紙束の決闘者   作:藤岡優介

4 / 4
長いこと更新できずすいませんでした。
今回は出来が微妙です。

・ゲシュタルト崩壊するクロノスの語尾
・見つからない紙束
・DODおもしろい


第4話

明晰夢。

 

夢であると言う事が認識出来る夢。

 

あれを初めて味わったのは何時だったか。初めて見たときは寝た気持ちにならなくて損をしている様な気持ちだったのを覚えている。

 

なぜ、俺が今明晰夢の話なんかをしているかと言うと現在明晰夢の中に居るからである。

 

遥かに広がる大自然。空を駆け抜けるモリンフェン、カクタス、シーホース。

 

・・・・・・夢は夢でも紙束のディストピアだったらしい。何故夢の中まで紙束なんだろうか。ここはもう少し使えるカードが出てきてくれても良いじゃないか。別に俺は紙束が嫌いな訳じゃない。

 

だが、この夢に登場しているのは綺麗に俺の紙束デッキの存在ばかり。夢の癖にかなりリアルな夢だ。

 

 

そんな時、遥か上空から光が飛来する。光は俺のすぐ目の前に墜落し、何事かと身をすくめた。

 

光が形を成していくとそれはブラック・マジシャンだった。

 

ブラック・マジシャン

通常モンスター 星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2100 魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

 

あれ?今まで俺のデッキのモンスターしかでてなかった筈なんだが・・・・・・俺の願いが反映されたのか?

 

考え事をしているとブラック・マジシャンは俺に頭を下げる。

 

「お久し振りです。小波殿。私、マハードでございます」

 

ああ、なるほど。マハードさんか。久し振りだなぁ。

 

マハードさんはプロのコスプレイヤーで星のお兄さんの友達らしく、そのコスプレイヤーっぷりは弟子が居るほどらしい。

夢に知り合いが出てくるとは、今度の休暇に星のお兄さんとデュエルをしようかな。

 

「所でこちらにマナが来ていませんか? マスターの所を抜け出して此方に向かったので追い掛けてきたのですが」

 

マナというのは確かマハードさんの弟子だったかな?彼女は彼女でレベルの高いコスプレイヤーだったな。完璧にブラックマジシャン・ガールと言われても違和感が無いほど似合っていた。

 

何かしつこく火力2000のレベル6闇属性魔法使い族はどうかと聞いて来たのが印象的だった。

 

モリンフェンと比べたら雲泥の差なのでデッキにあったら有り難いと答えると上機嫌に去って行った解らん人だが。

 

しかし、夢には出てないなぁ。

 

最近、ブラックマジシャン・ガールのカードは拾ったが・・・・・・

 

「そうですか。知りませんか・・・・・・ありがとうございました! 私はこれにて! ・・・・・・あの馬鹿弟子が。見つけ出したら死のマジックボックス送りだ・・・・・・!」

 

また、光に包まれ飛び去るマハードさん。やはり、夢だなぁ。こんな突飛な物を見るのは本当に久し振りだ。これは久々に良いことがある予兆かもしれないな。

 

そんな甘い考えは登校した瞬間から吹き飛ぶ事を知らなかった。

 

 

「E・HEROサンダージャイアントでダイレクトアタック! 『ボルティック・サンダー』!」

 

「キャアアア!」

 

天上院LP1200→0

 

 

まだ太陽が顔を出してまもないと言うのにレッド寮の前では遊城と天上院がデュエルをしていた。

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」

 

・・・・・・と言うか時々ソリッドビジョンが実体化している気がするんだが。

 

「お! 小波、おはよう!」

 

遊城が俺の存在に気づいたようだ。

 

「いやー、ありがとうな。小波。明日香に俺の事を教えてくれたんだろ?」

 

何を言ってるんだ?

遊城は?

とりあえず、流しておこう。

 

「・・・・・・ああ、それでデュエルはどうだったんだ? 朝がお前は苦手だったんだろ?」

 

丸藤と一緒に何度か遅刻仕掛けてるのを見たことがある。

 

「ああ! でも、デュエルの為なら眠気なんて吹っ飛ぶさ」

 

なるほど、気持ちは解らなくはないな。

しばらく、話していると天上院が此方へと歩いてきた。

 

「・・・・・・強いわね、君。あら、小波も居たのね」

 

今起きたばかりだからな。

天上院は軽く伸びをする。

 

「うーん・・・・・・よし、満足したわ。これで私にも目標が出来たわ。あなた達を追い越さないとね。私があなた達に勝つまで負けてくれないでね?」

 

それじゃあと手を振って天上院は女子寮へと戻って行った。

 

何だったんだ?

