ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

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一日に二話投稿してしまうなんて、我ながら珍しい。
でもその分しばらく出せなくなるんですよね……リアルが忙しい。嫌な意味で。


因みに今回、輪廻が変態三人組と同レベル扱いされる所以がほんの少し出てきます。


洋服破壊、本邦初公開!

紫藤イリナと、ゼノヴィアという二人の少女。

ゼノヴィアは初対面だが、しかしイリナの方は俺と幼馴染で、昔は輪廻と一緒によく遊んでいた奴だった。

 

しかし俺は今は悪魔となり、交際相手は貴族で悪魔。

対するイリナはまさかの聖職者である。

まさに水と油の関係。敵対する以外ありえないのか――と身構えたが、輪廻が制してくれた。

因みに俺が悪魔だと気づいた時よりも、輪廻が俺が悪魔だと知った上で仲良くし続けている事に対してショックを受けていた。

 

……あの、まさかとは思うけど、イリナさん?あなたもしかして、輪廻の事…?いやいやまさかね。

 

「……まさか、イッセーが教会の人間と接触してしまうだなんて……本当に何もされなかった?貴方に何かあったら、私…」

「だ、大丈夫ですよ部長!俺はこの通り元気元気なんで!――それより、問題は明日の学校ですよ。なんでもアイツ等、ここのボス…つまり部長に、直接話があるって」

「私に話、ね……わかったわ。一応、上にも色々確認してみるわね。でも困った物ね。ここ数日で、祐斗の聖剣への憎悪だったり、謎の脅迫文だったりと立て込んでるのに……そこに教会からの使者、だなんて」

「本当、大変ですね……でも、脅迫文って一体、何が書かれてたんです?俺はただ脅迫文が来たって事しか知らないんですけど…」

「あぁ…一応、その話は明日の部活中に話そうと思っていたんだけど、あなたには先に教えておきましょうか」

 

そう言うと、部長は携帯を取り出し、画面を俺に向けて見せてきた。

そこに写っているのは、ザ・脅迫状って感じの文字で書かれた、『この学園を起点とし、世界に混乱をもたらす』の一文。

それが書かれた手紙が、なんと部長の机に置かれていたのだとか。

 

生徒会と話し合った結果、差出人が三大勢力関係者である可能性が極めて高い事と、学園そのものに何かを仕掛けられている可能性も極めて高い事を判断し、今日から早速対処に当たっているらしい。

 

明日は俺達が対処する日で、今日は生徒会が担当する日なんだとか。

俺達と生徒会メンバーとでは、得意分野とかが違うからな。もしかしたら生徒会メンバーにしか対処できない可能性もあれば、俺達じゃ無きゃ対処できない可能性もある。

…まぁ、部長や会長の力があれば何とでもなるだろう。

もし誰かが襲撃してくる、とかだとしたら俺の力の見せ所だし、輪廻も参戦するだろうからな。

 

「とりあえず、今日はもう寝ましょうか――っと、その前に」

 

部長が俺の左手に優しく触れる。

これは、俺達の日課の合図だ。

 

俺が生贄に捧げた左腕は、常に神器を装備しているような状態になってしまった。

寿命だって若干縮んだらしいし、かなり色々とあの戦いで失ってしまったわけだが、この腕の問題を部長の協力を得て何とか解決(?)することができたのだ。

 

神器に宿る力を、魔力をまとった状態で行う『とある行動』で吸い上げ、散らす方法……まぁ、簡単に言えば指ちゅぱである。

 

そう。指を、しゃぶってもらえるのである。

部長に。

 

「お、お願い、します」

「ふふっ、まだまだ緊張しちゃうのね。――でも、そんなところも可愛い」

 

軽く笑って、部長は俺の指を口の中へと誘った。

瞬間、感じるのは生暖かい口内独特の感覚。

ぬるぬるとしている舌を絡まされ、俺の指はまるで生殖器のように敏感になる。

ちぅちぅと指を吸われると、力がどんどん抜けていくのを感じる。

この散らされる時の感覚が、まるで射精後の解放感というか、脱力感にそっくりでなんというか…!!

