ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う 作:うぉっ、でっか…
『
・輪廻が持つ神器の一つ。黒い大布であり、サイズは相手の攻撃の規模により変化する。なので場合によっては弁当包みサイズになるときもある。
相手の『魔法でも直接的でも無い攻撃』を回避するという、一見すると使いにくい物だが、堕天使の槍や仙術妖術の類がそれに分類されるため、実は結構良い神器。
『
・アザゼルが神器研究の果てに生み出した汎用龍殺し。風車を龍に見立てて突撃した老騎士の逸話に、神の死によって零れ出た神秘を織り交ぜる事で完成した。
量産が容易く、その癖アスカロンやそこら辺と同じレベルの力を持っているという中々のぶっ壊れ神器だが、正統な神器ではない為正当な禁手を持たない。
一応疑似禁手という形で攻撃、防御、遠距離攻撃の三つの内どれかに特化させることができる。
砕けた結界が光の粒となって降り注ぐ中、俺達は呆然と輪廻を見つめていた。
――赤龍帝。今代の、赤龍帝。
俺達が夢幻人から命を狙われてきた原因であり、今までその正体が何らわからなかった存在。
それがまさか、輪廻だったなんて。
「今代の、赤龍帝……まさか、輪廻さんが…!」
「ははっ、ようやくお出ましって訳か。良いぜ良いぜ…楽しませてくれよッ!!」
好戦的な笑みを浮かべながら、狩刈が輪廻に肉薄し、金棒を振り下ろす。
ソレを輪廻は何てこと無いように左手で受け止め、右の拳で鳩尾を殴りつけた。
ここまで衝撃波が来るほどの一撃を受けて、狩刈は体をくの字に折り曲げて、校舎まで吹き飛んでいってしまう。
「す、すげぇ」
「さーってドライグ。別に必要ないけど、せっかくだから使うとしようぜ」
『了解だ相棒』
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
宝玉が点滅し、輪廻から感じる力の波動がさらに強くなる。
校舎の窓ガラスが割れ、木々が折れ、暴風が吹き荒れる。
――こ、これが赤龍帝の力!?
サタンの話だと、白龍皇が相手の力を半減させて我が物にする力で、赤龍帝が力を倍加させ、他者へ授ける力を持っている…だったはず。
今の一瞬で、どれくらい強化したんだ…!?
「コカビエル。お前は確か、戦争がしたいんだっけな。そのためにこの町の人を殺すとも、言ってたっけか?」
「あぁ、そうさ。他者を思うがままにできる程の暴虐的な力を持つお前ならわかるだろう?己の力を振るう事の楽しさを。命を奪い、奪われるあの空間こそが至福だと!」
「まぁ、確かに力を使ってすげーすげーと言われるのは好きだけど、ソレで人をどうこうしようという気持ちまではねぇな。――ま、取り敢えず発動しそうだった魔法は
「何…?バルパー、それは本当か?」
「あ、あぁ。突然、発動直前だった魔法陣が、跡形も無く」
魔法を、かき消した?町を一つ消すってレベルの魔法を?
な、なんだかスケールが違い過ぎてついて行けなくなってきたけど…ってか俺達、ここに突っ立ってていいのか!?余波で死んじゃわないか!?
「『
「ふざけたことを……!!だがいいだろう、お前をここで殺せば、俺が最強だッ!!アザゼルにもシェムハザにも、舐めた口はきかせねぇ!」
光の槍を投擲するコカビエルの背後に、輪廻が突然現れ拳を振るう。
数秒遅れて音と爆風が俺達を襲う。
「は、速い…!目で追えなかった」
「…なるほど、輪廻はアレを隠してたってワケ……イッセー。一応聞くけど、貴方は知ってた?」
「い、いえ。俺もずっと知らなくって……まさか、アイツが赤龍帝だったなんて」
コカビエルが、まるでサンドバッグのように殴られていく様を、俺達は黙って見ていた。
あんな強そうだったコカビエルが、まるで玩具みたいに。
――輪廻の強さは人間の範疇を超えてる、とは前々から思ってたけど……まさか、赤龍帝だったなんてな。
無限の龍神とやらに喧嘩を売って勝ってみたり、過去と未来を行き来してみたり、なんでもありな赤龍帝が、輪廻だったなんてな。
「久しぶりにご主人様が戦ってる所見たけど、やっぱり強いにゃー」
「姉様は、知ってたんですね」
「ま、ご主人様が言わなかったら、一応私も黙ってたにゃん。――にしてもコカビエルも可哀そうにねぇ。七回も倍加したご主人様相手に戦えるほどの力はなさそうだけど」
「七回……って事は、128倍?あの修行中に見た力が128倍になってるだなんて、なんだか笑えないわね」
笑えない。確かにそうだ。
実際、今の光景も輪廻が圧倒しているだけにしか見えない。
俺、一応ここに来るときに決死の覚悟をしたはずなんだけど。なんでこんなワンサイドゲームを見るだけになってんの?
