ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う 作:うぉっ、でっか…
お恥ずかしながら、自分ではわからないので。
堕天使レイナーレの引き起こした一件は、なんだかんだ輪廻が大半終わらせてしまった。
俺がやった事と言えば、もう殆ど無力化されてたレイナーレに態々喧嘩吹っ掛けて気絶させただけ。
後始末だって部長や朱乃さん(同じ眷属同士なんだから他人行儀は無しと言われた)がしてくれた。
因みに教会に悪魔が殴り込みに行って堕天使を倒した、なんてのが問題にならなかったのかというと、結果としてはならなかった。
なんでもアーシアの神器を奪う作戦はレイナーレとその部下たちが独断で行った事らしく、堕天使側も教会も一切関与していなかったため、寧ろ、勝手な行動をした堕天使に対処した事で俺達が評価されたとのこと。
……ほんとにすごいのは、輪廻なんだけどな。
あの数の神父相手に、無傷でアーシアを奪還して、しかもあのフリードだって一撃で倒してた。
アイツ本当にただの人間なのか?実は俺よりも前から悪魔やってましたとか言われても驚かねぇ自信があるぞ。
勿論部長には輪廻があの場に居た事と、レイナーレを無力化したのも神父を倒したのも全部アイツがやったって事も説明した。
アイツ自身ソレを否定しなかったのもあって、詳しい話を後日部室で聞くって事になったんだけど…。
「なんでお前そんなくつろいでんだよ!?」
「別に何も後ろめたい事が無いからだが?落ち着けよイッセー」
「いや、くつろぐにしても限度があんだろ!?」
「…うるさいです。イッセー先輩」
小猫ちゃんに苦言を呈されるも、俺のこの激情は収まらない。
いくら最近あだ名で呼んでもらえるようになったからって、その喜びだけでは受け入れ切れない現実というい物があるのだ。
――なんでコイツ、当然のように小猫ちゃんを膝の上に乗っけてるんだ!?
木場も朱乃さんも何も言わねぇし!
因みに部長は今シャワー中だ。
カーテンに映る美しいボディラインが今日も目の保養です。
「そ、そうですよ輪廻さん!えぇっと……その、良くないと思います!」
「いやアーシア。俺らは客人なんだから、もてなしを受けるつもりでいいんだよ」
「い、いえ、そういう意味で言ったのでは……ぅぅ…」
輪廻の隣に座るアーシアも、俺同様に文句を言う。
でも多分、俺とは違う理由だよな……目で分かっちまうよ。アーシアのヤツ、絶対にアイツの事好きだろ。
くそぅっ、輪廻ばっかモテやがって許せねぇ!
でもどう足掻いても勝てない気がするのも事実!悔しい!
「あぁ、もしかして膝に乗りたいのか?それくらい構わねぇけど」
「っ!ほ、本当ですか!?じゃ、じゃあ……」
「……いえ、ダメです。私が今離れられません」
「んなっ!な、なんでですか!」
「と、取り合い……だとッ…!?り、輪廻テメェ、男の夢を実現させてんじゃねぇぞコラァ!!」
「いや、これは多分そういうのじゃないと思うんだけど」
輪廻は冷静にそんな事を言っているが、絶対アレはハーレム状態というヤツだ。間違いない。
方やアーシア。方や小猫ちゃんというこの美人揃いの学園の中でもトップクラスの可愛い系二人(アーシアはさらっとこの学園に通う事になった。実質理事長でもある部長が入学させたらしい)に膝の上を取り合いされるだなんて、羨ましいにも程がある。
ってか誰がどう見てもあの二人は輪廻が好きだろ。
なんで本人気づかねぇんだよ。鈍感過ぎるだろ。
「ごめんなさいね、待たせちゃって。―――って、あら。喧嘩?」
「さぁ?」
満を持して登場した我らが部長様の疑問に、朱乃さんはあらあらうふふと、濁した言葉を発するのだった。
※―――