あいつ。

 

「ふあーあ・・・・・・デュエルが終わったら眠気が出てきた。悪い小波一旦部屋に戻って寝るわ」

 

そう言って部屋に戻って行く遊城は確実に遅刻するであろうと言う確信が俺の中にあったのは些細な事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、オベリスクブルーの生徒達の間で密かに囁かれる噂があった。オベリスクブルーでもトップクラスの生徒に勝ち続けるオシリスレッドの生徒の噂。実際負けた所を見た奴もいれば、本人が公言している場合もある。その噂を快くは思わない者がいた。

 

 

「この噂は何なノーネ!」

 

クロノス=メディッチ。

 

デュエルアカデミアに置ける実技の最高責任者その人である。

 

「オベリスクブルーの優秀な生徒タチーガ! オシリスレッドに負けるナンーテ、あり得ないノーネ!」

 

ハンカチを噛みしめ怒りのままに引きちぎる。噂の生徒は万丈目準に天上院明日香。

 

片や中等部トップクラスの成績を誇り。

さらに片や女子生徒の中では最強と言っても過言では無い生徒達だ。

 

自分自身教師として太鼓判を押して認める程強い生徒。そう簡単に負ける筈がない。卑怯な手を使われたのでは・・・・・・そんな疑問が渦巻く。

 

 

「ウムムム! こうはしてられないノーネ!」

 

今日の授業は一時限目からデュエルモンスターの実技訓練。これを利用しない手はない。

 

「そのオシリスレッドの生徒の鼻っ柱を叩き折ってやるノーネ! ゴルゴンゾーラ!」

 

小波の預り知らぬ所で災難は加速する。

 

 

 

 

 

一時限目。今日はデュエルモンスターの実技訓練。俺としては色んな奴と、デュエルはしたいが基本的にオシリスレッドの生徒が相手らしい。

 

遊城以外なら誰でもいいがな。

 

だって、勝てる気がしないんだよなぁ。

生徒は番号札を持った生徒と持っていない生徒に分けられて整列している。

 

整列表に書いてある俺の名前は最後尾だった。

 

 

・・・・・・普通名前順じゃないのか。

 

 

「番号を持っていない生徒は、この箱の中に入っているクジを引いてその番号の相手とデュエルするノーネ!」

 

実技訓練担当者のクロノス教諭が箱を持ってこちらに来る。

 

オベリスクブルー、ラーイエローの生徒がクジを引いていき、最後にオシリスレッドの生徒が引いていく。

 

そして俺の前まで箱が来た時、クロノス教諭が箱を奪い取った。

 

「ワターシとしたことが、クジの数を間違えたノーネ! 枚数が足らなかったノーネ!」

 

 

俺の見間違えでなければ後、1枚残って無かったか?多分、遅刻している十代の分。

 

「しかーし、このままでは授業不参加となって単位が貰えなくなってしまうノーネ。これではあまりに可哀想なノーネ」

 

涙を流しながらハンカチを噛みしめるクロノス教諭。若干、白々しい気がするんだが気のせいだろうか。

 

 

「そうなノーネ! セネョール小波の相手は私が直々にしまスーノ!」

 

その言葉を聞いた他の生徒たちは騒然とする。

 

『おい、あのオシリスレッドの奴。クロノス先生とデュエルするらしいぞ!』

 

『あーあ、可哀想に3ターンも持たないだろうな』

 

『いや、待てよ。あの室内でも頑なに帽子を外してないオシリスレッドの生徒だろ? 噂の・・・・・・』

 

色々と聞こえてくるが何なんだろうか。

 

 

「心配しなくテーモ、手加減はしてあげるノーネ」

 

おお、流石実技担当者。まぁ、手加減は当たり前だよな。

 

 

「ありがとうございます。胸を借りる気持ちで挑ませてもらいます」

 

「宜しい。では、一瞬で終わらせるノーネ。早くデュエルフィールドに移動するノーネ!」

 

あれ、手加減は?

 

 

俺は疑問を抱きつつもデュエルフィールドにあがった。周りの生徒達は観客席に座る。

 

「「デュエル!」」

 

クロノスLP4000

小波LP4000

 

 

「先攻は私なノーネ! ドロー!」

 

 

さてクロノス教諭はどんなデッキを使っているのか・・・・・・間違っても俺の様なデッキでは無いだろうな。

 

「私はフィールド魔法『歯車街』を発動なノーネ!」

 

え?

 

歯車街 フィールド魔法 「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターを召喚する場合に 必要なリリースを1体少なくする事ができる。 このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の手札・デッキ・墓地から 「アンティーク・ギア」と名のついたモンスター1体を選んで特殊召喚できる。

 

クロノス教諭がカードをセットすると同時に鉄と歯車で出来た街がフィールドを埋め尽くす。

 

おいおいマジかよ!

 

このカードを出してきたってことはクロノス教諭のデッキってアンティーク・ギアか!

 

しかも、このフィールド魔法を破壊したら大型のモンスターを特殊召喚出来る!

 

迂闊に破壊できねぇ!

破壊するカード無いけどな!

 

「さらにカードを二枚セットするノーネ! そして魔法カード『大嵐』を発動するノーネ!」

 

大嵐 通常魔法 フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

制限カードの大嵐だと!

 

そんなうらやましいカード入れてるとはな!瞬間、フィールドを強風が巻き上げ鉄の街と二枚の伏せカードを吹き飛ばす。

 

しかし、歯車街を自壊させるのは判って居たが伏せカードも何故「そして、破壊された『歯車街』と二枚の『黄金の邪神像』の効果を発動なノーネ!」意味が無いわけ無いですよねー!

