アリス、魔理沙、光の三妖精が出てきます。
三作目は上海人形目線のお話です。
前回の反省を活かしてポエムのようにはならないようにしつつ、読みやすくなるように心がけました。
まだまだ拙い文章ですが、どうぞよろしくお願いします。
「――上海、少し手伝ってほしいことがあるんだけどいいかしら?」
「シャンハーイ!」
ご主人様に名前を呼ばれた私は急いでそのもとへ駆けつけました。
「あら、そんなに急ぐことはないのに。まったくせっかちな娘ね。でもありがとう」
「シャンハーイ!」
そう言いながらご主人様は笑顔で私の頭を撫でてくれました。それが嬉しくて、私はまた大きな声で返事をしました。
「じゃあさっそくなんだけど、蓬莱と一緒にこの薬を魔理沙のところに届けてくれるかしら」
「シャンハーイ」
お安いご用です、と返事をした私を見てご主人様はまた頭を撫でてくれました。そしてご主人様は私とすでに屋敷の入り口で待っていた蓬莱に薬の入った籠を渡し、
「それじゃあ頼んだわよ。気を付けてね、上海、蓬莱」
と、手を振りながら見送ってくれました。私と蓬莱もご主人様の期待に応えるべく、大きな声で返事をしながら今回のお使い先である霧雨魔法店へと出発します。
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
☆
「シャンハーイ♪ シャンハーイ♪」
「ホラーイ♪ ホラララーイ♪」
私と蓬莱は歌いながら薄暗い森の中を進み、霧雨魔法店へ向かいます。ご主人様と私たちが暮らす屋敷とお使い先の霧雨魔法店はこの魔法の森の中にあります。ここには魔力の宿ったキノコがたくさん生えていて、魔法使いには適した場所なんだとご主人様が言っていました。だけど、魔法使いでない人間や妖怪たちはそのキノコの胞子が体を蝕んでしまうらしく、私たちや魔法使いの霧雨魔理沙さん以外に森に住んでいる人妖はほとんどいません。せいぜい妖精か森の入り口にある『香霖堂』店主の森近霖之助さんくらいです。
そんなことを考えていたからなのか、目の前に金色の縦ロールの髪を持った妖精の姿が見えてきました。
「あら、確かあなたたちは森に住んでる魔法使いのとこの人形じゃない。こんなところで何をしてるの?」
「シャンハーイ、シャンハーイ!」
「ホラ、ホララーイ!」
「ちょっと何を言ってるのかわからないわね……。あ、それよりもあなたたち、サニーとスターを見なかった? また私一人だけ置いてかれちゃったみたいなのよ」
「シャンハイ、シャンハーイ……」
「ホラーイ……」
知りません、と私たちは首を横に振ると今回は彼女も私たちの言ったことを理解したらしく、
「そう……、なら仕方がないわね。もう少し自分で探してみるわ。たぶん人里の方で人間に悪戯でもしに行ってるんでしょうしね」
と言って森の入り口の方へ向かっていきました。私たちは去っていく彼女に向かって手を振りながら
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
と言って見送り、また霧雨魔法店へと向かい始めました。
☆
30分ほど森を歩いていると、木製の少し大きな家が見えてきました。よく見るとその家の屋根には『霧雨魔法店』と書かれた看板があり、そのすぐ近くに『なんかします』と書かれています。私と蓬莱はその家の玄関の前に立ち、そのドアをノックしました。
「はーい、今行くんだぜー。お、アリスのとこの人形じゃないか」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
こんにちは、と私たちはここの家主である魔理沙さんに挨拶をします。彼女はご主人様のお友達で、おさげのある長い金髪と白黒の山高帽が特徴の人間の魔法使いです。こうして近くで見ると、ご主人様に負けず劣らず綺麗な人で人形の私も少し照れてしまいます。照れ隠しをするように私は蓬莱と一緒に薬の入った籠を差し出しました。
「シャンハーイ!」
「ホウラーイ!」
「ん? それを私にくれるのか?」
「シャンハイ、シャンハイ!」
そして私たちは彼女に籠を渡すと、魔理沙さんは籠の中身を調べ始めました。
「お、これはこの間アリスに調合を頼んだ魔法薬じゃないか。わざわざお前たちが届けてくれたのか、ありがとうな」
「シャンハイ!」
「ホーライ!」
彼女に笑顔でお礼を言われた私たちは嬉しくて、大きな声で返事をしました。
「さて、じゃあ薬を作ってくれたアリスとそれを届けてくれたお前たちに何かお礼をしなくっちゃな。そうだ、少し中でお茶でも飲んでいくといいんだぜ」
「シャンハーイ」
「ホラーイ」
