五つ子のうち、一花を除いた四人が二乃の待つレストランに集合していた。
「もう!アイツと一花は何してるのよ!もうすぐ花火終わっちゃうわよ!」
簡単に想像がつく事だが二乃はすごく不機嫌である。
「一花...心配。」
考えてみれば三玖は人違いで誘拐もどきをされたのだ。それがもし一花を標的としたものだったのなら...。三玖がそう考えるのも当然だろう。俺がその事を電話で上杉に確認したらはぐらかされてしまったが...。
あいつも一花に危険が迫る状況にも関わらず隠すなんて事はしないと思うので誘拐犯というのは何かの間違いであると考える。
「ん?電話だ。」
着信を確認すると、上杉からだった。俺は周りに告げてから電話に出る。
「どうした上杉。一花に関して何かトラブルでもあったか?」
『いや、まあトラブルって言ったらトラブルなんだが...。そういえば四葉が花火を持っていたと思うがまだ持っているか?』
四葉を見ると大切そうに両手で花火を抱えていた。
「ん?どうかしましたか?村城さん?」
「いや、何でもない。」
電話に戻る。
「大切そうに持っていたぞ。しかしどうして?...花火には間に合わないのか?」
『まあ...そういう事だ。詳しくは後で直接話す。』
「分かった。」
──────
それから一花は姉妹に頭を下げて自分の事を話し出した。実は自分は女優を目指していて今日はオーディションに行っていた事。三玖を一花と勘違いした人は一花の芸能事務所の社長さんで一花をオーディションに連れて行こうとしていただけであるという事。
それを聞いて、各々反応は示したが一花を拒絶する者などいなかった。今は花火の埋め合わせとして四葉が買ってきた花火をみんなで楽しんでいる。...俺と上杉を除いて。
「お前はこんなところまで勉強か。」
「当たり前だ。今日は丸一日勉強する計画だったんだ。今の間に遅れは取り戻さないとな。」
「そうか。暗いとこじゃ目を悪くするからせめて明るいところでやれ。」
こいつに勉強なんてするな、なんて言っても意味がない事は分かっている。だからそう言って上杉を移動させた。今は一人になりたかった。
他の姉妹も上杉も一花を拒絶しなかった。...俺とは違って。何も悪くない一花に役者というだけで拒絶しかかっている自分に嫌悪する。大役者、村城修の息子としてしか見てこないその目はすっかりトラウマとなっていた。だから俺は映画もドラマも見ない。二人が出演する作品を除いて。
そういえばシャロンから最近連絡来ないな。ついこの前までは過保護なほど連絡がきていたが。俺も自立できた、って事なのかな?
そんな事を考えながら花火を見ていた時だった。
「ん、また電話か。」
着信に書かれていた名前を見て目を疑った。名前は当然知っているが直接話したことなどなかったから。
『クリス・ヴィンヤード』
シャロンの娘の名前がそこには書かれていた。
──────
電話に出て、なんて彼女に返したのか覚えていない。ただ告げられた一言だけが頭の中でこだましていた。
「昨日、母が亡くなりました。」
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