ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う 作:うぉっ、でっか…
当初の予定通りなのであまり書き直すことも無く、実を言うとちょっぴり安堵しています。
因みにですがこれ以降原作イッセーハーレムのヒロインから継続してイッセーに好意を寄せる子が出てくる可能性は極限まで低いので、感想等で要求するのもできれば控えていただきたいです。
揺らぐんだよ。気持ちが。
またアンケートの仕様に詳しくないので、もしかしたらまだ投票できるぞとなっているかもしれませんが、もし詳しい方がいらっしゃいましたら教えていただけると嬉しいです。
後最後に一つ。
今回から捏造やオリジナルの設定が本格的に始動します。
苦手な方がいたら、ご注意ください。
レーティングゲームが始まって、十五分経った。
木場と小猫ちゃんが戻ってきて、トラップを仕掛け終えたことと、相手はトラップを仕掛けていない様子だという事を伝えてきた。
舐め腐ってやがる!と憤る俺だったが、部長は冷静なままだった。
どうにもライザーは今までの試合で、トラップを仕掛けた事が無いそうで。
この準備期間ともいえる十五分を、アイツは侵攻に使うのが常なんだと。
ただ今回は俺達を馬鹿にしているのかハンデのつもりなのか、本陣でふんぞり返ってるだけらしい。
窓の外から覗いてみたら、眷属とよろしくやっているのが見えたと木場が言っていた。
ち、ちくしょーっ!ムカつくぜあの野郎!
「落ち着きなさいイッセー。それに、私が直接戦わなきゃいけないのと同じように、ライザーもこの試合で全力を出すわけにはいかないの。ある程度余裕を見せないと、彼のキャリアに関わるしね。――だからこそ、そこが狙い目なの。余程追いつめられない限り本気で攻勢に出れないライザーを、本気を出す前に倒せれば…」
「な、なるほど……わかりました、部長」
素人相手に本気を出すってのは、俺の…というか、人間(元だけど)の基準で考えればまともだしかっこいい事だけど、この試合を見ているお偉いさんは違うらしい。
力の差が存在するなら、強者側は敢えて全力を出さず、余裕を持って優雅に勝つ方が良いんだそうだ。
わかんねーけど、それならその舐めプに甘えさせてもらうとするぜ。
俺のやることは、部長の護衛とライザーを倒す事。これに変わりは無いんだし。
「とにかく十五分経った今は、ライザーの方も動き出すはず。皆。作戦通りに頼むわよ」
部長の言葉に、全員が了解と言って頷く。
よぉっし!目にもの見せてやるぜ焼き鳥野郎!強くなった俺達グレモリー眷属が、お前に吠え面かかせてやっからな!!
※―――
「木場と小猫が森の中に潜伏。アーシアが一人で体育館、か……随分思い切ったな」
本格的に両者が行動を始めた。
俺が呟いた通り、なんと原作でイッセーと小猫が向かっていたはずの体育館に、アーシアが一人で向かっていた。
武器みたいなの持ってはいるけど、まさか前線に立たせるとは思わなかった。
それくらいアーシアが強くなったのか、はたまた違う理由か。
『早速接敵したみたいだな。アーシア・アルジェント一人に対し、四人……ふむ。少なくとも今までのあの女なら、逃げる事すらできず一方的にやられていただろうが…』
「まず、目が死んでない。アレは勝てる自信がある奴の顔だ。――自信の源は、あの武器か?」
十字架を模した、彼女の背丈よりも大きな武器。
スピーカーのような物がついた、聖なる力を感じさせる武器。
正直何をするのか、何が起きるのか読めない。
だが不思議なことに、俺はアーシアが負けるとはとても思えないのだった。
※―――
「……驚きましたね。ここは『センター』。何としてでも奪いに来るものだと思いましたが」
「別に、私は譲りに来たわけじゃありませんよ。――この人数差でも勝てるって、部長さんが信じてくれたんです」
いつの日か輪廻さんに教えてもらった製法をもとに何とか作った、私の
不思議と、恐怖はない。
四対一なんて不利な状況なのに、今は負ける気がしない。
だって、私は部長さんの為に戦ってるんだから。
今の私を、輪廻さんが見てくれてるんだから。
「貴方が何をするとしても、私達がやることに変わりはありません。――ここを、奪う。卑怯かもしれませんが、四人同時に攻めさせてもらいます」
「あはは!解体しまーす!」
「バラバラ、バーラバラ♪」
棍を持った女性が構えると、体操服を着た双子らしき女の子がこちらに走ってきた。
その手にはチェーンソーを持っており、少しでも触れれば酷いダメージを受ける事は明白。
…それでも、やることが変わらないのは私も同じ。
ここで全員、無力化します!
