ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う 作:うぉっ、でっか…
諸事情で忙しくあるので、かなり遅れますが、投稿自体を止めるつもりはございませんので、温かい目で見守っててください。
「ってな訳で、今日からこのオカルト研究部の顧問になった、堕天使の総督、アザゼルだ。先生でも総督でも、好きな方で呼べ」
黒歌との交際を開始した翌日。満ち足りた気持ちで一日を過ごし、昨日全員の前で見せてしまった痴態の事など忘れてオカルト研究部の部室にやって来た俺を出迎えたのは、着崩したスーツ姿のアザゼルだった。
……あぁ、ここの顧問やることになるんだっけ。イッセー達の監督も兼ねて。
隣で大きく口を開けて驚いているイッセーに部室へ入るように促しつつ、俺は一応アザゼルに問いかける。
「どうしてここに?」
「サーゼクスからの御指名でな。前に結んだ『駒王協定』の強さを示すために、こうして悪魔の学園の教師として堕天使を呼んだわけさ。後はまぁ、サタンのガキやバロールの目を持つ吸血鬼の面倒を見るためだな」
「お、俺達の面倒をって………アンタに何が」
「おいおい、俺は神器マニアと呼ばれた堕天使総督サマだぜ?強くなる方法なんざ、いくらでも提示できる」
洋画の登場人物みたいに大仰な身振り手振りをするアザゼル。
その表情若干ウザい。イラっとくるような、人を小馬鹿にした顔だ。
しかしまぁ、原作通りではあるが、果たしてイッセーの面倒を見れるだろうか。
アイツはサタンの力を宿す神器、『悪魔の連撃』を持つ。アレは本来存在しないような神器だ。いくらマニアのアザゼルだろうと、流石に何も知らないのでは。
「お、俺も強くなれるのか?」
「あぁ。俺の指示通りにすればな。―――だが初めに言っておくが、そこの規格外だけは目標にするな。折れて終わる」
「ッ!お、俺達じゃ輪廻みたいにはなれねぇってのかよ!!」
突然声を荒げるイッセー。何か強迫観念めいた物を感じているように見えるが、どうしたんだろうか。
思えば、なんだか俺がヴァーリをボコボコにした日以来ずっと何かを悩んでいるように見えた。
……うぅむ。パッと思いつく事が無い。まぁ、いつかわかるか。
そんなイッセーに、アザゼルは溜息一つついた後、聞き分けの無い子供に教えるように告げた。
「絶対になれない訳じゃない。そもそも輪廻自体、元はただの人間。はっきり言っちまえば、お前らよりも素体的には格下もいいとこだ。それは本人も言ってた」
「先輩が、僕たちよりも格下…?」
「確かに輪廻君は人間かもしれませんが、彼は倍加無しの状態でもコカビエルの攻撃をいなせたんですよ?そんな彼が、僕たちよりも下だなんて……」
「いや、下だよ。圧倒的にな。足りない分を
量と質?と全員が首を傾げる。
それに対しアザゼルが頷いた後、呆れたように補足した。
「知っての通りコイツは時間操作ができる。ソレを使えば、たった一回の腕立て伏せが何百億回分にも相当するし、時間遡行をすれば過去の強者と戦って、その技術を体験する事だってできるわけだ」
「だからまぁ、悪魔の長い寿命の全部をトレーニングや実践訓練に費やせば、俺レベルなんて簡単に越せるようになる。だけどトレーニングは最初の内は色々創意工夫とかがあるし、肉体の変化も大きいが、途中から肉体の変化が全くわかんないレベルになるし、トレーニングも単調な一つ二つの工程に落ち着く。飽きやすくなるんだよ。俺の場合は時間が戻せるって強みがあったし、強くならなきゃいけない理由があったからできたけど……普通は無理だよ」