 

しばらくの間、部長の口の中を指一本で感じていた俺は、指が自由になると同時に大きく息を吐いた。

……そう。この後、すっごい倦怠感が襲ってくるのだ。

 

「お疲れ様。それじゃあ、寝ましょうか」

「は、はい…」

 

こうなってしまうと、俺が元気になる事はまずない。

多分献血とかしたらこんな感じになるんだろう。この言いようの無い疲労感は、この指ちゅぱをしてもらうようになってからしばらく経つ今でも、全然慣れない。

 

「じゃあ、先に寝てますので……おやすみなさい」

「えぇ。お休みイッセー。――また、明日ね」

 

電気を消し、布団にもぐる。

あぁ、色々考えたし、色々あったけど……明日、どーなっちまうんだろうなー。

 

※―――

 

イリナとゼノヴィアと会った日の翌日。

クラスメイトの宿題の手伝いをやっていたせいで少し遅れて部室についた俺を出迎えたのは、なんとも言い難い気まずい空気だった。

 

室内の顔ぶれから察するに……大方、原作にもあった「悪魔は手出しをするな」というイリナとゼノヴィアの発言に部長が気分を害したシーンだろう。

少し時間を置いてから、もう一度来た方が良いだろうか。

 

「遅かったわね、輪廻。座りなさい」

「え、いやなんかお邪魔みたいですし俺一旦席を外して」

「座りなさい」

「……はい」

 

なんだろうこの有無を言わさない感じ。イッセーはきっと、尻に敷かれるんだろうな。

ほんの少し同情の意志を込めた目をイッセーに向けた後、改めて室内の全員の様子を確認。

 

まずイッセー。困ったように眉を顰めている。

視線はイリナとゼノヴィアが持つ聖剣に向けられており、時折チラチラと木場の顔色を窺っている。

 

次にアーシア。なんだか気まずそうに俯いているが、これはきっと自分が教会の人間にとっては『魔女』であり、しかもその上で悪魔に転生してしまったからだろう。

いつも通り俺は隣に座っているので、安心させてやる意味も込めて手を握ってあげた。

すると一瞬驚いた顔を見せたアーシアは、表情をほころばせ、小声で「ありがとうございます」と言ってきた。

可愛らしい子だ。

 

朱乃さんと小猫は、実は普段と大差ない。

ただ朱乃さんの方はなんだか困ったような、呆れてるかのような笑みを浮かべている。

小猫は本当に変化なし。俺にすり寄ってくる素振りが何だか黒歌に似ていて笑ってしまう。

 

んでもって部長は……まぁ、先程の言葉からもわかるように、まぁ機嫌が悪い。

なんだっけ、堕天使と手を組んでるとか言われたんだっけ。そりゃ怒るわな。

 

そしてイリナとゼノヴィアは……まるで表情が変わっていない。

死ぬ気か、と問われた後なのか、覚悟の決まった瞳をしていた。

まぁ、後で俺が介入する気満々なので死ぬことは決してないのだが。

やっぱり幼馴染だからなー。守ってやりたくもなるよ。

 

……で、一番問題なのは、やっぱり木場。

視線だけで殺して見せると言わんばかりに聖剣を睨みつけるコイツは、今にも攻撃を仕掛けそうな雰囲気だ。

もし何か行動に移すようなら、止めてやるとするかね。悪魔と教会の全面戦争なんかに勃発されちゃ、俺も困るし。

 

「一応聞きますけど、彼女等は何と?」

「教会の保有する聖剣、エクスカリバーが盗まれた。その下手人である堕天使コカビエルの討伐、および聖剣の奪還のためにここに来た……だそうよ。私達には、悪魔と堕天使が手を組んでいる可能性があるから手出しをしないようにと釘を刺しに来たらしいわ」

