ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

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今回「♪」を二度使ったのですが、もし不快に感じる方が居れば是非教えてください。
これから使わないようにするので。


多分俺はテンプレオリ主/悪魔、はじめてました

「ただいまー」

 

堕天使との戦闘を終え、イッセーにそれっぽいことを言って帰宅。

大分遅い時間だが、基本的に父さんと母さんはこの時間でも晩酌している。

いつもなら、酔いが回りはじめた頃だろうか。

 

そんな事を考えながら靴を並べていると、居間の方からこちらに駆け寄ってくる足音が聞こえる。

無論足音の主は父さんでも母さんでもない。ついでに俺は兄弟姉妹もいない。

この足音の主は、今では立派な我が家の一員となった女性で。

 

「おかえりなさいにゃん♪」

「おう、ただいま」

 

背中に感じる柔らかい二つの感触にちょっとした興奮を覚えながら、抱きついてきた彼女の顔を見る。

艶やかな黒髪に、金色の瞳。

頭についたぴこぴこと動く猫耳が、とても可愛らしい。

 

彼女の名前は黒歌。

ハイスクールD×Dの二次創作で、よくオリ主になんやかんや助けられて懐く子である。

 

(改めて、俺ってなかなかテンプレオリ主だよなぁー)

『(む、てんぷれ?おりぬし?)』

 

頬と頬とをすり寄せる黒歌の頭を優しく撫でながら、疑問符を浮かべるドライグに「なんでもない」と一言だけ告げた。

 

※―――

 

俺は生前から、ハイスクールD×Dが好きだった。

原作のおっぱい&熱血も良かったし、二次創作のシリアス濃いめやギャグ多めも好ましかった。

そして、オリ主……つまり、オリジナルのキャラクターが主人公で、なおかつ作中で一番強いというタイプの二次創作。

俺は、それも大好きだった。

 

俺はあまり原作信仰といった真似はしないので、主人公や別のキャラのヒロインがオリジナルキャラクターのヒロインとなっていても気にならなかったし、ご都合主義的な力を使って原作ではどうしようもなかった事を片手間で解決してしまうのを良いものだと思っていた。

恥ずかしながら、自分が主人公だったら、という妄想を何度もしたことがあるくらいに。

 

……ただ、それは転生の過程でゴリッゴリのチート能力をもらえた場合の話。

得た力が作中で中堅程度(イッセーはそれでも上位陣に主におっぱいへの情熱で喰い込んでいたが)のアイテムで、しかもハイスクールD×Dにおいてそれなりに重要視される血筋はザ・平凡。

これではヒロイン達をご都合主義的に助けて惚れさせるなんて夢のまた夢。

それどころか、この世界の家族や友人……なんなら自分自身すら守れない。

 

だから俺は死の直前まで自分を追い込んだり、原作ではしていなかった神器の使い方を試してみたりと、この数百年間(何度だって言うが俺の魔法の効果で俺だけ何百年も過ごしたことになっている)ひたすら己を高め続けた。

 

全ては俺の周囲の小さな「世界」を守るため。

あとついでに原作ヒロインたちといい感じになれたらなという下心ありきで。

 

……そういやこれってどーなんだろうな。

運命の強制力とか、よく二次創作で出てくるけど…俺がどんだけヒロインの好感度稼ごうとしても最終的にイッセーに持ってかれたりするんだろうか。

まぁ、この辺はいずれ分かるか。

 

「んにゃーん♪」

「お。今日はやけに甘えん坊だな」

「ははは。輪廻と黒歌さんの仲が良いようでなによりなにより!ほらほら、母さんも、僕に甘えちゃっていいんだぞ?」

「もぉ、お父さんってば〜!」

 

ソファに座る俺に、人の姿のまま黒歌が甘えてくる。

その様子を食卓から見ている父さんが高笑いし(普段はもっと寡黙なのだが、酒が入るとこうなる)母さんが嬉しそうにしながら父さんへとしなだれかかる。

我が家ではかなり見慣れた光景だ。

 

