ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

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お久しぶりです。特にこっちでは本ッ当にお久しぶりです。


若手悪魔と夢の話、です!

あの後、部長たちと合流した俺は、主に部長を見送る従者たちの黄色い声援を受けて地下鉄へ乗り込み、会合が行われるという場所へと向かった。相変わらず車両は貸し切りである。貴族ってすげー。

 

道中に色々と注意やら説明やらを受けたのだが、どうやら今回は我らがリアス部長を含めて五人の悪魔がメインとなるらしい。グレモリーは勿論のことだが、他の参加者の家もやんごとなき方たちの家なので、くれぐれも粗相の無いように、とのことだ。

まぁ、俺は大丈夫さ。何があっても平常心を保つ。コレが社会を生きる上で最低限必要な技能だと、ちゃんと学んだからな。

 

問題は、ギャスパーだと思う。アイツ、人が(厳密には悪魔だが)がたくさんいるだけでガタガタ震えて情けない声を出して輪廻の背後に隠れるからなぁ。その様子を見て、舐められたりしないと良いけど。いや、逆に相手を油断させるためにバカのふりをみんなでしてみたり―――?いやいや、この会合はあくまで器を測る物。後々の戦闘の事だけを考えて振舞うのは、それこそバカのする事だ。戦闘以外にも加味すべき事は沢山ある。

 

それなりに長い間電車に揺られ、駅から歩いてようやく到着。巨大なエレベーターの前で待機させられた後、乗り込んでとうとう目的地。

 

ついて早々、部長は通路の奥の壁に寄りかかっている何者かに気づき、声をかけた。

 

「サイラオーグ!久しぶりね!」

「む。おぉ、リアス。久しいな」

 

シルエットしかわからなかった男が、近づくにつれてその全貌がわかる。見るだけで分かる、鍛え抜かれた肉体。魔法を主に扱う悪魔にしては、珍しい体だ。

そしてその顔。美男子だが、どこかサーゼクス様に似た物を感じるのはなぜだろう。黒髪に紫の瞳と、一見似ている要素は無いはずなのに。

 

「噂は色々と聞いているぞ。最近、かなり目覚ましい活躍をしているそうじゃないか」

「えぇ。とは言っても、運が良かっただけよ。私はただそこに偶然居合わせただけに過ぎないわ」

「そう謙遜するな。運を引き寄せる力を持っているだけでも、俺には輝いてみえる。―――して、隣の男がかの兵藤一誠か。原初魔王、サタンの力を持つという」

「あっ、は、はい!俺が兵藤一誠です。どうも!」

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ。リアスの従兄にあたる」

 

す、すげー!次期当主様か!しかも部長の従兄!じゃあ、俺にとっての―――俺の、なんだ?やべぇ、親戚の呼び方とか覚えてねぇ!その上俺、婿入り側だし!なんか違うのかな?

 

差し出された手を握る。ただ握手に応じただけでも、その手が幾度となく握りしめられ、振るわれた拳だという事が分かった。

一瞬脳内に流れた、恐らく彼が重ねてきただろう修行の光景のイメージに、俺は冷や汗を流した。ただ俺が勝手に感じたイメージだというのに、つい生唾を飲み込んでしまう。

 

「………そして、貴方が今代の」

「赤龍帝、立神輪廻だ。サイラオーグと呼ばせてもらっても?」

「えぇ、構いません」

「そりゃありがたい。なら、そのついでに俺への敬語は止めてくれ。むず痒くなる」

「そうか。なら、ありがたく」

 

一歩前に出た輪廻とも握手をし、サイラオーグさんは何度か頷く。

何というか、そこに居るだけで凄まじいエネルギーを感じる。一挙手一投足に物理的な重みを感じる程だ。

 

「ところで、どうして通路に居たの?もう会場はとっくに開いているはずだけど」

「中のくだらん騒ぎに巻き込まれるのも面倒でな。全員が揃うまでここで待つ事にしていた」

「くだらん騒ぎって……もしかして、他にも来ているの?」

「アガレスもアスタロトも既にいる。挙句の果てにはゼファードルだ。ヤツがアガレスと揉め始めてな。―――まったく。俺は会合前に顔を合わせるような場所を設けるべきではないと進言したのだが」

 

アガレスにアスタロト。どちらも勉強中に聞いた名前だ。グレモリーやフェニックス、そしてバアルと同じ七十二の悪魔の名家。なるほど、今回の参加者はその家から出ていたのか。しかしゼファードルはわからん。聞いたこと無いけど、もしかして個人名?