「えぇ、凡そその通りよ」

「コカビエル、ね……聖書に名前が記されてるレベルの堕天使相手に、二人だけで挑むと?」

「その話は既にしたよ。そして私達が、信仰の為ならば死ぬことすら厭わないともね。――無論、ただただ死ぬつもりは無い。教会から賜ったこのエクスカリバーと、もう一つの切り札を以って、使命を果たすつもりさ」

 

一切の恐怖心を抱いていない様子で、ゼノヴィアとイリナは頷く。

実際、信仰ってのは昔からそういう側面を持つ。己の信じる神を否定されたからと言って戦争を始めた事だってあるくらいなのだから、神の敵ともいえる堕天使相手に命を懸けるのは、何らおかしくはないのか。

 

……まぁ、ソレを黙って見ているか否かは別問題だが。

 

「さて、そろそろお暇させてもらおうかと思ったが……もう一つ、聞かねばならない事があった」

「聞かねばならない事?別に、私達は堕天使の動向なんて知らないわよ」

「いいえ、それとは()()無関係の話よ。―――今代の赤龍帝について、何か知っているかしら?」

 

なんで?

いやいやなんでここでも今代の赤龍帝()が狙われてんの?俺何かしました?

教会勢力にはあんまり喧嘩吹っ掛けた覚えが無いんだけど。

……いや、嘘。結構手当たり次第に吹っ掛けてました。

 

でもなんだって今になって俺の存在がバレてる訳?

夢幻人と言い、どこから流出してんの俺の情報。っていうか名前は夢幻人以外にはバレてないのか?

俺、もう隠す必要なかったり?

 

脳内で疑問符がタップダンスを始めた俺を置いて、部長が首を横に振る。

 

「残念だけど、私達もさっぱりよ。噂程度には知っているけど、その姿を直接見たわけではないし、その正体を知るわけでも無いわ」

「そうか。―――いや何、これはただの独り言なんだが、どうやらコカビエルは『夢幻人(イマジネウス)』という存在と手を組んでいる可能性が極めて高いらしい。そしてその『夢幻人』というのは、今代の赤龍帝の殺害を悲願としているとか」

「それで、教会側が調べたところ、夢幻人と交戦した事がある貴方達は、もしかしたら今代の赤龍帝の関係者の可能性がある……と判断したわけ。だからさっき聞かせてもらったの。あ、これも勿論独り言よ?」

 

…なるほど。あくまで俺の情報は夢幻人の存在を知ったついでに知ったって訳か。

なら安心だな。いや、別にこれ以上隠しておいて何があるって話なんだけど。

……早いうちに明かしておかないと、気まずくなるよなー、さてはてどうするか。

 

「な、なぁ。教会の方でも、その赤龍帝とか白龍皇とかってのは、すごい奴扱いされてんのか?」

「あぁ。多かれ少なかれ、ドラゴンというのは神器だろうがそのものだろうが周囲に影響を及ぼす。無論ソレを警戒しない教会ではないさ。その上、今代の赤龍帝も白龍皇も、どちらも歴代最強と呼ばれているらしい。白龍皇の方は詳しく知らないが、赤龍帝の方は『無限の龍神』すら超えた存在だと語られている。――それに」

「教会では、今代の赤龍帝は『神の使い』として扱われてるのよ」

「えっ?」

 

めっちゃ素の声が出てきた。

いやいや、待ってください。知らないです。本当に俺、何も知らないんです。

なんで俺が、え?神の、使い?