 

黄金の邪神像 通常罠 セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、 自分フィールド上に「邪神トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守1000)1体を 特殊召喚する。

 

 

フィールドには黄金の邪神像が二体姿を表す。

 

 

「歯車街の効果でモンスターをデッキから呼び出すノーネ。現れるノーネ! 現れよ『古代の機械巨竜』!」

 

地面を引き裂き、鉄と鉄の擦れ、軋む音と共にそのドラゴンはフィールドに産声を上げた。

 

『バッキャルオオオン!!』

 

古代の機械巨竜 効果モンスター 星8/地属性/機械族/攻3000/守2000 このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。 このカードの召喚のためにリリースしたモンスターによって以下の効果を得る。 ●グリーン・ガジェット:このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、 その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。 ●レッド・ガジェット:このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、 相手ライフに400ポイントダメージを与える。 ●イエロー・ガジェット:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、 相手ライフに600ポイントダメージを与える。

 

こいつはイエロー・ガジェットなどのガジェットモンスターとの効果でシナジーがあるがそんな物はおまけ。重要な事ではないんだ。実際、あの効果を使ってるやつ見たこと無いから。歯車街の効果でポンポン出てくる3000の攻撃力が問題なのだ。

 

 

『す、すげぇ・・・・・・生け贄も無しに攻撃力3000のモンスターを・・・・・・』

 

『それも1ターン目から、流石クロノス先生だ』

 

外野が驚きふためくのはいつもの事だ。なに、一体ブルーアイズが出てきただけだ。・・・・・・無理ゲじゃね?

 

「この程度で驚いたらダメなノーネ! さらーに私は邪神トークン二体を生け贄に『古代の機械巨人』を召喚なノーネ!」

 

地面が砕け、その中から古代の騎士が装備していたような鎧を模した機械巨人が姿を表す。

 

古代の機械巨人 効果モンスター 星8/地属性/機械族/攻3000/守3000 このカードは特殊召喚できない。 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、 このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。 このカードが攻撃する場合、 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

また、攻撃力3000のモンスター・・・・・・だと。この連続召喚には生徒たちも言葉が出ないようだな。

 

まぁ、ブルーアイズ三体融合→アルティメット→融合解除で四連打される程じゃないからましです。

 

「オーホホ! グゥの音も出ないようなノーネ! さらにワターシは1枚カードを伏せーてターンエンドなノーネ! サレンダーするなら今のうちなノーネ!」

 

いや、手加減は?

 

 

とりあえずカードを引いてから考えよう。この状況を突破するには攻撃力3000以上か守備力3000以上のモンスターを召喚するか、除去カードを引き当てるしかない!

 

 

「俺の・・・・・・ターン! ドロー!」

 

 

神々しくも表れたカードは・・・・・・伝説の紙だった。

 

 

コカローチ・ナイト

 

効果モンスター 星3/地属性/昆虫族/攻 800/守 900 このカードが墓地へ送られた時、 このカードはデッキの一番上に戻る。

 

 

このカードはその圧倒的パワーにより使うものが存在しないカード。

 

 

嘘だが。

 

このカードは、あまりにも要らない効果を持っているために使われないと言うモリンフェン等とは違う意味で恐ろしいカードだ。

 

このカードは墓地に送られた時、デッキトップに戻ると言う効果を持っているのだ。

つまり、このコカローチ・ナイトが墓地に送られた次のターンのドローカードはコカローチ・ナイト。

 

また、送られた場合もコカローチ・ナイト。つまりセルフデッキロックだ。

 

女王様の生け贄に困らない所か涙目ではすまない。

 

専用のデッキを組めば強いと言う妄言を垂れ流す決闘者がいたらしいが生憎と専用のデッキではない。

 

しかもこんな低ステータスのカードを出せばそれだけで古代の機械巨人の貫通効果で終わる。

 

仕方ないが手札に残って貰おう。

 

「俺はモンスターをセット! カードを4枚伏せてターンエンド!」

 

俺のフィールドに現れる五枚の伏せられたカードのソリッドビジョン。

 

コカローチを残してガン伏せである。

 

「オホーホ! まだセニョール小波のターンは終わりではないノーネ! エンドフェイズに伏せていた速攻魔法『サイクロン』を発動ナノーネ! 真ん中の伏せカードを破壊するノーネ!」

 

え、エンドサイクだと・・・・・・!

 

星のお兄さんですら使わないような高等技術を持ち出してきたな!デュエルモンスターズのルールではカードを伏せたターンに仕様することは出来ないためエンドフェイズにサイクロンなどの魔法・罠を破壊する系統のカードを使用されるとなすすべもなく墓地へと直行してしまう。

 

お馴染みの竜巻が発生し、俺のフィールドのカードを粉々にする。しかし、運が悪いなクロノス教諭。ものの見事に地雷を踏み抜いたぞ!

 

 

「俺の破壊されたカードは・・・・・・モンスターカード!『白銀のスナイパー』!」

 

 

破壊されたカードの破片の中から防寒装備をしたスナイパーが現れる。

 

 

「魔法・罠ゾーンにモンスターカードなんてあり得ないノーネ!」

 

そう、白銀のスナイパーはかなり珍しいカードだ。罠カードの様に伏せて使用するモンスターカードなんて殆んど存在しない。

 

「白銀のスナイパーは魔法・罠ゾーンにセットし、相手によって破壊されることで初めて効果を発揮するカード・・・・・・破壊されたターンのエンドフェイズに特殊召喚する事が出来る。破壊されたのは俺のエンドフェイズ。よって俺は守備表示で白銀のスナイパーを特殊召喚する」

 

地面に伏せ、スナイパーライフルを構える白銀のスナイパー。白銀のスナイパー守備力1300。その姿を見てクロノス教諭は笑った。

 