説明を聞いて、皆が渇いた笑みを見せる。話を聞くだけでも、大分荒唐無稽に感じる事だろう。
だが実際俺はソレをやった。やってやった。だから強くなれた。
それでもまだまだ足りない気がしてならないが、一応今の時点では事足りる。
ディオドラの一件の時には、俺も鍛え直そうかなと思ってるけど。
「まぁ、あんま悲観的になんなよ。こんな規格外のバカが近くに居ちゃアレかもしれないが、お前らだって十分この世代じゃ強い方だ。伸びしろだってある。下手すりゃ魔王クラスだって夢じゃねぇ」
「……強くならなきゃ、いけないのね」
「あぁ。お前の場合は若手悪魔同士の戦いだってあるんだろう?単なる我儘お嬢様で終わりたくねぇってんなら、そりゃ強くならなくっちゃだなぁ。――後、『禍なる夢幻団』との戦いに身を投じるかもしれねぇんだ。いつでもそこの最強が守ってくれるワケじゃねぇし、自分の身くらい自分で守れた方が良いだろ?」
「あの、アザゼル……先生」
「ん、どうした聖魔剣使い」
眉を顰めて、言いにくそうにしながらもアザゼルを先生と呼んだ木場。
右手が挙げられているのも相まって、まるで授業中に質問しているかのようだ。
「僕は木場祐斗です。―――えぇと。『禍なる夢幻団』は、テロ集団の『禍の団』と赤龍神帝崇拝組織『夢幻人』が手を組んで生まれたんですよね」
「あぁ、そうだな。元々俺達が話の終わってるはずの会合をやったのは、『禍の団』或いは『夢幻人』…もしくは両方をおびき寄せるためだった。その時はまだ、連中が手を組んでるなんて思いもしなかったがな。それがどうかしたのか?」
「今の僕たちは、『禍なる夢幻団』相手に戦えますか?」
「…なるほど?戦ってたのは俺とセラフォルーと輪廻だけだったから、相手の強さがどれほどかわからねぇってか。―――なぁ木場祐斗。お前は禁手をどれくらい維持できる?」
「?大体、一時間ぐらい…ですけど」
「サタンの方は?」
「……俺は、まだ。禁手できそうもねぇ」
俯きながら答えたイッセーに、アザゼルは目を丸くする。
「へぇ。そりゃ本当か?お前ほどサタンと相性の良い男は居ないと思うが」
「相性がいい悪いって話じゃねぇだろ。俺に力が無いから……」
「いや、そういう話さ。確かに力がありゃどんな神器でも従えられる。けどな。神器と相性が良けりゃ、力が無かろうが禁手に至る資格を得る事が可能なんだ。その上お前は、現状このメンツの中で一番体ができてる。俺の見立てだと、禁手化してない方がおかしいと思うが……サタンから、何かご意見はねぇのか?」
『正解だぜ、アザゼル。コイツは俺の力を操るべくして生まれたような男だ。禁手出来てないのは、まぁ気の持ちようが半分と、目覚めるに足る出来事が無いってのが半分だな。後半はともかく、前半の方はいずれ何とかしなきゃいけねぇ問題だ。ま、天下無敵の赤龍帝サマが味方なんだ。気長で良いだろうさ』
なんか言葉に棘があるが、それは多分過去に俺がコイツの事を一方的にボコボコにしたからだろう。
『覇龍変生』が使えるようになって調子乗ってたというか、舞い上がっていたというか……とにかく、一時のテンションに身を委ねてやり過ぎたと思っている。申し訳ないとは思っているんだが、多分コレを伝えたらもっとキレそうだし黙っておく。
っつーか、イッセーの気の持ちようがって……やっぱり何か悩みでもあるのかね。
何かあるってんなら相談にでも乗ってやりたいが、果たして俺に良い解答が出せる物か。