私の作った
そして、今向かってきている双子や、後方で追撃を狙っている二人の方にスピーカー部分を向けて、紡ぐ。
私が、シスターだから…いえ。シスターだったからこそ、
※―――
突撃してくる双子らしき少女に対しアーシアが取ったのは、武器として十字架を構えるのではなく、まるでマイクのように口元に近づける、だった。
そしてソレを誰もが訝しんだ途端、体育館中に響き渡ったのは
「はは、はははははっ!!そうか、そう来たか!やりやがったなアーシア!お前、最高だっ!!」
「っ、?おかしい、私が、苦しい、だと?そんなまさか。高位のエクソシストならともかく、元々ただのシスターだったはずの彼女の聖歌で、ここまで…!?」
あまりに愉快過ぎて大爆笑してしまう俺の隣で、サーゼクスが苦しそうに頭を押さえる。
そりゃそうだ。ただアーシアが聖歌を歌うだけなら、サーゼクスは愚かライザーすら苦しめさせられまい。
だが今のアーシアは、あの十字架によって聖歌の持つ『聖なる力』を増幅されている。
それこそ、下級悪魔なら近くで聞くだけで消滅させられるくらいだ。
「神が死に、そしてその力はいくつか失われた。天使長なんかは『システム』を御しきれていないせいだと思い込んでいるらしいが、実際は違う。元々聖なる力の象徴であり、神により深く関係する物へ、その力がこぼれていったんだ。――だからこそ俺の『聖書の剣』や『聖書の盾』が生み出せたし、三大勢力の戦争のあとには讃美歌等の聖歌が増え、修行をせずとも取り憑いた悪魔を祓う事ができる才能を持った人間が生まれるようになった」
「…彼女のあの十字架も、ソレと同じだと?」
「あぁ。神に深く関わる、聖なる力を持つ物。その代表例が、聖書と十字架。カトリックだろうがプロテスタントだろうが聖書を読むし、十字だって切るだろ?つまりはそう言う事さ。神を信じる人々が、須らく信じる物、行う事。それは人間の都合の良いように考えられてんじゃ無く、
「なるほど……だからあの十字架を模したマイクを通して聖歌を歌う事で、聖歌の持つ聖なる力を増幅し、聞いた悪魔を例外なく祓う事ができると…!!」
「そこに、歌に乗せて十字架そのものが持つ力も送られてるからもっと酷いさ。現魔王のお前がテレビ越しに聞くだけで苦しむんだぞ?ライザーはともかく、その眷属程度じゃしばらくまともに動けないばかりか、自分の存在すら見失ってるはずだぜ」
アーシアの歌に、ライザーの眷属たちは半狂乱という言葉が良く似合う程に暴れていた。
その苦しみ方はサーゼクスの比じゃない。
そんな三人に、アーシアは止めを刺すことなく体育館を離脱。
足がかなり震えており、自分の歌った聖歌の影響をもろに受けてしまっているのが見て取れた。
…しかしおかしいな。なんで重要なポイントである体育館の確保を急がない?