「運良く壁モンスターを増やせたようデスーガ、セニョールの運命は変わらないノーネ! うひょひょひょひょ!」

 

残念だがそう上手くは行かない。

 

「白銀のスナイパーの効果発動! 特殊召喚成功時に相手フィールドのモンスターを一体破壊する! 『白き兇弾』!」

 

 

「ファッ!?」

 

スナイパーライフルから放たれた弾丸は巨大な巨人の眉間を貫く。この間0.08秒・・・・・・か、どうかは解らないが取り敢えず巨人撃破。

 

 

「ワターシの、古代の機械巨人がァー!」

 

白銀のスナイパー

効果モンスター 星4/地属性/戦士族/攻1500/守1300 このカードは魔法カード扱いとして 手札から 魔法&罠カードゾーンにセットできる。 魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが 相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、 このカードを墓地から特殊召喚し、 相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 

しかし、このカード効果発動が相手依存だから恐ろしい。このご時世、魔法・罠の除去カードを積んでいる決闘者はほとんどいない。

 

下手したらフィールド内で置物と化していたからな。

 

「だがしかーし! 私ーノフィールドには古代の機械巨竜が残っているノーネ! すぐーにLPを0にしてあげるノーネ!」

 

高らかに告げるクロノス先生。

 

しかし、それはどうかな?

 

 

やっぱり俺って(一部の)カードに選ばれ過ぎぃ!

 

 

「ワターシのターン! ドロー!」

 

この瞬間、伏せられた罠カードが効果を起動する!

 

「そのドロー時に罠カード発動!」

 

「何ですート!?」

 

そう、このタイミングならクロノス先生の妨害は入らない。確実にこのカードは通る!

 

「発動するカードは・・・・・・『はさみ撃ち』!」

 

瞬間、クロノス先生の顔は驚愕に染まる。

 

「ひょ!? はさみ撃ちデスーノ!?」

 

デュエルモンスターズにはアドバンテージという理論がある。例えば、「1枚のカードで2枚のカードを破壊した」とか、「1枚のカードで2枚ドローした」時がわかりやすい。

 

 

 前者は自分のカード1枚で相手の2枚のカードを失わせたのでカード1枚分、得をしたことになる。

 後者は自分のカード1枚が自分の手札2枚に増えたのでカード1枚分、得をしたことになる。つまり、アドバンテージを稼ぐカードをデッキに入れたり、稼ぐようにプレイングすればそれだけ有利にデュエルを進める事ができる訳だ。

 

だが全てのカードがアドバンテージを稼げるわけではない。数あるデュエルモンスターズの中でも今俺が発動したカード。

 

はさみ撃ちは伝説級のディスアドバンテージカードである。

 

はさみ撃ち

通常罠 自分フィールド上に存在するモンスター2体と 相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する。

 

つまりこのカードは自分のカード三枚で相手のカード一枚を破壊する驚愕の3対1交換。

 

しかも、魔法・罠を選択できずモンスターのみという嫌がらせ。

 

一枚でフィールドのモンスター全てを破壊する効果のカードがある中この有り様である。

 

開発者出てこいよ!

 

「何故でスーノ!? そんな実用性のないカードを!?」

 

諸事情だよ。察してください。

 

 

「俺は白銀のスナイパーとセットモンスター、そして古代の機械巨竜を破壊する!」

 

「マンマ・ミーア!」

 

挟み撃ちと言いながら自分フィールド上の白銀のスナイパーとセットモンスターが爆散し、その煙から巨大な手が伸び機械の竜を握り潰した。

 

いや、君達が挟み撃ちするんじゃ・・・・・・

 

「ぐぬぬ・・・・・・私のターンドローナノーネ!」

 

クロノス先生の手札は今ドローしたカード一枚だけ。ここから手を増やすには相当な時間がかかるはず・・・・・・もしかしたらコカローチ・ナイト=サンのゴキブリカラテ活躍の時か?

 

しかし、そのクロノス先生はドローカードを見てニヤリと笑った。

 

「オーホホホ! 確かにセニョール小波は強い、一見して完璧なノーネ! だかしかーし、このクロノス・メディッチにーは遠く及ばないノーネ!」

 

高らかにカードを掲げデュエルディスクに叩きつける。

 

「ワターシは手札から『天よりの宝札』を発動ナノーネ!」

 

 

え。なにそれ怖い。

 

天よりの宝札

 

通常魔法 互いのプレイヤーは手札が6枚に為るようにカードを引く。

 

天高くからソリッドヴィジョンの札束が舞い降りた。その光と共にデュエルディスクからカードが引かれる。

 

 

「手札は0枚よって6枚ドローするノーネ!」

 

そんなぶっ壊れドローカードを授業で使う?6枚ドローとか爆アドじゃないですかやだー。

 

「俺の手札は1枚。よって5枚ドロー」

 

しかし、手札が補充できたのは有り難いな。

このターンで決められたら終わりだがな!

 

「私は魔法カード『死者蘇生』を発動するノーネ!」

 

えー。

 

死者蘇生 

通常魔法(制限カード) 自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

死者蘇生とはデュエルモンスターズを象徴する、強力な蘇生カードである。

 

 

ノーコストかつ一切のデメリットがない完全蘇生、通常魔法故の速攻性、対象をお互いの墓地から選択可能、特殊召喚の表示形式は自由と他の蘇生カードよりも格段に性能が高い。

 

俺のデッキ?入ってねぇよ!

