ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

14 / 39
ついにイッセーの神器の正体が明かされる…!!


憤怒の龍魔王

頭が痛む。

手足に力が入らない。

まるで水の中に居るみたいな、不自由さの混じった浮遊感。

 

――俺、何してたんだっけ。

 

そんな疑問が頭の中に浮かぶ。

前後の記憶があやふやだ。

部長の指示通り待機して、そしてついにライザーに動きがあって……その後、何が起きたんだっけ。

 

『よぉ、小僧。目を覚ましたか』

 

前後左右、どこから声をかけられたのかわからないが、低い声が俺に語り掛けてきた。

突然のことに驚きつつも、取り合えず返事だけでもしようと口を開く。

 

「お前、誰だ…?」

『あん?俺か。俺は―――ま、名乗るのは後だな。まずは俺の宿()()サマに、現状を把握して燃え上がってもらわにゃならん』

 

宿主?何言ってんだ?

 

困惑する俺を無視するように、まるで指を鳴らしたかのような音が響く。

かと思えば次の瞬間、浮遊感が無くなり、代わりに俺は豪華なソファに腰かけていた。

隣には、俺よりも背の高い男が座っている。

顔を見ようにも、なぜか見れない。

だが男だという事だけは確かだ。

 

『吹っ飛ばされたせいで記憶が飛んだみたいだから、ざっくり見せてやるよ』

「吹っ飛ばされた?見せる?い、一体何を言って」

『いいから。ほれ』

 

男が指さした方を見ると、そこにはまるで映画のスクリーンのような物があった。

そしてそこに映るのは、俺の記憶。

本当は俺自身の物であり、尚且つ俺視点の映像のはずなのに、なんだか第三者の記憶を見せられているような気分だった。

流れる映像が、何があったかを教えてくる。思い出させる。

 

部長と一緒に屋根に乗り、攻め込んできたライザーと対峙した事。

神器とプロモーションで強化された俺の力と、部長の滅びの魔力を使って、アイツを追いつめた事。

もうすぐで倒しきれるという所で、アイツが何故か神器を取り出した事。

そこから何故か立場が逆転し、その上アイツの『女王』がボロボロになった朱乃さんを連れてきて、動けなくなってしまった事。

そのまま吹き飛ばされ、校庭に居る木場達と諸共、アイツの炎に燃やされた事。

 

そして今は、俺達がやられた事に激怒しているリアス部長が、ライザー相手に必死に攻撃し続けている。

既に他の三人は戦闘不能扱いされているが、俺だけはまだ残っているらしい。

 

『今流れているリアルタイムの映像は、神器越しに映してるモンだ。お前が戦闘不能扱いされてないのは、こうして神器が発動しているからだな』

「なるほど……ってかお前、マジで誰なんだよ!名前は良いからせめて何者かだけでも言えば良いだろ!?」

『んじゃあ、俺はお前の神器に宿るモノ。ドラゴンであり悪魔、悪魔でありドラゴン。ま、長い付き合いになる予定なんだ。よろしく頼むぜ?』

「は、はぁ。良くわかんねぇけど、そうか」

 

……ん?この男って、神器の中に宿ってるモンなんだよな。

じゃあそんなコイツと面と向かって話している俺って、今神器の中に入っちゃってるって事?

 

あれー?と頭を抱える俺に、男は関係ないとばかりに話しかけてくる。

 

『さてっと。本題入りますかー……なぁ小僧。お前、あの悪魔…ライザーとかいうヤツ、どう思うよ?』

「どうって…」

『ムカつくだろ。イケメンでハーレム野郎で、お前の大事な仲間を人質にして戦うような卑怯なヤツ。その上、お前が大好きなリアスとかいう女、お前から奪おうとしてんだぜ?』

 

悪魔を名乗ったコイツは、まさしく悪魔のように耳元で囁く。

まるで俺をそそのかそうとしているかのようだが、別にそんな事言われなくても、今まで何があったか思い出した俺にはアイツに対する怒りしかない。

 

「ムカついてるに決まってんだろ。――でも、命引き換えになんでも叶える神器とか持ってるらしいし、何より俺の体が動かねぇ。今までみたいに、ただキレるなんてできねぇよ」

『ふーん。んじゃ、諦める?神器の中から聞いてたけど、あの女、まだ未貫通(おぼこ)なんだろ?好きな子一度も抱けないまま他の男の、それも既に何人も食い散らしてきたような男の女にさせちまって良いのかよ?』

