この日も新たなかわいいをお披露目して。
ぼくはスライムのぷにるです。このかわいさ溢れる字面から察せられるようにぼくはとてもかわいい、今更見た目を描写するまでもないですね。だってぼくはかわいいから!
「コタロー! テレビでみたゆるキャラを参考にしてかわいいぼくに仕上げてきました!」
コタローはぼくを作ってくれた生みの親とも呼べる存在、でもコタローは中々ぼくをかわいいと言ってくれません。
げせません、こんなにもかわいいのに。
ですのでぼくは日々コタローにかわいいと思ってもらうべく、かわいいを探求しつづけているのです。
今回はクマのゆるキャラを模してみました。ゆるっと寸銅体型のクマさんです。表情はドロっと溶かして間抜けさをアップ、これで完璧なゆるキャラぷにるの完成です!
「いや気持ち悪いわ! 中途半端にゆるキャラしてるし、顔がデロデロしてて逆に怖い!」
「むー、なんでですかなんですかー!」
気持ち悪いと言われた姿でいたくないので、仕方なくいつもの姿になります。
コタローと同い年くらいの女の子の姿、昔はペンギンみたいな愛くるしい姿だったのですが、最近は専らこっちの姿です。
というのも、最初の頃はペンギンの姿でもかわいいと言ってくれてたのですが、いつの間にか全然いわれなくなってきまして、コタローがかわいいと言った物や人を色々真似てるうちに女の子の姿に落ち着いたのです。
なんとこの姿だと、不思議とコタローはちょっと変わった仕草をするのです。ぼくはかわいく名推理しました。これはぼくのかわいい姿をみて内心でかわいいと思っているに違いないと。多分。
「昔はぼくの事をかわいいて言ってくれてたのに」
「あの時は小さかったし……それに今のお前は……その……男がかわいいと言えるわけないだろ」
「なんでなんでぇ! 男の子でもかわいいにはかわいいと言うべきですぅ!」
まったく、コタローは何を恥ずかしがっているのやら。人間はみんな素直になるべきなんです、ぼくなんてこんなにもコタローに気持ちをぶつけているというのに…………はて? ぼくはいったいどんな気持ちをぶつけているのでしょう。
なんだかドキドキしてきました。
「とにかく! 次のかわいいを待たれるのです!」
「はいはい、じゃあ俺学校行くから」
素っ気ないコタローは学校へ行ってしまいました。
次なるかわいいを考えるべく、ぼくは近くにあったアイドル雑誌を手に取りました。
「ほお、これが最近かわいいと言われているアイドル…………ぼくに負けず劣らずのかわいさですねぇ」
これは負けられません。