苦しんでいるとは言え、時間が経てばダメージも回復する。
相手はフェニックスの眷属。ある程度不死性も譲り受けているはずだ。
それなのに放置して先に進むって……一体どういう?
頭に浮かんだ疑問の答えは、すぐに分かった。
アーシアが体育館を出て少し離れた所で、朱乃さんが体育館を雷撃で破壊したのだ。
そこで思い出す。
原作でも、朱乃さんの雷で体育館を破壊していたな、と。
細かい理由までは覚えていないが、ここまでは部長たちにとって狙い通りの展開のはず。
それにしてもアーシアがやけに消耗しているように見えるが、そこは考慮済みなのだろうか。
このまま次の戦場に向かっても、即座にやられる未来しか見えないが。
とはいえ現状一番注目すべきがアーシアであるという事に変わりはない。
俺にできるのは、彼女の活躍と勝利を祈るだけである。
『ライザー・フェニックス様の『兵士』三名、『戦車』一名、戦闘不能!』
いつものと変わらぬ様子を装っているグレイフィアさんのアナウンスが聞えたが、その声は何処か憔悴しているような感じがあった。
流石の最強の女王でも、十字架ブースト聖歌はきつかったらしい。
※―――
頭が痛い。気を抜けば今にも倒れてしまいそうなくらい、体力を消耗してしまった。
悪魔の身にして聖歌を歌う事のリスクは、重々承知していた。それでも実戦で使えるためにと、この苦痛になれる特訓は毎日欠かさず行ってきた。
だというのに、この消耗。
部長さんからも「悪魔の理に反する行為だから多用すると自分の命に関わる」と言われた程だし、やはりこの技は切り札として取っておくべきだったでしょうか?
いえ。鍛えたとは言え、四対一を無傷で突破できるなんて自惚れてもいません。
あの場を切り抜けるには、アレしか無かった。
破壊された体育館の上空で戦う朱乃さんと相手の『女王』さんが戦う音が背後から聞こえてくる。
最初は私も加わって、一緒に倒してしまった方が良いのではないかとも思ったけれど、空中の相手には私だと分が悪い。
それに、こんな消耗した状態ですぐに戦っても、ただの足手まといにしかならない。
だから走る。部長さんの作戦を実行するために、真っ直ぐ。
祐斗さんと小猫ちゃんが待っている予定の校庭へ向かって走っている途中に、アナウンスで相手の『兵士』が追加で三人、倒された事が知らされた。
先に戦い始めてしまったのか、はたまた不意を突くチャンスがあったのか。
とにかく私も合流を急がないと。
走っている途中に、何とか『気』で疲労度を回復する事も出来たし、聖歌を歌うにまで行かなくとも、戦闘中役に立つことはできるはず。
黒歌さんから教わった息を整えながら走る方法を実践しつつ校庭に向かうと、比較的気づかれにくい用具入れの小屋の影に祐斗さんと小猫ちゃんが隠れているのが見えた。
向こうも私に気づいたらしく、こっそり来るようにと手招きしている。
合流して二人の姿を見て、驚いた。
祐斗さんも小猫ちゃんも、どちらもとても怪我をしている。
大半がかすり傷だが、放っておけば必ずこの後の戦闘に支障をきたすはずだ。
私の元々持っていた力である『
こちらも日々のトレーニングのおかげで、回復にかかる時間が短縮され、回復できる範囲が大きくなった。
「ありがとう、アーシアさん」
「いえ。――ですが、どうしてお二人がそんなダメージを?」
「それは……前情報との違いに驚かされて、その隙を突かれたというか」
「……相手、なぜか
「えっ?」
それはおかしい。
だって、確か相手の眷属に神器使いは居なかったはずだ。
それは部長さんが持ってきた最新のデータに載っていた事だし、そこも一つの勝ち筋だった。
それなのに、相手が全員神器を持っていた?