 

「過去と未来とを行き来する力を使い、我らの信仰を守ってくださった、赤き鎧の英雄様…!きっと、素敵なお方に違いないわ!悪魔、堕天使、果てはドラゴン!私達信徒の信仰を妨げるような存在を駆逐してくれた存在。主への信仰が今日まで途絶える事無く続いているのは、現在を生きるとされる赤龍帝様のおかげだと言われているの!あぁ、一度でいいからお会いしたい…!!」

「強きを挫き、弱きを救う。時に信者や天使にすらその牙を向けたとされているが、それはきっと我らを試すためだろうと言われていてね。私にとっても、憧れの存在さ。というか、争いに身を置く信徒は皆赤龍帝に憧れを抱いていると言っても過言ではない」

「う、嘘でしょ……」

 

恥ずかしい、恥ずかしいったらありゃしない。

酷い言われようだ。いや、別に悪い事は言われてないんだけど、滅茶苦茶に誤解されていやがる。

残念ながら俺ほど聖職者に不向きな存在はないだろう。どこが敬虔。聖書の剣とか、大事な聖書のページを破って作ってるんだぞ?ここまで涜信的な男はそうそういないと思うんだけど。

 

やめてくれよ二人とも。そんな真っ直ぐな目を見て思いを馳せないでくれ。

俺はここにいるし、何より現物は思ったよりも残念なんだよ、やめてくれ。

 

「あ、私もよく耳にしました。未来より来た赤龍帝様は、強大な悪魔や堕天使をその圧倒的な力で以って薙ぎ払い、我らを救った…と。感謝する信徒たちに『俺は何もしてはいない』と謙虚な姿勢を見せたという話が、私とっても大好きで…!」

「あら、わかるじゃないの!――って、貴方もしかしてアーシア・アルジェント?かつて聖女と呼ばれ、今では『魔女』で悪魔だと聞いたけど……まだまだ、信仰は捨ててないみたいじゃない」

「っ、は、はい。ずっと、信じてきたモノ、でしたから……」

 

つい反応してしまったアーシアが、イリナとゼノヴィアの視線を向けられて縮こまる。

それもそうか。どんな事情(変態シスター狂い)があるとしても、教会側の情報しか知らないイリナ達にとってはアーシアはただの魔女で、今は悪魔。

そりゃ、冷たい目も向けられる。

 

先程までの明るいオーラは何処へやら、なんだか軽蔑というか、いっそ憐みとすら感じられる眼差しを向ける二人。

 

……もし、もしもイリナかゼノヴィアが原作通りのような、アーシアを傷つけるような事を言った場合、果たして俺は冷静でいられるだろうか。

 

ふと湧いた疑問の答えは、即座に明らかになった。

 

※―――

 

「そうか。ならばいっそ、悪魔として生きるのではなく、ここで断罪してやった方が良いかもしれないな。苦しみながらも縋り続けるくらいなら、聖なる剣でそのまま楽に――」

 

聖剣を構え、そんな事を言ったゼノヴィアに、俺はふざけんなって思った。

何が断罪してやった方が良いかもしれない、だ。そんなモンを勝手に押し付けてんじゃねぇと、俺も、他の部員たちも皆思った。

 

けど、同時に忘れてた。失念していたんだ。

この場で最もアーシアを大切に思っていて、この場で最も恐ろしい奴が、そんな事を言われて冷静でいられるわけが無いと。

 

――まるで、何か強大な存在に睨まれたかのようだった。

全身から汗が吹き出し、息が一気に荒くなり、気が付けば武器を構えて威圧感の中心地から一斉に距離を取っていた。

 

それは聖剣を構えていたゼノヴィアや、アーシアを蔑む目をしていたイリナだけじゃなく、俺達部員も全員。

部長や朱乃さん、小猫ちゃんに俺。聖剣への憎悪でここ最近何に対しても無気力だった木場でさえ、突然感じた恐怖に魔剣の切っ先を威圧感の中心――つまり、輪廻に向けていた。

 

「……り、輪廻君?」

「まぁ、教会側からしたら、そう言う考えになるのもわからなくはないさ」

 