先日の小猫の時も、それどころかもっと前から、俺の説教的なお話はなんかちょっとズレているような気がしてならない。
……一先ずは様子見だな。うん。
「俺が、禁手に至れる……?」
『あぁ、そうさイッセー。お前はいくらでも強くなれる。なんてったってこのサタンの宿主なんだからなぁ。――まだまだ元気出すにゃあ足りないだろうが、そういつまでも落ち込む必要は無いって事だけ頭に入れとけ。そこの女モドキ吸血鬼もな。お前の場合は、俺の見立てだと……まぁ、今年中には禁手に至るだろう』
「ぼ、僕もですか?」
『そうさそうさ。神器持ちじゃねぇお前らだって、他の追随を許さぬ強さは手に入れられると俺が保証しようじゃねぇか。――ただ
「おい、その話は…」
「いいのよ、輪廻君」
さらっと朱乃さんの秘密を暴露した挙句、地雷原でタップダンスするような発言をしやがったサタンに、少し黙らせるべきかと声をかける。
しかし、朱乃さんはあまり気にした様子も無く、穏やかな表情で変わらず微笑み続けていた。
ソレに対して驚くのはアザゼルだ。
……なんで知ってんだ、って思ったけど当たり前か。部下の娘だもんな。
「そういや、俺がここにいる事に対してもあまり反応してなかったが……一体どんな心境の変化だ?」
「別に、何も変わってはいませんわ。私はあの男……バラキエルを今でも憎んでいる。それでも、今の私には私を想ってくれる仲間が、大切な人がいると、そう気づいた――気づかせていただいただけです」
「……そうか。ま、それならいいんだが―――っと。話を戻そうか。神器持ちの奴らにとって、これから禁手の長期間使用は必須条件…いや、もはや前提条件になるな。戦闘の途中で力尽きましたじゃ話にならん」
「禁手の、長期間使用…?あの状態を長く維持できるようになれって事か」
過去に一度禁手化した事のあるイッセーが、左手を見つつ呟く。
あの時は凄かったな。上級悪魔の中でもかなりの強さを誇るライザーが、あんな呆気なく。
一応最上級悪魔クラスの肉体を持ってると太鼓判を押された俺でも、神器無しで相手するのは恐ろしいと思ったくらいだ。
ソレを長い事維持できるようになれば、きっとかなりのアドバンテージとなるだろう。
「で、でも。祐斗先輩は一時間も使えるらしいですし、問題無いんじゃ…」
「それはあくまで最大値の話だろうが。連戦になったり、体調が優れなかったり……相手はお前らの都合を考えてくれるわけじゃない。寧ろ弱みは積極的に狙ってくる。ヴァーリなんかは、一か月は禁手を維持できたしな。戦闘込みだと多少は下がるが」
「い、一か月!?」
「アイツだけじゃねぇ。優れた神器使いってのは、禁手を日や月単位で維持できるもんさ。――因みに赤龍帝。お前はどれくらい維持できる?」
「禁手どころか『覇龍変生』だって、俺の寿命が尽きるまで維持し続けられますよ」
過去にオーフィスと戦った時、『覇龍変生』を数
今の俺の寿命は大体二千万年のはずだから、間違った事は言っていない。
まぁ、寿命なんていくらでも増やせるんだけども。
……それと、俺は数百年程度しか生きていないはずなのに、数億年維持したというのはおかしいと思うだろうが、「数百年生きた」というのはあくまで人間的な生活をしていた年数の話であって、戦闘にかけた時間はノーカウントという事である。
オーフィス以外にも、年単位で戦うような相手沢山いたし。
「……あー。まぁ、コイツはアレだ。参考にするな」
アザゼルの言葉に、全員が頷いた。
おいおい失礼だな。俺の教える能力はかなり高いと自負しているんだが?
