ハイスクールD×Dの世界に転生したので、俺もハーレムを目指そうと思う   作:うぉっ、でっか…

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旧章:婚約会場のフェニックス
新しい日常


俺の朝は早い。

二度寝を前提とした早めの目覚ましの音に目を覚まし、布団の中に潜り込んでいる黒歌を優しく抱きしめて再び二度寝……しようとしたところで、突然ドアが勢いよく開けられ、アーシアが怒り心頭と言った様子で入ってくる。

 

俺と黒歌が同衾しているのを発見して以来、彼女は毎日俺の目覚ましのタイミングで起きて俺の部屋まで来て、黒歌を回収して出ていくのだ。

そのたびに「一緒に寝るか?」と誘ってみると、毎回顔を真っ赤にして「し、失礼しましゅっ!」と照れるのが可愛らしい。

黒歌と違って本当に初心だからな。あまり人をからかう趣味のないはずの俺でも、からかい甲斐のある子だと思ってしまう。

 

そんなこんなで目が覚めてしまうので、二度寝することなく体をほぐし、そのまま庭先へ。

 

時間操作の魔法を発動して、一瞬の間に何時間もの時を過ごせるようにしつついつものトレーニングを開始。

ブーステッド・ギアで重力を倍加させての基本ストレッチ。

スクワット、腹筋、背筋、その他諸々の筋トレを重力強化の下10000回ずつ行い、自分の回復能力を倍加させて即復帰。

超再生が即座に行われるため、最初の頃はのたうち回るくらい痛かったが、もう慣れた。

何百年と続けてきたのだ。その程度の痛みじゃ悶えもしない。

 

その後はひたすらシャドーボクシングと魔力コントロールと倍加の限界を超えるチャレンジを同時に行う。

体を動かし、仮想敵と只管戦いながら、魔力を球体や四面体にしてその場に生成し形を変えずに大きさを変えてみたりしつつ肉体が追いつかないレベルまでブースト。

これがここ最近の基礎トレーニングである。

実戦経験は今の所積み切ったと言っても過言ではないので、後はこうして己を磨く他ないのだ。

それにしたって大分壁にぶち当たってる気もするけど。

 

で、以上の常人には過酷なトレーニングを現実時間では一瞬で終え、そのまま家に戻る。

するとアーシアと黒歌が一緒に料理を作っている所が見られるので、そこでまず一日分のハッピーを取得。

マジで癒される。この先数年分のストレスが帳消しにされる気がする。

 

「ご飯、できましたよ~」

「おぉっ、今日も美味そうだ」

「「「いただきまーす」」」

 

父さんと母さんはこの時間には既に仕事に行ってしまっている為、朝食は俺達三人で取るのが常だ。

今日も今日とて美味しい料理を食べて、俺達は学校に行く準備を整える。

勿論黒歌はお留守番だ。

 

「じゃ、行ってくる」

「行ってきます」

「はいはーい。いってらっしゃいにゃん。――あ、ご主人様。今日のお弁当は超力作だから、みんなの前で食べて自慢しちゃってにゃん♪」

「おぉ、楽しみだな。そうするよ。――じゃあ、鍵よろしくな」

「はーい」

 

家を出て、アーシアの歩幅に合わせながら歩く。

他愛ない話に花を咲かせながら歩き、交差点を二個曲がったあたりで、イッセーと合流する。

 

汗をダラダラと流しながら、疲れ切った顔をしているコイツは、俺達と合流するまでの間ずっと鍛錬させられているのだ。

部長(俺もオカ研に所属することになったので、こう呼ぶように言われたのだ)に毎朝スパルタ的特訓をされていると、嬉しそうな嬉しくなさそうな複雑な顔をしていた。

 

特に腕立て伏せが一番複雑な気持ちになるらしく、部長の尻に敷かれる感覚が嬉しい反面普通に腕立てが辛いと釈然としない様子だった。

自分の気持ちすらわからなくなるくらい疲弊しているって事だろう。今度帰りにラーメンでも奢ってやるとするか。

 

「そういや、イッセーの神器の正体ってわかったのか?」

「それが全然なんだよ。龍の手、って神器に似てるらしいけど、それ以外まるでわかんないって。一応俺が試した感じ、何かを殴る度に強くなってくイメージなんだけど…それもなんでかムラがあるし、まだつかみ切れてねぇんだよ」

