転生時の要望が違う形で受け取られた件   作:篠白 春夏秋冬

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前回投稿後に書かれた感想のおかげで気持ちが昂りとても筆が進みました。

来週は忙しいので週末投稿のみです。


47話: 踊る傀儡師(アリア) Side-T

 開会の宣言の後はクレイマンの独壇場だった。

 

 リムルを含む魔王達を見回して満足そうにしながら、得意げに演説を始める。

 

 曰く

 

 

 

 一つ、魔王カリオンがリムルを唆し、魔王を名乗るように仕向けた。その証拠として、カリオンの軍勢が俺達の町に滞在している。

 

 一つ、ファルムス王国を焚き付け、ジュラの大森林へと侵攻させた。それを迎え撃つべく俺達に協力を申し出て、それを理由に人間へと手出しした。

 

 一つ、ファルムス王国に勝利したリムルが魔王を僭称し、カリオンが裏でそれを支援する。

 

 

 

 この様な勝手な真似は、魔王間の協定違反である、という訳だ。

 

 クレイマンの言い分は時系列を完全に無視したイチャモンなのだが、それを証明するのは難しい。思った以上に理論武装されていた。

 

 しかも、こうした一連の動きが魔王間でのジュラの大森林への相互不可侵条約撤回と同時であり、これは言い逃れできぬとほざいている。

 

 こちらとしてはそんな事情は知ったことではないのだが、更にクレイマンは言い募る。

 

「とこのように、私は証言を得たのです。ですが、それを知らせてくれた私の配下ミュウランは、そこのリムルという痴れ者によって殺されました。そこで私は復讐を決意したのですよ」

 

 まさに名演とでもも言うべきクレイマンの熱演に、俺までほろりと―なるわけがない。実際に手を下したのは俺だが、ミュウランは生きてるし。

 

「そこのリムルは、カリオンと共謀して私を殺そうとしていました。ミュウランが最後の力で、私に「魔法通話」で知らせてくれたのです」

 

 そう言って、クレイマンは感極まった様な仕草をする。今回の襲撃やミリムを殴った件もあって俺の中での印象が最悪であるためか、見ていてなんとも腹の立つ演技だった。

 

 それにしても、リムルがクレイマンを殺し、魔王の座を奪おうとしていた、か。

 

 しかもそれを企画したのがカリオンだなんて、そんな話をよくぞ思いつくものだ。

 

 カリオンの方をこっそりと伺うが、特に反応はない。

 

 強いて言えば、フレイが苦笑いしているような気がする。

 

 まぁ、カリオン一人では思いつきそうもない無駄に複雑な計略だ。事情を知っているであろうフレイからすれば当然な反応なのかもしれない。

 

 その後もクレイマンの話は続いた。

 

 なんだかんだと言っているが要するに、カリオンが裏切った。それに激怒したミリムが獣王国ユーラザニアを滅ぼし、カリオンは死亡したと語っている。

 

 ミリムの行動はクレイマンを思ってのことだったが、証拠もないのにそれは不味いとクレイマンが窘めたのだという。それ以降ミリムはクレイマンを慕い、頼りにしてくれるようになったとかなんとか……

 

 正直なところ、ミリムの扱いに関しては困っているところだが、大切な存在であることには違いないし、くだらない言い訳の材料にされているのは非常に不愉快だ。

 

 思わず手が出そうになったが、しっかり堪え表情を取り繕う。

 

 ギィのやつのニヤケ顔が腹立つな。

 

 俺の心情に気付いたのだろうが、そんなに人の修羅場がおかしいか? 

