ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

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なんでもハイスクールD×Dの最新刊が発売とのことで、いてもたってもいられずに書いてしまいました。
展開自体は考えてますがストックとかはないので多分亀投稿です。

あらすじ部分にも書いてますがかなりテンプレですし僕がオリ主至上主義なので苦手な方はご注意を。


旧校舎のディアボロス
気がつけば赤龍帝


「素晴らしい街だ。駒王町。こんないい町が他にあるかな」

 

どっかの快楽殺人鬼のような事を自分の右手に向かって話しつつ、ちょっとした高台から自分がここ十数年間暮らしてきた町を眺める。

傍から見れば不審極まりない行動ながら、しかし俺は人の目を気にすることなく堂々としている。

まぁ、周囲に人がいないというのもあるが。

 

『あぁ。住んでいる連中は、一癖も二癖もある奴が結構いるが……それでも、平和だ』

「……自分で言っておいてなんだけど、まさかお前が同意するなんてな。かつて二天龍なんて呼ばれて恐れられてた力の象徴も、こんだけ長生きしてりゃ丸くなるってか?」

『そうかもしれんなぁ。それこそ遠い昔なんかは尖っていた時だってあったが、今では全然だ。お前と長く一緒にい過ぎたのかもしれんな』

「ははは、流石の赤龍帝もまさか自分が一人の人間と()()()()一緒にいるとは思いもしなかっただろう?」

 

俺の声に反応する様に、()()が突如として真っ赤な籠手へと変貌する。

その籠手は神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれる人間への神からのギフト――の、中でも強力な物である神滅具(ロンギヌス)であり、名は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。

二天龍と呼ばれる強力なドラゴンの片割れであるドライグ(本名はもっと長い)の魂が封印された、凄まじい神器だ。

 

『そりゃあな。まさかただの人間が時間を自在に支配する魔法を習得するなんて、思いもしなかったさ』

「ま、だてに()()()()()()()やってるわけじゃねぇのよ」

 

そう。俺は前世の記憶を持っている。

所謂、転生者、というヤツだ。

目が覚めたら赤ん坊だし、剣と魔法の異世界へと転生したモンだと思い込んで魔力修行だーって息巻いて瞑想の真似事始めたらコイツ(ドライグ)と出会うし、最初は色々と驚かされたものである。

 

そして転生者という事のついでに話してしまおう。

今俺がいるこの世界は『ハイスクールD×D』という、ライトノベルの世界なのだ。

で、その作品の主人公は兵藤一誠という男なのだが、そこに一つ問題がある。

 

なんとこの主人公の持つ力が、俺が今有している赤龍帝の力―――つまり、ブーステッド・ギアなのである。

 

いや、だから最初は原作開始前なのかなー?なんて考えたのよ。もしくは原作終了後。

でも、なんと俺のご近所さんに居たんだよ。兵藤家。

しかも俺と同じ歳の、一誠という息子が居たそうで。

 

あの時は本当に、「やっちまったぁあああっ!?」と思ったなぁ。

まぁ、俺自身が能動的に何かやらかした訳では無いんだけども。

 

「つっても、今となっては開き直ってんだけどさー」

『……まったく。相棒はすぐに自分の中で話を進める。多少お前の心を覗けるとは言え、リアルタイムで何を考えているのかわかるわけではないのだぞ』

 

やれやれ、とため息を吐くドライグの声は、最初の頃に感じた刺々しい近寄りがたいオーラはなく、まるで水面のように穏やかな雰囲気に満ちていた。

 

理由は先程会話中に出た通り。

俺が魔法を使って時間を支配できるようになったために、何度も何度も時間を巻き戻したり進めたり止めたりを繰り返して、その中で絆を深めていった為である。

因みに時間を操作して何をしていたのかと言うと、ひたすらに鍛錬である。

 