 

部長はサイラオーグさんの話を聞いて、全てを察したような顔をした。どうもそのゼファードルという人、性格に難があるらしい。嫌なことを思い出したような顔を隠そうともせず、私も待とうかしら、と呟いた。

 

すると次の瞬間、扉の向こうから何かが破壊されるような爆音が聞こえてきた。な、なんだ!?一体何が起こったんだ!?

 

「……はぁ、仕方ない」

 

ひどく面倒臭そうに呟くと、サイラオーグさんは扉を開けた。中には、まさに貴族が居るべき場所、というような綺麗な空間が広がっていた。

いや、違う。綺麗()()()空間だ。

 

大広間(と言うべきだろう)は、先ほどの破壊音から予想できるように酷く荒らされていて、その破壊の中心には眼鏡をかけたクール系美女を筆頭とした一団と、顔に刺青の入ったヤンキー風の男を筆頭とした一団が睨み合っているのが見えた。

 

まさに一触即発。放つ殺気と魔力のオーラに、サイラオーグさんに気圧された時同様、俺は後退ってしまった。

 

「こんなところで戦いを始める必要性はないのではなくて?そんな事すらわからないくらいなら、貴方ここで死ねば?」

「アガレスのヒスアマが調子乗った事言ってんじゃねぇぜ!俺ぁただ、テメェの処女穴開通させてやるって言っただけだっつーのによぉ!これだから魔王眷属の女ってのは嫌いなんだ。お堅いだけで純情気取りやがって!」

 

恐らくリーダーであろう二人は、片や冷静に、片や下品に罵り合っていた。それに追随する様に、部下らしき人達が睨み合う。魔力のうねりを全身で感じるほどに、この場の緊張感は高まっていた。

 

「ここは会合が始まる前に、挨拶等を行う会場だったんだがな。血の気の多い奴らを集めた結果がコレだ。お偉方はこういう小競り合いも醍醐味と静観するのみで、収拾がつかん」

「そ、そうなんですか……」

「女の方がアガレス、男の方がグラシャラボラスの次期当主だ。と言っても、アレを見て素直に納得できるとは思わんが」

 

主に俺のために解説してくれたサイラオーグさんの言葉に、俺は笑うべきか否か悩んで、曖昧な表情を作る。なんていうか、仮にも主の同期なんだから、現状下僕でしかない俺が笑うのは問題になりそうだからだ。

 

「で、止めに入るのか?」

「あぁ、そのつもりだが………せっかくだ。立神殿。是非その力を見せて欲しい」

「……構わねぇけど、俺で良いのかよ。呼ばれたとは言え、部外者だぜ?それと輪廻で良い」

「む、そうか。なら輪廻と。―――いや何。輪廻はレーティングゲームには参加できない。となれば、その力を直接見る機会はそうそう無いわけだ。ならこの機会に是非、とな。部外者云々は気にしなくて良い。説明は俺がしよう」

「あぁ、そう。別にアンタが頼んでくるなら、アンタと手合わせするくらい構わないけどな」

「直接戦うよりも、見ている方がよほど集中できるだろうと思ってな」

「はははっ、なるほど。そりゃ良い」

 

愉快そうに笑って、輪廻は特に気負う事無く殺気と魔力の渦巻く場所へと歩み寄っていく。まるで緊張感が無いが、もはやその事に対して違和感や驚きを感じる事はない。

 

だって俺達は全員、アイツの力をこれでもかと見せつけられてきたのだから。

 

「盛り上がってる所悪いけど、そろそろ止めにしないか?」

「アァ?なんだテメェは」

「一体誰の眷属―――いえ、悪魔じゃない?」

「そりゃ、ただの人間だからな」

「ただの人間がここにいるわけねぇだろうが!何者だテメェ」

「……何者って言われると特に何も成してないけど。まぁ、名前は立神輪廻って言うんだ。よろしく」

 

まるでいつもと変わらない適当な調子で話す輪廻だが、名前を口にした瞬間アガレスの女も眷属たちも顔を引きつらせて殺気を警戒心へと変え、一目で「引き下がった」とわかるような態度をとった。

 

「何も成していないとは、ご謙遜を。かの最強の赤龍帝が、何者でもない訳がないでしょう」

「自分で言うような称号じゃないだろ。それに、それは俺じゃ無くてドライグの力があったからだ。コイツが居なきゃ、俺はただの一般人どまりだよ」

 