「それじゃ、早速色々聞かせてもらおうかしら」
「まぁ、答えられる範囲で」
アーシア救出作戦の翌日。俺とこの学園に通う事になったアーシアは、あの時何があったのか等の詳細な情報を話すために、オカ研の部室を訪れていた。
予定よりも早く着いてしまった為に少し待つことになったが、リアス先輩の用事(シャワー)も終わったので、早速昨日の件についてアーシアと共に話す事にした。
俺から見た事件の詳細と、アーシアが実際に堕天使の口から聞いたこと、そして自分がされた事。
時折質問しながら話しを聞いたリアス先輩は、満足そうに頷いた。
「…なるほどね。少しこっちで把握しているのと違う所はあるけど、主観が混ざれば違って当然だし、この件についてはもう特にいう事は無いわね。―――それで、こっちの方が正直本題なんだけど……輪廻。貴方、一体何者なの?」
「何者、と言われましても。ただの男子高校生ですが」
「冗談にしては笑えないわよ。ただの男子高校生が堕天使や悪魔に勝てるとでも?そんな訳ないでしょう。――それに、私達の事も良く知っていたみたいじゃないの。私達が悪魔だって、いつから気づいていたの?」
…ま、流石に普通の男子高校生とは言い切れないわな。
小さくため息をついてから、予め考えておいた言い訳を脳内で再確認し、ゆっくりと口を開く。
…今はまだ、俺の全部を話すわけにもいかないしな。隠せるだけ隠しておこう。
「正直、会った時から気づいていましたよ。気配が違ったので。――ちょっとした事情があって、俺は『気』を読むのに馴れていまして。それで人間の気配とそうでない気配との違いなら、わかったんです」
「『気』?もしかして、仙術を扱えるって事?」
「まぁ、そんな大層な物ではありませんがね。俺にできる事なんて、この練り上げた『気』を纏っての徒手空拳だけです。まぁ、それでも心もとないって事でいつぞや使って見せた『聖書の剣』や『聖書の盾』を作ったんですよ」
あながち間違いではない。
実際俺は仙術は使えないし(黒歌曰く「才能が無さすぎるという才能」レベル)ブーステッド・ギアや他の神器の力も使うとは言え基本戦術は徒手空拳オンリーだからな。
よくみんなから「頭が良さそう」とは言われるが、俺は基本何も考えずに突っ込んで出たとこ勝負するタイプだからな。
テストとかは流石に準備して臨むけども。
「じゃあ、イッセーが悪魔になったのに気付いたのもその『気』とやらのおかげ?」
「まぁ、そうですね。それに感じる『気』がこの学園の
「……他にも悪魔がいることに、気づいてたの?」
「えぇ。――因みに天野夕麻について知らないふりをしてたのは、他の連中が忘れ去っていたのに合わせたからだ。まだあの時は俺について誰にも知られたく無かったんでな。許してくれ、イッセー」
「えっ、あ、あー……うん。あんまり気にしてねぇし。っつーかお前、知らないふりをしていたとしても一番まともに取り合ってくれたじゃねぇか。そうした意味じゃ救われてたし、別に恨みも何もねぇよ」
「…そうか」
正直あの時はイッセーに対する罪悪感が半端なかった。
今の俺にとっては、物語のキャラクターである以上に親友で幼馴染なのだ。
そんな友人を見殺しにした挙句騙すなんて真似、心苦しくて仕方なかった。
そう言いつつ今も現在進行形で嘘をついてたり隠し事をしてたりするわけだけど。
「ねぇ、アーシア。今度は貴方に聞きたいんだけど……レイナーレとの会話の中で、輪廻が『神器持ち』だって言ってたらしいけど、それは本当?」
「あ、はい。確か、ドラゴンに関係する神器…と言っていました。後、他にも神器を持っているとも」
「それは本当なの?相手に実力を読まさせないための嘘じゃなくって?」