震える声で問いかけたイリナに、しかし輪廻は語りだす。

優しく寄り添うかのような内容でありながら、だがその声は冷たい。もし何か間違った態度対応をすれば、即座に殺されてしまう。

そんな風に思えてしまう程に、輪廻の殺気は悍ましかった。

 

「でもさ。アーシアは聖女の時に得た喜びと違う喜びを、確かに得たんだ。ただ一人の少女として、転生悪魔としてみんなと過ごす日々を、幸福だと言ったんだ。――それを否定し、神の名のもとにだのなんだのと抜かすなら俺は容赦しない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

わかったら武器を下ろせ、と輪廻は一言呟いた。

その一言に逆らう者は誰一人としておらず、二人は構えていた聖剣を下ろし、俺は神器を戻し、木場も魔剣を消した。

 

……ってか俺、ほぼ無意識で神器装備してたんだけど。

そのレベルの殺気をただの人間のはずの輪廻が放つって……なんかもう、おかしくない?

 

「ま、わかりゃいいのさ。わかればさ――と言いたいとこなんだけど。許す云々の代わりに一つ頼んでいいか?」

「…な、何?」

「いや。俺の友人に…というか、この場にな。お前たちの持つような、聖剣――特にエクスカリバーを恨んでる奴がいてさ。ソイツと戦ってやってくれよ。――お前も、願ったりだろ?木場」

 

輪廻の突然の提案に、木場は目を大きく見開いた。

そして、先程までの恐怖におびえていた顔から一転、殺意に満ちた恐ろしい顔になり、呟く。

 

「…あぁ。本当に、願っても無い事だよ」

 

※―――

 

「いや、木場はまだわかるよ。聖剣に対して恨みがあって、輪廻もソレを知った上で、こうして戦いの場を設けてやったって。でもさ……俺は違くない!?」

 

場所は変わって旧校舎外の開けたスペース。

そこで、ゼノヴィアと木場。そしてイッセーとイリナが対峙していた。

 

……うん。俺も思った。

なんでイッセーまでイリナと戦う事になってんの?

 

確かに俺は先程、アーシアに刃を向けられた事でそれはもう怒った。あんなに感情的になったのは久しぶりだなと思うくらい感情的だった。

 

で、その後「せっかくなら木場のストレス発散がてら聖剣と戦わせて、今の復讐心だけの状態じゃ勝てる勝負も勝てないぞ」という事をわからせてやろうと思って木場と二人で戦うように頼んだ…の、だが。

なんでか知らないが、イリナが「私はイッセー君の相手をするわ!」とか言い出して……マジでわけわかんね。どうしてそうなった?

 

「貴方に戦う理由が無くても、私にはあるわ!再会した幼馴染が悪魔に転生して、しかも悪魔と恋仲になっていたなんて!その上私を男と勘違いしていたりと、正直私的にはイッセー君の方が断罪対象よ!」

「ひ、ひでぇ!別に最後の奴以外誰にも被害を出してないじゃねぇか!」

「悪魔はそこに居るだけで悪なのよ!お父様も皆も、そう仰っていたわ!――だから、ここで貴方を裁いてあげる。私のこの、『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』で!」

 

そう言って、イリナは腕に巻き付けていたひも状の物を日本刀のような形に変えた。

なるほど、これがエクスカリバー。一応完全体は見た事あるが、こうして分割されたものを見るのは初めてだ。

言ってしまえばかなり弱体化してはいるが、それでも『聖書の剣』を上回る光の力を感じる。

折れても最強の聖剣、か。

 

イッセーの方も、舌打ち一回と同時に神器を装備。

『悪魔の連撃』……殴った回数と、その時に込められた力によって強化倍率が変わる、サタンの力の一端である神器。

使い手によってはかなり凶悪なその神器を、イッセーは段々と物にしてきていた。

毎日の修行が、実を結んでいるんだろうな。俺も負けてられないぜ。

 

