米花町で五等分   作:マイケルみつお

11 / 42
更新遅れてごめんね


11話 米花町でトカレフ(後編)

 「とにかく中止だ中止!今すぐ試合を中止して客や選手達を避難させろ!」

「「はっ!」」

 

コナンの推理によって、これがエアガンなどを使ったイタズラではなく実弾を使った凶行であるという事を断定した目暮警部は部下の刑事にそう指示する。

 

「だ、ダメですよ!電話の男が言ってたんです…。試合を止めたり客を逃したりするような妙な素振りをすれば無差別に銃を…競技場で乱射すると!」

 

何?無差別乱射だと?それから犯人の要求が日売テレビに対する5000万円の身代金である事が分かった。日売テレビに恨みを持った人間の犯行かと推理したが容疑者をその線から絞り込む事は難しかった。

 

「よし!それなら競技場に私服警官を配置させる。次に犯人から電話があった時に確保するぞ!」

目暮警部が日売テレビの人から意見を聞いて、適切な対応をとる。

 

「あれ?その帽子の子は女の子かい?…変だな。確か電話の男は五人の子どもの一番端に座っている青い帽子を被った坊主って言ってたんだかな。」

 

なんだと?

 

「警部さん、迂闊に犯人を確保しようとしたらダメです!」

「ボールは僕らの真下にあったんだ。なら犯人は僕らの側で撃ったって事だよね。」

拳銃で撃てる距離なんてたかが知れてる。明快な推理だ。

 

「側にいたなら何で犯人はこの子を男の子と間違えたの?この服見れば誰だって女の子だって分かるのに。」

「それはきっと壁でスカートが見れなかったからで…」

「壁に遮られたって事は僕らの真向かいのバックスタンドから犯人は僕たちを見たという事。」

 

「つまりバックスタンドから電話をしてきた男と実際に発砲した者は別人。少なくとも二人以上の犯行という事になります。」

 

そう。だから迂闊に確保したらダメだ。仲間が警察に捕まったと知ればもう片方が何をするか分からない。宣言通り拳銃を乱射する可能性だってある。

 

 

 それから工藤が警部さんに、双眼鏡などの望遠レンズを持って電話をしている者が容疑者であるから次に犯人から電話がかかってきたら張り込ませている刑事さん達に注意して見てくれと適切な助言をしてから様子をみる。

 

「なあ工藤。犯人確保の目星はついたか?」

「まだだ。」

今は犯人の出方を見てからの行動、受け身的な対策しか打てない...か。コナンに話が聞こえないように距離をとって...俺は携帯電話を取り出し電話をかける。

 

「零奈さん。冷静に聞いて下さい。今、この競技場で無差別乱射の危機が迫っています。四葉や子ども達を安全なところまで避難させてくれませんか?勿論パニックを避けるために無差別乱射の事は言わないで。」

「何ですって。分かりました。子ども達は何とかしてみます。ただ四葉は今少し離れていて...。私の方でも探してみます。見かけたら連絡して貰えませんか?」

「分かりました。」

 

 

 

 「修斗。お前も確か博士の追跡用のメガネ、持ってたよな?今警部の無線に盗聴器を仕掛けた。聞いてくれ。」

零奈さんと話をしていると工藤が話に割り込み、そう話をつけてくる。お前...警察に盗聴器つけるなよ...だが今は緊急事態だ。情報をどれだけ握れるかが大きい。

「分かった。」

次に電話がかかった時、先ほど絞り込んだ容疑者の中からまた探せばいい。

 

 

 「おっと。もうロスタイムか。」

「犯人が指定した、十八番ゲートに現金が入ったバッグを置く時間だな。」

俺たちはバッグを取りにきた犯人を確保しようとする警察の無線に耳を傾ける。

 

『こちら佐藤。バッグに異常はありません。』

『こちら田宮。同じく。』

『来ました警部。男が今、バッグを取りました。』

『分かった。周りに他の人間はいるか?』

『いえ、いません警部。』

『よし、かかれー!』

警部達がバッグを取りに来た犯人を確保にかかったようだ。

 

『どこだ!拳銃を探せ!』

男がサッカーボールを狙撃した拳銃を持っているか探しているのだろう。

『ありません!どこにも拳銃がありません!』

『言え!どこに拳銃を隠した!』

『触るな!()()にそれ以上触るな!観客を誰か撃ち殺すぞ!』

 

無線から聞こえる犯人のその言葉が耳に届く。...相棒...?