お言葉に甘えます、と私たちはお店の中に入ります。店内はとても散らかっていて、お世辞にも綺麗と言える状態ではありませんでした。そして店のスペースとは別の、おそらく客間であろう部屋に通された私たちはテーブルの前にある椅子に腰を掛けました。
「いま紅茶を入れてくるから少しここでくつろいでてくれ」
魔理沙さんはそう言うと部屋を出ていきました。彼女を待つ間特にすることもなかった私たちは部屋の中を見回したりしていました。しばらくして、紅茶とクッキーのいい香りとともに魔理沙さんは部屋に戻ってきました。
「待たせたな、さあ召し上がれ」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
いただきます、とさっそく私たちは紅茶をいただきました。ほのかにベルガモットの香るミルクティーが鼻と舌を包み込み、なんともいえない心地よさを感じます。焼きたてでまだ少し暖かさの残るクッキーもミルクティーの甘さを考慮してなのか、控えめで上品な飽きの来ない甘さが食指を進めます。人形だっておなかは減るんです。
そのうちクッキーも無くなり、再びミルクティーを飲み落ち着いたところで私たちは魔理沙さんにお礼を言いました。
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
「喜んでくれたみたいで嬉しいぜ。アリスとほかの人形の分も作っておいたから帰りに持って帰るといいんだぜ」
そうしてティータイムを終わらせた魔理沙さんは私たちにクッキーの入った包みを入れた籠を渡すと、
「またいつでも来るといいんだぜ、今度はアリスの奴も一緒にな」
そう笑いながら手を振る魔理沙さんに私たちも、
「シャーンハーイ!」
「ホーウラーイ!」
と大きく手を振り別れの挨拶をしました。
そして私たちは大好きなご主人様の待つ屋敷へと帰ります。
☆
帰る途中、またあの金髪の妖精の姿を見かけました。今度はその仲間の妖精二人と一緒にいます。どうやら見つかったみたいでよかったです。
「で、今日は二人でどんな悪戯をしていたの?」
「今日は落とし穴を掘って人間を落とそうとしたのよ! それなのにスターが間違えて太陽の畑の近くに穴を掘るもんだから……」
「風見幽香が怒って飛んできたのよ、本当に死ぬかと思ったわ……」
そんなやりとりをする妖精たちは私たちに気が付くことなく去っていきました。そして森を進んで行くととうとうご主人様の待つ家にたどり着きました。家の中に入った私たちは大きな声で、
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
と言うと、ご主人様が出てきました。そしてご主人様は私たちの前に立つと、
「お帰りなさい、上海、蓬莱。ちゃんとお使いしてきてくれたみたいね、ありがとう」
と笑顔で私たちを抱き寄せて頭を撫でてくれました。私も蓬莱もそれが嬉しくて、自然と笑みがこぼれます。
「あら? 籠に何か入っているみたいね。何かしら?」
「シャンハイ!」
私は魔理沙さんいただいたクッキーの包みをご主人様に渡しました。
「ホララーイ!」
「そう、魔理沙が作ってくれたのね。それじゃあとでみんなでお茶の時にでもいただきましょう」
「シャンハイ、シャンハーイ!」
「ホーライホラーイ!」
「あなたたちも魔理沙のクッキーが気に入ったのね。また今度いっしょに魔理沙の家に行きましょうね」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
――こうして今日の私とのお使いは終わりました。妖精と話したり、魔理沙さんのおいしい紅茶やクッキーをいただけたのはとても嬉しかったし楽しかったです。けれど、今日のお使いで一番嬉しかったことはご主人さまのお役に立てとことと、頭を撫でながら褒めてもらったことです。
私の大好きなご主人様。そんなご主人様やほかの人形の仲間たちと一緒に暮らせるそんな生活が今の、そしてこれから先の私の幸せです。
いかがでしたでしょうか。
上海人形目線ということもあって、地の文にはかなり苦戦しました。※ちなみに上海人形含むアリスの愉快な仲間たちは半自律人形の設定です。わかりづらくてすみません……
こんな稚拙な作品ですが、面白いと思っていただけたなら幸いです。
余談ですが、ルナチャイルドと上海人形ってかわいいですよね。
私自身はこいしちゃん推しなのですが、自分の好きなSSの影響もあって上海人形が好きになりました。ルナは三月精の影響です。
さて、タラタラと後書きが長くなってしまったのでこれで失礼します。
ありがとうございました。