「どうしたコカビエル。これじゃ狩刈と同レベルだぞ?それだってのに、戦争やるとか俺は最強だとか言ってたのか?俺なら恥ずかしくって家から出れなくなるレベルだぞ」
「火炎息!!」
校舎の方から、突然火柱が噴き出し、輪廻を襲う。
この感じ、魔法じゃない。どちらかというと…黒歌さんの仙術に似てる。
瓦礫から出てきたのは、狩刈だった。
瓢箪に口をつけ、何かを一気に飲み干している。
「ははっ、油断したな赤龍帝。俺はまだ負けちゃいない」
「別に、なんのダメージも無いが……それが切り札だとでも?」
「いんや。妖術はあくまでおまけだよ、おまけ。俺はどっちかっつーと自分で殴ったりする方が好きなんだ。けど、今ので隙ができたろ」
「死ねっ、赤龍帝ぇええええっ!!」
動きの止まった輪廻に、コカビエルが光の槍を突き刺そうとする。
レイナーレのソレを大きく上回る力を感じる槍が、輪廻の鎧に触れて――砕けた。
後、ついでとばかりに輪廻から感じるオーラがさらに膨れ上がった。
でたらめすぎる。
「は、はぁっ!?」
「俺が時間を操作できるってのは知ってるだろ?ソレさえ使えば、一瞬で無制限に倍加できるんだよ。で、強くなった俺のオーラを、お前の槍じゃ貫けなかったってワケ。――ただ二人同時に相手は確かに面倒だな。ドライグ」
『行けるぜ相棒。久しぶりの『
「何をするかわからねぇけど、黙って見てるなんて優しい真似しねぇぞッ!!」
狩刈が金棒を振るう。
衝撃波が目に見える波動となって、輪廻を襲う。
しかし、輪廻は左手をそちらに向けるだけだ。
『Change Shield weapon!!』
波動が、突然現れた半透明のエネルギー体によって防がれる。
輪廻を包み込むように、黒色の球体が出現していた。
左腕の籠手部分も、なんだか少し見た目が変わっている。まるで、盾を装備しているようだ。
「『
「……龍帝のみならず、四神にまで手を出したってか」
苦々しそうに狩刈が言う。
正直ピンと来ないが、まぁ取り合えず凄い存在の神器を持ってるって事だろう。
「一応、この盾は空気中の水を集めて作ってるモノだから、壊そうと思えば壊せるぞ。――まぁ、それ以前に俺が攻撃の暇を与えないけどな」
『Change Blaster weapon!!』
今度は右手が、まるでカノン砲のようになる。
左手に盾。右手に砲口……なんだろう、鬼に金棒って、多分こっちに言う言葉だろう。
一応狩刈も金棒を使ってるし、鬼族の王とか名乗ってたけど…確実に手に負えなくなった感があるのは輪廻だ。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』
「なっ、このオーラの量と力……!!魔王級なんてレベルじゃない!下手すれば、この町が消し飛ぶわよ!?」
「あー大丈夫ですよ部長。俺も考え無しじゃないんで。――一度壊れた物は、後で戻せば問題無しってね!」
ソレを考え無しって言うんだよバカ輪廻!!
そう叫ぶが時すでに遅し。
途轍もないオーラが砲口に圧縮され、そして解き放たれる。
『Longinus Smasher!!!』
「消し飛べッ!!」
極太の、真っ赤な光の柱が、砲口から飛び出す。
今すぐにこの場を逃げたくなるような恐怖心を覚えるが、光の柱が飛び出した際に、黒いドームが俺達を囲うようにして守ってくれた。
…ってか、このドームって輪廻がさっき使ってた、玄武ってヤツの盾?