「うーむ……ま、強化系に変わりは無いんだし、素の力を上げんのが大前提さな。学校まで走るか?」

「……お前、俺は仮にも悪魔だぜ?戦闘センスとかじゃ悪魔を上回れても、素の力じゃこっちのが上に決まってんだろ?」

「おいおいおい、鍛錬後の疲弊しきったお前如きに遅れを取るつもりは無いぞ?」

「――っしゃあ!!やってやろうじゃねぇかこの野郎!勝ったらお前名義でエロDVD借りまくってやっからな!そして松田と元浜の二人に「輪廻が良いもん仕入れてきたぞ」って教室のど真ん中で言ってやる!」

「じゃあお前負けたら三日間エロ関係全部禁止」

「強すぎるクロスカウンター!?三日間おっぱいって言うのも含め全部禁止ってキツすぎんだけど!?俺のアイデンティティは!?」

「なんだ、逃げるのか?それもそれでいいが、今のこの登校中の女子たちが見ている所で俺に勝ちゃ、お前も一躍モテ男子にランクアップだと思うがな」

「やったるぞコラァ!!よーいドンッ!!一抜け貰いだぁあああああっ!!」

 

会話の流れでイッセーと学校まで競争する事になった。

しかし焚きつけ過ぎたせいか、アイツは俺の準備が終わるよりも早く駆け出してしまった。

だがやはり疲れがたまっているのか、速度はそれほどでもない。

これなら全然追いつけるな。

 

「アーシア、ちょっと失礼すんぞ」

「えっ?―――えぇっ!!?」

 

俺達の都合でアーシアを一人にするのも忍びないので、お姫様抱っこして走る事にした。

負ぶっても良かったが、それだと彼女が「高校生にもなっておんぶなんて…」と思われてしまう可能性もあったので、別にこの歳でも違和感のない(完全にないわけではない)こちらを選んだ方が良いと判断したのだ。

 

これでもまだ、負ける気しねぇな。

 

しっかりつかまってろよ、とアーシアに一言告げ、俺はイッセーを追い抜こうと走り出した。

勿論、この戦いを制したのは俺だ。

アイツはアーシアを抱えていたのに自分に勝つなんて、と凄くショックを受けていた。

…この悔しさを糧に強くなりたまえ。

俺だって原作のお前の強さを知って、その強さに憧れてここまで強くなったんだしさ。

 

※―――

 

時間は流れ昼飯時。

黒歌に言われていた通り、皆の前…と言ってもいつも一緒に飯食ってる変態三人+アーシア+桐生藍華の五人の前で、俺は弁当箱を開いた。

 

因みに桐生藍華は俺達相手に普通に接してくる稀有な女子で、橙色の髪を三つ編みにしているメガネっ子である。

顔立ちも美人だし、黙ってりゃ大人しい文学少女や清楚な学級委員長にも見えるのだが、会話レベルは俺達と同等である。

だからこそこうして仲良くしてくれてんのかね。

 

――と、今大事なのはそこじゃない。

黒歌が、俺の弁当にとんでもない爆弾を仕込んでいたのだ。

その正体がこの、『輪廻♡黒歌』の桜でんぶと海苔で米の上に書かれた文字である。

周りには丸く切ったチーズの上に海苔でハートマークが書かれているモノが敷き詰められていたりと、それはもうまさに愛妻弁当だった。

 

そんな事を露ほども知らずに「今日の弁当、力作らしいんだよな」と言ってコイツ等に見せてしまったのだが、まぁ反応の酷い事。

 

変態三人組は言わずもがな。「コレは一体どういう事だコラァッ!!黒歌って誰だ貴様ァッ!!」と同時に口角泡を飛ばす。

アーシアは「学校に着くまでのお楽しみって……だ、騙されましたぁ!」となんだか嘆いている様子。

因みに桐生の方は「う、うわー。流石にないわー」とか言って引いていた。

 

まぁ普通は引くだろう。ここまでハートマークが敷き詰められていては流石に及び腰になってしまう。

だが俺も馬鹿なのか浅はかなのか、これでも嬉しいと思えてしまう。

 