 

「私は墓地の古代の機械巨竜を特殊召喚するノーネ!」

 

『バッキャルオオオン!!』

 

本日二回目となる轟音を響かせ姿を現す巨大な機械竜。3000打点の復活である。

短い墓地送りでしたね・・・・・・

 

「更に私は手札より『古代の機械騎士』を召喚ナノーネ!」

 

古代の機械騎士

デュアルモンスター 星4/地属性/機械族/攻1800/守 500 このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、 通常モンスターとして扱う。 フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、 このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。 ●このカードが攻撃する場合、 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

フィールドにランスを構えた人間サイズのザクが現れた。

 

「これで3000+1800=4800でワンショトキルが成立ナノーネ!さよならデスーノ! そのまま、バトルナノーネ!」

 

ギチギチという音を立てながら臨戦態勢に入るクロノス先生のモンスターたち。あと、その便利なセリフ止めて。

 

「古代の機械巨竜の攻撃! アルティメット・クロー!」

 

 

高速で飛翔した古代の機械巨竜の爪が俺の体に叩き付けられる。

 

・・・・・・やっぱりソリッドビジョンだよな?

 

風圧を感じるんだが。

 

小波LP4000→1000

 

一気にライフポイントを持っていかれたが、まだ勝ちの目はある!

 

「この瞬間、罠カード発動!」

 

「この瞬間にデスート!?」

 

クロノス先生の叫びを聞きながらカード名を高らかに宣言する。

 

「『痛恨の訴え』! 効果によって相手のフィールドの守備力の最も高いモンスターのコントロールを奪う事ができる!」

 

この効果によって守備力2000の機械巨竜のコントロールを得る。

 

 

「コントロール奪取カードナノーネ!?」

 

 

痛恨の訴え 

通常罠 相手モンスターの直接攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。 相手フィールド上に表側表示で存在する守備力が一番高いモンスター1体の コントロールを次の自分のエンドフェイズ時まで得る。 この効果でコントロールを得たモンスターの効果は無効化され、攻撃宣言できない。

 

しかし、このカードは一度ダイレクトアタックを受けなければ効果を使えない。

 

故に使う人はあまりいないな。

 

機械巨竜は空を舞いこちらのフィールドに降り立つ。火力3000が今ここに・・・・・・夢みたいだ。

 

えっ、モリンフェンが3100になってた?知らんな。

 

 

「わ、私はターンエンドナノーネ」

 

しかし、このカードでは攻撃できない・・・・・・他の事に利用させて貰おうかな。

 

 

 

「俺のターン、ドロー! 俺は古代の機械巨竜を生け贄に捧げ! 現れよ邪悪なる死を司り堕天使よ! 終世を導け!」

 

 

禍々しい光と共にどこか神聖な雰囲気が辺りに充満する。

 

『これはまさか・・・・・・』

 

『ああ、とんでもなく強力な気配がするぜ・・・・・・』

 

外野の声が聞こえてくる。デジャブだ。

 

 

 

「『死の沈黙の天使ドマ』!」

 

 

『フハハハハハ!』

 

高笑いと共に鎧を着た雑魚が舞い降りる。

 

 

死の沈黙の天使ドマ

通常モンスター 星5/闇属性/天使族/攻1600/守1400 死を司る天使。 こいつに睨まれたら、死から逃れられない。

 

 

闇で弱体化する天使族の癖に闇属性である。

 

なんと、こいつモリンフェンより50も火力が高い!

 

 

『ざけんな! あの神聖な雰囲気何だったんだ!』

 

『睨まれたら死から逃れられないってやかましいわ!』

 

 

 

外野からの野次が痛いだが。

 

これにはちゃんとした意味がある。

 

まず、機械巨竜の始末。

俺のエンドフェイズにはクロノス先生のフィールドに戻ってしまう。これはまずいからな。

 

更に・・・・・・あ、理由ないわ。

 

 

「あー、その、セニョール小波。カードが無いなら少し位分けてあげるノーネ」

 

何か同情されとる。

 

 

「結構です。俺は魔法カード『渾身の一撃』発動!」ドマに光るオーラが宿る。つまり闇と光が合わさり最強には見えないな・・・・・・

 

「俺は死の沈黙の天使ドマで古代の機械騎士に攻撃! 『ダーク・サイズ』!」

 

闇の力を持った鎌が機械の騎士を貫く・・・・・・事はない。火力負けてるし。

 

 

「火力が負けているのに攻撃とは愚かナノーネ! 迎撃するノーネ!」

 

古代の機械騎士のランスはドマの鳩尾辺りを貫いた。

 

 

「オーホホホ!何をするかと思えーば、少ないライフを減らしただけなノーネ!」

 

そいつはどうかな?

 

「渾身の一撃は自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する魔法カード。選択したモンスターを戦闘破壊不可にし、戦闘を行った相手のモンスターを破壊する効果を持つ」

 

 

渾身の一撃 

通常魔法 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。 このターン、選択したモンスターは戦闘では破壊されず、 その攻撃によって発生するお互いへの戦闘ダメージは0になる。 また、このターン、選択したモンスターが相手モンスターを攻撃した場合、 ダメージ計算後にその相手モンスターを破壊する。

 

 

つまり破壊されるのは古代の機械騎士のみ!

