ある紅魔の文学少女と生涯を掛けた勝負に祝福あれ   作:ツーと言えばカーな私

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 あるえさんとかセシリーさんとか、準々サブキャラに惹かれてしまう作者が通ります。
 因みに、最初の話は毎度毎度短めに書いてしまうので、少し読み足りないかもしれません。



ある紅魔の文学少年少女のことである

『 ここは、何処…だ?

 

 男は目の前の光景に、言葉を失うほどに圧倒された。

 淡く光る看板、映像が投影された壁。見たこともない格好の人々。動く鉄塊。目からは光が道を照らしている。

 

 見たことのない光景、物品に目を輝かせる半分、知らない土地に来訪し、未知の恐怖がドッと押し寄せる。なにせ、先程まで自分は得意の魔法を使い、雨を降らせ、農作に勤しんでいた。手には杖、もう片方には愛読している暇つぶし用の本。

 自衛は出来そうだ。

 

       』

 

 「ん?ちょっと待ってくれ。この男は自分で雨を降らしているのに、その中で本を読んでいたと言うのかい?」

 

 手に持った原稿から一旦目を離し、彼女が問いかけてきた。

 

 「ぁー……そうさ。彼は、自分の魔法の効果範囲外で作業を行なっていたんだ」

 

 「咄嗟に考えた言い訳としては良いかもしれないが…そもそも、この男が本を持っている必要性あるかい?自衛が出来る、という事を書きたかったのなら、要らなくないか?あと、物語の突入が突発過ぎやしないか?」

 

 「…ふむ。確かに、この男が本を持っている必要はなかったな。だが、思いもよらぬ形で助けになるかもしれないだろう?それに、物語は突発な始まり方でも良いのさ。読者が何故?と疑問を抱くからね。物語の中で、主人公の視点を読者の視点と共有する事で、物語に引き込ませる寸法さ」

 

 「成る程ね。聞くが、思いもよらない助けとはなんだい?」

 

 「これはそもそも、ファンタジーな異世界に飛ばされてしまった男の、奇想天外な日常生活をメインとしているからね。この後、主人公がとある男の家に居候する事になるのだが、居候される男からすれば、異世界の本というのは文字が読めなかったとしても気になるだろう?私だって気になる。そこから会話が生まれ、作者が予想だにしなかった派生の小話が生まれ、物語に新たな脚色がされる」

 

 「作者が助けられるのか…」

 

 「そういう風に、自分の撒いた布石で物語は面白くするものさ」

 

 「成る程ね…悔しいが、勉強になるよ」

 

 「どうだね?私の小説の方が上だと認めたかね?」

 

 「ふっ。それは時期尚早だな。まだ君の小説は冒頭しか読んでいない。じっくり読ませて貰うとするさ。君も、私の手掛けた小説を読んでいてくれ。後に、より精微な評論を行うからね」

 

 これから更なる粗探しが行われるのだろうな…と、彼女の目が動き出した。

 常にしていた眼帯を外し、端正な顔立ちの全貌が見える。それなりに本気に読んでいるのだろう。自分の小説が真剣に読み込まれていることに少し喜ぶが、何せ相手は私の生涯のライバル。どんな評価がされるのか、油断はしていられない。

 

 彼女が読んでいる間、私も彼女から手渡された分厚い原稿用紙を読み込む。

 手に持った感じからして、私よりも執筆量は多い様だ。

 字数では負けが確定したが、駄文まみれの可能性…というのは、あまりないだろう。まだ、彼女は小説を書き始めてそれほど時間は経っていないが、彼女の文才は認めてはいるからな。

 まあ、文字数だけが全てではない。要は中身と、文繋ぎの違和感のなさ、キャラクターの魅力、その他諸々だ。

 

 

 

 

 

 彼女との相互小説交換批評会は夜を跨いで続いた。

 

 今現在、私と彼女の批評が終わり、紅く光り輝いた目を、ミルクと砂糖を大量に入れたコーヒーとも言えないカフェオレを飲みながら冷ましていた。…んー、甘くて美味しい。

 

 「ふむっ……どちらの小説も及第点…か。私も…まだまだだな。しかし、勉強になったことも多い。やはり、しゅみけしは我にとって運命に定められた宿敵(ライバル)というわけか」

 

 「何せ、アレだけ大見得を切っておいて、あっさりと抜かれてしまってはつまらんからな。私も本気で相手せねば失礼だろう?」

 

