転生先はヘイト買いまくりのバンドリ世界でした   作:クローズ

9 / 12
1001 これさ、もしかして

学校に向かう足取りがいつもより重い。

嫌われていると分かっているし、それはもう慣れたが。

 

「あんな光景見せられちゃ、なぁ」

 

一時的にとはいえ好感度が上がった状態を見せられてしまっては、それを再び求めてしまうのは人間の性だろう。

違法なものを体内に入れるときって、こういう気分なのだろうか?

悪いことをしている自覚があるのに、それを快感と感じてやめられない。

......体験すると非常に危険なことだ。

 

ともかく、それはそれとして、だ。

教室にいなきゃいけない時間帯には普通に間に合うが、少しだけ急ぐ。

特にそうしなきゃいけないと思った理由はないが。

 


 

「お、未来。今日は遅かったな」

「あ......うん。ちょっと寝付けなくてね」

「あぁ、あるよなそういう時」

 

友人と会話をしながら周りの様子を窺う。

まぁ、ここに目立った変化がないのは知っている。

なんてったってネームドキャラがいないから。

俺の好感度対象はあくまでネームドキャラだけであって、それがいないこのクラスには効果は出ない。

......はず、なんだが。

 

「なぁ、未来。めっちゃ見られてない?」

「奇遇だな、俺もそう思った」

 

視線が多い気がする。

しかもなんか冷たい。

いつか感じた氷川先輩の目線のようで......

 

いや、待て。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

なぜそんな疑問が浮かぶ?

それはつい昨日、話したばかりだ。

ヤンデレとメンヘラは嫌いだと突き放して......

 

だとしたら、なぜ俺は『いつか』などと言ったんだ?

昨日だと分かっていれば、昨日と言ったはずだ。

 

......どうやら記憶の混濁が起きているらしい。

 

「どうした未来?顔色すごいぞ?」

「あぁ、悪い......やっぱ徹夜ってよくないな」

「寝付けないからって徹夜はダメだろ......とりあえず、寝るか?」

「あぁ、そうする......」

 

自分の席に座り、そのまま彼に起こされるまで、泥のように眠った。

クラス内だけでも、視線は十分に感じたけれど。

扉の向こう、本来教室から見えない所から、粘つくような冷たい視線を感じながら、意識を落とした。

 


 

「はぁ......やっぱ頭回んないわ」

「よく言うよ、6限の問題全問正解だったじゃねえか」

「得意な範囲だったんだよ」

 

そんな軽口を言い合いながら、友人と帰路を共にする。

彼はバスケットボール部に所属しているのだが、今日はたまたま練習がないらしい。

それなら一緒に帰ろうと(提案したのは彼だが)いう訳で、一緒に帰っている。

 

「じゃ、俺こっちだから、じゃあな未来」

「あぁ、また明日......じゃねえや、また月曜」

「おう!ちゃんと寝ろよ!」

「わかったよ」

 

彼と別れ、一人で歩く。

 

『............て...!』

「......?」

 

何か聞こえて、立ち止まって辺りを見回すが、誰一人として声をあげたような様子は見えない。

気のせいかと思い、再び歩き出した瞬間に、頭痛が走った。

 

「なん、だ......!?」

『............けて、くれ......!』

「誰、だ!」

『助けて、くれ!』

 

それが聞こえた瞬間、俺の意識は暗転した。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。