転生先はヘイト買いまくりのバンドリ世界でした 作:クローズ
「んっ......あ、あれ?」
目が開いた。
意識もはっきりとしている。
で、記憶も残っている。
思い出したくもないが、頭を打った感覚も覚えている。
とても嫌すぎる。
「俺生きてんの......?」
『そうみたいだね』
頭に響く声。
けど、不快な感じはしない。
「俺、か?」
『そ、俺。なんかよくわかんないけど、生きてる臭いね、俺たち』
「失敗、かな」
自分の命を懸けてバグ修正したっていうのに、そのバグが残ってたんじゃクリエイターもメンタルブレイク待ったなしだろう。
「......見たくねえけど、学校行くか」
『そうだね、それに越したことはない。少なくとも、それ以外でどうなってるか確かめる方法はない』
時計を見る。
7:45。
起床には遅い時間だ。
家の中は静かだが、今日は誰もいないのだろうか。
「あ、悲報、俺」
『どうした......あ』
今日は土曜日、つまり学校は休みである。
「確かめらんねえな......」
『......いや、方法ならあるぞ』
「え?」
『朝飯には、パン。だろ?』
というわけで、「山吹ベーカリー」というパン屋にやってきた。
もちろん、開店時間を過ぎてから家を出た。
まあ、そのおかげで朝飯が10時とかになりそうだけど。
というわけで、早速朝飯を買いに行こう。
チリンチリンとドアのベルが鳴る。
「いらっしゃませー」
......あとで思ったけど、これ店だったら嫌がるにも嫌がれないよなぁ。
「あれ、未来くん?」
「え、何で知って......あ、そっか。ここ山吹さん家だったっけ」
名前を呼ばれた。
特別嫌がってはないようだった。
とりあえず一安心。
「学校ないからって寝坊かな~?」
「ま、そんなとこ。言い方が親っぽいのはスルーするけど」
「ポピパの時の癖が抜けないね」
談笑できている。
これは......
「(おい俺)」
『(あぁ、たぶん成功じゃないか?俺たちの記憶が残ってるのはあれだけど)』
どうやら、嫌われても好かれすぎてもない世界に来れたようだ。
言い換えれば、ようやく普通のバンドリの世界に来たということかな。
「随分迷ってるね、おすすめいる?」
「あぁ、お願いする。朝にパン、あんま食べなくて」
「朝はご飯、わかるなぁ。あ、おすすめはこれとこれ。こっちはりみりんがすごい推してるよ」
「チョココロネ推しはさすがだな。じゃあ、これで」
「はーい」
今のところ、特に問題はない。
粘つく視線も、冷たい視線も感じないし、目の前の山吹さんからも今のところ嫌悪を感じられない。
......転生特典が嫌われてるってとこで、俺の転生人生も終わりかななんて思ったけど、まさか命投げ出したら元に戻るなんてなぁ。
というか、そもそも転生先で自殺する奴なんているのか?
転生って大体チート持ちだろ、死ぬに死ねない体だったりしないの?
失礼、話が逸れた。
思ったより多く買ってしまった袋詰めのパンを手に提げ、山吹さんの「ありがとうございましたー」に軽くお辞儀をして店を出る。
見つからないように山吹さんの動向を探ったけど、特に嫌味とかイラついてるとか、そういう訳じゃなさそう。
......ただなぁ、山吹さん原作じゃ自分のこと表に出さないタイプだしなぁ。
あれでイラついててもわからんだろうなぁ。
という話は置いといて。
とりあえず、私秋夢未来。
嫌われる世界からの脱出に成功、及び別世界への転生を果たしました。
え、タイトル詐欺じゃねえか?
そもそも途中から嫌われてない?
......俺はハッピーエンドが好きなの、わかるでしょ?
では、またどこかの短編で。
たぶんきっとまたようわからんことをテーマに書きだします