「良い訳ねぇだろ!!だから今すぐでもアイツをぶん殴って、負かしてやる!体力だってもうねぇし、アイツは俺なんかよりずっとチートな神器持ってやがるけど、ンなもん関係ねぇ!!良いか、キレたりしないけどアイツは許さねぇしブッ倒す!部長は誰にも渡さねぇ!!」

 

まくしたてるように怒鳴った俺に、男は愉快そうに腹を抱えて笑う。

なんて面白い奴なんだと、俺から一度も目を離さない。

 

『イイね良いねその怒りその無謀その欲望!それでこそ悪魔!古き良き悪魔ってのはこういうのを言うんだよ!気に入ったぜ小僧!お前に力を貸してやるよ!』

「力を貸すって……そ、そうすりゃアイツを倒せるのか!?」

『あぁ。上手くやれば、だけどな?俺の本来の力を貸す……つまり、一度強制的に『禁手(バランス・ブレイカー)』となるわけだ。今のお前の力なら、左手一本差し出しゃ10秒間、その力を行使できる。使い方は即座に頭に刷り込まれるはずさ。神器()の名前もな』

「『禁手』……10秒間だけで、俺にアイツが倒せるのか?」

『弱気になってんじゃねぇぞ小僧。良いか、悪魔だったらさっきみたいに傲岸不遜に、無知蒙昧に突き進め。俺の力はそういうヤツにこそ相応しく、真価を発揮できる。怒り狂え。欲に生きろ。お前が本当にしたい事だけ考えて、後の事なんか捨てちまえ。10秒間もありゃ、あんな小規模のフェニックスに負ける事なんてねぇし、あの手に持ってる『夢幻』の力も微々たるもんだ。願いをなんでも叶えるなんて触れ込みしてるが、実際にはかなりの制限があるはず。――何度だっていうが、勝てない相手じゃねぇよ』

 

俺の胸に拳を突き当て、男は後押ししてくれる。

悪魔らしく、欲望に忠実に、か。

勝てないなんて思わずに、後先なんて知りもせずに、ただその時やりたいようにやる。

まさにいつもの俺じゃねぇか。

 

『ほら、お前のお姫様がそろそろピンチみたいだぜ?行って来いよ小僧』

「おう。―――後、俺の名前は兵藤一誠だ。小僧じゃ無くて、イッセーって呼べよ」

『ほう、イッセー。あだ名って奴か。クククッ……なら、俺も自己紹介してやろう』

 

そういうと、先程まで何故か認識できなかったはずの男の顔が鮮明に見えるようになり、そして男の背中からは蝙蝠のような羽が生え、頭部には角が生えた。

 

まるでキレた時の輪廻のような雰囲気を全身から滲ませる男は、俺だけでなく、この世界に告げるようにして叫ぶ。

自分の名を。俺すら知ってるような、超ビッグネームを。

 

『俺の名は()()()!!神の使いであり蛇であり龍であり、そして悪魔である()()()()()!後に生まれた連中は俺の事を『憤怒の龍魔王』と書いてサタンと読ませるらしいんで、そっちも覚えてきな、イッセー!』

 

あまりに衝撃的な自己紹介に面喰っていると、俺の視界は眩い光に包まれて、そして次第に周囲に物凄い熱を感じるようになった。

この雰囲気、戦場に戻って来たんだ。

少し顔を上げると、部長が今にもライザーの攻撃に晒されそうなのが見えた。

 

その瞬間、俺は脳が沸騰したかのように怒りが湧き上がり、奇襲とかそんなのを考える間もなくライザーに怒鳴り散らす。

 

()()部長から離れろライザーッ!!」

「――ほぉ?戦闘不能扱いになっていないからまさかとは思っていたが、立ち上がるとはな。だが馬鹿なヤツだなリアスの下僕!隠れて背後を狙えば、まだ俺に一撃入れるチャンスがあったかもしれない物を!!」

「うっせぇ!!奇襲なんざ必要ねぇ!――いいかライザー!俺は……俺はっ、部長が好きなんだよッ!!」

 

俺の告白に、ライザーは今度こそ目を丸くして驚く。

いきなり何を言い出すんだと言いたげな瞳をするライザーに、部長に聞かれているのも承知で思いのたけを話す。

支離滅裂になろうと、お構いなしに。

 

「優しい部長が好きだ。怒ると怖い部長が好きだ。大人びた部長が好きだ。子供らしい一面を見せる部長が大好きだ!おっぱいが大きい部長が大大大大大好きなんだッ!!家柄なんてどうでもいい、眷属と主なんてのもどうでもいい、俺はただ部長が好きなんだよ!!そりゃハーレムだって作りたいし、お前ほどイケメンでも無けりゃ甲斐性もねぇただのバカな変態だけど、それでも部長が大好きなんだよ!!――だから、絶対にお前なんかと結婚させねぇ。婚約なんて認められっかバァアアアアカッ!」