「覇の力を禁手で扱うだと…ッ!?くそっ、『
「
極光が二人を襲うが、それぞれが無理矢理回避する。
コカビエルは、フリードが持っていた槍を使い。
狩刈は、全身を足元の影の中へと沈ませて。
――ってか、バランス・ブレイカー?アイツも禁手を使ったって事か?
でも、なんかプロビジョナルとか言ってたような。
「へぇ、上手く避けたじゃねぇか。ただ、かなり
「……余波だけで、腕を失う羽目になるとはな……ははは、どれだけ規格外の存在なんだ、コイツは。仮にも龍殺しの力を持つ神器だぞ。複製品とは言え、ソレを防御性能に特化させた疑似禁手を使ってなおこのダメージか…!」
「この場から一瞬で離脱して地球の裏側まで逃げたらまた違っただろうが、そんな真似はできないだろう?ま、もう一発受けりゃお前は退場だろうが――っと、狩刈の方は無傷だったのか。だからって俺のすぐ近くに来るのは悪手だと思うが?」
「ちっ、これのどこが無傷だよ。腹にでっけぇ傷作りやがって……忌々しい野郎だぜ、赤龍帝。だからここで、俺が殺してやる!陸を砕き海を割き天を穿つ、鬼の一撃を喰らいやがれッ!!」
狩刈が金棒を振るう。
今までで一番力の入っている攻撃だ。もし仮に俺達が喰らおうものなら、即死だろう。
しかし、輪廻は全く危機感を覚えている様子ではない。自然な動作で左手を前に出し、バリアを展開する。
『BoostBoostBoostBoost!!』
「く、だ、け、ろぉおおおおおああああああッ!!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!Transfer!』
火花を散らして拮抗していた金棒とバリアだったが、勝負はバリアが突然分厚くなり、何重もの壁になった事で終わりを告げた。
今のが、譲渡の力か。
バリアに倍加分を譲渡した結果、厚みも数も増えたって事ね。
サタンから話を聞いた時は、赤龍帝は他人の力も借りる前提の戦い方を強いられる物かと思ってたけど……自分の他の手札を強化する事もできるわけだから、全然単騎性能も強いのか。
や、やっぱし相手したくねぇよ!親友だし!何よりあんな極太のレーザーぶっ放したりする奴相手に挑むなんて自殺行為だろ!
サタンのいう事は話半分。今後の教訓としよう。
「陸を砕き海を割り天を穿つ鬼の一撃…ね。良いもん見せてくれた礼ってやつだ。
「やべっ、
「夢幻人ならわかってるだろ?俺が
『Change Knuckle weapon!!』
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost』
右手が籠手に変化し、力が一点に集中していく。
ただそこに居るだけで、空気が振動している。
強化は終わらない。壊れたラジオのように、宝玉はひたすらブーストと言い続けている。
そのたびにオーラが倍に倍にと膨れ上がっていくのが、なんだかもう面白く感じるほどだった。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』
「鬼ってのは頑丈で、例え傷を負っても酒呑んで少し休めばすぐに元通りになるんだろ?だったら、これくらい強化したってお前は死にはしない」
「なわけ、ねぇだろ…!!くそっ、俺は、こんなところで――ッ!」
「そこまでにしておいてもらおうか」
莫大な力の塊と化していた拳を振るう直前に、空から誰かの声が聞えてきた。
かと思えば、輪廻と狩刈の間に白い魔力の塊が飛来し、二人を分断した。
い、一体誰だ?コカビエルにまだ仲間がいたのか、それとも夢幻人の他の幹部か。
警戒する俺達の目に映ったのは、夜の闇とは対極的な、白。
真っ白い全身鎧と、輝く翼だ。
「白龍皇か。お前が堕天使側なのは知っていたが、まさか夢幻人を庇う真似までするとは思わなかったな」
「別に、ソイツを助けようと思ったわけじゃない。アザゼルの命令でね。実質離反したコカビエルと、一緒になって行動していた夢幻人幹部の伊吹狩刈、はぐれ神父のフリード・セルゼン、聖剣研究の第一人者バルパー・ガリレイを生きた状態で連れてこいと言われているんだ。だから、任務達成のためにもソイツを殺させるわけにはいかない」
「――嫌だ、っつったらどーすんだ?」
ゾワッ、と鳥肌が立つ。
相変わらず殺気だとかが恐ろしい野郎だ。改めてアイツとは敵対したくない。
ってか強化分がそのままだから、さっきからずっと重圧が。
威圧するように問いかけた輪廻に、白龍皇と呼ばれた男は鼻で笑って答える。