 

『やはりサツがうろついていたか。話が違うな日売テレビさんよ〜。』

警察が関わった事がバレてしまった!

『見せしめに誰か死んでもらうか?おい!』

「ん?これは?」

俺は盗聴器から聞こえる犯人の音声に()()()を感じた。

 

『それは待ってくれ!我々も犠牲者だけは出したくない。』

『なら埋め合わせのチャンスをくれてやる。十億円だ!十億円を試合が終了する前までにバッグに詰めて同じ十八番ゲートに置け。いいな?』

『そんな!十億円だなんてすぐに準備できる訳が!』

『なんだ?()()()は用意できないってか?』

犯人はあと一人だけか?

 

『おい。さっき目をつけた容疑者の中で現在も通話をしている素振りのある奴はいるか?』

しかし返ってきた問いはいずれも否。これで警察が見落とした可能性を除けば前回と今回で共通して通話を行なっている人間は観客席にはいないという事になる。

 

『無駄無駄。あんたらサツに俺の居場所は分からねぇよ。そうそう、観客席にいるデカ連中はすぐに引き上げさせろ。』

そう言って犯人は観客席に張り込ませている私服警官の位置を正確に次々当てていく。

 

『分かっているな?今ここには五万六千人の人質がいるんだ。変な事をすればどうなるか。』

 

 

 「くそ。何で見つかんねーんだ。」

工藤も俺と同じく警察の一連の会話を聞いていたのか頭を抱えている。

 

 

 「もしもし、零奈さん。今どこにいますか?」

俺はまたも工藤から離れて零奈さんに電話をかける。

「子どもたちを何とか説得してスタジアムの外に出ました。四葉はまだ...あっ!今メールが届きました。...!あの子まだスタジアムにいるようです。」

「それなら自分が迎えに行きますのでそのままスタジアムの外にいて下さい。」

 

今度は四葉に電話をかける。

 

「四葉、お前今どこにいる?」

「あ!村城さん!私は席にいますよ。色々と飲み物とか見てまわってたら六海ちゃんからの電話に気づかなかったみたいで...。何でも選手と生で会えるかもしれないから一旦スタジアムの外に出てってメールには書いてたんですけど。」

四葉の声は()()()()()()()()()()()うまく聞こえないが何と言っているかは分かった。

「分かった。とりあえず四葉はそこにいてくれ。」

はぐれたら色々と大変だ。

 

「あと四葉。今ピッチにいるカメラマンで電話している奴はいるか?」

盗聴器から聞こえる音声が、犯人がまだ通話中である事を示している。今は仲間を尾行したら分かってるか?と警察を恫喝している。

「はい!一人だけいますけど...それがどうしたんですか?」

「分かった。じゃあ四葉、そいつの写真を撮ってメールで送ってくれ。あとできればそいつを身失わないように見張っててくれ。今からそっちに行くから席で待っててくれな。」

 

これで犯人の居場所が分かった。先ほど感じた違和感の正体も。

 

「警部。犯人の居場所が分かりました。」

 

哀ちゃんの様子を見ながら電話をかけていた犯人。十八番ゲートにバッグを取りにきた者の相棒の犯人は確実にこのスタジアムに、そして観客席が見える場所にいる。しかし警察の張り込みでは観客席に該当する人物はいなかった。しかし張り込んでいる警察の位置を正確に言い当てている事からその時点でもスタジアムの中、しかもスタジアムの観客席を360°見渡せる場所にいる事になる。この厳重警戒の中、そのような真似をしていれば嫌でも目立つ。

