米花町で五等分   作:マイケルみつお

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更新遅れてすみません...
二乃って対外的には女王様みたいに毅然と振る舞っているけど、本質は違うと思うんですよね...

活動報告にヒロインアンケートを載せています。よろしくお願いします!


21話 米花町で誘拐 / 五等分の気持ち〜side二乃(前編)〜

 「じゃ、そろそろお店に行くわよ。着いてきなさい!」

 

彼女たちはお店の屋上を貸し切って花火を見るらしい。俺も人生初の花火をそんな特等席で見れるとは、すごく楽しみだ。誘ってくれたこいつらに感謝しなければな。

 

 

「そういえばあんたはどうして今日来てくれたの?そこまで花火が楽しみって感じには見えないけど。」

 

「上杉に誘われてな。せっかくだし、お前らと仲良くなるのもいいと思ったし。」

 

 

関わるのであれば仲がいいに越した事はないと思うし。それに結構花火楽しみにしてるぞ…。

 

 

「その店を予約してくれたのも、急に俺たちが来るようになったりで人数変更の手続きをしてくれたのも二乃らしいな。ありがとな。」

 

「そう…。じゃあありがたいと思ってるのなら少し付き合いなさい。」

 

「え?ああまあ別にいいけど。」

 

──────

「で、五月とどこに行ってたのよ。」

 

二乃に連れ出されて少し離れたところに移動した後にそう尋ねられた。四葉や五月と同じような質問だが幸い二乃は零奈モードにはなっていなかった。ほっ、と胸を撫で下ろす。

 

「どこってまあ屋台に行ってただけだぞ。まあ成り行きでな。それにしても五月って凄いんだぜ。あいつの本能というか、センサーというか。あいつか直感に引っかかった屋台は大体美味い。」

 

「それは分かるわ。私たちも出先で飲食店を探す時あの子に頼っているから。」

 

 

やはりそうか。五月と生まれた時から一緒の姉妹の人間が言うのだからやはり間違いないな。あいつとは仲良くしとこ。

 

「そういや美味いもんって言ったらお前が作ったカレーも美味かったぞ。あん時色々あって礼を言いそびれた事思い出してな。」

 

前回は灰原関係でロリコン疑惑をかけられていて感想を言うどころじゃなかったからな。

 

 

「そ、そう?ならまた食べに来なさいよ。あんたなら歓迎するわよ。他の子達も文句はないと思うし。」

 

「そうか?じゃあそん時なったらまた頼むわ。」

 

 

本当に美味しかったしな。許可が得られるのならば喜んで頂くとしよう。そういえばさっきから誰も着いてきてないが大丈夫かな?でもこういう時は変に動かない方がいいか。そのレストランで合流できるだろうし。そう思いながら僕たちはレストランに到着した。

 

「ってやば!あの子達にここの場所伝えてないじゃない!」

 

レストランに着いても合流できるはずもなかった。そして五つ子が揃う前に花火があがってしまう。

 

 

「って電話の充電切れてるじゃない!」

 

「大丈夫だ。上杉に電話をしたら一花を見つけたらしい。四葉と五月もそれぞれ連絡はついてる。レストランの場所も教えた。今こっちに向かってる。」

 

 

三玖はまだ電話に...

 

 

「あっでた!三玖!聞こえるか?」

 

『あ!シュート。よく聞こえな...ちょっ!やめて!助けてシュート!』

 

 

そう残して電話はきれる。再びかけても返答はない。電話口の向こうで行われていた行為。そして今電話に出ない。この行為は...