黒歌といえば、少し前に話した通り二次創作界隈でしょっちゅうヒロインを勤めている猫耳美人。

着崩した着物と、猫魈という種族故の猫耳&猫尻尾に、あざとすぎるとすら言える語尾の「にゃん」が魅力的な女性だ。

 

彼女とは冥界(所謂地獄。悪魔と堕天使が暮らす場所)での修行中に出会い、傷ついた彼女を俺が助けて、その後紆余曲折を経てこの家で一緒に暮らすことになった。

…で、その過程で俺が色々とやったというかやらかした為に、こうして物凄く懐かれたのだが。

 

まぁ、すっごく距離感が近い。

良い匂いするしおっぱいは柔らかいし甘えてくる表情が堪らんしおっぱいは柔らかいし。

一応生きた年数的には何百年レベルとはいえ、未だ思考は思春期なのだ。

あの変態三人組とタメを張れるレベルのエロエロ度合いなのだ。

 

つまり、うん。下品な話勃起が治らん。

今も抱き合う構図になってるせいで、黒歌の桃尻が俺の股間をぐにぐにとマッサージしてくるのだ。

ってかわざとやってんだろ。誘ってんのかコイツ。

 

……ま、そう思っても直接好意を口にされないと行動に移せないヘタレなんで何もできないんですけどね。

 

俺の首元に顔を押し付けて匂いを嗅いで来る彼女の頭を撫でながら、自分の情けなさっぷりを改めて自覚する。

こんなに甘えてきてるんだし、ご主人様呼びもされているんだし、きっと少なからず好意は寄せられているんだろう。

けど、もし違ったらという考えがどうしても拭いきれない。

別に精神的には童貞じゃねぇのに、変な所でチェリーなんだよな、俺。

 

「すんすん……この匂い…ご主人様、今日は堕天使と戦ってきたの?」

「ん。ちょっと友人が襲われててな。まぁ、下級も下級さ。神器を使うまでもなかった」

『そもそも今の相棒に俺を使わせるような相手なんざそうそういないさ』

「おぉー!ドライグさん!今日はいい酒が入ったんですよ、一緒にどうですか?」

『む、酒か。おい相棒、頼む』

「へいへいっと。黒歌、ちょっと離れて」

「はーい」

 

ブーステッド・ギアを出現させ、ソファから父さん達のもとへと移動する。

酒瓶を掲げる父さんに宝玉部分を向け、酒をかけてもらう。

すると酒は宝玉内に吸い込まれ、中からドライグの『ぷっはー!美味いな!』という声が聞こえてきた。

 

神器は所有者の願いによってその形やあり方を変える。

無論所有者の力量によって限界は定まるが、このように神器内部に物を収納する機能を与えるくらいはまだ弱かった時の俺でも作れた。

そして応用で、ドライグに飲食物を与える事もできるようになった。

……まぁ、ドラゴンで神器とはいえ俺の相棒。長いこと一緒に過ごすわけだから、それくらいのことはしてやろうと思ったのだ。

その結果、父さんと一緒に酒盛りをする飲兵衛ドラゴンが生まれたわけだが。

 

あぁ、そうそう。黒歌の事もドライグの事も、二人はあっさり受け入れてくれた。

片や妖怪、片やドラゴンというファンタジック極まりない存在だったが、ここにいるんだから否定しても仕方ないと驚く程柔軟な思考をみせてくれた。

正直、この二人が両親で本当に良かった。熟年夫婦なのにバカップルで、人前だとちょっと恥ずかしい二人だけど。

 

「ご主人様も、一杯どうにゃ?」

「あぁ、ジュースか。なら貰おうかな」

 

右手は父さんへ向けたまま、黒歌からコップを受け取る。

中身は乳酸菌飲料だ。甘くて美味しいのでよく飲んでいる。

 

……あ、そういえばブーステッド・ギアが右手に付いている件について(本来なら左手に付くのだ)まだ話していなかったっけか。

と言ってもこれは大したことはなく、ただ俺が右利きだからこうなってもらっただけである。

やっぱり殴るときは利き手のが良いよな。

 