「えぇ、本当です。今この場ではお見せしませんが、俺はいくつかの神器を持っています。うち二つは
まぁ、嘘ですが。
二つの
だがソレ等を全部同時に使った場合の俺の力は、最上級悪魔レベルなんてもんじゃない。
現在よりも神器の所有数が少ない状態の全力で、全盛期のオーフィスと引き分けたのだ。
今なら全神器を振るえば『
『禁手』ありならドライグの力だけでも事足りるけど。
しかし少し規模を小さめに話したものの、リアス先輩たちは皆驚愕していた。
…ただの人間が最上級悪魔レベルを自負したら、そりゃ驚きますわな。
というか神器の複数所有なんて、それこそ人工神器を作り出したアザゼルでも無きゃあり得ないくらいだし、その時点で大分驚きか。
ただイッセーはいまいち凄さがわかっていないみたいだが。
そういうとこだぞ。
「さ、最上級悪魔レベル…!?あなた、本当に人間?」
「人間ですよ。さっき言った通りドラゴンの神器を持ってるので、半分ドラゴンと言っても差し支えは有りませんが」
「……ドラゴンの神器、ね。それは教えてくれないのかしら?」
「えぇ。こればっかりはね。――もし敵対してしまったら、対処法を用意されてしまうかもしれないでしょう?」
俺の言葉で、一気にリアス先輩の表情がこわばる。
見れば小猫たちも顔が引き攣っていた。
…薄めたとはいえ、『気』を放出するのは不味かったか。
まぁやってしまった事は仕方ない、と『気』の放出を止めて、口を開く。
「って言っても別に俺の方から敵対するつもりはありませんがね。できれば今までみたいに仲良くしていきたいですよ?勿論」
「……心外ね。私達が、貴方が神器持ちだと知っただけで態度を変えると思ってたの?」
「いえ?どちらかというと、今から話す内容の方が色々厄介ごとに繋がりそうというか何と言いますか」
そこまで言って、窓の外に視線を向ける。
窓の外の木の枝には、直接見なければそこに居る事に気づけない程に気配を薄くした一匹の黒猫がいた。
…そう。黒歌である。
俺がリアス先輩たちに自分の話をすると知った黒歌が、いっそ自分もここで白音……小猫に会って、全てを話すと言い出したのだ。
何度も「良いのか?」と確認を取っても意志が固いようだったので連れてきたが、その瞳は緊張している事を雄弁に語っていた。
だがまぁ、ここまで来たんだから腹を括ってもらわなきゃ困る。
一応目で合図して、窓を開ける。
突然の行動に首を傾げる全員だったが、俺の腕に飛び込んできた黒歌を見て皆驚愕の表情を浮かべた。
勿論イッセーとアーシアはわかっていない様子だったが、俺の腕から降りた黒歌が人の姿に変わると、皆と同じように驚いた。
「――姉、様……!?」
「にゃ、にゃっはは……久しぶり、白音」
※―――
輪廻先輩。変態だけどかっこよくって優しくて、一緒に居て温かな気持ちになれる人。
最初に私があの人の事を知ったのは、クラスの女子たちが「駒王学園イケメンランキング」なるモノについて話していたのが耳に入って来た時だった。
曰くその人は、好き嫌いが分かれやすいタイプだと。
祐斗先輩のように大多数の人が好きになるようなタイプではなく、クセが強くて好きにならない人も多いが、一度好きになってしまえばとことんハマってしまうタイプだと言われていた。
ただその時はまるで興味が無かったし、その後に変態三人組とよく猥談をしているという話を聞いてからはちょっとマイナスイメージを抱いてしまった。
だって変態三人組と言えば、この学園でも屈指の有名人だ。
松田先輩、元浜先輩、そしてイッセー先輩。
猥談、覗き、盗撮。この世のありとあらゆる性犯罪の擬人化とすら呼ばれるその三人に、私達も何度か着替えを覗かれたことがある。