一方木場とゼノヴィアは、既に剣戟を開始していた。

……やっぱり、冷静さを失ってんな、アイツ。本来の持ち味である速さでの翻弄も、俺が教えたダーティーな戦い方も、何一つ活かせていない。

力でゴリ押して、目の前の聖剣を破壊しようとしている。

それではダメだ。勝ち目はない。

 

「はんっ、聖剣が何だってんだ。こっちは悪魔の中の悪魔、サタンだからな!そんでもって、対女性用最強の魔法――ここで初披露としてやらぁ!!」

「さ、サタン!?イッセー君がそんな悪魔の力を宿しているなんて…!!あぁ、主よ!私に一体どれほどの試練を与えるというのでしょう!かつての友人は悪魔になり、もう一人は悪魔と親しくしてしまうなんて!でも私負けません、必ずやこの信仰心を貫き通して見せましょう!!」

 

イッセーが地面を殴りつけ強化を開始し、その隙を狙ってイリナが剣を振り下ろす。

だがイッセーとて弱かったあの頃のままではない。

強化中に生じる隙への対処は、とっくに身に着けている。

 

「っと、あぶねぇあぶねぇ。相手から目を逸らさず、強さを的確に判断しながら…だよな!」

 

攻撃を上手く避けつつ、しかし余裕は失っていないイッセー。こっちは教えた事をしっかりと活かしている。

やはり冷静さは大事だな。俺も常に心を平静に保つ訓練でもした方が良いだろうか。

 

「ちっ、ちょこまか動くわね!スケベな顔して、一体何を狙ってるっていうの!?」

「はははっ、良いぜ良いぜ、気になるってんならお望み通りッ!!」

 

回避を続けていたイッセーが、左足を軸にして体の位置を動かし、イリナに向かって手を伸ばす。

イリナの肩を軽くタッチすると、それはもう見事なにやけ顔のままその場を離れ、イッセーは語り始めた。

 

「俺は才能がない。魔力も気も何もかも、戦闘で強みにするには不足してる。――だけど、俺にだって、オンリーワンな要素が一つある!それが――それこそが、エロスだ!!」

「は、はぁ?」

「魔力の力は神器同様、ソイツのイメージ。思いの力。だから俺は、魔力を使って()()()()()()を考えた。透明人間、時間停止、催眠術、その他諸々…色々なエロいイメージが脳内を駆け巡った末に、俺はこの答えにたどり着いた!」

 

腕を掲げ、そして指を鳴らす。

乾いた音が響くと同時、先程イッセーに触れられた部分に魔法陣が輝いて、魔法が発動した。

 

原作のイッセーも使っていた、あの魔法が。

 

「き、きゃあああああああっ!?な、なにこれ、どうして服が破けて…!?」

「名付けて『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』!!()()()()()()()という純粋な願いを叶えるべく生み出された、俺のオンリーワンの魔法!最後の最後まで、服が透けて見える魔法と悩んだが、やっぱり脱げて恥じらう姿が最高だもんな!んでもってあざっす!幼馴染のたわわおっぱい、眼福です!!」

「さ、最ッ低!女の敵!悪魔ー!!」

「はーっはっはっは!!何とでも言うがいいさ紫藤イリナ!俺のスケベ根性は、エロへの情熱は、女の子からの罵倒を薪にさらに燃え上がるのさ!」

 

イリナの着ていた、ボディラインのよく見えるボンテージが粉々に破け、その裸体が明らかになった。

うーむ。デカい。下着から突然解放されたせいで、一度大きく揺れたのがまた良い。

 

……ただこれ、覗きと大差ないレベルの性犯罪なのでは。

 

呆れて物も言えない俺と違い、女性陣の反応は冷たかった。

 

「…最低です、イッセー先輩」

「そ、そんな魔法を作るだなんて…」

「まさしく、悪魔だな……なんと欲深いというか、救いようの無いというか」

「――それに関しては、仲間として謝るよ。ごめん」

 