それはないと思う。仮に赤龍帝の力が無かったとして、コイツが強くなる事を諦めるような真似はしないだろうし、どんな方法を使ってでも今の状態と同じようになっていると思う。

第一、コイツが弱い姿なんて想像できねぇ。

 

ソレは部長たちも同じだったそうで、凄く胡散臭い物を見るような目をしていた。

 

「はんっ、噂はよく聞くが、いざ実際に会ってみれば本当にただの人間じゃねぇか」

「あぁ、まぁ。ただの人間だな。どこにでもいるよ」

 

だからいねぇって。

 

煽る様に口を開きながら、ゼファードルとやらが輪廻に詰め寄る。なんでそんな煽れるんだと驚愕したが、そう言えば輪廻が最強って事を信じているのは悪魔だと少数派で、その上今は殺気も何も出していないからただの人間にしか見えないんだった。そりゃ、勘違いしてもおかしくない、けど……。

 

「あーあームカつくぜ。聞いたよ、あのSS級はぐれ悪魔の『黒歌』。テメェが保護したから、罪が帳消しになったって?ふざけた話だなぁ、オイ」

 

ぴくっ、と、輪廻の眉が動く。一瞬ゼファードルという男の死を連想して合掌しそうになったが、しかし輪廻は思いのほか冷静に、殺気も威圧も放つ事無くそのまま口を開いた。

 

「―――驚いたな。アイツ一人の特別扱いが許せない、だなんて殊勝な言葉が出てくるような男には見えなかったが」

 

あぁ、そういう事か。ただの煽りじゃ無くて、特別待遇をするのは間違ってるって事に怒ってたワケね。見た目とか、さっきのアガレスの女の人に吐いてた暴言とかで勝手に勘違いしてただけで、実際は善良な心を持つ人だったのか。

 

「あ?な訳ねぇだろ。別に他のはぐれ悪魔の罪がどうのだなんてさらさら気にしちゃいねぇ」

 

訂正。全くそんな事は無かった。

ゼファードルの言葉に、呆れたように溜息を吐くサイラオーグさん。その気持ちが良くわかり、俺はつい頷いてしまった。

 

そう。俺はすっかり忘れていたのだ。こんな事をしている余裕はないという事を。この流れで次にゼファードルが言うだろう事は比較的簡単に予想できて、そしてそれを止めなければどうなるかという事も、わかっていたというのに。

 

俺は、それを遮るような事もせず、静観してしまったのだ。

 

「黒歌捕まえんのは俺のはずだったんだよ、本当は」

「そりゃまたどうして?」

「あんなエロい女、とっ捕まえてブチ犯す以外する事ねぇだろうがよ!主殺しの罪人なら、どう遊ぼうがぺぎょ」

 

言葉の途中で、輪廻の拳が振るわれた。神器を装着することも無い、ただ『気』を纏っただけの拳だったが、その威圧感だけで空間が軋んでいるのを感じる。

結果は勿論、ゼファードルの言葉が遮られた事で分かるだろう。どう優しい表現を選んでも()()()としか言いようのないえげつないやられ方で、アイツは辺りに血をまき散らしながら吹っ飛んでいった。

 

「まぁ、そう考えても無理はないし今回はコレで許してやるよ。だが次アイツに色目使ってみろ、存在の痕跡さえ残らないくらいに塵殺してやる」

 

誰も何も言えずに立ち尽くす中、輪廻は堂々と俺達の下へ戻って来る。

 

「悪ぃな。赤龍帝の力を見せるって話だったが、普通に殴っちまった」

「あ、あぁ、いや。見事な闘気だった」

 

サイラオーグさんの言葉を最後に、会場には沈黙が訪れる。

誰も何も言えず、動けないこの状況は、生徒会長率いるシトリー眷属たちが来るまでの間続くのだった。

 

※―――

 

生徒会長の登場によりなんとなく雰囲気が回復し、軽い自己紹介をお互いしてから幾ばくか。

ついに行事が開始し、俺達はなんだか厳かな場所へと移動することになった。

 

到着した場所は、なんというか……圧迫面接?そんな言葉が飛び出そうになるような場所。

なんせ、お偉いさんと思しき悪魔さま方が何人も高い場所(物理的に)に座っているんだ。つい生唾を呑んじまう。

 

あ、サーゼクス様だ。輪廻と一緒にいない時は、なんだか底知れない雰囲気でカッコいいな。

あ、輪廻と目が合った。雰囲気が一気に残念になった。わかりやすっ。

 