そういえばそのたびに「今日は輪廻が休みで良かったーッ!」とか言っていたような気がする。
…なるほど、保護者。きっと先輩がこの三人の覗きや盗撮を止めていたんだろう。
今ならその姿が容易に想像できる。
――で、ある日実際に、その先輩と会った。
確か、天気が良いから屋上でお昼寝でもしようとしていたんだっけ。
本来なら立ち入り禁止だけど、この学園の裏の支配者ともいえるリアス部長の眷属である私は侵入可能。
普段から誰も訪れない場所だから、密かにお気に入りスポットだった。
けど、その日はそこに在り得ない客がいた。
それが輪廻先輩。
立ち入り禁止のはずの屋上で、よりによって私が普段から使っているブルーシートの上で、それはもう我が物顔で眠っていた。
イラっとしたので、鼻と口を塞いで起こした。
初対面だし先輩なのにそんな真似をしてしまえるくらい、なんというか懐かしい雰囲気がしたというか、親しみやすい雰囲気をしていたというか。
…でもまぁ、そんな事をいきなり言われても困惑されるだろうし私のしたこともそれなりに悪い事なので、しっかり謝ったが。
それで、せっかくだからと話をしている途中に、ある違和感を覚えた。
…そう。この懐かしい雰囲気の正体が、私の姉様にそっくりの匂いによるものだと気づいたのだ。
私の姉様。黒歌姉様。
主を殺し、私を置いて去ってしまった姉様。
私が、大好きだった姉様。
そんな姉様のような匂いがするこの人について、もっと知りたいと思った。
この人は悪魔でも何でもない、ただの人間なのに。
黒歌姉様の手掛かりになんて、なるはず無いのに。
そうして会う度に話してみたり、時には私の方から会いに行ってみたりしている内に、クラスの女子からこんな事を言われた。
「塔城さんってもしかして、立神先輩と付き合ってるの!?」
極めて心外だった。
何だって私が、あんな変態と一緒に猥談に興じるような男の人と付き合わないといけないのか。
そりゃあ話してみたら中々常識人だし一緒にいるとなんでか安心できるし変態三人組の暴挙を諫めたり被害に遭った人に誠心誠意謝罪してたりと真面目だし料理もおいしいし膝の上に乗ると温かいし先輩自身の匂いはとっても落ち着いてポカポカできるしそれに――。
と、このような事を言って否定したが、そしたら余計に女子たちは盛り上がってしまった。
訳が分からなかった。
けど、付き合ってるのか、という質問を経て、私があの人を意識するようになったのは事実だ。
そのせいで最近はあまり人前で接したくなくって部室に誘うようになったし。
ついこの間なんて、先輩に悪魔になってもらおうとすらしてしまった。
そうして、先輩に対して抱く感情が何なのかわからなくなりつつあった私を、さらなる衝撃が襲った。
イッセー先輩の手助けをするために廃教会へ向かった時、倒れている神父たちや絶望しきった顔をする堕天使を前にして、いつも通りの飄々とした態度のまま立っている輪廻先輩がそこに居た。
イッセー先輩の話によると、いつだかのはぐれ悪魔と夢幻人なる存在の一件の時に現れたお面の人の正体が輪廻先輩だったらしい。
ただの人間のはずの先輩が中級、或いは上級レベルの悪魔を相手に戦えるほどの人だったなんて、驚きが隠せなかった。
その上先程の話が本当ならこの人は神器を複数所持しているらしいし、力の全てを使えば最上級悪魔に匹敵するとのこと。
なんだか気の遠くなる気分だった。
……それでもさっき膝に乗せてもらった時の安心感は変わらなかったし、ついつい甘えてしまいそうなオーラを感じるのも変わりなかった。
いや別に甘えてはいないけども。
全然甘えてなんていないけども。
ただちょっと体を擦り寄せただけで。
羨ましがってたアーシア先輩に譲らなかったのは決して嫉妬心とかそういうのではなく。