私の場合は、戦いが始まる前に無力化したからわからなかったけど……もし聖歌を出し渋っていたら、四人の神器使い相手に一方的に敗北していた可能性もあった。
「しかも、なぜか全員が似たような神器を持っていたんだ。――多分、全員で共有できるタイプの神器を持ってるんだと思う。それがこの十日間で手に入れた物なのか、前々から持っていて隠していたのか不明だけどね」
「けど、これで相手に一歩勝っていたのが無くなってしまいました……ここから、どう巻き返すか」
「聞け!!私はライザー様に仕える『騎士』、カーラマイン!!このようなこそこそとした腹の探り合いにも飽きた!リアス・グレモリーの『騎士』!そして『戦車』よ!正面から正々堂々と勝負しようではないか!!」
突然、校庭の中心から大声が聞えて来る。
声の主は自らをカーラマインと名乗り、武器を構えてはいるモノの特にトラップ等を仕掛けている様子も無く開けた空間に立ち尽くしていた。
本当に、正面から戦うつもりなんだ。
「――はぁ。輪廻君に散々言われたんだけど、ね。僕はやっぱり、根っこの部分が『騎士』みたいだ」
「正面から、挑むんですか?」
「罠の可能性だってあるかもしれないのに…」
「それでも、だよ。僕だって『騎士』。この十日間で卑怯上等搦め手上等の精神を身に着けたとは言え、あぁも愚直に名乗られたら隠れているわけにもいかないさ。―――彼女が『騎士』なら、他には『戦車』と『僧侶』が一人ずついるはず。そっちの対応は任せたよ」
「はい」
「…奇しくも、同じ駒」
頷く私と、拳を握りしめる小猫ちゃん。
その姿を見て微笑んで、祐斗さんは臆さずに前へ出た。
「僕がリアス様の『騎士』、木場祐斗だ」
「私は『戦車』。塔城小猫」
「私は『僧侶』の、アーシア・アルジェントです」
「ほほぅ。まさか本当に姿を見せてくれるとは。骨のある奴らで嬉しいぞ!罠の可能性を考慮して隠れている選択肢もあっただろうに、全員が前に出るとは。――だが、私はお前らのようなバカが大好きだ!!」
堂々と名を名乗る祐斗さんに続き、小猫ちゃんと私も名乗る。
そんな私達に、カーラマインさんは嬉しそうに高笑いしつつ、しかし「罠に嵌めてやった」と考えているとは思えないようなすがすがしい目をしてこちらを見てきている。
なんとなくわかっていたとは言え、まさか本当に罠でも何でもなく呼んでいた、なんて……お手本のような『騎士』だ。
「馬鹿で上等、愚直で上等。――カーラマイン!同じ『騎士』として、君に一騎打ちを申し込む!!」
「良いだろうッ!私もこの新たな力、試すのであれば一騎打ちでと決めていたッ!!」
※―――
「あのバカ。俺の教えた事早速無視しやがって」
『ふむ?そうは言っているが相棒、随分と口元が緩んでいるじゃないか』
「まーな。話の通じないタイプのバカは嫌いだが、あぁいうタイプのバカは大歓迎だとも」
画面の向こうで激しい斬り合いを行っている木場とカーラマインを眺めつつ、ドライグと談笑する。
サーゼクスはサーゼクスで愉快そうに二人の戦いを見守っており、たまに俺がどのような修行をつけたのか等を聞いて、試合をもっと楽しもうとしている。
副音声扱いですか、俺は。
――しかし、連中の持っている神器。
アレは恐らく『神器であって神器でない』ものだろう。
言うなれば俺の『聖書の剣』、アーシアの『十字架拡声器』のようなものだ。
神の不在により、神器という物のシステムにも多かれ少なかれ変動が出た。
神がいなくなった後に生まれた神器である『赤龍帝の籠手』等はあまり影響を受けなかったが、それこそ神が生きていた時代に、神が直々に作ったような神器はその性質にかなりの変化が起こった。