ゼノヴィアの言葉に、木場も一度冷静になって謝ってしまうくらいだった。

…流石、シリアスを破壊する男。俺の幼馴染にして親友なだけあるぜ、イッセー。

 

「い、いやぁ!見ないで輪廻君!見られたら私、私ぃっ」

「だぁーっははは!そう!これだよこれ、このために俺は洋服破壊(ドレス・ブレイク)を編み出し――あだぁっ!?」

「やりすぎだバカ」

 

顔を真っ赤にし涙すら浮かべているイリナに、流石に俺も罪悪感。

すまんな。しばらく今見た物は忘れないが、許してくれたまえ。

 

取り敢えず未だに高笑いをしているイッセーの頭を殴り、イリナの服を破壊される前の状態まで戻し(時間操作も、一時間以内ならかなりの集中無しでできるようになったのだ)軽く頭を下げる。

イリナの裸を見て喜んだのは俺も同じなのでね。そこは本当に申し訳ないと思っている。

それはそれとして眼福でした。ありがとうございました。

 

「あ、れ?服、戻って……」

「あのなイッセー。服を脱がせることに特化させたのはいいとは思うが、着ている方がエロいという発想には至らなかったのか」

「そ、それは……でもよ、一度でいいからあの子やこの子の裸を見てみたいって…誰だって思うだろ!」

「せめて服がずり落ちるとかにすればよかったじゃねぇか!破いたら、場合によっちゃ全裸で家まで帰らないといけない事にもなるんだぞ!!」

「はっ…!?」

 

俺の言葉に、イッセーは目を見開いた。

そして、頬を一筋の涙が伝う。

 

「――俺、何てことを…!」

「確かに全裸で恥じらう姿は素晴らしい物だとは思う。けど、だけど、それは結局一過性の物だ。全裸だけが良い物という訳ではないと、お前はとっくにわかってるじゃないか。――まだ、まだ変えられる。服を破くのではなく、脱がす魔法に変える事も、今ならまだ可能なはずだ」

「おう、俺…服はもう破かないよ!輪廻!これからは、脱がせることを妄想し続けるよ!!」

「あぁ。それでこそ俺の親友だ!!」

「輪廻ッ!!」

 

力いっぱい抱き合う。

俺は今猛烈に感動している。あのイッセーが。己の性欲の赴くままに行動するだけだったイッセーが、俺の言葉を聞きいれたのだ。

何と成長したのだろう。俺は嬉しいよ。ここまで成長していただなんて!

 

しかし周囲の反応はやはり冷たい。

 

「……え、輪廻君もこんな感じなの?」

「輪廻先輩はイッセー先輩程ではありませんが、変態三人組と保護者一人と呼ばれるくらいには変態ですので。まぁ、イッセー先輩よりかは紳士ですし、直接的な行動に出たりしない分まだマシです」

「それでも人目を憚らずにその…え、エッチな話をしたり、とかは…しますけど」

 

そのことに関しては許せアーシア。俺とて男。しかも友人が皆オープンスケベだと、俺も一緒になって猥談に興じてしまうのだよ。

これでも最近は抑えてる方で、アーシアの前ではあまりそういう話をしないようにはしているんだけど……ば、バレてましたか。やっぱり。

 

「ま、まぁ。とにかくイリナの負けで良いだろ?服は俺が元に戻したとは言え、一度は戦闘不能状態に陥った訳だし」

「……く、悔しいけど、そうね。私の負けだわ。正直って、甘く見過ぎたかも。それ抜きにしても、その『洋服破壊』は凶悪だったけど」

「でも、この技はもう封印するよ。その代わり、俺は輪廻の教えを活かして新技『強制脱衣(リアル・ストリッパー)』を開発して見せる!衣服を傷つけず、女の子が裸で恥じらう姿を、この目に映せるようにしてみせる!!」

 

拳を天に掲げ、イッセーは宣言した。

俺は涙が出そうなほど感激したのだが、やっぱり他の皆には呆れられるだけだった。

 

