ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

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協力関係

翌日の朝。

今日は休日という事もあって、一度目覚ましに起こされてからもう一度入眠するという贅沢な時間の使い方をしたはずなのだが、突然腹部に強い衝撃が加えられ、慌てて飛び起きた。

 

驚いて周囲を確認すると、むすっとした顔をしつつ俺を見ている小猫の姿が。

でもおかしい。ここは俺の部屋で、この時間に立ち入ってくるのは黒歌かアーシアのはずだ。

黒歌に至っては立ち入ってくる所か我が物顔でベッドの半分を占領している。勿論今も。

 

「お、おはよう?」

「おはようございます。先輩。――それとまずは一つ。人の姉と何寝てやがるんですか」

「や、やがるって……いや、別にコレは黒歌自身が望んでる事で」

「それが何か」

「ひ、ひぇー…」

 

暴君だ。幼き暴君がここにいる。

 

相も変わらぬ無表情ながら、しかしその目は鋭い。

視線の向かう先は俺の隣で寝ている黒歌。なんと服を着ておらず、その美しい体の一切が丸見えだ。

毎朝下半身が凝るのもそのせいである。まったくけしからん。もっと見せてくれ。

 

――っとと、口が滑った。

 

とにかく、この状況は黒歌自身も望んでいる事だ。前に確認した時、「ご主人様と一緒に寝たいって思うのは…ダメにゃん?」と上目遣いで聞き返されたくらいだからな。

勿論「良いに決まってんだろ!おらっ、一緒に寝るぞ!」って返した。

以来俺達は絶対二人で寝る事にしてるのだが……最近では、アーシアが逆側を陣取っている。

現在も、綺麗な姿勢ですやすやと。

ちゃんと服は着ている。

 

「……ま、まぁ説教は後で受けるから。取り敢えずここに来た要件だけ教えてもらえないか?ほら、黒歌と一緒に寝てる事の話をしに来たわけじゃないだろ?」

「……そうですね。ではこの件については後程。――端的に言います。先輩の力を貸して欲しいんです」

「の、後程ね……で、俺の力を貸す?詳しく聞こうか」

 

俺の腕に頬ずりしてくる二人からそっと離れつつ、伸びを一つして続きを促す。

起こさないようにしたつもりだったが、黒歌はそこで目を覚ましてしまった。

目を擦り、俺と小猫の方を何度か見て、なんとなく事態を察したのか苦笑い。

 

「にゃ、にゃっははー…お、おはようにゃん?」

「……姉様にも、後でしっかりお話があります」

「ひ、ひぇー…」

「……んむぅ……たべられませんよぅ……」

 

朝特有の静かな部屋に、アーシアの典型的な寝言がやけに響くのだった。

 

※―――

 

小猫から持ち込まれた話は、まぁ予想通りというか木場絡みだった。

やっぱり同じ仲間同士、死にに行くような真似はさせたくないらしい。

俺とてそうだ。アイツはもう友達だと思ってるし、だからこそあのままでいさせたいとも思っていない。

 

だから別に難癖付ける事も下手に試すような事もせずに、そのまま安請け合いした…のだが、ここに黒歌が待ったをかけた。

この話、自分も関わらせろ、と。

 

その理由は純粋に、小猫が聖剣使いがいる戦場に行くのが看過できないという事らしい。

まぁ、相手もエクスカリバー使いだ。下手に首を突っ込めば、それこそ小猫なら消滅させられかねん。

その懸念も仕方なかろうという事で、俺がこれから木場の為にする事への動向を許可する事にした。

 

勿論小猫も付いてきている。

依頼だけ受けて、じゃ後は待っててー、とはならんのだ。

本人もちゃんとついてくるつもりだったらしいし。

 

「それで、ご主人様のいう『当て』って言うのは何なの?」

「んー……ま、聖剣使いには聖剣使いをってヤツだな。あぁ、そんな心配そうな顔しなくても、相手は一応顔見知りだし問題ねーよ」

「いえ、その聖剣使いって……」

「だから大丈夫だって。いや、確かに洋服破壊の一件で嫌われた可能性も無くはないが……っと、居た居た」

 

