何故。
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それは、とある世界の残滓。
そこにあったものはいつまでも残り続ける。
いつまでも消えることはない。
いつまでも、追いかけてくるものなのだ。
※嘔吐表現、ヒナタ視点
突然だが、「Herobrine」というものを知っているだろうか。
某クラフトゲームの都市伝説であり、簡単に説明すると、もうこの世を去った人物が干渉してくるといったものだ。
では、消えた世界の人物はどんな扱いになったのだろうか。これもまた、幽霊という扱いになるのだろうか。
管理人になり実体を持っている自分たちも幽霊のようなものなのだろうか。都市伝説の彼に似たものになるのか。
いくら考えても答えは出ないままだ。
布団を頭までかぶり、目を閉じる。相変わらず体温は感じられない。未だに慣れない、まるで遺体のような冷たい体。
これも"彼"に残された傷跡だ。
『本当は両方とも潰したかったけど、かわいそうだし僕のことが見れなくなるでしょ?』と笑いながら右目をつぶしてくり抜き。
一番一緒に居られる気がする、と心臓をくり抜いた。
それかられから何度も汚されて。
何度も、何度も、幾度となく。殴られ、犯された。
「……ぅぐっ」
思い出した瞬間に吐き気がこみ上げ、咄嗟にベットの横に置いておいた洗面器を手に取った。
「え、ぉ"っ……お”ぇ……」
洗面器の中に胃の内容物をぶちまけ、えずく。べちゃべちゃと音を立てて落ちていく液体を見ていると、如月といた時の幸せが逃げていくようで怖くなった。
「さ、らぎ、きさらぎ……」
自分を救ってくれた彼の名を呼ぶ。
今の幸せが逃げないように。もう怖くないと思えるように、祈りながら。
「こわい、たすけ、て」
そう呟いていれば、次第に夜は明けていった。
かごめかごめ やみのなかのれいは
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いついつでやる
結局、その夜は眠れなかった。
最近毎日と言っていいように乗り移ってくる日向も、気遣ってくれているのか今日は来なかった。
奏たちもおらず如月と二人きりの時間。心を乱されない、唯一無二の安心できる時間だった。彼とたわいもない話をすることが、俺にとって一番の精神安定剤だ。
「如月」
「……ん、どうした?」
声をかければ、彼は資料を纏めていた手を止めて返事をした。彼もあまり眠れていないのか反応が少し鈍い。
「なんでもない」
一度会話を切るが、どうしても今言いたいことがあるのだ。
彼のおかげで、今自分がいるから。救ってくれたから。
一歩を踏み出せ、と勇気を出す。
「俺、如月に会えて本当に良かった」
「急にどうした」
熱かなんだと抉れた右目を隠す髪を彼が撫でる。同じ姿だというのに触ることも心も許してしまうのはなぜだろうか。
「だから、これからも一緒に居たいな……なんて……」
つい、そう口走った。
その言葉に、彼は満面の笑みで応えた。
「!、嬉しいよ!
――「僕」と。そう、それは言った。一瞬、思考が停止して現実を受け入れたく無くなる。
それでも。受け入れなければいけない。
もう聞きたくもない「君」という呼び方も、話し方も、全部全部。
俺を閉じ込めて遊び続け、あの日世界を壊し心臓を奪い去った。
あいつの、ものじゃないか。
「お、まえ、いつ、か、ら?」
呼吸がおかしくなり、とぎれとぎれにしか話せなくなる。
引きずり込まれるような恐怖感に苛まれ、今にも崩れ落ちてしまいそうだった。
「最初からに決まってるじゃないか。そんなことにも気づけないなんて馬鹿だなぁ。僕は悲しいよ」
底知れない恐怖心と共に、ふつふつと怒りがこみ上げる。
うるさい。
うるさいうるさいうるさい。
「如月、を、かえ、せ……!」
いくら怖くとも、恩人への想いは変わらない。
しかし、金縛りにでもあったかのように体が動かないのだ。
「あれ、日向動けないの?大丈夫?」
変わらず薄く笑みを浮かべたまま、それが近づいてくる。
彼から逃げようとしても足が動かず、無様にも這いずることしかできない。
壁際に追いつめられるのは速かった。
「いや、く、るな」
「僕、迎えに行くって言ったよね?それなのに君は他の人と一緒にいるなんて……ひどいよ。とんだ浮気者だ」
俺が背をつけている壁をダン、と叩き、座っている俺は見下ろされるような形になる。
「そんな悪い子にはお仕置きが必要だね」
恐怖で気がおかしくなってしまいそうな俺を見て、変わらない声と表情で告げる。
「や、だ……ごめんなさ、たす、け、て……」
そう、弱々しく呟いたその時。
緊急アラートが、赤い光とともに鳴り響いた。
意識が消えるその直前、あとは任せろ、と自分の声が聞こえた気がした。
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部屋を赤いライトが照らしている。
モニターに人影が映りこんだかと思うと、一瞬全ての明かりが消え、復旧した。
座り込んだヒナタの体からガクンと力が抜け、ノイズがその体を包む。
髪がほんの少し黒く変わり、左しかない目が開く。
その色は黒い渦が巻いているような、どろりとした赤色に変化していた。
如月に乗り移った何かは、その変化を警戒して距離を取った。
乗り移りが完了した彼は、流れていた涙をぐしぐしと雑にふき取り、へら、と笑いながら話しかける。
「へへ、どーも。管理人の危機=奏の危機ということで参上したぜ」
こいつらの手助けをするのは癪だが、と最後に早口で付け足した。
いつの間にか生成したサバイバルナイフを弄ぶくらいには余裕があるようだ。
最後に一回ナイフをくるりと回し、構える。
「さて、お前さんの名前を聞かせてくれないかな?こちらとしても知らないのは不便なんだよ」
そう日向が言うと、対峙している人影の笑みが消えた。
「……
修也の顔は笑みが消えると不気味な人形のようで、単純に気味が悪かった。
彼は黒い水たまりのような所から日本刀のようなものを取り出すと、同じく構えた。
バグの塊と、消えた世界の残滓。
双方とも異常なのは確かだった。
文紀修也
ヒナタのトラウマ。
ヒナタを監禁していたぶっていた過去があり、その理由も反応が面白そうだったからというどうしようもない人間。ヒナタの事はまあまあ好きであるがそんなでもない。
執着心と好奇心は凄い。
管理人となったヒナタの一部(心臓)を持っていたため意識のみが飲み込まれずに済み、肉体のない幽霊のようなものになった。
如月にのみ乗り移ることができる。