 

 いっそのこと白氷宮で修羅場をおっぱじめてやろうか……

 

 ともあれ意識をクレイマンの話に戻すと、リムルとカリオンが繋がっていたという証拠を確保する為に、部下を殺されたクレイマンが出兵した、そういう話だった。

 

 ついでに、自分を殺して魔王を名乗ろうとしたリムルが気に食わないらしく、この宴での処分まで提案する始末。

 

 ここまで自分に都合の良い筋書きを、よくぞ描けたものだと感心する内容になっていたのである。

 

 本当にクレイマンの話は長かった。

 

 おかげでシオンがうつらうつらとしている。

 

 ディーノも顔をふせているため、魔王達は邪魔さえしなければ問題ないのだろうが、従者が寝るのはさすがに問題にならないだろうか。

 

 ……不安だ。

 

「以上で、私の話は終わりです。これで皆様にも御理解頂けたと存じますが、そこのリムルなる卑小な魔人は、魔王を僭称する愚か者。粛清するのが宜しいかと」

 

 リムルが卑小な魔人呼ばわりされることでシオンも目覚めたし、ひとまず安心だ。

 

 おかげでいい感じに緊張もほぐれたし、ここでは何も言うまい……

 

 魔王達の宴(ワルプルギス)が終わったら説教だけど……

 

 クレイマンの説明が一段落したことで、レインがリムルへと視線を向ける。

 

「それでは次に、来客よりの説明となります」

 

「クレイマンだっけ? お前、嘘つきだな」

 

「何ぃ?」

 

「ぶっちゃけ、俺は魔王なんざどうでもいいんだよ。カリオンさんが俺を唆したってのも出鱈目だし、ファルムス王国は勝手に欲をかいて攻めてきただけだしね。この二つには、何の関連性もないんだ」

 

 リムルの言葉にクレイマンはイライラしたように睨んだ。

 

「ハンッ! そんな言い訳だけで、誰が信じるというのだ。こちらは手下を殺されているのだぞ?」

 

「ミュウランだろ? 彼女は今も生きているよ」

 

「ハッ! 何を言うかと思えば」

 

「まぁ聞けよ。お前の言い分はさ、ほとんどが証言とお前の推測でしかない。格下の者が相手ならそれでいい通せたのかもしれないが、俺には通用しないぞ。お前の言う証言をしたっていうミュウランは、俺の保護下にある。だから手出しは許さんし、お前の証言の信憑性など無きに等しい」

 

「フフッ、そこまで卑劣な真似をするか。ミュウランの死体に細工し、悪霊でも取り憑かせたか?」

 

 そう、これが問題だ。魔法のあるこの世界では生死の偽装が割と簡単に出来る。それは証言だけでは何の信憑性もないということの裏付けなのだが、クレイマンは自分の発言の意味に気付いていないのだろうか? 

 

「まあ、お前が何を言っても信じないとは思っていたさ。だから直接ぶちのめそうと思っていたわけだが、少し気が変わった。この宴が始めるまでに、俺の仲間が証拠を集めてくれたんでね」

 

 リムルがそう言って見下す様な笑みを浮かべて見せると、クレイマンは激昂した。思ったより単純な奴だ。

 

「何がいいたいのです? それ程死にたいのならそう言えば」

 

「だから慌てるなよ、クレイマン。証拠があるって言っただろ?」

 

 リムルがクレイマンの言葉を遮り懐から幾つかの水晶球を取り出して円卓の中央へと送ると、その効果を発動させる。

 

 それらは映像を記録する水晶球であり、先程終結した戦場での出来事や、豚頭帝(オークロード)の件で暗躍していたゲルミュッドの視点での映像まであった。

 

 明らかに身体を操られた様子で許しを請いながら暴風大妖渦(カリュブディス)のなり損ないへと姿を変質させるクレイマンの配下や、ゲルドやフォビオの前でクレイマンと中庸道化連の繋がりを示す会話をする道化達。

 

 道化達の会話で出てきた「あの方」という呼び名から察するに、俺達とヒナタを戦わせるよう暗躍していた何者かはクレイマンをも操っていたらしい。

 

「これが証拠ってもんだよ、クレイマン」

 

 証拠となる映像の確認を終え、リムルが勝ち誇った笑みを浮かべてやると、クレイマンは怒り始めた。

 

「ば、馬鹿なっ! こんなものは出鱈目だ! 魔法で作った偽の映像をハッタリに使うなど、程度の低い真似をするなよスライム‼」

 

「ハッタリじゃねーよ。お前の軍は潰したぞ。次はお前の番なんだよ」

 