街中を歩いていると、目的の二人が見つかった。

前に会った時と同じ、顔を隠すフードとチラリと覗くボンテージ。

布に包まれた大きな何か(看板か何かだろうか)を抱えている以外には変化のない、イリナとゼノヴィアの二人がいた。

 

……後ソレを、影から嫌そうな顔をして見ているイッセーと……匙元士郎なる男がいる。

 

匙はアレだ。生徒会書記で、支取蒼那会長……いや、ソーナ・シトリーの眷属。

駒四つ消費の『兵士』であり、五大竜王の一角を担う『ヴリトラ』の力を宿している稀有な男。

イッセーとは、部長と会長の眷属の顔合わせの時に会ったくらいしか面識がないはずだが、なんで一緒にいるんだっけか。

確か原作にもこんなシーンがあった気がするが、しかし思い出せない。

 

「あっ、輪廻!」

「げっ、立神。――と、一年の塔城ちゃんと……えっと、どちら様?」

「私は黒歌。野良猫から家猫にジョブチェンジ済みの猫魈にゃん♪」

「……まぁ、俺の家に住んでる妖怪兼悪魔で、小猫の姉だな」

「え、えぇっ!?お姉さんいたのか!にしては全然似てないような……主に一部ぶごぉっふッ!?」

「さ、匙ーッ!!」

「……失礼な人」

 

小猫と黒歌の胸元を交互に見ながら失礼な事を言った匙は、小猫の一撃を頬に喰らってノックアウト。

なんだか俺の修行を経て、小猫が以前よりもアグレッシブというか……バイオレンスになった気がする。

 

「匙の事は置いておいて……その、お前ら何してんの?」

「実は、そのー……木場の件でさ」

 

どうやら、イッセーの方も小猫と同じだったらしい。

木場の身を案じ、どうすれば良いかと考えた結果、俺のような考えに至った……つまり、イリナとゼノヴィアに協力する事にしたとのこと。

実際部長……つまり悪魔側は教会の言葉もあって動けないし、同じ聖剣使いであり、エクソシストでもある二人に協力する形をとった方が、木場の望みである聖剣の破壊に近づけるしな。

 

でも、なんで匙?

 

その事を質問すると、先程まで倒れていた匙が起き上がり、イッセーに掴みかかった。

 

「そうだよ!なんで俺をこんな休日の朝から呼んで、しまいにゃバレたら会長に怒られそうなことの片棒担がせようとしてんだお前は!」

「い、いやほら。咄嗟に頼れる相手が輪廻かお前しかいなくってさ。でも輪廻を呼んだら……その、前に木場が輪廻に攻撃した事もあったし、あんまりよくないかなって。だから消去法で、お前しかいないかなーっと」

「消去法!?お前ふっざけんなよ!これじゃあ俺と会長のラブラブでき婚大作戦成功への道程が遠くなっちまうじゃねぇか!!」

「え、何その胡乱な計画」

「っとぉ!よくぞ聞いてくれました、塔城さんのお姉さん!ふっふっふっ…この俺、匙元士郎の夢は、俺の主様であり生徒会長である、支取蒼那先輩と……できちゃった婚をする事なのです!!」

「お、おぉーっ!!」

「うわー…」

「……最低ですね。これに目を輝かせるイッセー先輩も、同レベルです」

 

感激に涙すら流すイッセーに対し、黒歌と小猫はドン引き。

それどころか、通り過ぎていく街の人たちも「できちゃった婚ですって」「進んでるわねー」とか言いたい放題である。

 

……俺、この場を離れても誰にも咎められないと思うんだけど。

 

「じゃ、じゃあ。なんですぐに話しかけないでここで二人を監視するような真似を?」

「…あぁ、それか。それはアレを見たらわかるぜ」

 

若干辟易したような顔をして、イッセーが二人のいる方を指さす。

謎の大荷物を持っている以外に、何も違和感はないと思うが……って、うん?