「いやぁ、流石ドラゴン殿!ささ、どうぞもう一杯!」

『はーっはっは!いやはや、美味い酒はやはり良いな!親父さんに注ぎ返せないのが残念極まる!』

「…ほんっと、世俗に染まったなぁ赤龍帝」

 

※―――

 

堕天使やお面の男との一件の翌日。

俺は取り敢えず言われた通り旧校舎に向かうことにした。

アイツの言葉を完全に信じ切っているわけではないけど、現状手がかりがこれしかないのも事実。

 

…ま、もし何もなかったとしても二大お姉様のお姿を目にできるだけ得だしな。

 

そう思って旧校舎の前までやってきたけど、なんだか変な威圧感めいた物を感じる。

これは俺が気張りすぎているのか、それとも何か別の理由があるのか。

生唾を飲み込んでドアに手をかけると、背後から突然声をかけられた。

 

「あれ?君はもしかして、兵藤一誠君?」

「うわぁああっ!?……って、お前は…」

 

声の主は木場裕斗。

俺と同い年ながら、イケメンかつクールキャラとモテモテのモテ。

輪廻とは違い表立ってキャーキャー言われるタイプで、優男。

直接会って話したことは無いが、松田元浜と一緒によく呪詛を送っている相手だ。

 

でも、なんでそんなモテモテイケメン野郎がこんな所に?

 

「あぁ、僕は木場裕斗。一応同じ学年だけど、クラスが違うから知らないよね…。あぁ、僕が君を知っているのは―――その、君が有名人だからー、かな?」

 

言葉を濁す木場。その笑みは男の俺から見ても爽やかで、とても腹立たしかった。

 

ち、ちくしょーっ!こういうヤツばっかモテて俺は何も無しとか、世の中不公平だと思うんですけど!?

輪廻曰く俺は顔はさほど悪くねぇはずなのに!

なんだよ、やっぱエロいこと考えちゃダメなのかよ!でも輪廻だって俺らとよく猥談してるのにモテてるじゃねぇか!

 

世の不条理を嘆きつつ、一応軽い自己紹介程度に名乗っておく。

すると木場は、俺から感じる敵対心を感じ取ったのか、苦笑いをした。

 

「えっと、それでどうして君がここに?」

「そりゃー……あー…」

 

言おうとして、思いとどまる。

いきなり堕天使がなんだとかいなくなった恋人がなんだとか言って、信じてもらえるわけがねぇ。

 

夕麻ちゃんの話だって、信じてくれた(というかまともに取り合ってくれた)のは輪廻だけだったし。

―――こう考えると輪廻ってマジでいい奴だよな。証拠も何もねぇのに「お前が言うんだからきっとなんかあるんだろうよ」って否定しないでくれてさ。

女だったら惚れてたって、きっとこういうのを言うんだろうな。

 

っと。とにかく適当な言い訳でもして、中に入らねぇと。

 

「ここにこの学園の二大お姉様のリアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩がいるって噂を聞いてなー!ま、是非一度お目にかかって見たいって思ってよ。大勢に囲まれてんの一回見ただけだったし、せっかくなら邪魔がいない状態でーって思ってな!」

「あら、私に会いに来たの?」

 

再び背後から声をかけられる。

今度は女性の声。

凛としていて、それでいて妖艶で、とっても素敵で―――恐ろしい、声。

 

バッと振り向くと、そこにいたのはグレモリー先輩。

ゾッとするほどに鮮烈で美しい紅色の髪が、風に靡いていた。

 

そして、なんと言ってもそのおっぱい!

デカイ。デカすぎる。

万乳引力はここに証明された!乳神様はここにいた!!

 

「あ、え、えっと。俺、兵藤一誠って言います!初めまして!!」

「ふふっ、元気がいいのね。そういう子は好きよ」

 

すっ、好き!なんて素晴らしい響き!

