活動報告にヒロインアンケートを載せています。回答よろしくお願いします!
「あ、博士。アレができたって聞きましたけど」
夏休み最終日。俺は博士の家へと足を運んでいた。
「おー修斗君! 待っておったぞ。ほれ、少し待ってなさい」
そう言って博士は奥の開発室の方へ向かって行く。
「待たせたの。ほれ、これじゃ。...ん? ちょっと失礼」
そう伝えると博士はかかってきた電話に応答する。その間に俺は発明品を確認する。やっぱすげぇな。まだお願いしてからそんなに経ってないのに。一番難しいのは長距離にも耐えゆる重さと大きさ。しかしそれを完全にクリアしている。流石の技術力だ。
「すまんの修斗君。新一にちょっと呼ばれての。使い方とかはその紙に書いとるから何か分からんかったら聞いてくれ」
「あれ、結構時間かかる感じ?」
帰ってきてからでも聞こうかなって思ってたんだけど。
「何でも急いで来てくれ、って言われてのう。どうにも危機迫った感じゃったわい」
「...。今日はこの後何もないから何かあったら言ってくれ」
それだけ伝えると博士は急いでハンガーとペンチを持ってビートルに乗り込んだ。俺も博士の家を出る。
──────
「ここは...」
目を覚ました灰原は辺りを見渡し、そして自分がどういう状況なのかを記憶と照らし合わせて思い出す。
『灰原!』
「ッ! 工藤君!」
『やっと繋がったか。今はお前のメガネに仕込んでいたマイクとスピーカーを使って交信しているんだ。会場前の廊下で何があった?』
(小学校からの帰り道でジンの車を見つけてこの杯戸シティホテルに来たんだったわね。そしてそこでピスコが殺人を犯してその混乱に乗じて...)
「睡眠薬を嗅がされてこの酒蔵に拉致されたのよ。...おそらく組織のピスコに」
コナンと通話をしながら灰原は辺りに置かれていたパソコンを調べる。
「やっぱり間違いないわ。組織のデータベースにアクセスして私の顔を確認していたみたい」
『おい! まさか今そいつ、側にいるんじゃねーだろうな?』
「いいえ。じゃないとこうしてあなたと話せないわ。まあご丁寧に鍵がかかっているから脱出もできないのだけど」
『そうか。じゃあ扉以外に何か脱出手段がないか急いで探せ! 何か手を打たねぇと』
「……いい、工藤君。時間もないから一度しか言わないわ。聞きなさい。私たちの身体を幼児化させたあの薬、APTX4869はアポトーシス、つまりプログラム細胞死の事。そう、細胞は自らを殺す機能を持っていて、それを抑制するシグナルによって生存してるって訳」
灰原のその最期の言葉と言うべき口調にコナンは息を呑む。
「ただこの薬はアポトーシスを誘導するだけではなく、テロメラーゼ活性も持っていて細胞の増殖能力を高める」
『やめろ灰原! そんな話は後で聞いてやる!』
「分からないの!? これが最期なのよ。仮にこの場を何とかしたとしても意味がないわ」
(そう、私が幼児化したこの姿であるにも関わらず組織に連れ去られたのであれば。組織が私が幼児化したと気づいたのであればもう時間の問題)
「あなたと、それからあなたの友人に伝えておいてくれないかしら。こんな私を仲間と言ってくれてありがとう、って」
「灰原!」
(くそ、何とかしねぇと! 知恵を絞れ! 仮に何かあっても子どもの体型じゃできる事は限られてる! ……子ども? そういえば灰原のやつ、酒蔵に閉じ込められてるって言ってたよな?)
「灰原。そこにパイカルって酒はないか? 確かオメー、今朝から風邪っぽかっただろ? 飲んでみろ」
──────
(灰原もパイカルを飲んで大人の姿になったはずだ。これで奴らが来る前に暖炉から抜け出せれば!)
「おい新一! あれを見ろ!」
博士が指差した先には黒の服を纏った銀髪とサングラスをかけた男が。
「ジン……ウォッカ!」
(クソ、灰原が使っていたパソコンに発信器でも仕掛けられていたか?)
「博士! 俺は煙突の先であいつを回収してくる!」
──────
コナンがビートルを飛び出し、杯戸シティホテルの屋上に向かっている間、灰原、いや宮野志保は博士と交信を続けていた。
「で、出たわよ」
「よくやった哀君。すぐに新一が迎えにくるからそこで大人しくそこで待っていなさい」
「大丈夫よ。どうせ動きたくても身体がダルくて動けないか……ッ!」
右肩が焼けるように熱い。飛び散る鮮血が辺り一面の白い床を緋色に染める。志保は……撃たれた。
「会いたかったぜぇ……シェリー!」
(はぁ、はぁ。灰原の傷はまだ浅いまだ間に合う)
そして屋上に到着したのはジンとウォッカだけではなかった。コナンは時計型麻酔銃をジンに構える。
(喰らえッ!)