他にも知っている人はセラフォルー様に、アジュカ様、ファルビウム様……あの時会合の場にいた、魔王様達だ。

彼らだけは俺達を見下すような目をしていない……とどのつまり、魔王様方以外は全員俺達をどこか見下すような目で見ているという事で。

 

しかし若手悪魔六人は我らが主リアス部長も含め、全員が綺麗な姿勢で威風堂々と立っていた。

俺達は後方の少し離れた所からそれを見ている。まぁ、従者だしね。

因みに部外者の輪廻も俺達と同じ場所にいる。ちょうど俺の隣だ。

 

「皆、良く集まってくれた。知っての通り、この会合は若き悪魔たちを見定めるモノであるが……ふむ、顔つきは皆、次世代を担うに足るといえよう」

「先の一件が無ければ、手放しに称賛できたのですがなぁ」

 

厳かな声で話す男性と、皮肉たっぷりに呟く老人。

どっちも苦手なタイプだ。俺、というか従者は基本的に置物扱いなのに、それでも胃から何かがせりあがってきそうな緊張感を覚えてしまう。

 

「それと赤龍帝、立神輪廻」

「由緒正しきこの会合に貴殿が参加できたのは、偏に魔王様のご意向故」

「史上最強、世界最強などと持て囃されているようだが……この場では本来招かれざる客であるという事を忘れないで貰おう」

 

偉そうな悪魔たちの矛先が輪廻に向かうが、アイツは黙って頭を下げるだけに終始した。

その様子を見て悪魔たちは鼻で笑ったり意に介さなかったりと様々な反応を見せて、咳払い一つの後に若手悪魔六人へ視線を向けた。

 

「さて。実力、家柄共に次世代を担うに相応しい貴殿らだが、そんな貴殿らにこそデビュー前に互いに競い合ってもらいたい。より一層力を高めるには、それが最も効果的であろう」

 

競い合うってーと、レーティングゲームか!ここに居る若手悪魔六人が、俺の横にずらりと並ぶ(輪廻を除く)眷属たちが、全力でぶつかる……!!

今から武者震いが止まらねぇ。

サイラオーグさんは勿論の事、シーグヴァイラさん(アガレス家当主)にディオドラさん(アスタロト家当主)、そして生徒会長……誰も強敵揃いだろう。その眷属も含めて、だ。

さっき輪廻に呆気なく殴り飛ばされてたゼファードルだって、俺からすれば全然強いだろう。

 

―――けど、俺達グレモリー眷属だって負けてねぇ。なんならこの会合が終わった後すぐに待ってる特訓で、さらに強くなるんだからな!

 

「さらに強くという事はつまり、我々もいずれは『禍なる夢幻団』との戦に投入されるという事ですね?」

 

サイラオーグさんがド直球に尋ねる。

それに答えるのは、優しい笑みを絶やさないサーゼクス様だった。

 

「それはまだ未定だが、今の所は君達の力は借りずにいようと思っている。当然、君達の力を疑っているわけでは無い。まだまだ伸びしろがあり、いずれは私達を上回る可能性を秘めている事もね。―――だが同時に君達のような若き悪魔を、次世代を担う優秀な者達をこの戦に投入し、万が一にも失うようなことがあってはならない。我々はそう考えている」

「…………わかりました」

 

瞼を固く閉じ、数秒間考え込んでから、渋々と言った様子で頷くサイラオーグさん。

 

その後はお偉いさんたちから難しいお話やら今後のゲームの話など、俺には到底理解できないような難しい話がいくつか飛び出し、俺にとって居心地の悪い時間が続いた。

 

これでもミリキャス様と一緒に勉強してるんだけどな……さっぱりわからん。

 

だが数十分もすれば所謂ありがたいお話というのも終わり、再びサーゼクス様が口を開く。

 

「さて、長い話に付き合わせて悪かったね。だがコレも我々が君たちに期待している証だと受け取って欲しい。何せ、君達は我々にとって、何より今後の悪魔界にとって、宝なのだからね」

 

そこで一度言葉を切り、一拍置いてサーゼクス様はこう尋ねた。

 

「最後に君達の今後の目標―――夢を、聞かせてもらえるかな」

 

目標。夢。

俺の夢と言ったらやっぱりハーレム王。リアス部長を正妻とする現代の大奥を作り、美少女に囲まれる最高の毎日を過ごす事。

 

では、ここに揃った若き次世代の主たちは、何を目指しているんだろうか。

 

最初に口を開いたのは、サイラオーグさん。

 

「俺の夢は、魔王になる事……いえ。魔王になります」

 

ほう、とお偉いさんたちが感嘆の息を漏らす。

 

「大王家から魔王が輩出される、前代未聞の事態を望む、いや断言するか」

「流石と言う他ないが、果たして本当に成せるのかね?」

「民がそう望む程の姿を見せれば良いだけの話です」

 

か、かっけぇえええ!!