 

「誘拐、営利誘拐だ...。」

 

心を落ち着かせるため二乃にも聞こえないほどの小さい声で状況を確認する。

 

「ちょっ!あんた!」

 

俺は二乃の静止に言葉を返す事もなく走り出した。

 

──────

〜五等分の気持ち(side二乃前編)〜

 

 「な訳ないだろ...。俺はお前の家庭教師の補佐を彼女達のお父上から頼まれたんだ。」

 

上杉をストーカーの容疑で詰めていた時に三玖と一緒に入ってきた男子。それが村城との出会いだった。

 

「じゃあ勉強始めるぞー」

 

私はこいつらが大嫌いだ。私たち姉妹だけの空間に土足で踏み入る邪魔者。私たちはお母さんが死んじゃった後は五人で生きていくって決めたのよ。あ、六海ちゃんも勿論私たちの大切な妹よ!だから私はあの二人を排除する。

 

「ねえ、あなた達もクッキーいらない?大丈夫、毒とか盛ってないから。クッキー食べてくれたら勉強してもいいよ!」

 

私はクッキーを焼いてから机の中央に置いた。私たち姉妹は全く勉強をしない状態だったから、私のこれを食べたら勉強してもいいという甘言に...釣れた!

 

「ん!美味いな!」

 

何の危機感も持たずにあいつらはクッキーを食べる。特に()()()()()()アイツはよく食べる。そろそろ頃合いか、このクッキーは口の中の水分を持っていく。そろそろ喉が渇いたんじゃない?

 

「わー嬉しいなー!モリモリ食べてくれて!」

 

そう言ってから睡眠薬の入れた水をグラスに注いで二人にあげる。冴えない方のアイツはまたも何も疑わずに飲む。

 

「で、そっちの君もどう?喉渇いたでしょ?はい、お水。」

 

そこまで言うと断るのも難しかったのね、もう片方のアイツも水を手に取り...先に飲んだアイツと同じように机に突っ伏して眠り始めた。

 

「私たち、家庭教師なんていらないの。だから、

 

バイバ〜イ!

 

──────

 「ちょっと二乃!何やってんの?」

「別に。こいつらが土足で私達の家に入り込むから悪いのよ。あんた達もそう思うでしょ?」

 

 

姉妹のみんなはいい子だ。だから悪いとされる行為をした私を許せないんでしょうね。でも私は後悔してないわ!

 

 

「二乃お姉ちゃん、なんて事したの?!」

「む、六海ちゃん?!違うのよ、こいつらが悪くてね。」

 

 

流石に純粋な目で六海ちゃんに言われると心が痛むわね...。

 

「お兄ちゃん達は全然悪くないじゃない!一花お姉ちゃん達もそう思うでしょ?」

 

六海ちゃんが姉妹のみんなにそう呼びかけると

 

 

「そうだよ二乃。確かに家庭教師とかいらないかな?って思ってたけどこれはやりすぎだよ。」

 

「二乃。これはひどい。反省して。」

 

「村城さん達...目、覚ますよね?」

 

 

一花、三玖、四葉が六海ちゃんの意見に乗る。でもいつかあなた達も分かってくれるって信じてるわ!でも...確かに睡眠薬はやり過ぎたわね...。

 

 

「確かにやり過ぎだと思ったわ...でもこれでこいつらももう来ないと思うし...。もう二度とやらないから...。」

「そうか、もうしないんなら今回のは水に流すとしよう。」

 

 

えっ?今の声って...

 

「ちょっ!何であんた起きてんのよ?」

 

眠ったはずのアイツの声に私は驚いて振り返る。

 

「最初に二乃さんが俺たちに話しかけてきた時から胡散臭いとは思っていた。人当たりの良さそうな笑みを浮かべてはいたが敵意は感じられた。おまけに何の脈絡もないのに『毒』だなんて言葉を使うもんだから疑問は確信へと変わった。クッキーは他の姉妹も食べていたから除外するとして、持ってきた水に何らかのものが入っていると予測した。だから飲むフリをして寝たフリをしていた、それだけだ。その事に気付く前に上杉はもう全部飲んでしまっていて間に合わなかったが...。」

 

つらつらと何故自分が眠ってないかを話し始めた。最初から私の異変に気づいてたって事?そしてアイツは更に続ける。

 

 

「分かってるな?これは犯罪だぞ。」

「...。」

 

 