 

「ペペロンチーノ!?」

 

爆発する騎士のソリッドビィジョンと共に吹き飛ばされるクロノス先生。やっぱり、おかしくないか?

 

「更にカードを一枚伏せてターンエンド」

 

よし、これで沈黙の死の天使(笑)はフィールドに残り相手のフィールドもがら空きだ、行ける筈。

 

「私のターン。ドロー! セニョール小波。貴方はオシリスレッドの生徒にしては優秀でしたーノ。私のモンスターを破壊し、奪い何度も追い詰めましたノーネ」

 

うん、あなたライフ変動してませんよね?

 

「デスーガ、セニョール小波の使うゴミカードではオベリスクブルーの生徒には遠く及ばないノーネ! 私は教育者のプライドに掛けーて、あんな噂は嘘であると証明して見せるノーネ!」

 

 

ん・・・?噂?なんの事だ。

 

ゴミカードである事は甘んじて受け入れるが。俺の疑問を他所にクロノス先生はデュエルを続ける。

 

「私は魔法カード『磁力の召喚円Lv2』発動するノーネ!」

 

バリバリという、電気の音と共にフィールド内をサークルが覆う。

 

「この効果によって手札からLv2の機械族モンスターを1体特殊召喚できるノーネ! 私は『古代の歯車』特殊召喚するナノーネ!」

 

磁力の召喚円Lv2

 

通常魔法 手札からレベル2以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する。

 

磁力が収まると同時に歯車に足を生やした様なモンスターがフィールドに現れた。

弱そう。

 

 

古代の歯車 

効果モンスター 星2/地属性/機械族/攻 100/守 800 自分フィールド上に「古代の歯車」が表側表示で存在する時、 手札からこのカードを攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

しかし、召喚権は残っている来るか!

 

 

 

「更に古代の歯車を生け贄に『古代の機械獣』を召喚ナノーネ!」

 

 

クロノス先生の掛け声と共に機械の獣が地を駆ける。その姿はまるで狼のようなしなやかさ。

 

 

古代の機械獣 

効果モンスター 星6/地属性/機械族/攻2000/守2000 このカードは特殊召喚できない。 このカードが戦闘によって破壊した相手効果モンスターの効果は無効化される。 このカードが攻撃する場合、 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

「シニョール小波お得意の魔法・罠カードはこれで封じたノーネ!」

 

別にお得意ではないです。

はさみ撃ちがデフォルトじゃないんです。

 

「古代の機械獣でその堕天使もどきを粉砕ナノーネ! 『プレシャス・クロー』!」

 

 

軽やかに飛び上がった古代の機械獣は降り下ろされる鎌をかわし爪を振るう。

 

『ファー!』

 

叫びながら消えていく堕天使。

せめて沈黙しながら消えて下さい。

 

 

LP1000→600削りに削られたLPは既に7分の1程度になってしまった。

 

 

「これでターンエンドナノーネ! そろそろ諦めてもいいのデスーヨ?」

 

 

嘲るようなクロノス先生の顔。クロノス先生に負けたとしても別に問題は無いんだろう。走馬灯の様に駆け巡る敗北の記憶。敗北に敗北を重ねてきた自分が漸く勝てる様になったのはつい最近。負けた回数の方が圧倒的に多い俺の決闘歴史。だけど・・・やっぱりデュエルで負けるのは悔しいじゃないか。

 

 

 

「俺は最後の瞬間まで諦めない。ドロー!」

 

 

ドローカードは・・・・・・お前か。最近拾ったカードも入れて繰り直した時に入ったカード!

 

 

「俺はモンスターをセット。更に手札から装備魔法カード『幻惑の巻物』を発動する」

 

 

巻物は古代の機械獣の全身に巻き付いていく。

 

「マンマミーア! 私の古代の機械獣がオカルティックに!」

 

そんな事はどうでもいい、重要な事じゃないんだ。

 

「幻惑の巻物を装備したモンスターは属性を強制的に変更させられる。俺は地属性の古代の機械獣を闇属性に変更します」

 

 

巻物からどんどん黒い煙が噴き出し、古代の機械獣を染めていく。

 

 

幻惑の巻物 

 

装備魔法 属性を1つ宣言して発動する。 装備モンスターの属性は宣言した属性になる。

 

 

「そして俺は伏せていた魔法カード、太陽の書を発動させます」

 

天上院とのデュエルで使った太陽の書。何時ものようにブラフ要因からの華麗な転身である。

 

「今セットしたモンスターをリバースする! 現れろ!『闇霊使いダルク』!」

 

 

フィールドには少しやさぐれた様な眼をした美少年。

 

 

『キャアアアア! ダルクきゅんんん!』

 

『俺、ダルクだったら抜けるかも』

 

『えっ?』

 

 

再び騒がしくなる外野。

さすが霊使いは人気だ。

 

しかし、ダルクは霊使いシリーズ唯一の男だから男性人気が低かったらしいがそんな事は無さそうだな。

 

そんな事を考えているとダルクのソリッドビジョンはこちらに向かって苦笑いを向ける。

 

『次はアイツらを召喚してやれよ? 頼むから。俺が危ない』

 

おお、良くできてるなぁ。最近のソリッドビジョンは会話が出来るのか。

 

ダルクと一緒に出てきた使い魔であるD・ナポレオンが帽子の上に乗るのを振り払い、感心しながら頷く。しかし、なんて言ったんだ?