とても一個上とは思えない余裕と気品に溢れる笑みに、俺の心臓はバックバクだった!

 

…けどなんだろう。やっぱり、なんかこの人……怖いん、だよな。

前に見たときはそんなの感じなかったんだけど、ここ最近…それこそ夕麻ちゃんに殺される夢を見て以来、なんだか言いようのない恐怖というか、決して逆らってはいけないってオーラというか…そういうのを感じるんだよな。

 

「せっかくだし、中で話しましょうか。私たちの部室に招待してあげる」

「えぇっ!!いいんですか!?」

 

グレモリー先輩の部室。そこはこの学園に通う男女から密かに『楽園』と呼ばれている。

なぜなら、そこにはグレモリー先輩を筆頭に姫島先輩、塔城小猫ちゃん(一年の子で、常に無表情のマスコット的人気のある子)といった綺麗&可愛いの美人三人と、木場という激モテ優男がいるのだ。

男にとっては木場が邪魔だが、それでもあの三人と同じ空間にいられるのはまさに天にも登る気持ちだろう。

 

一度とある裏切り者が部室にお邪魔したという話があるがな!

……まぁ、輪廻のことなんだけど。

 

アイツの話によると、小猫ちゃんから一緒の部活に入らないかと勧誘されたらしい(滅多に人と関わらないあの子から、だ)

勿論その話を聞いて、俺たちは怒り狂った。

許すわけにはいかん。コイツ相手じゃ俺ら三人でも敵わないとしても、天誅を下さねばならないと。

結果は惨敗。しかも途中からクラスの男子のほとんどが輪廻討伐に乗り出したのだが、まとめて無力化された。

その一件の事を『駒王二年男子大虐殺事件』と呼び、輪廻に逆らうなという暗黙の了解が男子の間で生まれたのだが、それはまた別の話。

しかもアイツ、小猫ちゃんからの誘いは断ったらしい。というかグレモリー先輩からそれとなく断られたとのこと。

イケメンってだけじゃ入れないようだ。ざまぁ。

 

「えぇ。なら、早速入りましょう?私たち……オカルト研究部の、部室に」

 

見る者全てを魅了してしまうような笑みに、やっぱり俺は何とも言えない恐怖を感じてしまうのだった。

 

……ってか、オカルト研究部て。なんだか変……というか、この人らしからぬ気がする。

 

※―――

 

今はグレモリー先輩たち以外は誰も使っていないはずの旧校舎は、外観だけでなく内装もしっかりと小奇麗になっていた。

清掃員だか用務員だかの人も大変だな。ここも結構広いのに。

それにこの旧校舎、使われなくなって結構長い事経ってるのに。

 

そんな事を思いながら、時折前を歩くグレモリー先輩のお尻を眺めつつ移動して、ついに先輩のいう『部室』にたどり着いた。

 

ある教室を改造して使っているらしいが、正直そうは思えないくらいにデコレーションされていた。

設置された西洋風の高級感漂う家具の数々。

壁や天井の至る所に書かれた、何語かもわからない呪文。

そして極めつけは、足元に大きく描かれた魔法陣らしきもの。

 

なんだかただの改造した教室ではなく別世界に来てしまったような気分になった。

 

「…どう?気に入ったかしら?」

「―――あっ、えーっと」

 

やべぇ、正直先輩らしくないっすねという感想が俺の今の率直な気持ちなんだけど。

でも流石にそんな事言うのも失礼だよな……どうすっか。

悩んで返答できずにいる俺を見て、先輩は「その様子だとあんまりみたいね」と苦笑した。

見た感じあまり気にしては居なさそうだし、良かった?かな。

 

「あれ?そう言えば、他のメンバーは…」

「まだ来てないわよ。まぁ朱乃はすぐにでも来るでしょうけど、小猫の方は最近遅れてくるようになったわね」

 

気になる男子でもいるんじゃないかしら、と笑う先輩に、俺は脳裏に一人の男を思い浮かべた。

十中八九アイツだ。あの野郎(輪廻)に違いない。

 

「さてと。兵藤一誠君ね?皆が呼んでるらしいし、イッセーって呼ばせてもらっても良いかしら?一誠、だと少し言いにくくって」

「は、はいっ!是非イッセーとお呼びくださいです!!」

 

あの学園トップクラスの美女からのあだ名呼び!