 

それと無線から感じた違和感。犯人の声が()()()()()()()()()。この歓声の中だ。周囲の歓声が犯人の無線に入り込んでいてもおかしくない。四葉の時はそうだった。つまりこの超満員の競技場で周囲の歓声が無線に入り込まずにかつ、望遠で周囲を見ることができながら電話をかけている人物。四葉のおかげで特定する事に成功した。

 

「なんと!しかし村城君いいのか...?コナン君がいる中で推理を披露して...」

俺はコナンに...工藤に何か勘づかれるのも厄介なのでこれまで何回か警察に協力したが、その事をコナンにだけは言わないようにお願いしている。あの子は事件に首をつっこむのが好きで危なっかしいからと言えば納得してもらえた。

「大勢の命がかかっています。緊急事態です。」

「分かった。すぐに手配しよう。」

 

それから俺が言ったように、ピッチにいるカメラマンの一人が犯人であり、無事犠牲者を出す前に拘束する事に成功した。もう一人の仲間も逮捕に成功して事件は無事解決した。

 

 

 「で、修斗。説明してくれんだろうな?」

あれから四葉や子ども達とも別れて今は工藤に彼の家で問い詰められている。

「あれから何となくかわされているが、今日こそは答えてもらうぞ修斗!オメーも組織の事を知ってるんだろ?俺が飲まされた薬の事も。じゃねぇと俺の子どもの頃を知らないオメーが俺が小さくなったことを博士より早く気づける訳がない。それからあの推理力。お前は俺に何を隠しているんだ!」

まあ、そうなるわな。

「哀ちゃんも薬を飲んだんだよね。」

「ッ!お前やっぱり知って!」

あの薬の存在を知っている人間があの大人びた様子を知れば嫌でも気づくだろうな...

 

「そうだな。俺はお前が言っている組織の事は知っている。だがお前には話さない。」

「なぜだ!俺の能力が足りねぇって言いてぇのか!」

「いや、お前の能力は全く問題ない。」

日本警察の救世主と呼ばれる推理力と行動力が備わっているんだ。能力としては問題ないだろう...だが

 

「お前には自制心がない。確かに危険な領域にまで踏み込む事も捜査には必要な事なのかもしれない。しかしそれは自分の身を守れる者に限った話だ。なぜ毛利と別れて不用心に取引を見に行き、しかもそのまま見続けた。今日だってそうだ。なぜ二撃目があると想定せず軽率に銃弾を回収に向かった。」

唯一と言ってもいい工藤の弱点は、その高すぎる好奇心を抑えられない事だ。しかしそれは危険と隣り合わせの探偵からしてみれば致命的な弱点である。

 

「そうだな。じゃあ一つ、条件を出そう。俺の正体を当ててみてくれ。だけど聞き込みはダメだ。俺は存在をあまり知られてはマズイからな。秘密は知らない人間が多いからこそ秘密として成り立つ。お前なら分かってるとは思うが。だがそうなると明確な証拠を用意するのは難しいと思うからそれはいらない。だけど根拠は用意してくれ。当てずっぽうはダメだ。」

俺は零奈さんから用意され、()()()()試練と同じものを工藤にも出題した。工藤が危険な手段を用いず、正解に辿り着けたのならば零奈さんも納得して俺らはより緊密な協力関係を結べるようになるだろう。




コナン君と一緒にみんなも修斗達の正体を考えてみよう!

生存報告を兼ねたアンケート(文字数の関係から詳細は活動報告を見てね!)

  • 上書き更新してもいいよ!
  • リメイク更新ならいいよ!
  • 百年早いわこの未熟者!
  • 興味ないorどうでもいいor作者に任せる
  • 結果閲覧用
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。