 「流石、我が宿敵。分かってるじゃないか。私も今回は全力で書いたつもりだが…ここまでダメ出しをされるとは思わなかったよ」

 

 「それは私も同じだ。お互い、まだ作家を始めてひよこに等しい…運命のライバルという立場にありながら切磋琢磨し合う間柄だ。これからもよろしく頼むよ」

 

 「あぁ、こちらこそよろしく。ふふっ…だが、今回は私の小説が上ではなかったか?現に、君の指摘は私の指摘よりも少なかった」

 

 「量よりも質という言葉があるのを知らないのか?つまり、君は欠点が少ないが、その欠点が大きいという事を自覚してくれ。それとも、次は魔法勝負とでも行こうか?」

 

 「いいじゃないか。我が魔力を以ってして、君に自覚させよう。ついでに、この眠気を覚ますとしようか!」

 

 朝、それは暖かな日差しの差し込みではなく、私たちの魔力のぶつかり合いによって生じた爆発から始まった!

 

 当然の如く、近隣住民からは苦情が届き、私とあるえは両親にお灸を据えられることになる。

 

 

 これが、しゅみけしとして転生した私の物語、その一片である。

 

 

 

 

 

 「はぁ…全く、私の両親にも困ったものだね。確かに私たちが悪かったが。遅刻するギリギリまで怒ることないだろうに」

 

 「それが私たちの罰という訳さ。あるえ。素直に受け入れよう」

 

 「しゅみけしはこういう時、往生際が良いな。もう少し愚痴を言っても良いものだぞ?私が許そう」

 

 「あるえが許したところで結局意味がないではないか。それに、いつも私に責任転嫁をしてくるのは誰だ?」

 

 「私だが?」

 

 「君に愚痴を言う方が効率的だね。私の悪感情も悪魔に向かうこともないだろう」

 

 「ほう?言うじゃないか」

 

 チラッとこちらを睨む姿が少し恐ろしく感じる。紅魔族随一の発育を謳っている彼女は、胸もさることながら身長も同年代と比べて高い。そんな彼女から睨まれれば、彼女よりも少し背の低い私は恐怖に竦むしかないのだ。

 これ以上、墓穴を掘る前に話題を変えた。

 

 「そろそろ走った方が良くないか?」

 

 「急に話題をそらすじゃないか。これ以上聞かれたくないのかい?」

 

 「逸らしてなんかないね。元々、遅刻ギリギリだと言ったのは君だぞ」

 

 「ふむ…確かにそうだね。では、乗せてもらうとしようか?」

 

 「本気で言っているのか?」

 

 「どうせ私と並走するより、私を抱えて走った方が早いだろう?というか、君知ってるだろう。私は、あまり走りたくないんだ」

 

 「胸の靭帯があちこち引っ張られて痛いからか…」

 

 「私は紅魔族随一の発育。当然の悩みさ」

 

 「……運び方は?」

 

 「おんぶ」

 

 「……お前は男の気持ちを考えたことのない無自覚ビッチか…」

 

 「男として、役得だと思うがね?」

 

 「…はぁぁ、まあいい。乗れ」

 

 少し屈んで、あるえに背を向ける。

 

 「それじゃ、お邪魔させてもらおうかな。よいしょっと」

 

 ギュム

 

 背中の辺りに今まで感じたことのない感触が広がるが、今は無視だ。後で思い出して堪能しておけばいい。

 

 「さあ、行きたまえ我が使い魔しゅみけし!呉々も遅れないようにな!」

 

 「君のその態度は一体どこから湧いてくるんだ?」

 

 普通に重いが…まあ、なんとかなりそうだ。

 こういう時、少しでも自分の背中に当たっているものが小さくなって軽くならないかな…と願ってしまうのは、世の紳士的な男性達にとってはナンセンスだろうか。

 

 

 

 ゼェ……ゼェ…ゼェ………ハァァ……。

 

 「しゅみけし、確かに人1人分を背負って走るのは辛かっただろうが…そこまで息切れるものかね?」

 

 「君は、紅魔族随一の発育を謳っていながら…ッハァ!予想していなかったのか…!うっ…。私よりも背の高く、そこまで要らない脂肪が詰まっている君は…はぁ……。重いんだよ」

 