色々考えていた俺の脳内は、一気にその事に関する喜びで埋め尽くされた!

 

食い気味に若干間違った敬語で返事をした俺に、先輩は満足そうに頷いて、ソファに座るように手で促してきた。

 

それに従って席に着くと、先輩は俺の向かいのソファに座り、木場は先輩の隣(つっても少し距離は置いてある)に座った。

 

く、くそっ!悔しいけど先輩(美女)の隣には木場(イケメン)が居た方が絵になってやがる!

 

歯を食いしばる俺に、先輩は一度静かに呼吸した後、口を開いた。

 

「ねぇ、イッセー。どうしてここに来たの?」

「それはー………その、先輩たちを一目見たいな、と」

「嘘よ」

 

頬を掻きながら誤魔化した俺に、先輩はバッサリとそう言い切った。

なんだろ、俺の嘘ってバレやすいのかな。ポーカーとか得意なんだけど。

 

真っ直ぐに俺の目を見つめる先輩は、やっぱりどこか恐ろしかった。

美人が凄むと怖い、とは言うが、多分それ系の怖さとは違う。

 

「嘘って…」

「あなたは私の()()だもの。主として、その程度の嘘は当然見破れるわ」

「は?眷属?」

 

先輩なのに滅茶苦茶タメ口が出てきた。

いやでも仕方ねぇって。いきなり眷属とか主とか言われてもわけわかんねぇって。

 

なんかの間違いですよね、という意味を込めて聞き返した俺に、しかし先輩はあっさり頷いた。

 

「そう。眷属。―――いきなり言われても混乱するでしょうけど、単刀直入に言うわ。私、悪魔なの」

 

言葉と同時、先輩の背中に突如現れる蝙蝠のような羽。

プロジェクションマッピングとかを使った大掛かりなドッキリ計画?と無理矢理現実的な内容に落とし込もうとしても、やっぱり目の前にいる先輩が『悪魔』であると認めるしかできない。

 

早速混乱している俺に、先輩はさらにもう二つ爆弾を落とす。

 

「今隣に座っている裕斗も、この場に居ない朱乃も小猫も、皆悪魔よ。―――そして、()()()

「へっ?」

 

先輩の言葉に合わせるように、木場からも同じような羽が生える。

ここまでは良い。いや全然良くないけど納得できる。

 

けど。けれども。

なんで俺も背中に何かがあるような感覚があるんだ?

なんでちょっと視線を向けたら二人の背中にあるのと同じような見た目の物があるんだ?

もしこれが本物で、先輩の言葉が全て真実だとしたら。

 

―――どうして俺、悪魔になってんだ!?

 

「う、うわぁあああっ!?な、なんだよこれッ、羽ェッ!?」

「落ち着きなさい、イッセー。混乱する気持ちはわかるけど、話が進まないわ」

 

先輩に言われ、渋々席に着く。

しかし未だに疑問符は頭の中でハッスルタイム真っただ中。いつから俺の脳内はおっパブになったんだ。

 

くだらない事を考えて何とか気を紛らわせようとする俺に、部長は知ったことかと重要そうな事をどんどんと口にする。

 

「今ので私達や貴方が悪魔だって事は、取り合えず納得はできなくとも理解はできたと思うからその体で進めるわね?まずは貴方がここに来た理由と、それの答えについて話しましょうか。端的に言えば、貴方に起きた変化…日中に力が出ない代わりに、夜中に力が溢れる事ね。それの理由はさっき言った通り、悪魔になったから。そして『天野夕麻』という少女は―――」

「ちょっ、ちょっと待ってください!いきなりそんなまくしたてられてもわかりませんから!っていうか、なんで俺がここに来た本当の理由を知ってるんですか!?」

「簡単よ。昨日あなたが堕天使の男に襲われた場を、私の使い魔が目撃していたから」

 

使い魔。

これまた悪魔関係っぽいワードだけど、そんなのもいるのか。

まだ悪魔云々を認めたわけじゃねぇけど。

……いや、でも堕天使がいるってのは昨日の一件で認めざるを得ない訳で。

となると悪魔の存在もまぁ、おかしくはない…のか?