「はんっ、いきなり何を言い出すかと思えば、ムードも色気も何もない思いの叫び!何から何まで三流の下級悪魔くんらしい告白の仕方だな!だが俺がお前の為に遠慮して負けてやるとでも?いやいやないね!寧ろ燃え上がって来たぜ下僕くん。お前の絶望する顔を想像しながらリアスの処女をいただくのは大変気分が良さそうだ!なんせまだ俺は寝取りプレイだけは経験した事が無いんでね!」

「黙れぇええええええッ!!不死身だか何だか知らねぇがぶっ殺すぞ腐れイケメン焼き鳥野郎!!部長の、部長の処女は俺のモンだァあああああああ!!」

『Satan's power over drive!!』

 

俺の渾身の叫びに呼応するように、左手の神器が輝き、そして俺は、深い闇に体を包まれた。

 

※―――

 

『部長の処女は俺のモンだァあああああああ!!』

 

ただ自分の思いを口にしました、みたいな告白をしたイッセーが、ライザーの言葉に怒り狂うかのように叫んだと同時、その体を闇が包んだ。

 

黒い、悪魔とドラゴンの気配が入り混じった気配だ。

そして俺は、その気配の正体を知っている。

 

というか、神器そのもののシステム音が確かに名乗っていた。

 

「サタン……!?馬鹿な、それこそあり得ない!姿を消したはずの原初の魔王が、なぜ神器に!?」

「さて、な。これもまた神の不在の影響、なんだろうさ」

 

今日一番に取り乱すサーゼクスを尻目に、蠢く闇に包まれたイッセーと、ソレを見つめるライザーとユーベルーナ、そして部長を眺める。

前二人は突然の変化に警戒している様子。

しかし部長は、イッセーの突然の変化に驚くよりも、先程の言葉にときめいているのか、頬を赤く染めて乙女の表情をしていた。

 

はははっ、やったなイッセー。お前の想い、届いたじゃねぇか。

 

『なっ、なんだその力は!なんなんだその神器は!!』

『改めて自己紹介だぜライザー…!俺は兵藤一誠。憤怒の龍魔王(サタン)の神器を宿す者だッ!!』

『Break down!!』

 

システム音と同時に、イッセーの全身から凄まじい力が解き放たれる。

原作のイッセーが最初に禁手の力を振るった時も、このような力を放ったのだろう。

勿論俺には遠く及ばないが、確かにその力はサタンを名乗るに足るモノであった。

 

突然のイッセーの変化に、ライザーもその眷属も目に見えて狼狽する。

だがイッセーは止まらない。恐らく、その目には何も見えていない。

 

真っ黒で所々にオレンジ色のマグマのような光が見える全身鎧をまとい、巨大な蝙蝠の翼のように見える黒いエネルギー体をはためかせ、ヤギのように歪み捻じれ曲がった角をはやすその姿は、まさに悪魔。

顔を覆い隠す鎧の口の部分は、まるで三日月のように裂け、ギザギザの歯を見せ笑っているかのような見た目をしていた。

 

『ふ、ふざけるな、ふざけるなよ!そんな物、ただのコケ脅しだろうが!サタンの力を持った転生悪魔が、居てたまるかァッ!!』

『知るかッ!んなこたどうでもいい!俺の部長から離れやがれ、焼き鳥ホストォおおおおおッ!!』

 

翼を大きく動かしたと同時、イッセーの姿が掻き消える。

その次の瞬間にはライザーとユーベルーナは校舎に向かって吹き飛び、部長のすぐそばにイッセーが移動していた。

 

言ってしまえば、ただ急接近して殴っただけ。

そこには何の工夫も戦術も作戦も無く、感情のままに暴れる姿はまさしく()()

 

アイツはキレてる。今までにないくらいにキレている。

ライザーへの怒りが最高潮に達し、それ故に神器の力をここまで引き出せているのだ。

 

だがとっくに限界は迎えている段階。

本調子なら原作より鍛えられている分長くなっただろうが、先程の状態からならば十秒が限界だろう。

 

しかしその短い秒数をデメリットと感じさせない程の力。

サタン本来の『感情の高ぶりで強くなり続ける』力に、アイツのライザーへの怒りと部長への愛と性欲とが上手くかみ合ったのだ。

 

短い秒数を無駄にしない為か、それとも永遠に再生を続け、隙を与えればどのような願いだろうと現実にしてしまう『夢幻』の力を持っているライザーに微かな時すら与えない為か……それとも何も考えていないのか。