だってこの世界、パワーインフレの大渋滞が起きてるんだぞ。

作品自体は途中までしか見ていないけど、それでも十二分にインフレしていた。

まぁ、主人公の力が2、4、8倍……って増していく設定なんだから、インフレして当然っちゃ当然だよな。

読んでる分には面白かったし。

 

だが当事者になるなら話は別だ。

強くなければこの世界では塵芥も同然。

どれほど辛かろうと、生きるためには強くあり続ける必要があった。

 

「で、結果として俺は世界最強レベルに至った、と」

『だーかーら。話を聞いていないのかお前は』

「たっはは、悪い悪い。ついモノローグで語っちまって」

 

何言ってんだみたいな事を呟かれながら、俺はなお夜景を見つめている。

 

何百年もの時を修行に費やし、ある程度強くなったと自分を認めてやれたので、いい加減に原作に突入し始めて良いだろうと考えた俺は、高校入学を翌日に控えた今、こうして夜景を楽しむ事にしたのだ。

 

俺とイッセー(兵藤一誠のあだ名のような物。俺と彼は幼馴染で親友なので、あだ名で呼んでいる)そして俺の家族や、親しくしてくれた人達。

皆が生きるこの町に、来年あたりから沢山の強者が集まる。

 

「―――なぁ、ドライグ」

『なんだ?』

「守れるかな。俺の家族や友人が暮らす、この町を」

『できるさ。俺達なら、な』

 

※―――

 

月日は流れ、一年とちょっとの時間が経った。

俺とイッセーは見事志望校である駒王学園へと入学し(イッセーが元女子高で共学になったばかりだから女の子が沢山いるに違いないと入学を希望した)、そこで知り合った松田、元浜の二人と合わせて『変態三人と保護者一人』という謎の呼び名を頂戴し、男子高校生らしい馬鹿なやり取りを何気なく続けながら過ごしていた。

 

因みに変態三人はイッセー、松田、元浜であり、俺は保護者枠。

まぁ、コイツ等と一緒に猥談する事は多々あれど、覗きをしようとしていたら止めるし特定の女子にセクハラ発言をするなら止めさせるか謝らさせるかするからな。

そんな事をやっている間にコイツ等の保護者になってしまったらしい。

 

…最初は何百年も生きている事に気づかれて揶揄されてんのかと思ったぜ。

見た目同じ歳なのに、オーラ的なので感じ取られたかと。

 

「おい、どうしたんだよ立神(たつがみ)。そんな遠い目をして」

「んー?まぁ、ちょっと眠気がな」

「ほうほう。ならそんなお前にスペシャルな贈り物をやろうじゃないか!」

「……なにそれ」

「企画もののAVだ!どうだ、眠気もぶっ飛ぶエロスだろ!」

「いや、タイトルとかパッケージは良いが……前にも言った通り、俺はAVだとなんか興奮しきれねぇから抜けねぇんだけど」

「そうだぞ元浜。コイツは基本2Dでしか抜かん男じゃないか」

 

別に三次元でも抜けない事は無いんだがな。と思いつつも態々言うまでも無いので黙っておく。

 

今俺は、先程話した松田、元浜の二人と一緒に教室の隅で話をしている最中である。

平然とAVと口にしているが故にクラスの女子たちから冷たい目を向けられるが、そんな事は些事である。

 

あ、後ついでながら自己紹介をば。

名前は立神輪廻(たつがみりんね)。名付け親はこの世界における祖父で、つい二年前に寿命で亡くなった。

結構キラキラネームだが、俺はそれなりに気に入っている。

 

「そういや、イッセーのヤツ遅いな」

「だな。まったく、せっかくアイツが好きそうな巨乳系を取りそろえてきてやったというのに」

「……噂をすれば、だな」

「え?」

「おっはよぉおおおおおおっ!!」

 

イッセーの気配を感じ取り口を開くと、そのすぐあとに教室のドアを勢いよく開いてイッセーが入って来た。

やけにテンションが高いが、一体どうしたのだろうか。

 

俺の机の上に置かれたAVを隣の男子の席にこっそり仕舞いつつ、俺はイッセーに挨拶する。

 