 

「本当はすぐに助けに向かう予定だったんだけど、あのお面の男が来たでしょ?彼が貴方を守ってくれたみたいだし、隠れて監視して彼の正体を探ろうとしたのよね。彼はその事に気づいていたみたいで、正体に繋がるような物は何も得られなかったけれど」

 

お面の男。

俺をここに来るように指示した張本人。

もしかしたら先輩の知り合いなのかな、ってさっき一瞬思ったけど、どうやら違ったらしい。

 

ガチで正体不明なのか。あの輪廻風ジャージ男。

誰との関係性も不明なのに、俺を守ってくれたって……つまりどういう事だ?

 

「その代わりに、あの場で交わされた会話の内容は私も知ってる。だからその上で、貴方が今知りたい事を教えてあげてるって訳。質問とかを挟まれると長くなっちゃうからって端折り過ぎたわね。ごめんなさい」

「あ、いえそういう事だったなら全然いいんです。―――じゃあ、その。夕麻ちゃんの事を、改めて教えてください」

「わかったわ。気分が悪くなるかもしれないけど、はっきり言わせてもらうわね。―――彼女も、堕天使よ。貴方に接触したのは、あなたから微弱ながら神器(セイクリッド・ギア)のオーラを感じたからでしょうね。そしてあなたが神器持ちと確定したから、あの時あの場所であなたを殺した」

 

セイクリッド・ギア。またこの言葉だ。

昨日の堕天使も、確かお面男に言っていたはず。

 

…つーか、やっぱりアレは夢じゃ無かったのか。

しかもあのデートは、夕麻ちゃんにとっては俺を殺すための途中経過でしかなかったと。

俺、本気でプランとか考えて挑んだんだけどな……。

 

「やっぱり、ショックよね」

「そりゃそうですよ。俺は、本気で夕麻ちゃんの事が好きだったわけですし。それが全部、あっちの都合で作られた嘘でしか無かったなんて…」

 

あぁ、畜生。今にも泣きだしそうだ。

ここにもし先輩や木場が居なかったら、俺は大号泣していたに違いない。

ってか涙がちょっと零れてやがる。

 

だってさ。初めてだったんだぜ?俺が本気で一人の女の子に特別な想いを抱いたのって。

初めてだからって失敗しないようにって、輪廻にも協力してもらいながらプラン考えてデートしたし、夕麻ちゃんの前だとあんまりスケベな顔をしないように気を付けたし、街中でおっぱい大きい人とすれ違っても目で追わないようにしたってのに。

自分の本質を隠してでも好きでいてもらいたいって思ったのに、あっちは元から俺そのものはどうでも良かったって、事かよ。

 

「……もし辛いと思うなら、その記憶を消す事もできるけど」

「……これは俺の心の問題なんで、一人で解決します」

「そう。―――なら、せめて気を紛らわせる意味も兼ねて、違う話をしましょうか」

 

そういうと、先輩は手にチェスの駒のような物を持った。

でもなんだろう。普通のチェスの駒とは何かが違う気がする。

 

「さっきさらっと言ったけれど、貴方は悪魔に転生したの。だから貴方は眷属で、私はその主ってわけ。そしてその転生の為に使ったのが、この『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』よ」

「い、いーびる・ぴーす?」

「イーヴィル・ピース。見ての通りチェスの駒をモチーフにしたものね。――昔、堕天使や天使との争いで多くの同胞を失った悪魔が、何とか数を増やそうと作った物よ。これを使えば人間どころかどんな生き物でも悪魔にできるの」

