「それよりここに通い詰めてあのプレイボーイの弟を落としたそうじゃない。」
「いえ、お嬢様。一目惚れされたのはおぼっちゃまの方でして。」
あれから屋敷の前に辿り着くと、新郎の姉、森園百合江さんが新婦の片桐楓さんに詰め寄る。
「あら?そうだったかしら。でもこの縁談をまとめたのはあなたなんでしょ?もしかしたらお父様から何かご褒美が貰えるかもしれなくってよ。」
やっぱり違和感を感じる。何だろう、何か大きな勘違いをしているようなそんな感覚だ。
「新一、服部君。何か違和感感じなかったか?」
「いや...何も感じなかったが。」
「俺もだ。」
そうか。なら俺の思い違いかもしれないな。まあでも確かめてみるか。
──────
「おー、あなたがあの名探偵の毛利小五郎さんでしたか。」
結婚式前夜のパーティに参加した俺、コナン、服部君、蘭、和葉、毛利さんは食卓を囲んで食事を取る。
「どうですかな、世間で平成の名探偵と褒めそやされているご気分は。」
森園家の当主、楓さんの父の森園幹雄さんが毛利さんに問いかける。
「いやー、我ながらこんなにもとんとん拍子に事件が解決するとは、夢見心地と言うべきか。」
「夢か。そりゃ当たってんでおっちゃん。痛てっ!」
眠りの小五郎の事を言い当てた服部君がコナンに蹴られる。角度的に俺しか見えてないな。...っていう事は服部君は眠りの小五郎の事まで知ってるんだな。
「そうだ重松君。後で私の部屋に来たまえ。息子の縁談をまとめた君にお礼をしたいんだ。なんでも好きなものを言ってくれ。」
「は、はい...」
やっぱりだ。重松さんは先ほどの楓さんと同様、縁談をまとめた事に後ろめたく思ってるようだ。
「それから桜庭君、また私の猫の姿が見えないんだ。すまんがまた探してくれんかね。」
「は、はい。」
「どうにも気まぐれな猫でして、妻には懐いていたんだが。」
「いた...とは?」
「母は四年前に他界しましたよ。不運な交通事故でね。」
「これは失礼、息子の菊人です。」
毛利さんの問いかけに答えたのは幹雄さんではなくその息子の森園菊人さんであった。この人が新郎か。
「東京見物を楽しんできたかい、マイハニー。」
ギザな口調で楓さんに肩に手を回す。案の定和葉は気持ち悪いと言っている。しかし楓さんと桜庭さんと重松さんのあの表情、やはりおかしい。
「なあ新...ん?電話だ。」
上杉からだ。なんだ?今日は家庭教師の日じゃないだろ?
「すみません、ちょっとお手洗いに。」
そう言って俺は食卓から離れて森園家の廊下に移動する。
『あ、修斗。今大丈夫か?』
「ああ上杉か。今外だからできれば早めに用事は済ませてくれ。」
あの4人の動向をチェックしたいからな。
『今何か取り込み中なのか?』
別に特段隠す事でもないな。
「ああ、今結婚式のパーティに参加してるんだ。」
『結婚式?!お前結婚するのか?』
な訳ないだろ...。
「違うよ。ていうか俺もなんで参加してるのか分からないんだよ...。」
結局新一や服部君からは蘭達がいないと話せないって言われてるし。
『ああ。明日お前夏祭り来るか?五つ子がお前とまわりたいんだって。』
夏祭りか...。確か明日の夜だったよな?流石に明日の昼頃には帰れるだろ。となるとその時間は暇だな。
「明日の昼には帰れそうだから夜は暇だな。行けたら行くよ。」
『そうか。伝えたいのはそれだけだ。じゃあな。』
そう言って上杉は電話を切ろうとする。夏祭りの事を伝えに電話してきたのか。じゃあ俺も帰ろうと。
「あ、修斗君!そんな隅で何しとんねん!こっち来いや!」
「和葉そんなに引っ張るなよ。あ、上杉それじゃあな!」
まだ切れてなかった電話を切ってから俺はダイニングへと戻る。よかったまだ全員いるな。
──────
「工藤。」
「分かってる服部。あいつを追うぞ。」
修斗のヤツ、食事が終わってから重松さん達を尾行している。...何か掴んだのか?
──────
「坊っちゃま。考え直していただけましたでしょうか...」
3階のとある一室。そこに重松さんと菊人さんが対面する。
「そうだな。俺もあれから色々考えたさ。あんたを殺すってな!」
「なっ!」
菊人さんはナイフを持って重松さんを刺そうと突進する。何か揉め事は起こるだろうとは思っていたがまさかここまでとは...。させない!
「ッ!何だお前!」
俺はナイフを持つ菊人さんの手を蹴り上げ、ナイフを菊人さんから離す。
「訳わかんねーよ...なんであんた結婚を取りやめるように言ったんだ!あんたが俺たちの結婚をまとめてくれたんだろ!」
「重松さん。勘違いをしたんですよね?」
「勘違い?」
「ここでハッキリ話したらどうですか重松さん。菊人さんの行動はあなたにも責任がある。」
俺の言葉が引き金となったのか、重松さんは菊人さんに対して自供を始めた。森園家に足繁く通っていた楓さんの目当てが菊人さんだと勘違いして二人の縁談をまとめてしまった事。そして楓さんの好きな人が桜庭さんだと分かった時には全てが手遅れだった事。直接話せば傷つくと思い、婉曲的にしか言えなかった事。全てを話すと菊人さんは膝をつき涙を流し始めた。
──────
「...修斗。」
「新一と服部君か。」
俺たちの様子を見ていたのか、二人が部屋に入ってくる。
「やるやないかあんた。工藤より先に推理した実力は本物のようだな。あんたがおらんかったら重松はんは殺されとったかもしれん。」
「たまたまだ。あの四人の様子がおかしかったから後をつけただけだ。証拠なんてないし、推理もロジックもない。」
重松さんも菊人さんと和解したようで階段を降りていく。この部屋には今三人しかいない。
「それで?今この部屋には三人しかいない。新一話してくれるな?」
三人だけになれたやっとの機会だ。今が絶好の機会だろ?
「あーだから俺もこいつの事知っとる服部平次やって事や!これからよろしゅーな!」
「それだけ?」
「いや、こいつの事知っとるって毛利の姉ちゃんの前で言えんだろ?」
「...帰る。」
そんな事のために数時間無駄にしたのかよ...。
──────
「で、どう思った。」
「工藤、お前が言った通り、悪人とは思えんな。ま、本当にその組織の人間ならその悪意すら覆い隠しそうだが。」
「正直さっきも言ったが村城がおらんかったら菊人さんが重松はん殺すの止めきれなかったと思うで。それにあの身体能力。あいつ一体何者や。」
コナンキャラと修斗の顔合わせが終わったのでこれからしばらくは五等分メインの進行になりそうです!
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