それだけじゃない。神がいなくなり、神器の定義が『神からの人間へのギフト』から『神の力に準ずる形を持った奇跡』となったが故に、人の手で神器をある程度容易に生み出せるようになってしまったのだ。
アザゼルが人工神器を生み出せるようになったのも、赤龍帝や白龍皇の力を神器に封じ込められたのも、そのためである。
…で、長々と話してしまったが何が言いたいのかというと、彼女等が使っている神器モドキは、本質的には人工神器のソレに近いという事。
そしてこの神器モドキ、恐らく力の根幹を担っているモノが―――。
『まったく。剣士というのはこれだからあまり好ましくありませんわ。頭の中が剣の事で一杯で、正々堂々と戦う事以外を是としない。『
『ッ、貴方は、『僧侶』の…!!』
フェニックス由来の炎を操り、時に怪し気に輝く歪な剣を振るって戦うカーラマインに、木場は俺が教えた通りのフェイントを織り交ぜた戦いで交戦していた。
だがどちらかというと正々堂々とした戦い方が中心となっていて先が読みやすく、修行最終日に見せた成果通りの実力を発揮できているとは言えなかった。
それ故に拮抗状態となっていたわけだが、そんな二人を無視して向こうの『僧侶』、ライザーの妹であるレイヴェルが口を開いた。
ほんと、典型的なお嬢様キャラだよな。ここまで立派な金髪ドリルなんて今まで見た事ないぜ俺。
呆れているかのような口ぶりで話す彼女からは、戦場に立っている者独特の緊張感をまるで感じない。
それでも…いや、それだからこそ、小猫もアーシアも身構え、どのような攻撃をされるか集中した。
だが警戒されているレイヴェル自身は、小さな扇を取り出してパタパタと扇ぐだけで、戦闘行動に移る様子はない。
『……そこの御二方。言っておきますけど、私は戦う気はさらさらありませんわよ?まぁ、手持ち無沙汰だというならイザベラ、貴方が相手してあげなさい』
『元からそのつもり。――さ。どうする?二人同時に来てもいいし、一人ずつでもいい。私は『戦車』だからね、二人同時の攻撃だろうと捌ききれる自信があるよ』
『い、いえ。それは良いんですけど……』
『どうして、『僧侶』は戦わないの?』
すぐ近くで『騎士』二人が激しい剣戟を繰り広げているというのに、なんだか脱力した雰囲気。
アーシアと小猫の疑問に答えたのは、イザベラと呼ばれた顔半分を仮面に隠した女性だった。
まぁ、理由は前に部室でアイツが語っていた通り。
ただ自慢するためだけに眷属に入れてる、言わばお飾りの『僧侶』だから、戦闘に参加するかしないかは自由意志なんだと。
二人とも呆れて物も言えない様子だった。
理由が理由だから仕方ないけどさ。
『ま、そういう事だから、戦うのは私だけさ。――丁度、あの二人の決着もそろそろ着きそうだし、はじめようか』
『……アーシア先輩。私に任せてください』
いつでも戦闘を行えるような構えを取るイザベラに、小猫が向かいあう。
画面越しにもわかるくらいに綺麗な『気』の練り上げだ。俺が教えただけの事はある。
アーシアが少し離れた所に移動した次の瞬間、二人は一気に動き出した。
交差する拳と足。
同じ『戦車』同士だが、パワー勝負は小猫の拳に軍配が上がった。
イザベラは苦悶の表情と共に距離を取り、再び急接近しながら今度は鞭のように腕をしならせて攻撃した。
トリッキーな格闘術が彼女の本来の戦法なのだろう。だとすれば多少パワーが無くともカバーできる。
まぁ、それ以上に『気』を使って体を強化しているかしていないかというのが影響しているわけなのだが。
敵ながらあっぱれと言える奇妙な攻撃の数々に、パワーで勝っているはずの小猫が若干押される。
防戦一方という訳でもない。時折攻撃に転じられてはいるが、致命傷に至れていないだけだ。