 

視線の先のイリナ達が、何やら手を組んで祈るようなポーズをしつつ、何かを言っているのに気づく。

というか前々から聞こえていたのを、敢えて聞こえていないふりをしていただけかもしれない。

 

「迷える子羊にお恵みを~!」

「どうか、天の父に代わって哀れな我らに慈悲をぉおおおっ!」

 

おかしい。あんなシリアスな顔をして「信仰の為なら、命を落とす事すら覚悟の上だ」とか言っていたあの二人が、なんだって物乞いみたいな真似をしているんだ。

しかも、この現代日本の表通りで。

 

「――な?あんなの話しかけるの躊躇しちまうだろ」

「お前匙と一緒にできちゃった婚だのと大声で言ってたじゃねぇか」

「それとこれとは違うだろ!?」

「大差ねぇよ」

 

※―――

 

「うんうんっ、やはり日本の料理は美味いな!」

「これよっ、これこそ故郷の味よ!」

「イタリアンだぞ」

 

あの後、何やら言い争いを始めそうになった二人を止めるためにも声をかけ、腹が減っていると言われたので飯屋に連れてきた。

一応日本の全国チェーンではあるが、出される料理に日本食は一つもない。

本当にいいのかイリナ。お前の故郷は今この場をもってイタリアになったぞ。

 

「……でも、なんだって路銀が早々に尽きる事態に陥るんだよ。まさか宿泊施設の料金を一桁間違ってましたとかじゃねーよな」

「そんな訳ないじゃない!というか、私達はホテルじゃ無くて、この町近辺の教会で寝泊まりしてるの。だから宿泊費なんてかからないわ」

「あぁ。変な消費の仕方をしなければ、それこそ一か月はまともな食生活を送れたさ。――それを、イリナが変な絵画を買ってきて…」

「変って何よ!これは立派な……立派な……そうっ、聖ピエトロ様の肖像画よ!」

 

そう言ってイリナが見せてきたのは、少なくとも落書きにしか見えないファンタジックな絵だった。

かろうじて真ん中に描かれているのが貧相なボロ布を身に纏った男性だというのがわかるが、他はまるで分らない。

そもそもこの背景は何だ。宇宙なのか。

 

俺やイッセー達がその絵画に無言になるなか、ゼノヴィアが冷たく言い放つ。

 

「これのどこが聖ピエトロ様だ。こんな訳の分からん絵のどこに信仰心が見て取れる。――全く、これだからプロテスタントは好かんのだ」

「何よ!カトリックのあなたにはこの絵の素晴らしさがわからないだけでしょ!?」

「じゃあ逆に君から見てその絵のどこに素晴らしさを感じるというんだ!どこにもないだろう!?その絵一枚で、私達の一か月分の食費が全てなくなったとわかった上で発言しろ!」

「うぐぅっ…」

「まーま、落ち着けって。最悪飯なら家の分わけてやっから」

「「本当(か)!?」」

 

こちらに身を乗り出し、目を輝かせる二人。

おいおい良いのか。ここに来るまでの間に「悪魔と悪魔に親しい者からの施しだなんて…!」とか好き放題言ってたのを俺はしっかり覚えてるんだが?

 

「さて。そろそろ本題に入ろうか。―――何のために、私達に接触を図った?」

「俺達の方は、先日お前と戦った木場という男の為に、その聖剣の奪還およびコカビエルの撃破の協力を申し出に来た。本人に許可を取ってはいないが、聖剣破壊を目的とするアイツには良い機会だと思ってな」

「お、俺の方もだ。ここで聖剣の破壊に乗り出しても教会側との争いが起きないように話をしておきたかった」

「不要だ、と言ったはずよ。確かに聖剣は核となる欠片さえ確保できれば原形をとどめていなくても構わないとのお達しが来ているけど…だからといって、悪魔の力を借りるのは」

「そういうと思ってな。適当な方便は考えてある」

 

方便?と全員が不思議そうな顔をする中、俺は一度水を飲んで喉を潤し、黒歌たちに「耳を塞いでおけよ」と一言告げてから、言葉を発した。

 

「If anyone does not love the Lord,let him be under a cures. Come O Lord!」

「痛っ!?」

「今のは…」

「これ以外にも、聖書、福音書、その他すべての宗教的文章は記憶してるんでな。まぁ教会側に後々文句を言われるようなら『現地の敬虔な信徒が協力してくれた』とだけ言っておきゃいい」

 