とにかく、イッセーは吹き飛んでいったライザーを追うように再び超速移動。

 

ユーベルーナは先程の一撃で既に撃破された。

残るはライザーのみである。

 

『ライザぁあああああああああっ!!』

『ぐっ、ぐぅっ……ごばぁぁっ!!?』

 

回復の炎を揺らめかせつつ立ち上がったライザーに、イッセーの拳が即座に突き刺さる。

殴り飛ばすなんてことは無く、その鋭い一撃はライザーの腹を貫いた。

かと思えば次の瞬間にはライザーの頭部が吹き飛び、後にはもう片方の手を振り抜いたままの状態で残心するイッセーだけが残った。

 

……凄いスピードだ。一応『女王』にプロモーションしてコレらしいが、『騎士』になって速度重視にすれば俺でも神器無しじゃキツイ段階にまでなっていやがる。

 

まだまだ成長段階の癖に、これか。

これが、原初の魔王の力か。

 

『く、くそォっ、『夢幻』よ!俺の願いを叶えろ!あのサタンのガキを完膚なきまでに叩き潰せ!手段も何も問わん!俺が奴に勝つという結果を――ぐぼぁっ!?』

『遅ェなァッ!全ッ然遅いぞライザー!『夢幻』の力はお前の思ってる程万能じゃねぇってのは、こっちはもうとっくに気づいてんだぞ!』

 

イッセーは獰猛に告げる。

その力は後五秒しか持たない。

だがそれでも、この圧倒具合ならば事足りよう。

ライザーとの実力差は、確かに今逆転している。

負けはない。―――本当に、五秒間も使えるのなら、だが。

 

『っしゃあ止めだッ!!不死ってのは体力と精神力が弱点なんだよなぁっ、だったらソレを削りきるような一撃をぶちかましてやれば、それでいいだろうがよぉッ!』

『調子に乗るなっ、下僕風情がぁああああああッ!!』

 

一際力を溜め、イッセーはその拳をライザーに急接近して振るう。

しかしライザーはソレを防ぐように大量の炎を放出する。

 

追いつめられようと、相手がサタンだろうと流石はフェニックスというべきか。

その炎は、確かにイッセーの拳を食い止めた。

だがこのままならすぐにでも破られるような拮抗状態。

 

誰もが予想した通り、ライザーの炎はイッセーの拳に吹き飛ばされ、無防備になったライザーの眼前にイッセーが拳を構えて立つという状態になった。

 

そして誰もが確信する。

この勝負は、イッセーの勝ちだろうと。

 

しかし、ライザーの最後の抵抗は、確かにイッセーを追いつめていた。

 

『time out』

『んな――!?』

 

タイムアウト。十秒も経っていないのに告げられた言葉は、イッセーにとっては何よりも残酷で、ライザーにとっては福音だった。

 

そう。イッセーは限界を超えた力を操った。

その手をサタンにすら捧げ、今出せる全てを出し切った。

 

しかしその一撃は、不死鳥の炎をかき消すのみで終わってしまったのだ。

後には鎧を維持するだけの力しか残らず、最後の一撃を加えようと力をためたと同時に維持すら不可能となった。

 

力を失ったイッセーは、ただその場で崩れ落ちるのみ。

そしてそれと同時に、転移の光が輝いた。

 

――強制退場。

力を使いつくしたと、レーティングゲームのシステムが判定したのだ。

まだ戦えると言いたげな顔をしていたが、画面越しでもわかる。アイツの『気』はさながら死にかけの病人のように弱々しく、とても戦えるような物では無かった。

 

『―――り、リアス・グレモリー様の『兵士』一名、戦闘不能』

 

たどたどしくイッセー退場のアナウンスが告げられると、突然の事に戸惑っていたライザーが肩を震わせ、そのまま狂ったように高笑いを始めた。

 

『ふ、はは、ははは、ハハハハハハハハハハッ!!バカなヤツだ!身の丈に合わない力を無理矢理行使おうとするからこうなるんだ!!――さて、あのサタンを名乗る下僕は居なくなって、これで『王』対『王』だが……さっき俺と戦ってわかっただろ、リアス。君じゃ俺には勝てない。それに君がここで無駄な抵抗をして傷つくのは、君の為にと戦った下僕たちにとっても不本意のはずだ。――大人しく『投了(リザイン)』しなよ、リアス』

『………『投了(リザイン)』、するわ』

 

唇を噛みしめながら、ライザーの言葉に従い『投了』する部長。

悔しそうにしているのだが、なぜか目が虚ろだった。

 