「そ、そんなすごい物を俺に使ったんですか?」

「えぇ。貴方の持つ神器に興味があったし、それにあなた自身が面白そうだったから」

 

お、面白そうだった、ですか。そんな理由で。

 

なんだか複雑な気持ちになりながらも、先輩の持つ駒を見つめる。

うーむ。説明されてから見ると、なんだか怪しげな雰囲気を感じるぞ。

 

「せっかくだし、ここで神器を出してみましょうか」

「えっ、出す、ですか?でもどうやって」

「簡単よ。貴方の中で最も強い存在をイメージして、その真似をするの。そうすればこの魔力の満ちた部屋の中なら、必ず神器が出現するはず。一度出してさえしまえば、どんな時でもどんな場所でも神器を呼び出せるから、自衛の意味も兼ねて出す練習をしておきなさい」

 

も、最も強い存在を真似っすか。

まぁ、パッと思いつくとしたらドラグ・ソボールの空孫悟かな……けどその真似を先輩と木場の前で披露すんの!?それはちょっと抵抗あるぞ!?

 

ただまぁやらないという訳にもいかないし、こうなったらヤケだ。

二人に見せてやるぜ、俺の本気のドラゴン波。

 

実際に漫画やアニメで悟がドラゴン波を撃つときにしていた構えを行い、大きく息を吸う。

目を閉じて、自分は本当に悟のようなドラゴン波が撃てると思い込む。

そして放つ!俺の渾身の―――!

 

「ドラゴン波ァ――ッ!!」

 

裂ぱくの気合と共に発したその叫びの直後、俺の左腕が指先から肘の部分まで輝き出した。

ま、眩しいッ!ってかなんだこれマジでできちゃったのかドラゴン波!?

 

光が収まったときには、俺の左腕には何か籠手というか、ガントレットのようなものがついていた。

色はオレンジ。全体的に丸みを帯びたフォルムながら、強い力を感じる。

 

「な、なんだこれ…!?これが、俺の神器…?」

「えぇ、そうよ。神が人間に与えるギフト。大半はそれほど戦闘能力に特化していない、持ち主を支えるだけの物だけど、時々こうして貴方のように戦闘に特化した物を持った人間が生まれる。堕天使なんかは所有者を殺したり捕まえて研究したりするらしいし、悪魔はレーティングゲームという眷属と主をチェスの駒に見立てて戦うゲームを有利に進めるために所有者を引き入れようとしているし、天使側……というより教会側は、所有者を神に選ばれた者と持ち上げたりするらしいわ。――まぁ、なんにせよ普通の暮らしとは無縁の生活を送らざるを得なくなるわね」

「…えっと、知らない単語が一気に出てきたんですけど」

「勿論、全部しっかり説明するわ。けどまず通過儀礼……まぁ、言ってしまえば自己紹介ね」

 

そう言うと、神器を出しっぱなし且つドラゴン波のポーズ取りっぱなしの俺に、部長は咳払い一つの後こう言ってきた。

 

「貴方や祐斗達の主にして、悪魔であるグレモリー家のリアス・グレモリー。家の爵位は公爵。これからよろしくね?イッセー」

 

高嶺オブ高嶺の花だった先輩が、俺の主になった日。

俺に向けられる笑みは、やっぱり美しくって魅力的で妖艶で、何より恐ろしかった。

 

……因みにこの後姫島先輩や小猫ちゃんが来るまでに色々と説明されて、悪魔として必要な最低限の知識は身につけさせられた。

そして俺はこの部活、オカルト研究部に所属する事になり、また悪魔としての仕事も順次行っていくことになった。

 

あと、先輩はこれから部長と呼ばなくてはいけないらしい。

せっかく部活なんだから、そっちのが良いとのこと。

 

公爵とかなんとか言っていたけど変な所で俗っぽいなと思ったのは、内緒だ。




もしかしたら後数話ほどイッセーメインで話が進むかもしれません。
あくまで可能性ですが。



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