「兄貴! 危ない!」
しかし麻酔銃が月光に反射した光を後ろに控えていたウォッカに気づかれてしまう。麻酔針はジンには当たらずウォッカに当たってしまう。
「そこか!」
「グワァッ!」
麻酔針が飛んできた方向に対して即座に発砲。ジンは確かな手応えを感じた。止めは後で刺せる。ジンはウォッカの反応をみる。
(針……? ウォッカはただ眠っているだけか。麻酔効果が塗られた針を飛ばしたのか。シェリーに抱き込まれた協力者、という訳か)
「馬鹿なやつだ。この女に協力なんてしたためにもう生きられねぇ。シェリー。俺は優しいやつでな。お前が巻き込んだ協力者の死に面を見ねぇよう、お前から逝かせてやる。先に逝った姉の元へな」
そう言って銃口を向ける。
(私もここまでね。工藤君……私が巻き込んでしまったばっかりにごめんなさい……お姉ちゃん!)
しかし引き金を引く前に倒れたのはジンの方だった。ジンはウォッカと同じように眠っていた。
(工藤君の麻酔銃は一発限り。さっきウォッカに撃ったので終わりなはず)
「だったら誰?」
『俺だ』
志保のメガネのスピーカーから聞こえたのは修斗の声だった。
──────
博士からブツ、麻酔効果が付与された弾丸を受け取った俺は自宅ですぐ出れる用意をしていた。零奈さんはいない。
「何か嫌な予感がしていたんだ」
そしてその予感はよく当たる。
『修斗君か! 哀君が……哀君が組織に捕まった!』
「クソッ!」
俺は博士に言われた場所へとバイクで急いだ。
──────
杯戸シティホテルに向かう最中、博士によって最新の情報を得ていた。
「シティホテルの旧館か……何もなければ新一が回収して終わりだ。だけどあのジンが酒蔵にいた灰原を見逃すとは思えない...。それなら屋上を狙える場所へ!」
俺にFBIのシルバーブレッドと呼ばれる赤井秀一ほどの遠距離狙撃能力はない。下から見上げる形での狙撃もできない。本来俺は狙撃タイプではなく近距離での早撃ち、射撃タイプだからである。だがそんな俺でもこの杯戸シティホテル別館からの狙撃ならできる。
新館は今殺人事件の捜査でむしろ俺が警察に捕まってしまうかもしれないが旧館と対面に位置するこの別館に今はほぼ人はいない。
「ッ! 灰原!」
俺が別館の屋上に辿り着くとジンが大人の姿になった灰原に銃口を突きつけている。ウォッカは眠っており新一は足を撃たれて動けないでいる。急げ! 後悔する前に!
「喰らえ!」
ジンが引き金を引くより先に奴の首筋へ弾丸が命中し、ジンは灰原の前で眠りに落ちた。
──────
「無事か? 灰原! 新一!」
ジンを狙撃した後、俺は急いで旧館の屋上へと向かった。ジンとウォッカはまだ目覚めておらず灰原は肩を撃たれてはいるが命に別状はない。新一も足を掠めただけでこちらも大丈夫だ。零奈さんに警察を呼んでもらうように頼んだ。こいつらを拘束した後は下でピスコを捕まえて終わりだ!
そう、安堵していた時
「ッ!」
コツ、コツっと屋上への階段を上る何者かの足音が響く。まさかピスコか?
「灰原! 煙突の中に隠れろ!」
新一も煙突の陰に隠れさせ俺も身を潜める。...が、そんな事は必要なく。
「あれ、修斗君じゃないか!」
「高木刑事! どうしてここに?」
足音の主は俺もよく知る高木刑事だった。
「いや、コナン君が旧館に向かったってホテルの人に言われてね。気になって探していたんだ。ってコナン君! どうしたんだいその傷は?」
「いや、たまたま通り魔に遭ってですね。そこの黒い服を着ている二人なんですが。何とか制圧したみたいな感じです。かなり凶暴な犯人だったので応援を呼んで拘束してもらえませんか?」
「とりあえずこの二人に手錠をかけて、と」
ジンとウォッカの二人に手錠がかけられた。ついに...やったんだ! 父さん! 母さん! 姉貴! ...いやまだだ! 足音がピスコじゃないとしたらピスコは今頃下の酒蔵に。灰原が煙突で下に行っていたな。早く追いかけないと!
「じゃあ高木刑事よろしくお願いします!」
──────
「やれやれ、ウォッカはともかく、まさかジンがやられるなんてね。流石私の......それじゃあジン、ボスからの指令は代わりに私がやってあげるわ」
煙突から小さくない騒ぎが止んだ後で私も下に降りる。老いたピスコには直接の戦闘力はない。遅れをとる事はないわね。
「やっぱり」
煙突を辿って下に降りるとその酒蔵にいるのは眠ったピスコ一人のみ。シェリーとシルバーブレッドは修斗によってこの部屋の外。ボスからの命令はピスコの始末。
「カルバドス、やって」
「分かった」
眠っている相手の息の根を止める事など造作もない。
原作だとジンに麻酔針命中させただけでコナンは安心してるけどウォッカも仕留めないと意味ないと思うんだよな。
ベルモットは修斗と出会って以降、直接手を下さないようにはしている。まあだからと言ってあんまり変わらないような気もするけど
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