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リムルがまず一口肉串をほおばり、味覚が備わったことを確認すると、ゴブリンたちは大盛り上がりで喜びながら、酒を酌み交わしていた。
そこから少し離れた場所で、リグルド、リグル、カイジン、赤色の髪の大鬼族と白髪の大鬼族が大鬼族の里で起きたことを話していた。
大鬼族曰く、突如として武装した
本来、大鬼族と豚頭族では強さの格が違う。そのうえ豚頭族はさほど知能が高くなく、統率された軍行動などできないはずであり、武装している点も含めて違和感は大きかった。
赤色の髪の大鬼族が里を襲った豚頭族の中に仮面をつけた魔人を見ており、それを上位魔人であると断言したことから、豚頭族が魔王の勢力に与したと考察された。三百人いた大鬼族も残っているのは八人だけらしい。
「なるほど。そりゃあ悔しいわけだ」
「事情は分かったけど、これからどうするつもり?」
「リムル殿、テクト殿。どう、とは?」
テクトの問いかけに疑問符を浮かべる赤色の髪の大鬼族へテクトが詳しく問いかける。
「再起を図るにせよ、移住先を見つけるにせよ、一族がどうするかは、頭領である君の采配次第なんでしょう?」
「知れたこと。力を蓄え、今度こそ豚どもを討つのみだ」
「その方法は?」
テクトの言葉に何も言えなくなる赤色の髪の大鬼族。特に考えがあっての発言でないことを理解したテクトは、リムルとともに考えた提案を示す。
「君たちさえよければだけど、私たちの部下になるつもりはないかい?」
「部下⁉」
「まぁ対価として出せるのは衣食住の保証と武器の調達ぐらいで、あんまり大したことはできないけどさ。拠点はあったほうがいいでしょ?」
「しかし、それでは俺たちの復讐に巻き込むことになるのでは」
「豚頭族が森の覇権を狙うとすれば、この町も危ないことには変わらない。戦うなら戦力は多いほうが都合はいい。期限は豚頭族の件が解決するまでで、それから先は自由にしてくれてかまわない。どうかな?」
少し考えさせてほしいという赤色の髪の大鬼族の言葉に了承し、一度その場を離れ、そのまま肉を食べ始めるテクト達。しばらく後に森から音が聞こえたが、彼らが反応を示すことはなかった。
翌朝。
テクトの使用している天幕に、リムルと赤色の髪の大鬼族が訪れていた。
「俺たち大鬼族は戦闘種族だ。誰かに仕えて戦場を駆けることに抵抗はない。主が強者だというのなら、なおのこと喜んで仕えさせてもらう」
「昨日も言った通り、契約は豚頭族の件が解決するまで。そのあとは自由にしてくれていい。ここで私たちと街を作ってもいいし、どこか別の場所で暮らしたいなら、それもかまわない」
「…………昨夜の申し出、受けさせていただきます。あなた方の配下へ加わらせていただきます」
「(彼の気持ちを汲んでやるべきだったかもしれない。本来ならすぐにでも飛び出して、刺し違えてでもかたき討ちをしたいだろうに)顔を上げて。君たちを受け入れる。全員ここに呼んで」
天幕に大鬼族八人が集まった。リグルドも来ており、皆神妙な顔をしている。
「よし、俺たちの配下となった証に名をやろう。テクトが」
「それで昨日ちょっとニヤッとしたのか…………」
「いいだろ、別に今回は八人だけなんだし」
「まあ、前に次はやるって言ったからいいんだけどさ」
リムルとテクトが軽口をたたきあたっていると大鬼族から待ったが入る。
「お待ちください。名付けとは本来危険を伴う行為です」
「そうです。いくら何でも俺たち全員というのは危険すぎるのでは」
「いいから、いいから大丈夫だって(危険って言っても
「パワーアップはできるときにしておいたほうがいいでしょ? それとも私だと不満? リムルのほうがよかったりとか」
「そういうわけでは」
「異論はない。ありがたく頂戴する」
桃色と緑色の髪の大鬼族が止めようとするがテクト達は意に介さない。赤色の髪の大鬼族が了承したことでその場はまとまりまずは赤色の髪の大鬼族から名付けをすることとなった。
「そうだな。君は…………」
ここでテクトの記憶は途絶えた。
三日後。
「
「いいえ、姫様。テクト様のお世話は私がしますのでお休みになっていてください」
「紫苑。それはいけません。時間はしっかり守っていただかなくては」
「ううん、いったい何が」
「「テクト様!! おはようございます」」