――ほんっと、俺も大概だよなぁ。

 

『(…これを喜べるならもういいだろう。何を躊躇ってる)』

(あ、あのなぁ。知的生命体の恋愛ってのはそう「好きです!」「私も!」ってなるようなもんじゃないんだよ。もしかしたら好意に見えるコレは、別の感情かもしれない…って一歩引いて考えるのが肝心かなめで)

『(……まぁ、言い訳するのは勝手だが。他の男に取られて自棄を起こすなよ?過去に同じような目に遭った相棒がいたが、そのショックのあまり『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』を発動して己が愛した女も家族も友人も、その故郷すらも破壊しつくした事があったからな。躊躇いも大事かもしれんが、一歩進む勇気もまた必要なんだぞ、相棒)』

(……それもそう、なんだけどさ)

 

おかずの方を口に運ぶ。

手作りのから揚げだ。よく朝に作ってくれたと思う。

勿論味は凄く良い。くど過ぎず、されどパサパサしすぎない絶妙な油の量。

黒歌は将来いい嫁になれる。

 

――そして願わくば、嫁入り先は―――なーんて。

 

「いや、お前一人で納得して飯食ってんじゃねぇ説明しろコラァッ!!」

「アーシアちゃん以外とも同棲中とは許せん!貴様この現代日本でハーレムを作る気か!?」

 

喚き散らす馬鹿二人を肴に飲む清涼飲料は、中々どうして美味かった。

他人の不幸は蜜の味。これまたいい日本語を作った物である。

 

因みにこの二人とイッセーがあまりに騒ぐせいで他の生徒が俺の弁当の中身を見に来てしまい、ちょっとした騒動に発展したのだが、その話は割愛させてもらう。

 

※―――

 

そして現在は夜。

アーシアの悪魔としての仕事も終わり、今はみんな一階に集まってのんびりしている。

 

いつもはドライグと父さんが酒を飲み交わしているが、俺が赤龍帝であると知らないアーシアの前でドライグを出すわけにも行かないので、しばらくの間は禁酒だ。

 

『(う、うぉおおん!!せっかく純米大吟醸が買ってあったのにぃいいいい!!)』

(流石に取っておいてくれるだろ。いつまでお前の存在を隠すかは未定だが)

 

嘆くドライグにさらっと止めの一言を告げ、外からとある気配を感じて家を出る。

 

その気配の正体は、夢幻人だ。

あのシルクハットの男を倒して以来、この町にそいつらの気配を感じるようになった。

基本的には夜にその存在を確認できるのだが、なぜだろうか。

毎回何かの準備をしているように見えるのだが……アイツ等倒した後に確認しても、特に何も見つけられねぇんだよな。

ドライグに聞いてもわからないって言ってたし。

 

「よぉ、良い月だな。曇りで何にも見えねぇけど」

「っ、何者だ!」

「見てわからねぇか?お前らには顔も名前もバレてるって話だが」

 

ビルの建設現場に、四人の夢幻人がいた。

全員フード付きのローブに身を包んでいて、その背中には全員ドラゴンを模したマークが描かれている。

 

夢幻人の下っ端の服装だ。

てっきりあのシルクハットが最底辺かと思っていたが、使い捨ての兵士はこっちの方だったらしい。

この前、捕らえた夢幻人から情報を聞き出してみた所、あのシルクハットの男の立場はこの下っ端の統率者程度だったとのこと。

下から二番目だし、あんまり大差ないか。

 

「貴様、立神輪廻……赤龍帝か!」

「その通り。テメェらが何をしようとしているかは知らんが、少なくとも俺やこの町の連中にとっていい事ではねぇだろ?だから邪魔しに来たぜ」

『Boost!』

『禁酒のストレス、ここで晴らさせてもらおうか!』

 

右手にブーステッド・ギアを展開し、早速倍加。

禁手は使わない。そもそもこの下っ端相手ならブーステッド・ギアそのものが必要ない。

ただドライグ本人が言っていた通り、コイツのストレス発散も兼ねているのだ。ここ最近滅多に使ってないし、いい機会である。

 

俺の基本スタンスは敵対者には容赦しない。

俺を殺そうとしてきているのだから、殺されても文句は言えないという物である。

 