「その時は仕方ないさ。元々、アザゼルの命令と言ってもさほど結果には期待されてない。現地に赤龍帝がいる事は既に知っているからな。その友人知人を巻き込んだ事件を起こそうとしたコカビエルとその一味が生きているとしたら、それこそ奇跡だ、とか言っていたよ」
「…そうかい。お前は生粋のバトルマニアだと聞いていたが、意外と理性的なんだな。今の質問と同時に攻撃してくるつもりでいたぜ」
「いや、そうでもない。俺が今抑えられるのは、どうせすぐにでも再会する事になるからだ。――だろう?歴代最強にして、世界最強の赤龍帝君?」
「そういうお前は歴代最強の白龍皇だろうが。才能含めてな」
「はははっ、かの赤龍帝からそこまで褒めてもらえるとは、つくづく光栄な限りだ。――さて、大人しくすれば、俺から攻撃する事は無いぞ。大人しく着いてくるなら、沙汰を待つだけで良い……どうする?コカビエル、伊吹、バルパー」
冷たく問いかける白龍皇に、狩刈とバルパーは大人しく引き下がる。
片方は、今の自分と相手の力とを比較して負けを認めたからで、もう片方は元々抵抗しても何の意味も無いからだろう。
だが、コカビエルは違った。
うわごとのように何かを呟きながらフラフラと動き、そして半狂乱になって槍を生み出す。
「黙れ、黙れ黙れ黙れ!俺は負けていない。俺が最強なんだ。二天龍がどうした、アザゼルがどうした!関係ない、俺はこの町を消滅させて、戦争を、再び起こすんだ。戦火を三大勢力から、その他の勢力へ広げて見せるんだ。――俺は…俺の野望は、まだ始まってすらいないんだぁあああああっ!!」
「やれやれ。忠告はしたんだけどな」
光の槍を回避し、白龍皇はコカビエルの懐へもぐりこんで……次の瞬間には、コカビエルは地面に叩きつけられていた。
腕を一本失っているとは言え、十枚の翼をもつコカビエルが、目で追えない速度で呆気なく。
『Divide……Divide……Divide…!!』
「これくらい力を奪っておけば十分だろう。――さて、帰るとするか」
『待て、ヴァーリ。少し赤いのと話がしたい』
宝玉が点滅し、赤龍帝やサタンのように声を出す。
あれが白龍皇。うーん。赤龍帝と言い、なんで渋いカッコいい声なんだろうか。
サタンだって結構イケボだし。
アレか。神器に封印されるくらい強い奴ってのはイケボなのが前提条件なのか。
『ほう、お前から声をかけてくるとは珍しいなぁ、白いの』
『そうでもない。二代前の時も私からだった』
『そうだっけなぁ。俺にとっては、かなり昔の事だ。今の相棒になって、もう
『……まったく。時を操る魔法を生み出し、ソレすら己を高めるために使うとは…ヴァーリもヴァーリで変わった男だが、そちらはもっと変わっているな』
『ははは。だが変わり者ってのは存外悪くないものだぞ。そうでも無けりゃ、お前と会って真っ先に
『……アレは、私にとって忌々しい出来事だ。あまり口にしないでもらおう』
『そうかいそうかい。悪かったな』
意外と仲良さそうに話すドラゴン二人に、俺は内心首を傾げた。
だって、この二人のドラゴンがとんでもない喧嘩を始めたせいで、三大勢力の戦争は中止になったって話だ。
てっきり、神器になっても険悪なままだと思ってた。
……ってか、何百年?輪廻の神器になってから何百年もって……いや、魔法で時間を操れるようにってのがあるんだろうけど、それはそれで規格外だなぁオイ。
『今代は、互いに最強の宿主……そうだな?』
『あぁ、そうだな……つまり、ここでの決着が、俺達の戦いの終着って事になる』
『この先の結果がどうあれ、今代の戦いを上回る戦い等、きっとできぬはずだからな。――今代の赤龍帝よ。立神輪廻と言ったか?久方ぶりだな』
「一回会っただけなのに、覚えてるとはな。あの時は名乗って無かったっけ?」
『あぁ。だが今はそれはどうでも良い。――かつての宿主と貴様に挑んだ時は、こちらが辛酸を舐める結果に終わった。しかし、今回は違う。才覚に恵まれたヴァーリに私が直々に指導を行ったが故、その力は以前とは比べ物にならない物となった。つまり、負けは無いという事だ』
「へぇ……『覇』も、使いこなせるのか?」
「生憎と、そちらはまだ整備中だな。――だがまぁ、先程君の力の一端を見て確信したよ。
自信満々にそう言い切ったヴァーリという男に、輪廻は黙ったままだった。
……マジかよ。あの輪廻に勝てるって…じゃあ、アイツも無限の龍神ってヤツに勝てるレベルって事なのか?
