ただ彼女達は修斗がいれば真面目に勉強はしていたので原作より点数は高くなります。一花も風太郎に加えて修斗が加わったため点数が上がりました。
中間テストも無事に終わり、今日テストが返却された。そして放課後になって図書館に全員が集まる。今日が家庭教師最後の日だろう。短かったが色々あったな。
「中間テストが終わった。...まずは結果を見せてくれ」
何かを決意したような口調で上杉が話し始めるがその理由を知らないため、五つ子は何の躊躇いも持たず点数を開示する。
「こんなに高い点数を取れたのは初めてです!」
中野四葉
国語36点 数学15点 理科22点 社会30点 英語19点 合計122点
「社会はよく取れた。国語と理科と英語は赤点...。反省」
中野三玖
国語26点 数学32点 理科29点 社会69点 英語20点 合計176点
「まっ、こんなもんかなー」
中野一花
国語20点 数学39点 理科26点 社会22点 英語29点 合計136点
「言っとくけど手は抜いてないから」
中野二乃
国語24点 数学26点 理科31点 社会30点 英語51点 合計162点
「残念ですが、全ての科目で30点を超える事はできませんでした」
中野五月
国語30点 数学24点 理科57点 社会31点 英語25点 合計167点
「改めてお前らの頭の悪さを実感して落ち込むよ」
上杉は五つ子の結果を聞いてげんなりとしている。俺的には最初考えていたよりむしろ点数高かったなぁと思ったぐらいだけど。だとしても赤点回避失敗という結果は変わらない。俺たちはクビ、だろう。上杉は覚悟していたのか結果を知っても露骨に顔に出す事はしなかった。
「ん、電話だ」
上杉の携帯からバイブ音が鳴る。おそらく彼女達の父親だろう。上杉はここが図書室であるにも関わらずそのまま電話をとる。
「...もしもし。
はい。四葉は...三玖は...」
上杉は電話先の相手に対して五つ子の点数を言っていく。電話先の人の声は聴こえないが彼女達の父である事に間違いないだろう。
「えっ! あ、分かりました」
五人の点数を伝えた上で上杉は突然驚いた声を出した。
「修斗。お前に電話を代わりたいらしい」
俺にも? まあ俺も一応補佐ではあるが雇われの身ではあったしね。俺は上杉から電話を受け取り、耳に当てる。
「もしもし。代わりました。村城です」
『こうして直接話すのは初めてだったね、村城君』
バリトンの効いた、低くて渋い声。間違いなく彼女達の父、中野マルオさんだ。
『今、上杉君から娘達の結果を聞いたよ。今回のミッション。上杉君から話は聞いているかい?』
「はい。彼女達の誰かが一人でも赤点を取れば解雇、という話でしたね」
ガタッと机が動く音がしたが振り返らず会話に集中する。
『そうだね。私も大切な娘を預ける身として君達の実力を知りたくてね。いきなり試すような事をしたのは申し訳なかったよ』
「いえ。中野さんのお気持ちも当然だと思います。ご期待に応えられず、申し訳ありませんでした」
画面越しで言葉しか届かないとは言え、俺は頭を下げる。
『僕も娘達の実力は知っている。その事を考えれば今回の点数は...君達が凄く頑張ってくれた事は分かったよ』
「ありがとうございます。ですが約束ですから。自分達はもう──」
『いや。正直に言えば今回のミッション。娘達の実力を考えればおそらく誰が家庭教師でも難しかっただろう。...私でもね』
俺の言葉を遮るようにしてそう言われる。あれがほぼ不可能に近い事は中野さんも分かってたのか。じゃあなんでそんなミッションを...? ああ、俺たちをクビにするためか。いや、それなら何でその事を? 中野さんの意図が全く読めず俺は考え込んでしまう。
『少し混乱させてしまったようだね。今回のミッション。僕はクリアできるかどうかではなく、この状況からどれだけ点数を上げられるか。不可能と思えるような状態でどれだけ娘達のために頑張ってくれるかを確かめたかったという訳さ。