因みに今のは「もし主を信じぬ者がいるなら、誰でも呪われよ。主よ来たれ!」とかそんな感じの一文。

キリスト教にも派閥は多数存在するが、その内の一つでしかないので皆が皆「呪われよ」だのなんだの言っているという勘違いだけはしないでやって欲しい。

 

俺は何の宗教も信じていないし、そもそもこの世界の神(三大勢力の掲げる唯一神の事)が死んで居る事も勿論知っているわけだけど。

 

俺の忠告を無視して耳を塞がなかったイッセーは、頭を押さえて苦しそうにしている。

まったく。匙ですら素直に耳塞いでたっていうのに。何を言うか気になってんだろうな、大方。

 

――で、なんでイリナ嬢はそんなに目を輝かせておられるのか。

 

「すごいわ!悪魔と仲良くしてるから誤解してたけど、輪廻君もしっかりと信仰心を持った信徒だったのね!」

「いや待て、それは話が違う。俺は別に信仰心自体は持ち合わせてはいない」

「あぁっ、主よ!貴方に感謝します!極東のこの地にて再会した幼馴染が、同じく敬虔な信徒だったなんて!所で輪廻君はプロテスタント?それともカトリック?」

「あの、だからイリナ、話をだな」

 

何度も誤解を解こうと口を開いたのだが、暴走したイリナは中々止まらず。

話をもとに戻すまでに、結構時間を取られた。

因みにその間、イッセーと匙が勝手に色々と注文していた。

しかも財布は持ってきていないとのこと。おいふざけんな。

 

「……まぁ、そういう事なら問題ないだろう。現地の協力的な信徒の力を借りた、なら教会も何も言うまい。――だが、ただの人間であるはずの君が、仮にも聖書にその名を記されている堕天使との戦いに参入しても構わないのかい?」

「多分だけど、この中で一番強いのは輪廻だぜ。俺達の修行の面倒見てくれたのもコイツだし、その時にコイツがどんだけやばい奴かは十分知った」

「…はっきり言って、規格外。人間基準なら、間違いなく最強クラス」

「だってご主人様は今代の――もごっ!?」

「おーよしよし黒歌ー、近代(きんだい)近代(こんだい)と言い間違えるなんて良くないなーっ!意味が違って聞こえるだろー?」

 

自然と黒歌が俺の事を「今代の赤龍帝」と明かしそうになったのを防ぎつつ、ちょっと無理のある言い訳をセットに苦笑い。

危ない危ない。別に知られて何があるって訳じゃないけど、せっかくここまで知られずに来れたわけだし、もうちょっと良さげな場面で知られたい。

 

でもどんだけ劇的な披露をしても、なんだか「あぁ、なんかそんな気してた」みたいな反応をされそうな気もする。

だって人間にしては強すぎるもん。我ながら。

ただの人間じゃ無くて赤龍帝でしたー。って言ったら「妥当」としか言われなさそう。

 

「とにかく。俺とその仲間たちが協力するって事で良いな?」

「あぁ。切り札があるとはいえ、元々私達二人ではコカビエルや聖剣使い相手をするには心もとないと思っていたしね。イリナも構わないだろう?」

「えぇ。悪魔の力も一緒に借りなくっちゃいけない所はまぁ気になるけど……自殺志願でここにいるわけでも無いし。最大の信仰は、天寿を全うするまで生き続けて、その間も主を思い続ける事にあるもの!」

 

二人の了承は得た。後は……っと、ちょうどいいタイミングで来たか。

 

「よぉ、木場。ちゃんと来てくれて嬉しいよ」

「君の言う事は、いつだって物事の本質に繋がるからね。『聖剣を破壊したいなら、ここに来い』だなんて簡素な文面と店名だけ告げられたら、来る他ないさ。――でも、まさかここで再び聖剣使いと会えるとはね。君が言うのはアレかい?この二人と再戦する機会を用意したって事かい?」

「落ち着けバカ。コイツ等は協力者だ」

 

相変わらず普段とは違う邪悪な笑みを見せる木場に、俺は溜息を吐きながら頭を抱えるのだった。

 

※―――

 