 

既にダルクは杖を軽々と振り回し、前を向いているから解らない。聞いても返事は帰って来ないだろうしな。

 

 

「闇霊使いダルクの効果により、相手フィールドの闇属性モンスターのコントロールを得る。よって古代の機械獣のコントロールを奪取します」

 

闇に包まれた古代の機械獣はこちらのフィールドに移る。

 

 

「ぐぬぬ、シニョール小波はトリッキーな戦略を立てるノーネ!」

 

ならざるおえないんじゃないかと言う可能性は考えないんですかね・・・・・・

 

 

「ええい、バトル! 古代の機械獣の攻撃! 『プレシャス・クロー』!」

 

 

「ワザップ!」

 

 

クロノスLP4000→2000 

 

 

遂にクロノス先生にダメージが入った。あまりにも長い遠回りだったなぁ・・・・・・

 

 

「よくーも私のモンスターを奪ってくれましたーノ! しかし、あなたのライフは600ポイント! これが勝負の分かれ目ナノーネ! 私のターンドロー!」

 

流暢に口上を並べながらドローし、そのカードを見た瞬間笑みを浮かべるクロノス先生。

 

「これにておしまいナノーネ! ファイナルターンナノーネ!」

 

それ、違うゲームじゃ・・・・・・

 

「私は攻撃表示で『古代の機械砲台』を召喚ナノーネ!」

 

 

フィールドにトーチカめいた機械の砲台が生まれる。あのカードは確か・・・・・・

 

 

「さらに私は手札から『機械複製術』を発動するノーネ! これにより攻撃力500以下の古代の機械砲台をデッキから2体、守備表示で特殊召喚ナノーネ!」

 

ホログラムの様に浮かび上がる機械が形を成しクロノス先生のフィールドには三体の古代の機械砲台が並ぶ。

 

 

「このモンスターは生け贄に捧げる事ーで相手のバトルフェイズ時に罠を抑圧する効果と・・・・・・相手に500ポイントのダメージを与える効果があるノーネ!」

 

 

つまり三体で1500のダメージか・・・・・・

 

 

古代の機械砲台 

 

効果モンスター 星2/地属性/機械族/攻 500/守 500 このカードを生け贄に捧げる。 相手ライフに500ポイントダメージを与え、 このターンのバトルフェイズ中はお互いに罠カードを発動できない。

 

 

機械複製術 

 

通常魔法 自分フィールド上に表側表示で存在する 攻撃力500以下の機械族モンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターと同名モンスターを2体まで自分のデッキから特殊召喚する。

 

 

「これでおしまいナノーネ! まずは一体目の古代の機械砲台を生け贄に射出ナノーネ!」

 

 

あれ、星のお兄さんが思い浮かぶのは何故だろうか。高速で迫る砲弾。だがしかし、手は既にある!

 

 

「俺は墓地のモンスター『プリペントマト』の効果を発動!」

 

 

ヘルメットを被ったトマトが大量に沸きだし、フィールドを埋め尽くす。多い、多いわ。

 

 

「プリベントマトを墓地から除外し、このターン受ける俺のダメージをゼロにする!」

 

 

プリベントマト 

 

効果モンスター 星2/地属性/植物族/攻 800/守 800 墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。 このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。 この効果は相手ターンにのみ発動できる。

 

 

トマトの群れに突っ込む砲弾。なんとシュールな光景か。

 

 

「くっ、墓地発動のモンスターカードなど何時の間に墓地に送ったノーネ!?」

 

はさみ撃ちで爆散した時ですがなにか。

 

しかし、プリベントマトは、ハネワタと言う手札誘発型の完全上位互換カードが在るため普通使われもしないが今回は上手く役立ったわけだ。

 

これで砲台は不発、残るのは500の壁。

 

勝てる気がして来た。

 

 

「まだまだ甘いノーネ! 私は手札から『二重召喚』を発動するノーネ!」

 

 

負ける気がして来た。

 

 

 

「これにより私はもう一度通常召喚を行うノーネ!」

 

 

二重召喚 

 

通常魔法 このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

その簡単故に強力な効果は実際強い。このカード使えば1ターンの間に強力な上級モンスターを呼び出せる。

 

・・・・・・モリンフェンやドマは上級モンスターとは認めない。

 

 

「そしーて、2体の古代の機械砲台を生け贄に古代の機械巨竜を召喚ナノーネ!」

 

 

『バッキャルオオオン!!』

 

 

本デュエル三度目の登場。

 

そろそろ過労死しそうである。

しかし、呆けている暇は無いのだ。

 

「召喚時、俺は罠カード破壊指輪を発動。自分フィールドの古代の機械獣を破壊、お互いに1000のダメージを与える」

 

「何でスート!? アウチ!?」

 

突如、表れたリングにより爆発する機械の獣。破片がクロノス先生の頭にぶつかる。

 

クロノスLP2000→1000

 

 

「プリベントマトの効果によりこのターン俺はダメージを受けない」

 

 

小波LP600

 

 

遊城とのデュエルでも使用したがとんでもないアド損カードである。自分フィールドのモンスターを破壊しお互いに1000ダメージ。

 

二枚使って一枚も減らせていない。

 

「むぐぐ・・・・・・しかし、その小賢しい魔法使いには墓地に行って貰うノーネ! 古代の機械巨竜の攻撃ナノーネ! 『アルティメット・クロー』!」

 

振りかざされる鋭い爪がダルクを切り裂く。サツバツ!