言い切ったサイラオーグさんに、お偉いさんたちはある者は満足げに、ある者は皮肉げに頷く。

 

「私はグレモリー家次期当主として、その名に恥じない生き方を。その名を輝かせるような戦績を残す事を、近い将来の目標としていますわ」

 

我らが部長の夢はソレか。うんうん。確か、ノブレスオブリージュって言うんだっけ?なら俺も部長の将来の夫として、現在進行形の恋人として、その夢を叶える手助けをしようじゃないか。

 

……まぁ、今は足を引っ張らないように高貴さのお勉強をするので精一杯なんだけどね!

 

その後はグラシャラボラス、アガレス、アスタロトと続き、最後にソーナ会長の番が来た。

 

「私の夢は、冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

 

学校。確かに、レーティングゲームはただ戦うだけじゃない奥深さがある。ここ最近色々と詰め込まれているからこそわかるが、ただのチェスや単純な決闘とは比べ物にならない難しさがあるのだ。

そのテクニックだとか、細かい正規のルールだとか、そういうのを学べる場所があるのは確かに良いと思う。

 

感心する俺だったが、しかしお偉いさんたちは眉を顰めるばかり。

 

「レーティングゲームを学ぶ場は、既にあるはずだが」

「それは上級悪魔や一部特権階級のみが通える学校です。私が建てたい学校は、下級悪魔や転生悪魔も通える、生まれや階級による隔ての無い学校ですから」

 

差別の無い、ね。

それは凄く素晴らしい事だし、俺も応援したい夢だ。

 

―――けど、前に黒歌さんの罪の件で部長から聞かされた話。ソレが脳裏をかすめた瞬間、なんとなくお偉いさんたちの反応が予測できた。できてしまった。

 

「はははははは!!」

 

笑っていた。

嘲るように、詰る様に、酷く滑稽で愉快なモノを見たとばかりに、お偉いさんたちは笑う。

 

ああ、そうだろう。悪魔は長寿で、こういう『お偉いさん』ってのは大体差別主義や血縁、階級主義の頭の固いご老体ばかりだって話だ。

ソーナ会長の素敵な夢も、連中にはくだらないモノでしかないんだろう。

 

ムカつくし、悔しい。

だけどソーナ会長はただただ嘲笑を受けるばかりで、何も言わない。動かない。

 

不愉快な笑い声が響く中、遂に匙がキレた。

 

「何がそんなにおかしいんっすか!!?会長の夢の、どこが笑えるって言うんっすか!?叶わない夢なんて無い、俺達は本気なんですよ!!」

「口を慎み給え転生悪魔。君に言葉を発する権利は与えられていない」

「夢が幼稚なら下僕の躾けもお粗末と来ましたか。これでは次世代を担うなどとてもとても」

「……私の不徳の致すところです。申し訳ございません」

「なっ、会長!!!」

 

深々と頭を下げた会長に、匙が今にも泣き出しそうな程震えた声で叫ぶ。

しかし会長は淡々と、頭を下げたまま叱責する。

 

「お黙りなさい。この場はそういう態度を取る場ではありません。何より、私は夢を語っただけ。それ以上でもそれ以下でも―――」

「ああ。だから()()()下がってな匙。こういうのは部外者の役目だ」

 

余りに堂々とした態度で、輪廻が前へ出る。

会長の言葉を遮りながら現れた輪廻を、お偉いさん達は不機嫌そうに見つめ、

 

「どうなされた、()()()赤龍帝殿。何かご不満な事でも?」

「一つ質問なんだが」

 

お偉いさんの言葉をまったく聞くことなく、サーゼクス様へ視線を向けて問いかける。

その態度にお偉いさんが顔を顰めるが、輪廻もサーゼクス様も気に留める様子は無く、二人だけで言葉を交わす。

 

「何かな、立神輪廻」

「コイツ等はまだ必要か?」

 

シン……と、完全な静寂がこの場を支配する。

誰もがその言葉の意味を理解しきれず、或いは受け止めきれずに、呆然とする。

 