「み、皆様、騙されては駄目ですよ! このリムルというスライムは、ハッタリを得意としてるのです。ヴェルドラの封印を解いてファルムス軍を滅ぼしておきながら、それを自分の力として誇示しているだけの小者なのですよ! こんな奴に、栄光ある魔王を騙らせるなど言語道断でありましょう!」

 

 必死に熱弁するクレイマンだが、こんなときにも他力本願とは、こいつの方こそ真性の小者だろう。

 

「おい、クレイマンよ。貴様はさっき、そこのリムルがファルムス王国を焚き付けたと言っておっただろう? ヴェルドラの復活が事実として、何故そんな回りくどい真似をする必要があるのだ?」

 

「そ、それはですね……」

 

 おや、思わぬところから質問が来た。

 

 ダグリュールが重々しく問いただすのに、クレイマンは一瞬悩む素振りを見せたが、覚悟を決めたのか口を開いた。

 

「いいでしょう。では、説明しようではありませんか」

 

 そしてクレイマンは、身振り手振りを交えて大仰に、その理由とやらを説明し始めた。

 

人の魂を集めることで、真なる魔王へと覚醒する

 

 他の魔王に抜け駆けされたくなかったのか秘匿したい情報だったようだが、ダグリュールに問われたことで、納得させるには開示するしかないと説明に踏み切ったのだろう。

 

「この物を知らぬ下等なスライムは、幸運にも魔王の種を得たのでしょう。それで調子に乗って、人間の世界でその真実を調べたのだと思われます。そして自分勝手にも人間達と戦争まで引き起こし、封印されていたヴェルドラを利用して大虐殺を行った。この様な者を野放しにしては、我等の魔王としての格も落ちるというもの。粛清せねばならぬと考えますが、如何に⁉」

 

「だからよ、証拠を出せよ。出せないだろ? お前のはな、だったらいいなっていう願望なんだよ。そんなんじゃあ、誰も納得しないって言ってるだろ?」

 

 憎々しげにクレイマンがリムルを睨んでいるが、そんな事は関係ない。

 

 しかし、そろそろ俺も眺めるだけで我慢するのも限界だ。

 

 何かできる事はないだろうか…

 

「クッ……舐めるなよ、邪竜の威を借るスライムが! 貴様如きが魔王になれる訳がないのだ‼」

 

「スライムがどうとか関係ないし、ヴェルドラは友達だし。お前のクソつまんねー話を聞きに来てるんじゃねーんだよ。そろそろいいだろう? 認めろよ、お前の指示で暴風大妖渦を復活させた証拠は、そこに映っているフォビオって魔人が証言してくれるぜ? あの道化達から提案された、ってな。そして今、お前の配下が暴風大妖渦へと変身して暴走した。これが、明確な証拠ってもんだ。ハッタリと思うならそれでもいいさ。そう思ったまま、死ね」

 

 リムルが隣の空席の椅子を蹴り上げて立ち、クレイマンに凄む。

 

 そして何気ない動作で目の前の円卓の一部に触れると、一瞬にして大きな円卓が消え去った。

 

 「暴食之王(ベルゼビュート)」で「胃袋」へしまっただけだが、顔を伏せていたディーノが受け身も取らずにそのまま落ちていく。

 

 リムルも流石に何もせずに落ちるとは思ってなかっただろうし、責めることはしないが、ディーノは糸で縛って席に座らせておく。

 

 そうこうしている内に、蹴り飛ばされた椅子がクレイマンの後方の壁に激突し大きな音を立てた。

 

 魔王達は平然としたものだったが、クレイマンは動揺していた。

 

「皆さん、こんな奴の暴挙を赦してもいいのか⁉ こいつは魔王を舐めている。全員で制裁するべきではないですか⁉」

 

 全員で、ときたか。

 

 思った通り、真性の小者だったようだ。

 

 リムルはゆっくりと椅子に囲まれた円形の空白の中心部へと進む。

 

「確かにな。さっきも言ったけど、俺は魔王なんざどうだっていいんだ。俺は俺が楽しく過ごせる国を作りたいだけでね。それには人間の協力が必要不可欠だし、だから人間を守ると決めた。それを邪魔する者は、人も魔王も聖教会も、全て等しく俺の敵だ。クレイマン、お前のようにな」

