチ類を作っていく。
そうこうしているうちに他のお客さんも来店し始めた。
レストラン"オケアノス"・開店
初めまして。
勝手がわからないままなんとなく書き始めたもので設定部分など未熟な部分があるとおもいますが、見守っていただけると幸いです。
さて、一発目は蛍&パイモンにパニーニを食べてもらいました。
私は上京してから初めてパニーニを食べたのですが、それまでの食べていたサンドウィッチのどれとも違う味わいで感動したのを覚えています。
私の好きなパニーニはチーズ&ハムのシンプルな組み合わせです。
皆さんはどんな具材が好きですか?
小説の視点について、どちらの方式が良いでしょうか
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1,2と同じ(第三者)
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3と同じ(各キャラ)