なんっつーか…突然俺の周りでとんでもないパワーインフレが始まったような気がする。
木場の禁手化が聖と魔の融合だったのも驚きだけど、赤龍帝とか白龍皇とか、スケールがデカくなり過ぎたような。
『では、また会う時を楽しみにしているぞ。赤いの。そして立神輪廻』
『あばよ白いの。それとヴァーリ』
魔法陣を展開し、消えていくヴァーリ。
後に残ったのは、ボロボロになった学園と、立ち尽くす俺達。
そして、鎧を解除して大きな伸びをしている輪廻だけだった。
※―――
「ねぇ、ゼノヴィア。本当に……その、ソレで良かったの?」
「あぁ。無論信仰心そのものは失っていないが…主のいないこの世界で、今私が望む事は、
「…私は、信仰を捨てる事は勿論、教会を離れるなんて事も出来ないわよ。ここが、私のいるべき場所だから。――聖書も十字架も、全部返したんでしょう?だったらもう、貴方は部外者って事になる」
「そうだね。……短い間だったけど、イリナ。君と一緒に戦えてよかった。もしまた会う事があれば、その時はよろしく」
「えぇ。――って、言いたいんだけど。言いたいんだけどお願いしたい事があってね?いやその。敬虔な信徒としていかがなものとは思うんだけど、定期的に『今日の輪廻君』って報告を」
「自分で電話でもメールでもすれば良いだろう」
「そ、そんなの恥ずかしくってできる訳ないでしょ!?電話かけても、あ、今日いい天気だったねーくらいしか会話できないわよ私!」
「……はぁ。なんだって私の元相棒はこんな…」
「何よ溜息なんかついちゃって!っていうか、輪廻君はその……赤龍帝様、だったじゃない。信徒的にも畏れ多くて話しかけにくいわよ」
「彼がそういうのを気にするタイプとは思えないけどね。――まぁ、考えておくよ。だができれば自分から連絡してみると良い。多分、彼はそちらの方が良いと思うはずだよ」
「うぅ~……とにかく。今まで、ありがとね?日本でも、そのー……頑張るのよ」
「そちらこそ。主の不在を知りつつ、ソレを知らぬ信徒たちと共に過ごすのは大変だろうが……負けるな」
※―――
「……やぁ、輪廻君」
「珍しいな、小猫じゃ無くて木場が来るなんて。ここは俺の特等席なんだけど……アレか?屋上は立ち入り禁止です、だなんてつまらん校則振りかざしに来たんじゃなかろうな」
「ははは、まさか。どちらかというと、僕も悪い子側…かな?」
にやりと笑って、木場は俺の隣に来る。
聖魔剣を手にして、今まで通りの爽やかイケメンに戻った訳だが、なんだか最近距離が近い気がする。
小猫程とは言わんが、確実に今までより近い。
その、そういう趣味の人を否定はしないんだが、俺はそういうのノーサンキューなタイプなんで。すまんね。
「……ずっと、言いそびれてたからさ。ありがとうって。イッセー君や君の力があって、僕はあの一件を乗り越える事が出来た」
「イッセーや小猫はともかく、俺は別に何もしてねぇよ。動いたにしても、小猫から何か言われない限りはそっとしておくつもりだったしな」
「けど、結果として君は動いてくれたし、君がしてくれた助言が僕の助けになっていたのも事実さ。ここは素直に礼を受け取ってくれないかい?」
大きく息をして、渋々と頷く。
…まったく。コイツは結構我が強いというか、中々曲げない所があるんだよな。
空を眺めながら、ふとあの後の事を思い出す。
念には念を、と力を無駄に倍増させて攻撃しようとした俺に、ヴァーリが介入してきて…で、その後特に何をするでも無く帰って行ったから、俺も禁手を解除して。
終わったぜー、と部長たちの方を見たら、まぁ何かもの言いたげな顔をしておらっしゃったわけだ。
その後、本当に大変だったなぁ。
質問攻めにして来る部長とアーシアに、目を輝かせて「貴方が赤龍帝様だったのね!」とテンションが急上昇したイリナに、お前もっと早く言えよと言ってきたイッセー。
全員を宥めるのに、かなり時間がかかった。