「ひとまずは、禁手を最低でも2ヶ月維持できるようになれ。つーかできなきゃ死ぬぞ。ヴァーリの野郎も、俺の部下から奪った神器で底上げされちまってるはずだしな」
『まぁ、あのやられようでは、心が折れて再起不能になっているやも知れんがな』
「かもな。挑発するにしても、もう少しやり方があったとは思うな。あの破壊力だ。なまじある程度軽減して致命傷程度に留められたのが裏目に出たな。あれ、不死鳥でも生身で喰らえば死に尽くすような一撃だったろ」
「まぁ、俺自身あいつを簡単に死なせたくなったんで大分手を抜きましたけどね。それでもあの出力なら、地表を焼き払うくらいは容易にできましたよ」
俺は黒歌と交際することになった。アイツの一番は、名実ともに俺だ。
だが、過去にアイツが黒歌から誘われたことに変わりはない。アイツが、俺の知らない黒歌の一面を見たことも事実だ。
それを許せるかといえば、勿論そんなことは無い。許せるはずが無い。必ず殺す。俺が、この手で。
「あー、大体何を考えてるのかはわかるが、一旦落ち着けバカ。テメェの殺気で窓が割れちまったじゃねぇか」
「……あ、すんません」
「そして平然と時間を戻すな!―――ったく。常識外の存在との会話程疲れるモンはねぇな。まぁ、これからはお前も振り回される側になってもらうから覚悟しておけよ」
「え、振り回される側?」
無意識のうちに発していた殺気に怯えてか黙っていた皆も、首を傾げる。
大方、俺が振り回されるような事なんて無いと思っているんだろう。実際俺もそうだ。俺が誰かに振り回される事は無いはず。
まさか、黒歌に尻に敷かれるとかそういう話だろうか。それなら別に苦じゃないが。
「絶対なんか勘違いしてるだろうから教えてやる。お前には、夏休みの間コイツ等の修行の面倒を見てもらうんだよ」
「………夏休みの間、修行?」
俺よりも先に、イッセーが尋ねた。
なんだ、コイツも知らなかったのか。てっきり俺以外は既に合宿か何かをする前提で動いてるのかと思ってしまった。
「えぇ、そうよ。さっきアザゼルが言っていた通り、私達には力が必要。そのために、ライザーとの戦いの前のように、強化合宿を行うつもりなの。期間は勿論、夏休み全部よ」
「……イッセー先輩は、知らなかったんですか?」
「え、ちょっと待って。知らなかったの、俺だけ?」
部長と小猫の言葉に目を丸くして、イッセーは自分自身を指さした。
それに対し、部長が申し訳なさそうにしつつ笑って答える。
「ごめんなさい。貴方に真っ先に話すつもりだったのだけれど……すっかり忘れてたわ」
「いやぁ、僕たちもてっきり、部長から聞いている物かと」
「そ、そうか……まぁ、別に予定があった訳でもないし、いいけど――って!ライザーの時と同じようなって、つまり部長の別荘に行くって事ですよね!お風呂場付きの!」
「いいえ?今回は、私の
「ぶ、ぶぶ、部長の、実家ぁあああああああああッ!!?」
何を想像したのか、イッセーは一瞬でゆでだこのように顔が真っ赤になり、鼻血を出しつつ幸せそうな顔で倒れた。
大の字になって寝転ぶイッセーは、ブツブツと「貸し切りのお風呂ってつまり…」とか「ご両親に本格的なご挨拶…」とか言っている。
それを無視して、小猫が俺の方を一瞥し、その後部長に質問する。
「冥界に行くとなると、先輩は来れないのでは……?」
「確かに、冥界は本来、人間は入れないわ。でもそれはただの人間の話。輪廻は今代の赤龍帝だし、その力は三大勢力どころか外部勢力にすら届いていて、しかも畏怖されている程……なんら問題ないわ」
なんでか自信ありげに答える部長。でもその内容はちょっと不服だ。
別に俺は、何か畏怖されるような真似をした覚えはない。強いて言うなら、心を折るために戦ったヴァーリくらいだ。もし狙い通りに行っていれば、アイツは俺を想起させるものを見たり聞いたりするだけで発狂するくらいになっているはず。
何せ、自分で言うのもなんだが、不死鳥すら再生を拒み、死んで逃げ出したくなるほどの攻撃だ。再生能力なんて無いアイツが、まともな精神で居られるわけがない。もし回復できたとしても、アイツの中身は別人になることだろう。
「ってか、ついていくって……俺、夏休みは黒歌との予定で埋め尽くしてたんだけど」
「ならアイツも連れてくりゃいいだろ。別にずっと付きっ切りで居ろとは言わねぇし、何よりお前がずっと近くに居ると心折れちまうだろ、コイツら」