「それで?お前のライバル…今代の赤龍帝とやらは、見つかったのか?」

「残念ながら、まだ発見できてないな。本当に居るんだろうな、この町に」

「おいおい、俺の情報が信用できないってか?悲しいねぇ、反抗期か?」

 

月が燦然と輝く夜の街。その中心街にある、建設中のビルの骨組みの上。

二人の男が、互いにニヒルな笑みを浮かべながら会話している。

 

夜風に銀色の髪を靡かせている男――今代の白龍皇である、ヴァーリは、浴衣姿の男――堕天使の総督であるアザゼルの言葉に鼻で笑う。

 

「まさか。捕らえた『夢幻人』は口を揃えてこの時代だと語っていたんだろう?何よりアルビオンも、過去に対峙したという宿主の気配を、この町から感じているらしいしな」

「へぇ。わかるもんなら、居場所もわかると思うが?」

『あの男は用心深い一面も持ち合わせている。己の正確な居場所を知られないようにするために、この町全域に己の気配を流している。ヴァーリであっても、私の力を貸したとて気配を探るのは不可能だ』

「それならまだ『夢幻人』を探して、もっと細やかな情報を得た方が良い。何せまだ、名前すら知らないんだからな。―――ところでアザゼル。コカビエルの方はどうするつもりだ?まだ泳がせるか、それとももう捕らえるか」

「まだまだ泳がせるさ。何より、『夢幻人』とつるんでるんだろ?ここは敢えて泳がせておいて、かの赤龍帝を呼ぶ餌にでもしておけばいいさ」

 

アザゼルは一度言葉を切り、そして突然思い出したかのように口を開く。

 

「あぁ、そうそう。俺の教えてやったもう一人の気になる方、見てみたか?」

「サタンの神器を宿す者……兵藤一誠、と言ったか?正直、アレは期待外れも甚だしいな。力も弱ければ、血筋も出自も凡庸。いくらサタンの力を持っているとしても、あれでは宝の持ち腐れだ」

「あらら、随分と辛口評価だな。俺は結構、面白い奴だと思ったがな」

「はっ、確かに少し似ている所もあるか?だが、俺にはやはりつまらん男にしか見えなかった。――どちらかと言えば、その友人らしき男……立神輪廻。あちらの方が興味深い。感じるオーラも佇まいも、どこにでもいる人間……なのに、同時に微かに強者のオーラを感じる」

「赤龍帝を見つける前に、そっちをつついてみるってか?神器持ちかどうか怪しい人間を、ちょっと気になったからなんて理由で…よりにもよって、このグレモリー領で喧嘩吹っ掛けるとか、サーゼクスの野郎と揉め事になっちまうかもしれねぇだろ」

「俺としては一向に構わないんだがな」

「あぁ、はいはい。お前はそういうヤツだったな。だが俺は違う。もう戦争なんて真っ平ごめんだし、何より対処しなきゃいけない敵が外部に多すぎる。――さ、そろそろ拠点に戻るとするかね。お前はどうするんだ?」

「……もう少し、夜風に吹かれるとしよう。この町は、常に強き龍のオーラを感じて心地いい」

「そうかい、じゃご自由に」

 

黒い翼をはためかせ、アザゼルはその場を去る。

そしてその姿が完全に遠くに行った途端、ヴァーリの背後に男が現れる。

 

「よぉ、白龍皇。いや、ヴァーリ、の方が良いか?」

「どちらでもいいさ。鬼族の王、伊吹狩刈(いぶきかりがり)……いや、『夢幻人』の()()

 

金棒を肩に乗せ、子供のように笑う黒髪の男、伊吹狩刈。

彼が持ち掛けた話は、ヴァーリが惹かれるような、そんな話だった。




イリナもゼノヴィアも黒歌が悪魔だという事に気づいているので、戦闘能力について不安がる事はありません。
しかし輪廻は、未だに「なんか殺気だけ凄い人」扱いなのでその力をかなり低く見られています。

また匙が黒歌の名前を聞いても特に反応しなかったのは、彼が転生悪魔となったのはイッセーとほぼ同時期であり、悪魔界についてまだまだ勉強中だからです。
はぐれ悪魔についての概要を知っていても、一人一人を知らないという風に。





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