その間、唯一俺が赤龍帝だという事を前々から知っていた黒歌は助けてくれること無く面白がって外から眺めてくるだけだったのがまた大変だった。
少しくらい手伝ってくれても良かったと思うのよな、俺は。
「……しかし、まさか君が赤龍帝だなんてね」
「いつまでその話してるんだよ……確かに色々やって来たけど、人間やろうと思えばできる事だし。そんな大層な存在じゃねぇのよ俺は」
「時間を支配し、無限の龍神を倒したっていう君が?」
「それ、デマだからな。時間を支配っつっても片手間で操作できるのは一時間の範囲だし、無限を倒したってのも嘘だ。正確には引き分けだっての」
「……それでも十二分だと思うんだけどな…」
そうでもない。
この世界はパワーインフレの世界だ。どれだけ強くても先が無い。
一応俺が知る時点での作中最強の存在である全盛期オーフィスに喧嘩を売っては見たが、もしかしたらこの先もっと強い奴が現れる可能性だって無いわけではない。
今は最強かもしれない、なんてのじゃ足りないのだ。もっともっと強くならなければ、俺みたいなポッと出の赤龍帝モドキに居場所はない。
…俺とて一応性欲は強い自信があるが、イッセー程のおっぱい星人でも無ければ、眼鏡越しにスリーサイズを測る事も、一瞬の隙も逃さずにパンチラ盗撮できるような能力も無いのだ。
ことエロスに関しては、変態三人組の下位互換といえよう。
「あの白龍皇がどれくらい強いのかもまだまだ分からないし、油断はできないって事だな。――さ、そろそろ昼休みも終わりだ。戻ろうぜ」
「そうだね。――ねぇ、輪廻君」
「おん?」
木場に呼び止められ、ドアの前で立ち止まる。
少し声のトーンが低い。真面目の話だろうか。
「……君は、味方なのかい?」
「逆に、なんで敵だと思うんだよ」
聞き返した俺に、木場は険しい顔のまま黙り込む。
いや、真面目になんで?俺何か悪い事しました?
……やれやれ、答えない限り何も言われないパターンですか。
「……はぁ。別に敵対する気なんてねぇよ。ってかする理由がねぇ。お前らは仲間だったり友達だったり、とにかく守りこそすれ攻撃するなんてねぇっての。――これで満足か?」
「あぁ。――ごめんね、変な事聞いちゃって。それでも、ちょっと不安でさ。君ほどの力を持った存在の考える事は、やっぱりどうしても理解しきれないから」
「……俺ほど何も考えてない奴は居ないと思うけどな」
俺のそんな言葉に、木場は曖昧に笑うばかりだった。
――コイツ、絶対信じてねぇ。
【オリジナル神器(要素)紹介】
『
・輪廻が最強たる所以の一つ。イッセーが赤龍帝だった場合の『
『
禁手状態でロンギヌス・スマッシャーを連発できる等、やろうと思えばこの状態でも世界一つくらい簡単に滅ぼせる破格の性能を誇るが、原作のパワーインフレをある種神格化すらしてしまっている輪廻にとっては全然物足りなく感じるらしく、強敵との戦闘ではこの姿を利用することなくその先の力を使う事が多い。
はっきり言って不遇。仮面ライダーでいう中間強化形態並みに不遇。
因みにこの力に完全に目覚められた原因が『黒歌に抱き着かれた際に感じた体温や匂い、柔らかさによって精神に劇的な変化が発生したため』と、リアスのおっぱいをつついて『赤龍帝の三叉成駒』に目覚めたイッセーとどっこいどっこいなのは輪廻とドライグしか知らない。
もしこの話をするとドライグは凄く複雑そうなし、それとなく違う話題に移ろうとするだろう。
『
・四神の一角を担う玄武の力の内、防御に特化した神器……を譲り受け、自分流に改造した物。
空気中の水分を一瞬で凝固させて盾を作るため、強化無しならば狩刈の一撃でも一応突破できていた。
本来は一つしかシールドを生み出せないが、『龍帝武装』状態ならば複数個生み出す事も可能。
しかし一つを強化しても他は強化されない為、輪廻でなければ使いこなせない使用になっている。
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