「お前さっきから俺に対して失礼すぎないか……?」
「良いんだよ。俺は常識外れた馬鹿野郎には冷たいんだ、俺の胃を痛める存在なんだからな」
「ストレスとは無縁そうな顔しておいてよくもまぁ」
「んだとテメェ!俺のアルティメットウェポンと化した左腕の力見せてやろうか!?」
「見せれるならな。停まった時の中でも動くっていうなら、是非見せてもらおうか」
「――ちっ、今日はここまでにしておいてやる」
「小者か」
さりげなく機械になった自分の左腕を見せびらかそうとしてきたアザゼルを、冷たく一蹴。
時間操作がいかに恐ろしい力なのかわかる。俺は結構どうでもいい事にばかり使っているが、持つ者によっては神になったかのような気持ちにすらなるだろう。
となると、やっぱりそういう力を『恐ろしい物』として溺れずにいられるギャスパーってすごいな。同じ立場なら、俺はきっと有頂天になって好き放題していたはずだ。
「因みに何を教えればいいんだ?」
「お前は主に神器持ちの面倒を見ろ。一応全員に簡単な体術とか、魔法の使い方とかも教えてやれ。コンディション確認とか、データ系の仕事は全部俺がやる」
「……さりげなく俺の負担多くね?まぁ、良いけど」
「できない事が殆ど無い自分を恨むんだな」
皮肉っぽく笑うアザゼル。なんだか無性に腹が立つ。
一度くらい、覇龍変生でぶん殴っても許されるんじゃなかろうか。ちょっと思った。
「しかし、輪廻君の指導、か……懐かしいような、新鮮なような。あの時とは少し違うからね。赤龍帝だという事を隠さない指導が、楽しみなような恐ろしいような」
「せ、先輩に、夏休み付きっ切りで指導してもらえるだなんて…!!か、感激ですぅ!」
「お前はいつも特訓に付き合ってるだろ……いや、喜んでもらえるなら良いんだろうけど」
「私のデュランダルも、広い目で見れば神器だと思うんだ。どうだろうか」
「私も、広い目で見れば同じ仙術使いですので。やはり付きっ切りの指導が必須かと」
「あらあら。なら、私は魔力が使えなくなった時の為に、体術を重点的に教えて欲しいですわ。手取り足取り」
「おいおい、遊びじゃねーんだぞー?」
盛り上がる皆を、アザゼルが鼻で笑いながら窘める。
しかし、彼等の熱は冷めないようだった。楽しみにしてもらえるのは嬉しいが、ハードルが上がっている気がしてちょっと困る。
頬を掻きながら「まいったな」と小さく口の中で呟いた俺に、イッセーが近づいてくる。
いつになく真剣な顔に、少し姿勢を正した。
「……なぁ、輪廻」
「おう、どうした?」
「お前に教えて貰ったら、禁手もできるのか?強く、なれるのか?」
「―――それは」
返答に迷う。
俺は確かに神器に詳しい。所有する神器の数は人並以上。そしてソレ等を十全に……とまでは言えない物の、それなりには扱うための知識はしっかりと持っている。
だからこそ、アザゼルやサタンがイッセーに言った、「禁手は可能」という言葉が真実である事は分かる。
だが、コイツが最後の一歩を踏み出すために必要なのは、多分俺の力じゃない。もっと違う何かだ。
この場合、どう答えるべきか―――。
数秒悩んでから、俺は答えた。
「それは、違う」
「ッ、それは―――」
「お前の望む事と、俺が教える事、それはきっと、違う。望む通りの結果には、ならないはずだ。お前に必要な最後の一押しは、俺の指導なんかじゃない。もっとお前らしい、お前だけの何かだ」
「……俺、だけの?そんなの……」
わかるわけねぇだろ、と。そう呟いたイッセーは、俯いたまま部室を出ていた。
ただならぬ様子に、部長が後を追おうとするが、アザゼルがそれを止める。今はそっとしておいた方がいい、と視線で語り掛けた。
―――なんつーか、前途多難、だな。
天井を見上げつつ、俺は溜息を一つ吐くのだった。
朱乃さんが悪魔と堕天使の混ざった存在、という話についてですが、誰も触れなかったのは「元々勘づいていた(木場、小猫)」「知っていた(リアス、アザゼル、輪廻)」「サタンに褒められた事で自分の世界に入っていた(ギャスパー)」「それどころでは無かった(イッセー)」「驚きはしたものの、深く聞ける雰囲気ではないと自重(アーシア)」「悪魔も堕天使も同じだ(ゼノヴィア)」という理由があったからです。
赤龍帝、輪廻に、劣等感を感じつつあるイッセー……果たして、どうなってしまうのか。
次章『冥界合宿のネバーダイ』、お楽しみに!!