「おう、おはよ。やけに元気そうだが、何かあったのか?」

「いやいや聞いてくれよ輪廻ッ!!なんと俺によ、俺によぉ~!」

「なにもったいぶってんだよ。なんだ?通りがかりの女の子がパンチラしたのか?」

「ちげぇよ元浜ぁ。全く、想像力が足りないなぁ。ど、う、て、い、はっ!」

「な、何ぃっ!?」

「その口ぶり、まさか貴様童貞を捨てたというのか!」

 

朝からハイテンションでやり取りする三人をぽけーっと見つめつつ、俺はイッセーの次の言葉を予想する。

そしてその言葉が正しければ、原作が開始されたのだ、という事になるわけだ。

 

「いやまだそこまではいってねぇけど。―――けど捨てるのも時間の問題だぜ、非モテ二人と鈍感系一人!」

「誰が非モテだ」

「「「お前じゃねぇよ!!」」」

 

三人からの総ツッコミに口をつぐむ。

いやいや、でも俺は非モテだと思うぞ。別に木場(原作キャラ。イケメンで、女子から大人気)みたいにキャーキャー言われているわけでも無いし。

というかお前らと一緒に猥談してるせいで人気ねぇだろ、俺。

 

「ゴホンっ!!なんと!この度私兵藤一誠に―――彼女がっ!できましたぁああああああっ!!」

「「な、なんだってー!」」

「……そうか。おめでとう」

 

驚く二人を尻目に、純粋にイッセーを祝福する。

それと同時に哀れにも思う。

だってその彼女は、イッセーの事を―――。

 

……とにかく、これで確定した。

原作は開始されている。

そしてもうすぐ、コイツは……イッセーは。

 

「はっはっは!予想通りの反応ありがとう同志たち…いや!()同志たち!そしてさよならだ!俺はこの一週間以内に、ファーストキッスもその先も、全部経験してやるぜ!」

「な、なんかの間違いだ!イッセーに彼女ができたなんて!」

「あり得ねぇだろどんな手品使ったぁ!?」

「ふざけんな!なんでお前に彼女ができんだよ!?」

「どんな弱みを握った!?」

「え、うそ兵藤に彼女…?」

「趣味わるーい」

 

松田元浜を筆頭に、教室中から非難の声。

いや、酷い嫌われようだな。

まぁ基本に俺が止めているとは言え何度か覗きを決行した男だから仕方ないと言えば仕方ないのだが。

 

「まぁ、外野の俺から言われる筋合いはねぇだろうけど。彼女さん大事にしろよ。せっかくお前を選んでくれたんだから、相応の誠意ってのは見せなきゃだめだ」

「わ、わーってるよ、それくらい。―――っつか、お前本当に彼女できた事ねぇの?俺ですらいきなり声かけられてずっと前から好きでしたって告白されたのに」

「ま、俺相手に告白しようとする酔狂なヤツは()()いないな」

 

はっはっは、と乾いた笑い声を上げる俺に、三人とも呆れた様な目を向けてくる。

なんだその目は。俺は別に間違ったことは言ってないぞ?

 

確かに時折女子から視線を感じることはあるが、それはどうせイッセー達に向けられる様な奇異の目だろう。

その中に俺への好意的な目は決してないはずだ。

 

「ったく、物言いたげな目を向けてきやがって……まぁいいか。ほら、そろそろ朝礼始まんぞ。さっさと席戻っとけ」

 

俺の言葉に従って自らの席に戻っていく三人から視線を外し、俺は机に突っ伏して眠り始めるのだった。

……因みに朝礼中に出席簿で殴られて目を覚ました。体罰調査に書いたろうか、この暴力教師。

 

※―――

 

イッセーの彼女事件から早数日。

意気揚々とデートに臨んだ日以降、イッセーはやけに元気がない様子だった。

まぁ、悪魔に転生した影響だろう。

 