――とにかく、私にとって輪廻先輩は今までの輪廻先輩のままだ。
最上級悪魔に匹敵するとか、複数の神器を持っているとか、途轍もない威圧感を出すとか、色々驚かされる所はあるけど、先輩は先輩だ。
そうやって自分の中で納得した矢先、今度は違う衝撃に襲われた。
先輩の腕に飛び乗った黒猫。
人の姿になった黒猫。
着崩した和服姿に、困ったように笑う顔。
間違えるはずがない。
だってこの人は、私の。
「―――姉、様……!?」
「にゃ、にゃっはは……久しぶり、白音」
黒歌姉様が、そこに居た。
力を暴走させて主を殺し、SS級のはぐれ悪魔として冥界にその悪名を轟かせた姉様が、ここに。
「黒歌!?い、一体どうして!?」
「あー、先輩落ち着いて。いやこうなるとは予想していたけど、それでも話を」
「どういう事ですか…!!」
「…小猫」
警戒して立ち上がったリアス部長を宥めている輪廻先輩と、その隣で居心地悪そうに立っている黒歌姉様を睨みつける。
「どうして……どうして先輩が、姉様と一緒にいるんですか」
「…まぁ、話せば長くなるが。端的に言えば冥界で路頭に迷ってる所を拾った、かな」
「ひ、拾われちゃった~…にゃーんて」
「ふざけないでくださいッ!」
どういうつもりかわからないがふざける姉様に、つい声を荒げる。
すると姉様は肩を震わせ、申し訳なさそうに縮こまった。
「ま、詳しい話はちゃんとするさ。――でも、俺の口から聞くより黒歌から聞いた方が良いだろ?俺が話していいならそれでもいいが」
「それは…」
「ご主人様。大丈夫だから、私から話させて?」
「ご、ご主人様ァッ!?」
「イッセー君、ちょっと静かに」
姉様が輪廻先輩をご主人様と呼び、それにイッセー先輩がとても大きく反応を示す。
ただ即座に祐斗先輩に諫められて、釈然としないような顔をしながらも口をつぐんだ。
「……白音」
「っ」
「まずは、謝らないとね。今まで放っておいて、本当にごめん。ずっと、辛かったよね」
「―――い、今更っ!今更謝られて、何が…っ!!」
「うん。そうだよね。謝って許されるなんて思ってないし、私が主殺しの大罪人って事も間違いないし。――それでも、私は謝りたかったの。そしてちゃんと、本当の事も伝えておきたかった」
本当の事。
そう話す姉様の目は、真実を話しているようにしか見えなかった。
まだ全然釈然としないけど、このまま聞かずに逃げてしまっては後悔すると思って、一先ずは続きを聞く事にした。
ゆっくりと頷いた私に、姉様は、今までの話をつらつらと語り始めた。
※―――
黒歌は全部を話した。
主殺しの理由。
小猫…白音を迎えに行けなかった理由。
全部が小猫を思っての行動であったと話し、「信じてもらえないかもしれないけど、今までもこれからも私は白音の事、大好きだから」と涙ながらに告げた黒歌に、小猫もポロポロと涙を流していた。
イッセーとアーシアも、なぜか号泣していた。
「小猫ちゃんの身を守るために大罪人にって……こ、この事をちゃんと伝えたら、罪に問われる事も無かったんじゃ」
「違うわ、イッセー。もし仮に彼女の話が真実だとしたら、確かに罪はいくらか軽くなるかもしれない。けどね、その罪は決してなくなることは無い。主殺しっていうのは、それくらい重い罪なのよ」
「ど、どうしてですか…?」
「悪魔の世界は上下社会なの。最近は私みたいに眷属も同胞として扱う考えが浸透してきてはいるけど、それでもやっぱり眷属を奴隷のように扱う事を是とする悪魔もいるわ。そしてそういう考えを持った悪魔もまた長命で、権力を握っているのが普通なの。もしこの話を伝えたとしても、黒歌の罪を無くしてやろうなんて言う悪魔は、はっきり言っていないはずよ」