数秒間無言が続くと、付け足すように輪廻が言葉を発した。

 

「そこの老人たちはそろそろお役御免で良いんじゃないか、と聞いたんだが」

 

今度は、ゾッとした。

その傲岸不遜な物言いに、どこまでもあっけらかんと話すその態度に。

 

だってその一言はつまり、今ソーナ会長の夢を嗤ったお偉いさん達を皆殺しにする、という意味で。

 

「ふ、ふざけるな人間!!赤き竜の力があるからと、最強と持て囃されているからと調子に乗るな!!」

「蜥蜴如きが我らの生殺与奪を決めるだと!?不敬不遜も甚だしい!」

「我ら悪魔を愚弄するか!!」

「で、どうなんだサーゼクス・ルシファー。お前が是とするなら、取り敢えずここの喧しいのは殺すが。―――あぁ、不安なら見せしめに一人二人、文字通り捻じり上げて見せようか?」

 

禁手の鎧どころかブーステッド・ギアさえ装備することなく、しかし空間が震える程の闘気を放ちながら輪廻が語る。

 

虚仮脅し?冗談じゃない。

もしサーゼクス様が一言「良し」と言えば、ただ一度頷けば、スプラッター映画もびっくりな惨劇が繰り広げられるだろう。

 

お偉いさん達は喚くのをやめ、冷や汗、脂汗をダラダラと流しながら、縋る様にサーゼクスを見る。

この場の全員の視線が集まる中、彼は飄々と答えた。

 

「彼らは遥か昔から我ら悪魔を率いてきた者達だ。今この場で全員失うのは惜しい」

「古き知見の必要さを否定するつもりは無い。が、古い価値観に縋り新しきモノを受け入れず嘲笑うような浅はかな連中を、態々生き残らせる必要があるのか?凝り固まった思想を持つ権力者は、国を腐敗させる老廃物でしかないぞ」

「重々承知しているとも。その上で、私は()()彼らが必要だと判断する。―――わかってくれるかな」

「………良いだろう」

 

闘気と殺気とを抑え、踵を返す。

その姿にほっと胸を撫でおろしたお偉いさん達だったが、輪廻は背を向けたまま「だが」と言葉を発し、

 

「俺はソーナ・シトリーの夢が素晴らしいモノであり、彼女のような者がこの先必要とされる人材であると断言する。―――忘れるなよ、サーゼクス・ルシファーが一度頷けば、貴様らの命は簡単に失われるという事を」

 

捨て台詞を吐いて、元居た場所へ戻る。

 

完全に場を荒らした輪廻だが、先程までの硬い表情は何処へやら、のほほんとした様子で壁に寄りかかる。

お偉いさん達にガツンと言ってやったのはこっちもスカッとしたけど、うん。自由か!!

 

「さて、赤龍帝殿が私の言葉をある程度代弁してくれたから、すぐに本題に入ろう。―――ソーナ。そしてリアス。君達二人で戦ってみないか?」

「「っ!!」」

 

同時に驚く二人。

当然、俺やその他眷属たちも同様だ。

 

お構いなしにサーゼクス様は続ける。

 

「ゲームで勝てば、どんな夢物語だろうと現実味を帯びる。それを実現するだけの力を示せる。―――元々レーティングゲームを三大勢力全体に公開する試みが計画されていた上、試合は可能ならデビュー前の若手が好ましいという話が上がっていた。良い機会だと思うが、どうだろうか?」

 

その言葉を聞いて、二人は顔を見合わせた。

部長は挑戦的な、会長は冷徹な笑みを浮かべ、すぐにサーゼクス様の方を向き、同時に頷く。

 

「「勿論です」」

 

駒王学園生徒会VSオカルト研究部の対戦カードが、ここに決定したのだった!!

 

 

因みに、試合は人間時間で言う八月二十八日に行うそう。

修行には大体二十日間使える訳だ。

 

会長の夢も素敵だと思うし、この試合で勝たなきゃ嗤いモノ扱いから抜け出せないとはわかっているが―――俺は他の誰よりも大切な部長の為。リアス・グレモリー様の為、全力で戦う。

そして勝つ!それだけだ!!





輪廻とサーゼクスのやり取りはソーナの夢を嗤われた事に対する不快感というのもありましたが、何よりも前時代的な考え方を持つお偉方の動きを抑圧する為でもありました。
なので少し輪廻の言動が高圧的だったりしますが、ある種パフォーマンスのような物だったと思っていてください。
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