相手は『気』で読み取るに人間一人悪魔二人堕天使一人。

本当に色んな種族から恨まれてるんだなぁ俺。一度たりともグレートレッドには喧嘩吹っ掛けてないんだけど。

 

「『禁手』すら使わないとはなめられたものだな。だが我らはそう易々とはやられんぞ?何せこちらにも、神器持ちがいるのだからな!」

 

悪魔がそういうと、人間の男が右手を俺につきだした。

そしてその手から、何か鎖のような物がこちらに向かって飛んでくる。

神器というくらいだしわざと受けるのはダメだろうと回避するが、その鎖は不自然な動きをして俺を追跡してきた。

少々驚いた俺に、所有者の男は調子に乗ってか神器の説明を始めた。

 

「俺の神器、『捕縛の鎖(マーダー・スネーク)』は一度狙いを定めた相手を蛇のような柔軟さと狡猾さで必ずとらえる!そしてとらえた相手の生命力を奪い取り、死に至らしめるんだ!!最強と呼ばれる赤龍帝だろうが、この鎖から逃れる事も、捕まってから脱出する事も、どっちも不可能!!ほらほら逃げてみろよ!隙を見せたらコイツが脇腹に噛みつくぞ!!」

「説明どうも。――んじゃ、全員殺すわ」

『Boost!』

 

現在四回目のブーストを行い、能力が全体的にかなり向上した事を確認して、まずは何らかの設置を行っている様子の堕天使に一瞬で肉薄。

そのまま倍加に加え『気』で強化した拳を、容赦なく顔面に振るう。

 

ぐしゃっ、と肉がつぶれる音を立てて死んだ堕天使の男の体を掴み、俺を追ってきている鎖に放り投げる。

すぐそこまで迫っていたはずの鎖は、その死体を避けるために大きく移動し、俺から距離を取った。

 

よし、狙い通り。

んじゃ次は、悪魔の方を――。

 

「おぉっと、そうはいかないんだよなぁ!」

「――チッ、黙ってた方は転生悪魔かよ」

「その通り!神器持ちはアイツだけじゃねぇ、コイツもなんだよ!」

 

堕天使の男と同じように顔を潰そうと拳を振るうが、その拳は何か見えない壁に阻まれ届かない。

並の魔力障壁なら既に破壊できるくらいには強化されているはずだし、これはきっと神器だろう。

 

しかし防御系か。ただの神器だったらドライグの力で真正面からぶっ壊せるが、万が一コイツが神滅具だった場合は時間をロスするだけになるかもしれん。

 

『Boost!』

「ほらほら立ち止まってていいのか?『捕縛の鎖(マーダー・スネーク)』はお前のすぐそばだぞ!」

「言われなくてもわかっちゃいるが……いい加減鬱陶しいな」

 

わざわざ躱すのも面倒になって来たので、力押しに路線変更。

迫り来る鎖を避けることなく手で掴み、()()()何百回とブーストして破壊した。

 

「は、はぁっ!?ど、どういう事だよオイ!!俺の、俺の『捕縛の鎖』がなんで砕かれてんだよ!?」

「ブーステッド・ギアの能力を知らねぇわけじゃねぇだろ。力を倍加させて壊したんだよ、普通に」

「そ、それこそあり得ねぇ!だってお前の神器は、『禁手』しない限り十秒に一回しか倍加できないはず…!」

「おいおい、俺が『時間を操る』って話、聞いてねぇのか?」

「……は?いや、まさか…!!」

 

愕然とした表情を見せる男達。

 

そう。俺は今の一瞬の間に、朝のトレーニングの時に発動したような自分の生きる時間の流れだけを遅くさせる状態になり、その上で自分自身の時間を加速してブーストを行ったのだ。

こういう『禁手』を使うには狭い空間とかで良く使うんだよな、この方法。

 

……っつーか、ブーステッド・ギアってやっぱ破格の性能過ぎるよな。

並の神器なら倍加して壊せるとか。流石は二天龍の一角。

最近アル中気味だけど。

 