アーシアはただソレを見守るばかり。
任せてくださいと言われ、それに頷いたのだ。まだ押されているわけでも無いのに力を貸すのは無粋だと、そう思っているのだろう。
膠着状態の『戦車』対決に対し、『騎士』側は大きな動きがみられた。
木場の魔剣が折られたのだ。
その事に自分の勝利を確信したのか、カーラマインが「貰ったァッ!!」と叫びながら炎を纏わせた剣を振り下ろす。
……だが、アイツは騙されている。
木場は今の斬り合いで、魔剣を一本しか使っていない。
そして普通は魔剣を複数使うなんてあり得ない。聖剣程適性は要求されないが、それでも複数本持つのはかなり稀なのだ。
だからこそ、カーラマインはアイツの剣を折って勝ったつもりになった。
否。なってしまった。
『貰った…?ふふっ、違うさ!』
即座に新たな魔剣を
突然のことに驚き、動きが固まってしまう彼女は、せめてもの抵抗とばかりに口を開く。
『んなっ…!ば、馬鹿な!二本目の魔剣だと!?一体、どこに隠し持っていた!?』
『それも違うよ。僕の武器は、あの魔剣一本だけじゃなかったのさ。神器、『
言い終わると同時にその場を離脱する木場。
それに訝し気な表情を一瞬見せたカーラマインだが、次の瞬間には再び驚愕に染まる。
地面からせり出す、大量の魔剣。
刀身も違う。柄も違う。炎を纏っている物から、夜闇よりも深く暗い刀身の物まで、様々な魔剣がカーラマインを囲むように、突き刺すように出現した。
確実に撃破するために、全方位から攻撃したのか。
腰に先程創り出した魔剣を携え、一呼吸つく木場。
誰の目にも勝利を確信しているように見える彼だったが、しかし異変に気付く。
『アナウンスがない?』
『当たり前だ。まだ私は敗れていないのだからな!』
訝しむように呟くと同時、その声に剣山の向こうの声が答える。
カーラマインだ。無数の魔剣に貫かれ撃破されたはずの彼女が、なぜかまだ平然としている。
『な、何っ!?魔剣は確かに君を貫ぬいたはずじゃ…!?』
『そういう神器だ。タイミングさえつかめれば、一度戦闘不能レベルのダメージを受けても即座に再生できる。――まさに、フェニックスが如き神器だ』
『…剣の形をしているのに、攻撃的な能力じゃ無かったというのか…!!』
剣山を破壊して外へ出てきたカーラマインには、傷の一つも見受けられない。
神器の性能を読み違えた事に悔しそうに歯噛みする木場からは、普段の爽やかさが消え去っていた。
一度きりの切り札とも言うべき不意打ちが効かなかった事により追いつめられる木場。
そこに更なる絶望が飛来する。
校舎の方から吹っ飛んできた、一つの影。
地面に激突し土煙を上げたソレの正体に、木場とアーシア、そして戦いの手を止めた小猫が驚きの声を出す。
『『『い、
『ぐっ、げほっ…!ちく、しょう…!!』
ボロボロの制服を身に纏い、肌が火傷しているイッセー。
それが校庭に吹っ飛んできたモノの正体だった。
直ぐにアーシアが駆け寄り傷を治すも、足がもたついて立ち上がるのに苦戦する。
神器を纏っていないのを見るに、限界を超えて強化してしまった……或いは強化してしまいそうになり、やむを得ずやめたか。
どちらにせよ、その足の震えは強化が解除された事によるものに違いない。
そしてそんなイッセーに声をかけつつ校舎の屋根から飛来してくる、炎の翼を持つ男が一人。
ライザー・フェニックスだ。
『どうした下僕くん。まだまだ俺は本気なんて出して無いばかりか、まともに攻撃すら当ててないぞ?それなのにもう限界とは、良かったのは威勢だけだったみたいだな』
『…ふざっ、けんな…!!テメェが、テメェが…!!』
悔しそうに睨みつけるイッセーに、しかしライザーは余裕そうな、愉快そうな笑みを絶やさない。