 

 そしてクレイマンよりも熱心に、魔王達の前で理想を語る。

 

「何を」

 

 と、ここで一つひらめいたことを実行すれば全員が驚愕するだろうが、こっちもいい加減ストレスに耐えかねているのだ。

 

 少しくらい口出ししてもいいだろう。

 

「ところで、ギィ。先程魔王クレイマンは暴挙と言っていたが、魔王達の宴では、相手に精神支配を掛けながらの応対をするのはありなのか?」

 

 魔王とその従者の視線が一斉に俺に集中する。

 

 皆一様に驚愕をあらわにしており、思惑通りに行って気持ちがいい。

 

 急に動いた俺にギィはわずかにキョトンとしていたが、直ぐに面白そう笑った。

 

「そうか、そういえばお前には、そういう類のものは効かないんだったな。お前の質問に答えるなら、答えは否だ。この場では全員に公平なように、自分の言葉でのみ、相手に訴えかける事を是としている」

 

 やはりというかなんというか、精神支配はご法度らしい。

 

 リムルは智慧之王(ラファエル)が守っているし、俺は以前からだが耐性が強固で効かない。シオンも「完全記憶」によって精神系の攻撃がほぼほぼ効かないのでこちらへの精神攻撃は無駄である。

 

 そう考えると俺達との相性が悪すぎてちょっと同情してしまいそうだ。

 

 まぁ、関係なく殺すが。

 

「ギィよ、この様な小者にあの様な口の利き方を許すと言うのか⁉」

 

 衝撃から立ち直ったのかクレイマンが喚き出す。

 

 対するギィは冷静だった。

 

「俺が誰にどういうふうに話させようがお前には関係ないだろう?」

 

「何を……あの様なものに舐められては魔王としての威厳が」

 

「喚くなよ。クレイマン。俺達が気に食わないって言うなら、これは俺達とお前の問題だろ?」

 

 クレイマンの反論を遮り、リムルのいる中心部へと進み出る。

 

 クレイマンが仕掛けに気づかないよう威圧も兼ねて妖気をある程度放出して見たが、思った以上に注目を集める。

 

 魔王達が若干面食らったのが面白いのか、ギィは口の端を上げていた。

 

「その通りだな、クレイマン。お前も魔王なら、お前自身の力でもって、そいつ等を倒してみせよ。そして、リムルだったか。魔王を名乗るつもりはあるのか?」

 

「ああ、既にジュラの大森林の盟主を引き受けているし、人からすれば魔王だからな」

 

「ならば良し。丁度ここには見届け人が揃っている。オレ達の前でクレイマンに勝てたなら、魔王を名乗ることを許そう」

 

 ギィの宣言により、クレイマンとの戦いが決まる。

 

 俺達の望む形であり、シンプルな決着の付け方になった。

 

 

 

「クックック、やれやれです。策を弄して、自分の手を汚すことを嫌ったばかりに、余計に面倒なことになってしまった。本当に失敗でした」

 

 俺がギィにタメ口を利いたことで動揺していたクレイマンが、急に冷静さを取り戻した。

 

 まぁ、理由はわかっている。

 

「出番ですよ、ミリム」

 

 ほら来た。

 

 ミリムの目的は読めないが、先程大人しく殴られかけたあたり、まだ達成には遠いはずだ。

 

 ならば、俺達に相対するのは当然であり、それが自分の意思で行われていると勘違いしているクレイマンは得意げにするのだ。

 

 全く持って腹が立つ。

 

 だが、もう少しだけ我慢しよう。

 

 これは戦争ではあるが、決闘でもある。

 

 決闘には順番というものがあるのだ。

 

「よく言うよ、お前。それだけ言っておいいて、結局は他人頼りか? しかも、従わせる為に殴ったりしたミリムまで巻き込むとはね」

 

 ミリムの参戦を防ごうとリムルがクレイマンを挑発してみたが、流石に、これに乗るほど愚かではないらしい。

 

「下らんな。勿論だが、私も戦うさ。ギィよ、文句はあるまいな?」

 

「構わないさクレイマン。ミリムが自分の意思で君を手伝うというのなら、オレが止めることはしないとも」

 