テクトが目覚めると胸の大きな女性に抱えられていた。記憶の整理をつけながらあたりをうかがうと、テクトを抱えている女性の左右にそれぞれ桃色と黄色の髪の女性が正面には跪いている男とその後ろにさらに三人控えているのが目に入る。
「お目覚めになられたか。テクト様」
「えっと、赤色の髪の大鬼族の若様…………だよね?」
「はい。今は進化して鬼人となり、頂戴した名の「
(ああ、そうか。名付けをしたとたん低位活動状態になっちゃったんだっけ。八人だけなのに)
テクトが魔素切れになるまでに名付けをした人数について疑問に思っていると、シラヌイから回答があった。
どうやら魔物に名付けをする際はその強さに応じて消費する魔素量が変わるらしい。ちなみに鬼人は大鬼族の中からまれに生まれる種族とのことだった。
テクトを抱えている鬼人が「紫苑」、桃色の髪の鬼人が「
「ベニマルの後ろに控えてるのが、あの時首飛ばしてきた爺さんだな」
「ほっほ、いじめてくださいますな。何事もなかったかのように首を戻されて、焦ったのはこちらのほうですぞ」
彼には「
「あれ? あと一人は?」
「ああ、あいつならカイジン殿の工房に入り浸ってて」
「テクト様が目覚めただべか」
「お、噂をすれば」
黒い髪の鬼人が入ってきて「
数日が経ち、テクトとリムルはベニマルとともにハクロウによる訓練の様子を見学していた。
発端はゴブタが剣を習いたいと言い出したことだが、楽しそうに教えているハクロウの様子にテクト達は安心していた。教え方はスパルタ教育どころの厳しさではないのでゴブタ達からすればたまったものではなさそうだが。
「
「まあ、簡単に言えば化け物です。おいしくはないかと」
豚頭帝とは数百年に一度豚頭族の中から生まれるとされるユニークモンスターであり、生まれながらにユニークスキル「
「何かほかに襲撃の理由として思いつくのは?」
「そうですね。関係あるかはわかりませんが、襲撃の少し前、魔人がやってきました。確か名前は…………ゲラ、ゲリ、ゲロ「ゲルミュッド」そう、それだ」
名前を思い出せないベニマルに代わって近くの影から現れたソウエイが魔人の名を答える。
ゲルミュッドという魔人は「名をやろう」といっていたらしいが、うさん臭かったため、大鬼族たちが断ったことに対して悪態をつきながら去っていったらしい。その名前の魔人がリグルドの長男の名付け親だということがリムルから教えられ、テクト達は関係性があると感じざるを得なかった。
その後、ソウエイから「
更に数日が過ぎ、テクトは食事を終えてシュナのいる工房へと足を進めていた。衣類作成を行っているシュナが「操糸人形」に興味を持っていたからだ。その途中でリムルを抱えたシオンと会った。
「お、テクト。シオンが手料理をふるまってくれるんだってよ。お前もどうだ?」
「そうですね。テクト様もいかかがですか?」
「悪いけど、食事は済ませた後なんだよ。今度機会があればご相伴に預からせてもらうよ」
そう約束してリムル達と別れ、シュナのもとへたどり着く。「
≪シミュラクラ現象。三つの点があると、それを顔として認識してしまう現象です≫
(え? 急に何⁉)
シラヌイ曰く、リムルが強く助けを求めている様子が魂の回廊からでも確認できたので思念を傍聴したらしい。
『助けて! 大賢者!』
≪解。視界を閉ざし、スプーンを右斜め後方へと突き出せば命は助かります≫
(いや、本当に何事⁉ ん? シオン、食事、命は助かる…………まさか)
「テクト様? どうかなさいましたか?」
テクトの脳裏に嫌な仮説が立ち上がる。その仮説をもとにシュナに質問すると仮説を肯定する回答が返ってきた。
できる女秘書みたいな見た目をしたシオンだが、どうやらポンコツだったらしいことが発覚した。
その後も衣類作成に関して話していると蜥蜴人族の使者が来たとコウカが伝えに来た。コウカはテクトの秘書役なのでリグルドと手分けして伝えに来たようだ。話を切り上げ、コウカを伴って街の入り口まで行く途中でリムルやベニマル達と合流した。
「えっと、誰が使者なんだ?」
テクト達が蜥蜴人族の集団に近づくと彼らは石突を地面に打ち付けながら左右に分かれ、奥から現れた蜥蜴人族が騎乗していた魔物から飛び出し、左右から盾で光を当てられながら名乗りを上げる。
「吾輩は蜥蜴人族の「ガビル」である。お前たちも配下に加えてやろう。光栄に思うがよい」
「「「はぁ?」」」
ガビルとやらは次期蜥蜴人族の首領とのことだった。テクトが「こんなのが後継で蜥蜴人族は大丈夫なのだろうか」と考える傍らで、シオンはリムルに謝り倒していた。リグルドは要領を得ないのか詳しく話すように頼んでいた。