――そりゃ、本人の意志じゃないからだろうがな。

 

『引換剣』と呼ばれた剣が怪しく輝くのを、俺は確かに見ていた。

しかし俺以外の誰もが気づかない。

サーゼクスに至っては先程のサタン云々の事で頭が一杯になっているらしい。

…ったく、目の前で堂々と不正してるヤツがいるんだから、ちゃんと見とけよな。

 

「…サーゼクス。思考に埋没中の所悪いが、お前の妹さん負けたぞ」

「――えっ?あ、はぁっ?さ、サタンの力を持ってしても勝ちきれなかったと?」

『お前は見てなかったのか。兵藤一誠は力を使い果たして退場し、リアス・グレモリーは『投了』を選んだ。――まぁ、あの女の本心では無かったようだが』

 

ドライグの説明を受けて、ようやく現状を理解したのか、愕然とした、しかし確かな怒りが混ざった表情を見せるサーゼクス。

本心では無かった、の一言で何とかなく察したのだろう。

ライザーは『夢幻』の力でリアスに『投了』させたのだと。

 

しかし怒りを覚えたとて、その瞬間を見たのは俺一人。

証拠も何もない以上、魔王という立場にあるコイツが行動するのは不可能だ。

 

……だから、俺が動いてやるとするかね。

親友の恋路だ。ちょっと手を貸すくらい問題ないだろう。

 

「ってな訳でサーゼクス。婚約式だか結婚式だかわからんが、乗り込んで無理矢理婚約破棄させたいと思うんだがどうだろうか」

「―――いいのかい?」

「あぁ。親友があんな世紀の大告白やってのけたんだ。それがあんな結末ではいお終いってのもアレだろ。それに『夢幻』が無けりゃ、あの消耗具合……部長に勝機はあったはずだ。個人的にも『夢幻』関係者は許せないんでね」

「そうか。――なら、頼むとしよう。式場が決まり次第、日時と乱入用の転移魔法陣を君に渡そう」

 

サーゼクスの言葉にうなずき、俺は部屋を出て、校舎を去る。

まだ真夜中だ。長い事戦っていたようで、しかしそれほど時間は経っていなかったらしい。

 

『気』の力を使って空中を移動しつつ、ドライグに声をかける。

 

「なぁドライグ。あの『夢幻』、お前はどう見る?」

『兵藤一誠が言っていた通りだろう。アレは万能に見えて、しかしそれほどの力を持たん。どんな願いだろうと、とは言っていたが、実際は大した願いも叶えられんだろうな。それこそ死人を蘇らせる等頼めば、即座に壊れるだろうよ。アレはその程度の『夢幻』しか持たん。というよりも、あのグレートレッドの力を人の作り出したものに抑え込めるわけが無い』

「だろうな。ライザーはそれに気づいていないのか……もしくは、騙されてるのかもな」

 

アイツから感じた、最初の対面時には無かった別のオーラ。

それも『夢幻』に近しいオーラであったし、何よりアイツの様子も少し変だった。

 

まるで、操られているかのような。

 

「ったく。ただの結婚騒動に連中が絡んでくるなんてなぁ」

『…だが、やることは一つだろう?』

「あぁ、いつも通りさ」

 

――纏めて捻じ伏せる。俺にできるのは、いつだってそれだけさ。




【オリジナル神器紹介】
悪魔の連撃(コンボ・オブ・デーモン)
・原初の魔王サタンの力、その一端が込められた神器。何かに攻撃し、その当たった時の力の入り具合で強化倍率が変わる。
攻撃を外せば一気に強化分が消えてしまうデメリットはあるが、かすりさえすれば強化は維持されるので使い手によっては苦にならない。
また、この神器の使い手は気配に敏感になるため、不意打ち等が基本的に効かなくなるという強みもある。

龍魔王の鎧(サタン・ジ・ラース・スケイルメイル)
・『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』や『白龍(ディバイン・)皇の(ディバイディング・)(スケイルメイル)』と似た物。『悪魔の連撃』の『禁手』。
サタンはドラゴンとしての性質も持つが、この鎧は『悪魔』を模したプレートアーマーとなっており、全身真っ黒でありながら関節部分等がオレンジに発光し、さながら溶岩のように見える。
『悪魔の連撃』の効果に加え、感情の高ぶりによって力が変動するというサタン本来の力も発動するため、その強化倍率は本来の赤龍帝すらも上回る。
この状態では素の力も強化されるため、下級悪魔(イッセー)であっても一時的に上級悪魔(ライザー)を上回る事が出来た。



評価感想お気に入り登録、よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。