そしてライザーの後を追うようにして現れたのは、朱乃さんを抱えたユーベルーナだった。
…人質か、或いは肉壁か。
どちらにせよ、グレモリー眷属相手には有効過ぎる手段だ。
苦しそうに呻く朱乃さんを見て、木場達が息を呑む。
そして何があったのかを理解したのだろう。全員が鋭くライザーを睨みつける。
『おいおい、敵を即座に撃破せず盾にするのも、戦法としてあるんだぞ?それに見事に引っかかったのがお前だっただけで、俺には何の非も無いさ』
飄々とした態度を崩さないライザーは、何とか立ち上がったイッセーを挑発する。
いや、イッセーだけじゃない。この場のグレモリー眷属全員を挑発している。
もし仮に全員から攻撃されようと、自分なら問題ないとわかっているから。
それ以前に、朱乃さんを人質として持っているからか。
『さて。別にこのまま俺の炎で焼き尽くしてやっても構わないが、俺も三男とは言えフェニックス家の看板を背負ってるんだ。種まき焼き鳥だのとふざけたことを言ってくれやがったお前には、さらなる
そう言ってライザーが右手を横に伸ばすと、その手の中に歪んだ刀身の剣が出現した。
神器だ。恐らくアイツの眷属が持っているモノの、本元。
何よりこの感じる気配。
そうだ、やっぱりそうだった。
コイツは、コイツの力の根底にあるモノは――。
「…『夢幻』、か」
『この剣はそのまま『引換剣』という物でな。安直な名前だが、人の手によって生み出された神器さ。武器として使う事も可能だが、その真価は自分の命を対価とし、願いを叶えるという物。本来は一人一回の願望機だが、不死身である俺は違う。現にこの神器を量産し、下僕たちの願いを一つ無償で叶えられるようにした上で、こうして戦いに臨む事が出来た』
『…命と引き換えに、願いを…?』
『そうさ。無限の命を持つ俺に相応しい神器だろう。――さて、これのおかげでリアスを痛めつけなくても、強制的に
地に足をつけ、『引換剣』を素振りするライザー。
剣の形をした願望機。その力すらも手に入れたライザーの姿は、彼等に絶望を与えるに足るものであった。
そして、俺以外はまだ気づいていないが、すぐにでも知ることになる事が一つ。
イッセーの神器が、
【オリジナル要素紹介】
『十字架拡声器』
・杖(武器)としても槍としても使える拡声器。この拡声器を通した言葉は須らく聖なる力を帯び、元々聖なる力のこもっている言葉(聖歌等)はその力が増すばかりか追加される為、現魔王であろうと苦しめさせることが可能。
また武器として使う場合は、持ち手の都合上『逆十字』になる為、悪魔であるアーシアの攻撃が強化されることになる。
元シスターであり悪魔である彼女に、最も適した武器。
(注:因みに現魔王であろうと、という言葉はこの作品では『悪魔は強くなる度に聖なる力に対する耐性が増す』という法則があるモノとしているからです。
原作で逆の事が書かれていたり、何も言及されていない等あっても、この作品を読むときはその体でお願いします)
『引換剣』
・夢幻の力を備えた、最強クラスの願望機。武器の形をしているのは、夢幻の力…つまりグレートレッドの力を納めるのに最も適したものだから(原作でもグレートレッドは比較的好戦的な部分があった為)
夢幻人がライザーに接触し、半ば強制的に授けた。
名前が安直なのは、これがまだ試作品であり、実験段階のレプリカのような物だから。
勿論ライザーはそんな事知らない為、これが完成形だと思って使っている。
彼は不死である自分との相性が抜群な事から、本当に自分のための武器だと思っている節がある。
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