「そんな……」
リアス先輩の言葉に、皆が顔を俯かせる。
だが社会に生きるというのは、こういう不条理に晒されるという事でもあるとわかっているんだろう。
これ以上文句を言う者は、一人もいなかった。
……ま、俺は悪魔とか関係ないから違うんだけど。
「落ち込む必要は無いさ。黒歌を罪に問わせない手段は一応ある」
「ッ、ど、どういう事ですか!?」
「今は言えない。こればっかりは確実性が無いし、下手な希望を持たせるわけにもいかないからな。―――ただ、時が来れば全力を尽くす。黒歌は俺にとっても大事な家族だからな」
「っ~!!……ご主人様ぁ!!」
俺の言葉に、まるで感極まったように震え、そのまま抱き着いてくる。
その様子を見て途端にイッセーと小猫、後何故かアーシアが不機嫌そうになるが、今は一旦無視させてもらって黒歌を宥める。
よしよし、俺が何とかしてやるからなー。
実際成功率低いからあまり期待しないで欲しいけども。
「そ、そうだよ!なんでお前、ご主人様なんて呼ばれてんだよ!?」
「え、そりゃあ……なんでだっけ?」
「んむ~?聞きたいかにゃ?気になるのかにゃ?私とご主人様のな、れ、そ、めっ♪」
「な、馴れ初め!?」
愕然とする全員に、黒歌は先程までのしんみりした感じは何処へやら、なんだかどや顔風になりながら俺との出会いから、今に至るまでを話し始めた。
「私がご主人様に会ったのは、以前の主を殺してお尋ね者になってから、しばらく後の事だったにゃん。ちょっとヘマしちゃって傷だらけになって彷徨ってた私を、ご主人様が拾ってくれたの。その時は周りは敵しかいないって思ってた時だったから、ご主人様に何度も攻撃したんだけど…全部いなされちゃって」
「ぜ、全部いなした…ですって…?」
「討伐隊まで編成される程のはぐれ悪魔のはずでは…?」
「いやー、本当あの時は死を覚悟したにゃん。必死の抵抗だったのに、何もされてないみたいに真っ直ぐ向かってきて……捕まるのかな、殺されるのかな、もしかしたら犯されちゃうんじゃないかなって。――でもご主人様は、私の傷を治してくれたの」
俺に抱き着いたまま話す黒歌。
その内容にリアス先輩と朱乃先輩が若干引くが、気にすること無く彼女は話を続ける。
しかし抵抗、ね。死にかけの状態で放つ攻撃だったからか、まるで威力を感じなかったな。
だからそんな引く事ないと思うんですよ、御二方。
「あんなに攻撃したのに、殺すわけでも何でもなく治療してくれて。信じられなくって困惑してた私に、ご主人様ってばなんて言ったと思う?『大丈夫。何があったかわからないけど、俺は敵じゃないから。安心してくれとまでは言わないから、落ち着いてくれ』ってー!私の本気の攻撃を何度も受けたのに、第一声がそれって!それって~!」
「黒歌、痛い、痛い。テンション上がってるのはわかるから俺を叩かないでくれ」
「あ、ごめんにゃん」
まるで机をバシバシ叩くかのように俺の体を叩いていた黒歌を諫める。
うーん、痛い。頑丈になったと言っても素の状態は鍛えただけの人間なのだ。
悪魔の一撃は重い。
「こほん。それで、なんとなく『あ、この人は敵じゃ無いんだ』って思って、そのまま落ち着くどころか安心して気絶しちゃったにゃん。で、次に目を覚ましたらご主人様の家で」
「つ、連れ込んだ……だと!?」
「人聞き悪いなお前。疲れ切ってたみたいだし、ベッドで寝かせてやろうと思っただけだ」
「そうそう。目を覚ましたらご主人様のベッドで。敵じゃないって思っていつつも警戒してる私に、ご主人様は気分を悪くすることも無くお粥とか食べさせてくれちゃって。で、いきなりそんなに優しくされちゃって…その……色々逃亡生活とか白音に会えない事で溜まってたストレスが爆発して、泣いちゃったにゃん」