……そう。イッセーは悪魔に転生した。

神器を持つという理由で、人間のフリをしてイッセーに告白した堕天使に、あいつは殺された。

それは原作通りの流れであるし、そのために俺はイッセーを()()()()()()

 

無論最初は助けようと思った。

だがしかし、ただでさえ崩壊が決まっている原作の流れから、これ以上変更を加えさせるべきではないと自分で自分を無理矢理納得させ、一度親友が死ぬことを是とした。

結果として、ここまでの流れが原作通りとなったわけだが。

 

……まぁ、その償いといってはなんだが、この先イッセーが死ぬ様なことが有れば必ず守る。

そのためなら、俺の何百年と鍛え上げてきた力の全てを振るうことすら辞さない。

ドライグ公認の現世界最強(オーフィスやグレートレッドと言った最強レベルのドラゴンと肩を並べられるらしい。人間なのに)の名は伊達ではないぞ。

 

「っつーわけで、お前にコイツを殺させるわけにはいかないんだ」

「…いきなり現れ、何を言い出すかと思えば……貴様の様な珍妙な輩が、この私と戦えると?」

 

現在、夜。

弱い悪魔と堕天使の気配を感じたので駆けつけてみると、イッセーが堕天使の男に殺されそうになっていた。

悪魔に転生した今、堕天使の使う光の攻撃を受ければただでは済まない。

というかこれ以上コイツが死ぬ理由も必要もないしな。宣言通り守るさ。

 

因みになぜ堕天使も男が俺に珍妙な輩、と言ってきたのかというと、俺が顔を隠すために去年の縁日で買ったお面を被っているからだ。

上下ジャージでお面をつけた男。確かに不審者としか思えないだろう。

…というか俺、不審者ムーブ多すぎん?

 

「戦えはしないさ。なんてったって、これは一方的な処刑にしかならないからね」

「戯言を…!下等種族風情が、調子に乗るなぁッ!!」

 

俺の発言に怒り狂った堕天使が、その手に光の槍を生み出し、投擲してくる。

この光の攻撃は、特に悪魔に有効だが、ただの人間でも当たれば死ぬ程度の威力は持っている。

まぁ、俺はその()()枠に入っていないんだけども。

 

飛んでくる槍を躱すことなく手で掴み、握りつぶす。

流れるように槍が破壊されたのを見て、堕天使はかなり狼狽していた。

 

「な、何ッ!?」

「生憎と、俺はただの人間じゃないんでね」

「チッ…!神器持ちか!」

 

正解。ただ模範解答はその上、神滅具だ。

まぁ、今回はその力は使っていないんだけども。

ただ気(オーラみたいなヤツ。人間誰でも持ってる)で全身を包んでいるだけだ。

 

つまりまだまだ全力とは程遠い状態なわけだが、なんだか堕天使が愉快そうにしている。

なんだコイツ。

俺の背後で座り込んでいるイッセーも、怯えながらも首を傾げている。

 

「ふ、ふふふっ。確かに少し驚かされたが、冷静になればどうということはない。大方その面が神器なのだろう?恐らく身体能力を向上させる効果があるのだろうな。だがその神器、まるで力を感じぬぞ?できる強化もたかが知れるな。まぁ、少々面食らったが…その程度だ。込める力を増やせば、殺すのもたやすかろう」

「…えぇ…」

 

すごい勘違いされてた件。

いや、このお面は顔バレ防止でつけてるだけで大した効果も何もないんだけど。

つーか『気』を使ったってわかんねぇの?弱すぎないか?

 

呆れて脱力してしまう俺だが、イッセーはそうではなかったらしい。

バッと俺の前に立って両手を広げ、堕天使から俺を庇うようにした。

その体は、注意して見ずともわかるほどに、震えていた。

 

※―――

 

俺は兵藤一誠。趣味が覗きとエッチな妄想な、普通の男子高校生。

物心ついた時から一緒に遊んでる大親友の立神輪廻や、エロいことに関して情熱を滾らせまくっている同志である松田、元浜の三人と合わせて『変態三人組と保護者一人』という不名誉な呼び名を頂戴している。

勿論俺は変態三人組の方。俺が何をしたっていうんだ!教室でエロDVDの貸し借りしたりおっぱい談議に花を咲かせたり階段下で待機してスカートの中覗こうとしたり女子更衣室を覗いたりしただけなのに!!