えっ...何?今の。アイツに何かされた訳でもないのに胸を何かで貫かれたようで...うまく息ができない...。

 

──────

 次の日、アイツは学校には来なかったらしい。...私のせいかしらね...。そういえば昨日謝る事もできてなかったわね...。

 

 

「ねえ、ちょっと相談があるんだけど聞いてくれない?」

 

「勿論!リンの悩みなら聞くよ!」

 

 

同級生の会話が聞こえてくる。全く...秘密の相談ならもうちょっと声を抑えなさいよ!けれどその言葉を出す事は相談者、前原さんの質問によって阻まれた。

 

「最近一日中、ある男子の事を考えてしまうんだ。いや、別に好きとかじゃないんだけどね!で、これって何なんだろう?って。」

 

私が悩んでた事じゃない!私もアイツの事なんて別に好きでも何でもないし。

 

 

「いやそれ好きなんじゃ...」

 

「だから好きじゃないって!」

 

「じゃあ気になってるって事じゃない?好きじゃないなら。」

 

 

回答者、前嶋凛さんの回答がふと腑に落ちた。気になる人、それは別に恋愛に限った事じゃないわよね。広い意味で考えればこの前ドラマで見た常に恋人の仇の事を考えてしまうってのも気になる人だし、刑事があいつが犯人じゃないか?って考えるのも気になるって事じゃない。私はあいつの事を好きじゃない、それだけは分かっている。まずは明日、アイツに謝らないと。

 

「明日、学校に来てくれるかしら...」

 

──────

 翌日、私たちは江端さんの運転する車に乗って登校した。そしてその門の近くで私たちの車をジロジロと不躾に見る、昨日一人で家庭教師に来た冴えないアイツが。そしてその隣には

 

「ッ!...。」

 

謝るのよ!昨日からシュミレーションしてきたじゃない!別に私はアイツの事を好きなんじゃない。ただ悪い事をしたからその事を謝るだけ。そう心の中で思っても、私は校門でアイツに謝る事ができなかった。アイツと目が合っただけで心臓が止まるような、喉から出かかった声が何かに遮られてしまったかのように、伝える事ができなかった。何もできずに私は自分の教室へ着いてしまった。

 

 

 

 

 

 どうしてあの時何も言えなかったのよ...。午前中はそればかり考えていた。そして気づいた。心の準備ができていなかっただけだと。さっきはいきなりアイツと対面して心の準備もできてなかったから言えなかっただけなんだと。テストだって準備なしにいきなりこれを解け!って言われると頭が真っ白になるじゃない?それと同じ事よ!だからきちんと心の準備をしてから挑めば...きっと大丈夫!

 

──────

 心の準備はできたわ。

 

「ちょっと...いいかしら。」

 

アイツが廊下にいた。

 

「あまり時間は取らせない。だから、着いてきてくれるかしら...。」

 

そう言って私はアイツを屋上へと連れ出した。アイツと話し始めてから、アイツと目が合ってから胸の鼓動がおかしくなってるけどそれでも声を振り絞るのよ!

 

「この前はごめんなさい!上杉には昨日謝罪したけど、あんたにはまだ謝れてなかったから。」

 

しかし返事はすぐには返ってこない。やっぱり怒ってたのかな?と思い、顔をあげると驚いた様子のアイツの顔が。間近でアイツの顔を見て数段顔が更に熱くなる。

 

 

「あの時も言ったけど、もう二度としないのなら水に流す。けどまあ二乃さんの謝罪は受け取った。」

 

「そう...、ありがとう。」

 

 

それは私の態度に驚いただけで、アイツは私を許してくれた。その事実に胸が暖かくなる。でもこれはただアイツの事が気になっているだけ。アイツの事が好きなわけじゃない。ただアイツの事を何も知らないだけだ。だからアイツの事を知っていく。そしてこの気持ちの理由を見つけるんだ。




Q,あれ?二乃って恋愛暴走機関車だから修斗に対してそんなに悩むかな?
A,後編で回収します

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