「その壁も、もう壊せるくらいにはなってるはずだぜ。降参するってんなら命までは取らねぇよ。代わりに情報を貰うがな」

「…はんっ、命?そんなモノ、悲願の達成の前には何の価値もないな」

「あぁ、そう。じゃあさよならだ悪魔たち。そして人間」

 

『気』を圧縮し、砲弾として放つ。

悪魔たちと俺を隔てていた壁を貫通し、『気』の砲弾は三人を跡形も無く消失させた。

 

『Release』

「ふぃー。久しぶりに戦闘中にブーステッド・ギア使ったり時間操作したせいで、なんかどっと疲れたわ」

『ここ最近は『気』での強化で事足りるのが多かったからな。それにこんな狭い場所で俺の力を使ったんだ、そのせいで余計に疲れたろ』

「だなー。ま、相手さんは戦う場所なんざ選んでくれねぇのさ。――帰ったら風呂までちょっと寝るか。気疲れしたわ」

 

そう呟き、家に戻る。

出迎えてくれたアーシアと黒歌に風呂が沸いたら起こしてくれと告げて、自室のベッドへ一直線。

倍加と、上昇した力が一気に抜けていく感覚。

久しぶりのその感覚に、かなり疲れた。

明日からは倍加と解除の感覚になれる特訓もしなくちゃな、と考えながら、俺は一度眠りにつくのだった。

 

※―――

 

『(相棒。客が来たぞ)』

「……ん、あぁ…?客?」

 

ドライグに起こされ、目を覚ます。

まだ眠りについてから少ししか経っていないはずだ。というか時計を見ると二十分も経っていない事がわかる。

 

しかし、客。一体誰が来たというのだろうか。

誰だろうとこの時間帯に来るのはちょいと非常識だと思うが。

 

そんな事を考えながらのそのそと体を起こして、ようやく気づいた。

部屋が何故か明るい。電気は勿論つけていない。

輝きの中心は、部屋の床。

 

見るからに魔法陣が輝いている所だった。

 

「は?魔法陣?」

 

マヌケな声を出しつつも、魔法陣を読み解く。

眠気はすっかり吹っ飛んでしまった。

 

で、この魔法陣……グレモリー?

 

俺が脳内で魔法陣の正体を看破すると同時、光がさらに強くなる。

そして一瞬視界が光に埋め尽くされた後、そこには何故か部長が現れていた。

神妙な面持ちで、俺を見つめている。

 

なんだろう。言いようも無く嫌な予感がする。

なんだっけ、原作でもイッセーがこんな状況に直面していたような。

こういう時に、あまり記憶が定かではない自分が恨めしい。

でも何百年間も過去に読んだ物語の内容を覚えていられるヤツなんて絶対いないと思う。

 

「…えぇと、部長?何か御用で?」

「いきなりだけど輪廻。お願いがあるの」

「は、はい?」

 

どちらかというと悪魔である部長の方が、俺の願いを叶える立場だと思うんだけども。

そんな冗談を頭の中で考える余裕がある自分にちょっと驚きつつ、俺の方へ近づいてくる部長から少し体を離す。

 

いやいや、悪魔からのお願いって怖いんですけど。

俺部長から魂よこせとか命よこせとか言われても抗いきれる自信ないぞ。

 

「―――輪廻。私を抱いてちょうだい」

「……は、はぁ!?」




【神器紹介】

捕縛の鎖(マーダー・スネーク)
・先端が分銅のようになっている一本の鎖。一度狙った相手を掴むまで追跡を続け、捕らえた後は決して離すことなく生命力を吸収し殺す効果を持つ。
しかし捕まる前なら破壊可能な上、追跡は使用者の意志ではなく神器が自動で行う等の弱点が多く存在する。
因みに追跡中に他の相手に狙いを変える事も、二本目を放つことも不可能。

出入り禁止の尋問室(ホープレス・ジェイル)
・作中で輪廻の攻撃を一度受け止めた神器。防御系と言われていたが、実際は使用者が望む範囲内に閉じ込め、使用者の問いかけに答えない限り解放されないという物。
しかし実力差があれば捉えられない上、選択できる範囲や『部屋』の堅牢さは使用者の実力に依存してしまう為、持つ者が弱ければ意味のない神器。
作中では、仲間に対して自分も中に入る範囲で発動して盾にしていた。




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