……はい、そうですね。明らかにそれが原因ですね。

 

でもしょうがねぇじゃん!男の子なんだから!

保護者枠でもある輪廻だってイケメンでモテモテだけど、俺らと一緒にエロDVD観賞会したり女体談義で白熱したりするし!

 

…って、今はそれはどうでもよくって。

 

こんなエロ猿として女子から軽蔑されまくっていた俺に、最近彼女ができた。

名前は天野夕麻。他校の子で、ずっと前から好きだったんだって!!

俺はその子のことよく知らなかったけど、まぁ愛ってのは時間と共に…って言うし、告白は即OK。

で、輪廻や松田や元浜に自慢しまくって、脱童貞という輝かしい未来に胸を躍らせて初デートに臨んだ。

そのデートの最後に、夕麻ちゃんがこんな事を言ってきた。

 

「死んでくれないかな」

 

いや、びっくりだよね。これから愛を育んで行こうと思ってた子が、キスするようなムードの中、死んでくれないかなって言ってくるとは思わなかったよね。

しかも次の瞬間には夕麻ちゃんの服が弾けてボンテージ姿になって翼が生えたかと思いきや、光る槍(?)で刺されるし。

カラスみたいに黒い羽が、今でも夢に出てくるくらいだ。

 

でも殺されたはずの俺は、今もこうして元気に生きている。

ただ、前と違って朝のテンションがかなり低くなった。

代わりに夜中はすっごくハイテンションで、それこそ一徹ニ徹も余裕で行けるレベル。

しかも力が湧き上がってきて、ちょっと走ってみたら陸上で世界取れそうなくらいの速力と持久力を発揮できた。

正直、自分が少し怖い。

朝にとことん弱く、夜中は人外レベル。

毎晩のように見る悪夢で俺を殺す恋人は、なんと誰も覚えていないのだ。

交換したはずの連絡先も無くなってたし。

 

あの日…俺が夕麻ちゃんとデートした()()の日から、俺の生活は変わった。

とりあえず力が溢れて止まらないから、夜中は散歩するのが日課になった。

 

…で、その日課を今日も今日とて行おうとしてたわけだけど、その途中で出会った。出会ってしまった。

 

夜闇に紛れる黒い翼。

肌がピリピリと痛むような威圧感。

鋭い目つきから連想されるのは、コイツに殺される俺の姿。

 

奴は、自分は堕天使だ、といった。

嘘だと思いたいが、その背中の翼が現実のものだと俺を納得させる。

…何より、俺は一度見てしまっている。

夕麻ちゃんが、同じ翼を生やすところを。

 

あいつは『はぐれ』とかわけわかんない事を言いながら、夕麻ちゃんが持っていたのと同じ輝く槍を手に持って、俺に投げようとした。

勿論逃げようとしたけど、体に刻み込まれてる『死』の恐怖が、この殺気を放つ男に背を向ける事を許さなかった。

やべぇ、俺、また死ぬ…!と、思ったその時。

 

「っつーわけで、お前にコイツを殺させるわけにはいかないんだ」

 

突然現れた上下ジャージの、お面をつけた男。

なんだか輪廻によく似た声をしていたが、感じる雰囲気は別者だった。

なんというか、大樹?みたいなのを想像する感じ。

大らかっていうか、包み込まれるっていうか。

 

いきなり現れたこの男に、堕天使の方もちょっと緊張しているようだった。

まぁ、戦いなんて漫画とかでしか見たことない俺でも、強いって本能的に感じるような人だからな。

…でも、なんで俺を守ってくれるんだろう。面識ないはずだけど。

 

男と堕天使がいくつか言葉を交わした後、堕天使が手にした槍を投擲した。

俺が殺された一撃だ。強そうだけど、当たったら……!と思った次の瞬間、男は素手でその槍を掴み、片手で握りつぶした。

 

…う、嘘でしょぉ!?俺、それに殺されたはずなんだけど、えぇー!?