「みなまで話さねばわからんか。豚頭族どもがジュラの森を侵攻中なのだ。しからば吾輩の配下に加わるがよい。このガビルが貧弱なお前たちを豚頭族の脅威から守ってやろうではないか! …………貧弱な、貧弱? 貧弱ウムひんじゃ……ワオ」
ガビルがリグルド、ベニマル・ハクロウ、コウカ、シオンの順に目線を動かし確認する。コウカとシオンに関しては強さとは関係のない部分に目が言っていたが。
「ゴブリンがいないようだが」「ここは確かにゴブリンの村のはず」「っていうか貧弱な奴が誰もいないよ」「まぁある意味貧弱なものもいるようだが」
「何やら不愉快な会話が聞こえますね」
「お、落ち着いて、コウカ」
コウカの持っていた木版から異音が聞こえてきたので、テクトはコウカをなだめていた。どこがとは言わないが、実際にシオンとコウカでは圧倒的な差がある。ほとんど年齢は変わらないし、二人とも美人ではあるのだが、何が原因で差がついたのかは謎である。
「そういえば、ここには牙狼族を飼いならしたものがいるそうだな。そいつは幹部にしてやる。連れてくるがよい」
「こいつ、殺していいですか」
「うん。いいよ」
「待て! ベニマル! とまれ! テクトも速攻でOK出すな! ムカつくのは分かるけど!」
ガビルの言動に限界が来たのか爽やかな笑顔で殺害許可を求めるベニマルにテクトが即座に許可を出す。リムルは慌てて止めたが、危うく死人が出るところだった。
「えっと、牙狼族を飼いならしたっていうか、仲間にしたのは俺なんだけど」
「はっ。スライムごときがそのようなことできるわけがなかろう。冗談を言うでない」
「…………ランガ、お前に話があるそうだ。聞いて差し上げろ」
「御意。蜥蜴、主よりお前の相手をするよう命を受けた。聞いてやるから話すがよい」
ランガが威圧しながら話しかけると、ガビルは普通に応答していた。テクトは一瞬堪えているのかと思い感心した。
しかし、ガビルが明らかにランガやほかの魔物たちの逆鱗に触れるような発言を繰り返している様から単純に威圧に気づいていないだけだと判断し、ランガがガビルを殺しそうになったら拘束しておこうと糸を出し始めたときゴブタがやってきた。
「あれ? みんな何してるんっすか?」
「ゴブタ⁉ お前、死んだはずじゃ」
「またまた。ひどいっす。ちゃんと生きてるっすよ」
どうやらシオンの劇物じみた料理に抵抗した結果、「毒耐性」を得て一命をとりとめたらしい。そのゴブタはランガに連れられガビルの前に立たされる。
「蜥蜴、この者を倒せたら、先の話は一考してやろう」
「まぁ、かまいませんぞ。部下にやらせるなら恥はかきませんからな」
ガビルは自身の負けを考慮していない。先ほどまでは急な話であったため難色を示していたが、冷静になって思い直したものの、そのまま配下になることをプライドが良しとしなかったために、勝敗のわかりきった勝負をしようしていると解釈したようだ。
ゴブタはやる気がなさそうだったが、リムルにより、勝てば自分用の武器というご褒美を、負ければシオンの料理という特大の罰ゲームを提示されたことでやる気を漲らせた。
決着は影移動を駆使した奇襲でゴブタが勝利し、蜥蜴人族は三下のようなセリフを吐き捨て去っていった。
次回「戦いに向けて」
オリキャラ紹介
鬼人たちの戦闘能力は万全の状態で高いほうから、
ベニマル>ハクロウ>シオン>スイレン≧ソウエイ>シュナ>クロベエ>コウカ
と考えています。
「翠蓮」(スイレン)
ベニマル、ソウエイと同年代。例によってイケメン。高身長。肌は白い。角は一本。
基本的に街の内部の警備担当予定。
現在は一度失って再生した腕が思うように動かないためリハビリ中。
「黄果」(コウカ)
角は二本で小さい。色白で髪型はショートボブ。美人。背は紫苑に比べてやや低い。
胸の話は禁忌。
基本的にはテクト付きの秘書。
鬼人たちの中では戦闘力は低い。それでも豚頭族ぐらいなら訳ないが、基本的には非戦闘員。
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紅蓮の絆編は書いた方がいいのか
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書くべき
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書かなくてもいい