 

 

「これでターンエンドナノーネ。ファイナルターン宣言を外されましたーが、本の少し延命に過ぎないノーネ!」

 

クロノス先生に言いたいことは一つだけ。

 

1000ポイントにした時点で敗北は確定しているのさ!

 

 

「俺のターンドロー。クロノス先生、貴方の実力は素晴らしい。だが、侮った。それこそ、ミステイクです。俺は魔法カード『魔法石の採掘』を発動。手札のカードを二枚墓地に送り、墓地から魔法カード幻惑の巻物を回収します」

 

 

魔法石の採掘 

 

通常魔法(準制限カード) 手札を2枚捨て、自分の墓地の魔法カード1枚を選択して発動する。 選択したカードを手札に加える。

 

 

手札2枚と言う重いコストに見合う強力なカードだが、残念ながら俺のデッキにそう強力な魔法カードは入っていないのでコストの払い損になる実にいらないカードだ。

 

「魔法石の採掘を使って戻したカードがそんなカードデスーノ? ウヒョヒョ! 大口はあまり叩かない方がいいノーネ!」

 

 

たしかに、そう思うだろうが魔法石の採掘の目的は手札から墓地にカードを落とすことにある。

 

 

「いや、大口では無いですよ」

 

疑問をクロノス先生の口に出させる前に俺は最後の伏せカードを発動させる。

 

 

「遥か戦国の武士達よ! 背水の陣を築き今ここに集結せよ! 罠カード『究極・背水の陣』!」

 

 

フィールドに突如あらわれる魔方陣の様な物。回りには旗印が立ち並ぶ。

 

「究極・背水の陣は俺のライフを100になるように支払い発動する」

 

「ライフを100にデスーノ!?」

 

ああ、まるで何処かで聞いたライフちゅっちゅっギガントみたいな効果だ。

 

 

「そして墓地より『六武衆』と名のついたモンスターを好きなだけ特殊召喚できる」

 

究極・背水の陣 

 

通常罠 ライフポイントを100ポイントになるように払って発動できる。 自分の墓地の「六武衆」と名のついたモンスターを 可能な限り特殊召喚する。(同名カードは1枚まで。 ただし、フィールド上に存在する同名カードは特殊召喚できない。)

 

その効果はまさしく背水の陣。

 

 

「墓地より舞い戻れ! 『六武衆の御霊代』! そして『六武衆ーヤリザ』!」

 

現れるのは六武衆の魂と六武衆最強のモンスターヤリザ殿でござる。

 

 

嘘である。

 

 

「攻撃力500と1000? これで古代の機械巨竜に勝つ積りとはお笑い草ナノーネ!」

 

確かに勝てない。だが逆に考えるんだ。勝てなくていいさって考えるんだ。

 

「ヤリザ殿で攻撃ィ! 『六武衆一番槍』!」

 

 

槍を構えて走り始めるヤリザ殿。

 

その後ろ姿は六武衆最強の品格を感じさせるでござる』

 

 

今さっきから何か聞こえね?

 

「迎え撃つノーネ! 『アルティメット・クロー』!」

 

『無駄でござる!』

 

 

軽やかな動きで御霊代を蹴り飛ばして回避するヤリザ殿。いや、ご先祖蹴り飛ばして・・・・・・

 

「ヤリザ殿は他の六武衆がフィールドに存在するときダイレクトアタックする事ができる」

 

「何ですーと!?」

 

六武衆-ヤリザ

 

効果モンスター 星3/地属性/戦士族/攻1000/守 500 自分フィールド上に「六武衆-ヤリザ」以外の 「六武衆」と名のついたモンスターが存在する場合、 このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。 また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、 代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する 「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊できる。

 

 

『終わりでござる!』

 

槍がクロノス先生の脳天に叩き込まれる。

 

クロノスLP1000→0

 

 

『やっぱり拙者が最強でござるな』

 

 

最後まで妄言垂れ流しながら消えていくソリッドビジョンを見送る。

 

ヤリザ殿は六武衆とは見事な迄に噛み合っていない、ダイレクトアタック効果を持った残念カードである。プロデュエリストも六武衆デッキに入れない位である。

 

 

 

「そんな、私の暗黒の中世デッキが敗れるなんーて・・・・・・」

 

 

うちひしがれるクロノス先生。

 

 

『・・・・・・す、すげぇ!』

 

『あのオシリスレッド、クロノス先生に勝ちやがった!』

 

打って代わり大歓声に包まれるデュエルフィールド。う、嫌な感じだ特にオベリスクブルーの生徒。

 

このままだと直ぐにデュエルをすることに成りそうだ。俺はクロノス先生に礼をしてそそくさと観客席に戻った。

 

 

尚、遅刻してきた遊城がデュエル出来なかった事にガッカリした後で俺にデュエルを求めて来たのは言うまでも無いことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな、馬鹿な。

クロノスの心中はその気持ちで一杯だった。

自分のモンスター達がバタバタとやられ、奪われる姿は悪夢そのもの。

 

許すまじ小波。

許すまじオシリスレッド。

 

膨れ上がる逆恨みはクロノスの真意を隠す。

 

「ならーば、外部のデュエリストを・・・・・・」

 

空回りは続く。




やっぱりヤリザ殿がNo1!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。