 「女性に対して中々失礼じゃないか?流石の私も傷つくぞ」

 

 「確かに失礼なのは自覚しているが、途中から首を締め付けてきた君へのちょっとした仕返しだと思ってくれ」

 

 「アレは、君があまりにも雑だから振り落とされないよう仕方なく…さ」

 

 口減らずな彼女を少し睨みつつ。もう少し鍛えるか…と自分の中で考える。あぁ…けど執筆の時間と取材の時間が消えるなぁ…。これは、彼女の巧妙な手口の妨害行為か…まあ、そんな訳もないか。今までだって、彼女が執筆活動を妨害してきたことはなかったのだし。

 

 「取り敢えず、私はもう自分のクラスに行くぞ。君も自分のクラスへ行ってきたらどうだ?」

 

 「あぁ、そうさせて貰うよ。それじゃあ、また昼休みに」

 

 「あぁ。またな」

 

 そう言って彼女とは教室に別れていった。男子と女子でクラスが分けられているので、そこは有難い。彼女といると小説の構想を練るのは捗るが、それ以外だと疲れるからな…。

 

 自分の教室に入り、いつもの席に着く。

 すると、前の席に座っている友人が揶揄いがてら話しかけてきた。

 

 「なぁ、しゅみけし、お前またあるえと登校してきただろ。しかも、おんぶまでして…こっから見えてたぞ」

 

 「あぁ、そうだよ。彼女とは夜通し小説の批評会を行なっていたからね。それに、今日は遅刻ギリギリだったから彼女を私が背負ったんだ。まぁ、背負えと言ったのは彼女だが」

 

 「羨ましいなおいおい!それで?胸の感触はどうだったんだ?」

 

 「巨乳娘の話関係になるとお前は感触しか聞かないな…もっとこう、肌のきめ細かさとか聞かないのか?描写の練習にもならんぞ。どうせ、柔らかかった。母性を感じた。ぐらいの文しか出てこないんだからな」

 

 「お前の着眼点こそ、マジで可笑しいと俺は思うがな…。にしても、やっぱり柔らかかったのか…!くぅー!羨めしい!!」

 

 「まぁ、男としては確かに思うところはあったが…」

 

 「俺も小説書き始めたら、あるえと夜通し一緒にいられたりすんのかな!」

 

 「……正直、本気で書かなきゃ彼女の目にかかれないぞ。『作家は適当に書いてなんぼ』だと彼女は言っていたが…そういう意図をもつなら期待しないほうがいい。彼女は興味ないからな、そういうの。あと、お前が本気で書いたとしても待っているのは少しの褒め言葉と、聞いててキッツイ指摘の数々だ。彼女も私も、本気でやっているから批評会など出来る。…まあ私たちの勝負の契りがあってこそだろうが。作家が増えるのは私としても嬉しいが…根も葉も知らないような状態で小説を書くと痛い目に遭うぞ。最初は簡単な純文学を読んで、雰囲気だけでも感じて学んでみたらどうだ?」

 

 そう助言を施すが、前の席の相手はあまり良い顔をしない。

 

 「マジかぁ…本を読むこと自体は嫌いじゃないんだけどな…どうしても時間が取れているようで、めんどくさいんだよなぁ…」

 

 「なら、諦めろ」

 

 「辛辣だな!こういう時のお前!もう少し俺を奮い立たせろよ!」

 

 

 

 




しゅみけし

今作の主人公。前世からハーメルンにて活動を行なっている齢16年のss作家。
主人公の世界に このすば は無く、原作知識は無し。
オリジナル小説もいくつも出してるも。精々がオレンジか黄色評価止まりの中堅。
作家になりたくとも、現代のこの世で、自分の実力では生きていくことは無理だと信じ込み、趣味の範囲で執筆していたが、バスガス爆発したため他界、それなりに良い転生特典を持って紅魔族として転生した。
異世界、しかも種族がそもそも魔力チートときたので、この世は楽勝だと思い込み、そのまま本気で作家を目指そうとする。
因みに、紅魔族として生まれたのはアクアのミス。紅魔の独特な感性にはもう慣れた。(現在12歳(精神年齢は16のガキのまま))
あるえとは、なるべくしてライバルになった。(主人公が喧嘩腰)(尚、タグ)


アクアさんって、こういうドジしてくれるから大分物語に緩急つけやすくてかなり好き。キャラ的にも、作品的にも。

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