 ギィも許可を出し、俺達対クレイマンとその従者+ミリムという形になる。

 

 先程ある程度妖気を出せるところを見せたが、覚醒が濃厚であるリムルと俺が同等とは考えないだろうし、ミリムの相手はリムルになりそうである。

 

 大変かもしれないが、シオンに多対一を強いるわけにはいかないし、しばらく頑張ってもらおう。

 

 今の内に初撃に巻き込まないよう九頭獣(ナインヘッド)を避難させる。

 

 リムルに気を取られているのに加え、「夢幻牢獄」も使って万全を期したためかクレイマンは気付かない。

 

「まあいいさ。俺としてはミリムを助けるつもりだったし、力ずくでもお前の洗脳を解くとしよう」

 

「ほざくなよ! お前は絶望して死ぬんだ!」

 

「死ぬのはお前さ、クレイマン。どうせお前相手じゃ、俺の部下ぐらいがちょうどいい相手になるだろう。俺が出たんじゃ、弱いもの苛めになるからな」

 

 リムルの言葉にクレイマンが答えず顔を引き攣らせる。

 

 前哨戦である舌戦はリムルの勝利に終わったようだし、もういい加減いいだろう。

 

 即座に用意していた神識糸の槍を繰り出す。

 

 音もなくクレイマンの胴に大穴が開き、壁へと磔になった。

 

神糸戦槍(グングニル)

 

 本来俺は技名を宣言する派である。

 

 別にかっこいいとかではなく、ルーティンとしてのことではあるが、ここ数日は忘れていることが多いし、精神的にブレがある証左だろう。

 

「思っていたより、脆いな。俺でも弱い者苛めになりそうだ」

 

 こんな挑発が口をつくくらいなのだから。

 

 糸ごしとはいえ、長々とクレイマンに触れているのも不快なので、糸を振ってクレイマンを叩き落とす。

 

 クレイマンは「超速再生」を持っているのか、少しの間をおき噴出していた血が収まりよろよろと立ち上がった。

 

「クッ、クソ……殺してやる!」

 

「お前の相手など、俺には役不足も甚だしい……シオン」

 

 クレイマンは俺に殺気を向けるが、ここはもっとも被害を被ったシオンに任せる。

 

 軽く手を挙げると、待ってましたと言わんばかりにシオンが飛び出した。

 

 クレイマン自身の戦闘力はあまり高くないのだろう。

 

 シオンが一方的に殴りつけていく。

 

「がッ……クソ! 九頭獣!」

 

 クレイマンの声に反応し、俺が神糸戦槍で吹き飛ばすときに避難させていた子狐が巨大化し、シオンへと迫る。

 

 殴るのに集中していたシオンを回収すると、その隙にクレイマンは影から人形を呼び出した。

 

 …ランガも俺の影に入れれば、参加できたかもしれない。彼には悪いことをしたな。次回―は普通に従者枠が空いているか…帰ったらたっぷりブラッシングでもしてやろう。

 

「ミリム! そいつを殺せ!」

 

 そして、決定的な一言が告げられた。

 

 ミリムが一瞬でリムルへと詰め寄り、拳を振るう。

 

 正気のミリムが相手だからリムルが死ぬことはないだろうと思っていたが、拳の勢いと上がった口角に考えを改める。

 

 楽しんでいるミリム―しかも拳の威力を減衰させるドラゴンナックルなしである―を相手では、リムルが死ぬ恐れがある。

 

 ミリムも手加減はしていると思うが、ミリムの遊びはこちらからすれば必死の戦闘なのだ。

 

 うっかりすれば大事故である。

 

 とはいえ、三対一―いや、九頭獣が二体の獣を呼び出したから五対一になった―ではシオンに無理をさせすぎているし、既に以前も見たギィによる空間隔離がされていて援軍は望めない。

 

 リムルはギリギリだが回避はできているし、こっちがある程度片付くまでは耐えてもらうとしよう。

 

 こうしてリムルの生死のかかった綱渡りが始まったのだった。

 


 

 次回「ミリムの計略(クライマックス)




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紅蓮の絆編は書いた方がいいのか

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