上杉君から娘達の点数は聞いたよ。僕はこれからも娘達をお願いしたいと思っている』
「え...」
困ります、とは流石に言えなかった。
「ちょっとアンタ! その...家庭教師は...」
その後も会話はあったが話も終わり、電話を切ると五つ子が俺と上杉を心配そうに見つめていた。今にも飛びかかりそうな勢いだがここが図書室であるという事からか我慢してくれていた。
「上杉。ミッションの事があったが明日からも家庭教師続行らしい」
それに自分のクビがかかっている上杉も心配そうな顔をしていた。俺は上杉に伝える事によって間接的に五つ子にも聞こえるように中野さんに告げられた言葉を伝えた。
──────
「何でその事言ってくれなかったのよ!」
「そうですよ! 話してくれてもよかったじゃないですか!」
「修斗...そんなに大事な事...話して欲しかった」
「私だって...怒ってるんですよ!」
場所を移して中野家。というより半ば連行されるように。議題、としてはどうして赤点を取れば家庭教師をクビだなんて重要情報を黙っていたのかという事についての追求である。
「お姉さんも話して欲しかったなぁ」
俺と上杉は正座させられ、五つ子を見上げる形で説教を受けている。零奈さんは...いないな。多分また少年探偵団に巻き込まれてるのかな? ...いや、意外にノリノリかも。
「ちょっと? アンタ人の話聞いてるの?」
「...ちゃんと聞いてるよ」
実は聞き流していたが馬鹿正直に答えるアホなどいないだろう。
「それにさっきも言ったがミッションの事を言ってたらどうなってた? 余計な緊張するかもしれないだろ?」
「「「「......」」」」
「一点でも多く点を取らせる家庭教師という立場じゃ、当然の決断だったと思うぞ。」
「...分かったわよ」
本心では家庭教師を辞める気満々であったが口から出任せで五つ子を言いくるめた。若干の罪悪感、そして自己嫌悪に陥りながらも。しかし心に余裕は残っていなかった。俺の頭では最後に電話で中野さんが告げた言葉が反芻していたから。
『まあ、家庭教師続投の件は上杉君に言ってもいい事だ。どうしてわざわざ君に代わってもらったのか。まず、僕は彼女達の実の父親ではない』
それは知っている。彼女達の母親は零奈さんで父親はあのクソ野郎だ。小心者で臆病で、そのくせ傲慢なクソ野郎。直接的...ではないがそれでも両親の仇だ。
『だが僕は娘を、本当の娘だと思っている。彼女達の母親...僕の妻は八年前に亡くなったとされている』
幼児化して六海と名乗っている零奈さんだが対外的には死亡したと見なされている。対外的にはホテル火災に巻き込まれた事になっていたはず。
『だけど遺体は残ってなくてね。他にも色々あって僕も調べてみたんだ。...だからと言って娘達を放置した事が許されるとは思ってないけどね』
正直中野さんは自分の仕事で五つ子を放置してると思ってたんだが...。だがそれよりも...
『...君も家内の事件、何か知ってると思ってね』
「!?」
何を気づかれた。零奈さんが六海だという事は気づいてないだろう。正直中野さんが何を根拠に言ってきたのかが分からない。ハッタリの可能性も考えられるが...分からない。
「すみません。何の事だか...」
『そうだったね。今そこには娘達と上杉君もいたね。それにこんな事は電話で話す事ではない。一度君とはじっくりとお話をしてみたいよ』
「...ではいつの日か」
『そのいつかを楽しみにしているよ』
その言葉を最後に電話は切れた。
あの人はどこまで知っている?
マルオは修斗や零奈のように組織の事を知っている訳ではありません。彼は零奈の事件に偶然疑問を持って調べる内にこれは何か裏がある、と気づいただけに留まってます。組織の存在についても零奈の真相も知りません。もしかしたら後に番外編みたいなのでマルオの冒険を描くかもしれませんが()
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