「んで、泣きながら俺に今まで何があったのかとか話してきて、それで俺が『好きなだけ家に居りゃいい』って言って、一緒に暮らす事になった訳だ」
父さんと母さんにはすごく驚かれたっけなぁ。
特に気絶した黒歌を連れ込んだ時。
「うちの子が性犯罪を!?」とか滅茶苦茶失礼な事を言われた思い出がある。
「いやー。私ってば誰にも飼われず自由奔放に生きる野良猫タイプだと思ってたけど、実は意外と飼い猫生活悪くないなーって思っちゃってたり?正直ご主人様になら首輪つけられちゃっていいんだけど」
「父さんと母さんの前でお前に首輪つけられる程胆力ねぇよ」
「え、貴方の両親、彼女の事受け入れてるの?」
「それどころかこの町に悪魔が多数潜んでるって事とか、俺が神器を持って生まれたとか、全部知ってるよ」
その上父さんは良く赤龍帝と酒盛りをしてます。なーんて言ったらどんな反応するんだろうな。
少なくとも今よりももっと派手に驚くか。
普段の余裕溢れる大人っぽい雰囲気も崩壊したり?
そんなどうでも良い事を考えていると、イッセーがまだ話は終わっていないとばかりに俺に詰め寄ってくる。
正直男に接近されても嬉しくないんだが、一体なんだというのか。
「だから俺はお前がご主人様って呼ばれてる理由が知りてぇんだけど!どういう事なんだよ輪廻!俺達彼女無し四人組の友情は不滅じゃ無かったのか!?」
「真っ先に裏切ったのお前だろうが……っと、コレは禁句か。――ま、俺がご主人様って呼ばれてる理由だが……はっきり言おう。わからん。いつの間にかそう呼ばれていた。父さんと母さんも変に口出ししてこないし、問題無いんだろうとは思っているが」
「いや大問題だろ!ってか羨ましい!ずるいぞ畜生!」
「ずるいってお前な…」
血の涙を流す勢いのイッセー。
確かにまぁ、客観的に見ても俺は恵まれているとは思う。
黒歌なんて美人に、少なくとも憎からず思ってもらえてるようだし。
しかし肝心の一歩先の関係には未だ至れていないのが現実。
全ては俺のヘタレっぷりが原因である。
……でも、いつかははっきりさせなくっちゃいけない事に変わりはない。
俺にとって黒歌は、ただの居候でも無ければ、原作に出たキャラという訳でもない。
たった一人の、大切な女性なんだから。
因みに、だが。
俺は眷属になれなかったものの(力の差が圧倒的すぎたからだろう)アーシアは無事『僧侶』となり、その上俺の家に住む事になった。
…後俺が眷属になり損ねた時に知ったのだが、イッセーに使った『兵士』の数は4個らしく、俺の分に4個だけ残っていた。
けど世界最強と殴り合えるような俺を引き入れるには、まだまだ足りないようだ。
リアス先輩もこの先強くなるだろうし、気長に待たせてもらいましょうかね。
まぁ、別に俺は悪魔に転生しようがしまいがどっちでも良いんだけど。
本文中に書けなかったので補足しますと、小猫はまだ黒歌を受け入れたわけでも無ければ、その力を使う覚悟ができたわけでもありません。
辛い過去は、一度の喜び程度では決してなくならないのです。
なので、強化フラグはもう少し先になります。
少なくとも次の章に控えるライザー戦で大活躍、とはならないでしょう。
また感想でご指摘いただいたのですが、ここでアーシアが悪魔になった理由を説明しなかったのには一応理由があります。
ですがこの先必ずしっかりと説明を入れる予定ですので、一旦「アーシアは悪魔になったんだな」とだけ受け止めておいてください。
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あと誤字報告や言葉の誤用の指摘、助かってます!見つけ次第指摘してくださると、ありがたいです!