――さて、そうこうしている内に木場の方も決着がつきそうだ。

寧ろ、まだ決着がついていない事に驚きなまである。

 

本来の戦い方を止め、馬鹿正直に正面突破。

もしあの聖剣が『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』でなければまだ可能性はあったかもしれないが、破壊特化のあの聖剣相手には不味いだろう。

 

今アイツが振るっている魔剣も、そろそろ限界のようだしな。

 

「ぐ、ぁああああっ!!」

「勝負あったな。――正直、残念だよ。貴方は本来なら、きっと素早く相手を翻弄して戦うタイプの騎士だったろうに。そうではなく、この『破壊の聖剣』相手に力勝負を挑んでしまった。相手によって戦い方を変える、そんな基本すらなっていない今の貴方では、聖剣の破壊なんてのは決して不可能だと思うね」

「ま、て…まだ、僕は負けてない…!!」

「普通に負けだろ、木場」

「ッ、いや、僕は」

「ゼノヴィアが言った通りだけどさ。アレを言われて尚同じ事を繰り返そうとしてる時点で、お前には何もできねぇよ。復讐心を糧に戦うのも、そりゃ間違いじゃないが…怒りに飲み込まれて戦うだけってのは、己の望みも使命も、何もかもを見失って破滅するだけだって事を忘れんな。――まぁ、今のお前にゃわかんないだろうがな」

「………クソッ、くそっ、畜生ォッ!!」

 

普段の木場からは想像もできないような叫び声と共に地面に拳を叩きつけ、しばらく肩を震わせて涙をこらえた後、何も言わずに去っていった。

部長が止めようとしたが、それをイッセーが制していた。

 

まぁ、そうだよな。今のアイツには、本当に何を言っても意味がない。

寧ろ、今下手に介入するのは、自分もアイツも傷つけるだけだ。

それをわかっているからこそ、イッセーは止めたんだろうな。

 

「――それで、また聖剣奪還に戻るわけか?」

「あぁ。それが私達の使命であり、ここにいる理由だからね。――正直な所、あのレベルの殺気を放って見せた君とも是非手合わせ願いたい所だが……やめておこう。君を傷つけたりしたら、私がイリナに殺されてしまう」

「はい?イリナが?」

「な、何言ってるのよゼノヴィア!変な嘘つかないでよね!?」

「嘘なんかついてないさ。プライベートの時、その胸元のロケットの中に入っている写真の少年を愛おしそうに眺めては、何度も何度も立神輪廻という少年について話して……」

「わーっ、わーっ!」

 

大声でゼノヴィアの言葉をかき消そうとするイリナを見て、なんでかアーシアと小猫がジトっとした目を向けてくる。

……俺に。

 

「いや、なんで俺が睨まれてんの?」

「……知りません」

「り、輪廻さんの節操無し!」

「は、はぁっ!?ちょっとアーシアそんな言葉どこで覚えて――」

「あらあら。若いわねぇ」

「……朱乃、それオバサン臭いわよ」

 

ワイワイと騒ぐ俺達から少し離れた所でイッセーが何かを決心したような顔をしていた事に、この時は誰も気づいていないのだった。




【オリジナル要素解説】
『今代の赤龍帝』
・今回明らかになった通り、輪廻の存在はその組織によって違う扱いをされている。
本来原作であれば『異端の神器』としか扱われていないはずの『赤龍帝の籠手』も、今代の所有者、つまり輪廻が過去に信徒たちを(偶然)何度か救った事があり、結果として『神の使い』なんて称号を受けるまでになった。
因みに悪魔側にはただの強力な神器の持ち主としか認識されておらず、堕天使側ではアザゼルやヴァーリが個人的に興味を持っているレベルである。

無論『夢幻人』は輪廻を決して許さない。存在そのものが悪。信仰の邪魔。必ず殺す。
(なお実力差)




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