 

けどそんな芸当ができたのは、せいくりっど・ぎあ、とかなんとかいうモノのおかげだと堕天使は笑った。

しかもこの男のせいくりっど何とかは、大した力がないらしい。

 

このままだと、俺を守ろうとしてくれたこの人が殺される!

 

そう思った瞬間、体が勝手に動いていた。

すっげぇ怖くて仕方ないはずなのに、しかも女の子じゃないのに、俺はこの人に死んで欲しくないって思った。

 

もう、何から何までわけわかんねぇけど……こうなりゃやけだ!堕天使だかなんだか知らねぇが、この人は殺させねぇ!

 

「はははっ、悪魔が人間を庇うか!とんだ茶番だが、なるほど面白い。望み通り、貴様を先に消滅させてやる!!」

「いや、そんなことはさせんさ」

「は、速ッ!?」

 

堕天使が槍を振りかぶる。

怖ぇ!!……けど、俺が避けたらこの人が死んじまう!

そう思って無理矢理その場に止まって、でも死ぬのは怖いからって目を閉じたその時、背後から突風が吹いた。

驚いて目を開けたら、男が一瞬で堕天使の目の前に接近して、殴りつけているところだった。

 

えっ、もしかして今の突風って、この人の移動で発生したの!?マジで!?

 

ぐべぇっ!なんて情けない声を出して吹っ飛んでいく堕天使を茫然と見つめる俺に、男はゆっくりと近づいてくる。

 

「え、えっと…」

「怪我は無いな?」

「あっ、はい!おかげさまで!…えっと、貴方こそ…大丈夫、ですか?あの、変な槍みたいな奴掴んでましたけど」

「いや、敬語は良い。後、怪我も無い」

「そ、そっすか」

 

うーむ。落ち着いて話しているとやっぱり輪廻みたいに感じるな、この人。

よく見りゃ背丈もおんなじ感じだし、ほんとに輪廻?

 

……いやでも輪廻は確かに喧嘩強いけど、あの槍素手で掴んで破壊したり一瞬であの距離移動したりなんて、流石になぁ。

 

「けど……あの、もしかしてなんだけど、お前って」

「明日、旧校舎に行け」

「は、はい?」

 

旧校舎?旧校舎ってーと、あれか?ウチの学園の二大お姉様ことリアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩がよく目撃されると噂のアレ?

…あの二人、おっぱいでっけぇんだよなぁー。一度でいいからあんな美人のおっぱい揉んでみたいぜ、なーんて。

 

でもなんで旧校舎に?

 

「旧校舎に行けば全部わかる。お前に起きた変化についても、天野夕麻についても」

「ッ…!」

 

天野夕麻。

俺の初めての彼女で、俺以外の誰もがその存在を忘れていて、そして……俺を、殺した子。

 

なんでそのことが旧校舎に行けばわかる?

そもそも、なんでコイツが夕麻ちゃんを知ってんだ?

 

頭の中がぐちゃぐちゃになりそうで、後先考えずに男に掴みかかった。

仮にも恩人だけど、今はそれよりも…!!

 

「な、なんでお前が夕麻ちゃんの事を知ってんだよ!?なんで旧校舎に行けばわかるんだよ!?っつーか、お前は誰なんだよ!?」

「……すぐにわかるさ。お前の疑問も、俺の正体も」

 

そう言って、男は俺の手を避けて、そのまま去っていった。

 

後に残ったのは、遠くで倒れている堕天使と、立ち尽くす俺。

 

今日一日で……というか、この数分でいろんなことがあった。

……俺、マジでどうなっちまうんだ…?




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