狂った世界とその日常   作:電磁パルス砲

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深夜にいろいろ考える如月の話。
結局のところフィルムって何なんだろう。



幕間:記録媒体404

「っ、あぁあ……仕事終わんない……」

 

邪魔な前髪を搔き上げ、台のような所に肘をつき呟いた。

もう嫌だ、ぐるぐるといろんな情報が頭を駆け巡って、何もわからなくなっていく。

 

……こうなったのもレポートを書く作業を先延ばしにした、自分のせいなのだが。

 

仕方ない。俺は夏休みの宿題を一気にやるタイプなんだ。

誰が聞いているわけでもないが、なぜか頭の中でそう弁明する。

こういう時、一度眠って気分をリフレッシュするといいとかなんとか聞くが、生憎時間もない。

 

考えていても仕方が無い。

 

そう思い、再度仕事に手を付けた。

 

 

淡々と、淡々と。

ただ、時間が過ぎる。

 

 

一人きり。

 

 

こんなにも静かなのは久しぶりだ。

向こうの時間はきっと深夜で、皆眠っているのだろう。

 

 

延々とこんな時間が続いていた時があった。

あの時奏に干渉してから、すべてが変わった。

 

人が増え、賑やかになった。騒がしいが、それもまたいいものだろう。

また後戻りするような気はしない。

 

……もしも、戻ってしまったなら。また一人になってしまったら。

 

 

その時、自分は正気を保てるだろうか。

 

 

そう考えつつ、黙々と作業を進めた。

 

 

まだ終わる気配はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったぁ……」

 

開始から三時間ほど。ようやくまとめ終わったデータを送信し、ぐたりと背もたれに背を預けた。

あぁ、眠い。このまま泥沼に沈んでいってしまいたい。

 

……せめて、部屋で眠ろう。

 

なんとか椅子から離れるも、長く座っていたせいか体が傾き、バランスを崩してしまう。

身体を支えようとして手をついた所は資料棚だった。

 

かなり勢いでもついていたのか、入っていた紙が散らばった。

 

俺は早く寝たいというのになんだ、と不満げに紙を片付け始める。

ふと、手にした紙を見た。

 

 

そこに書いてあったのは、眠気なんてさっぱり無くなってしまうような。

 

そんな、記録だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『TURN1,000』

 

 

 

 

 

 

対象:寡嶋奏

 

日時:蟄伜惠縺励↑縺?ョ繝シ繧ソ

 

場所:《氷結の城》大広間

 

死因:ナイフで首を切ったことによる失血死

 

崩壊:空ドット250の欠損等、他多数。バグが発生している可能性あり。

 

備考:度重なる巻き戻しにより、対象の精神崩壊が見られる。早急なリセットを申請。

【精神崩壊の主な例】

何かに向かって話しかける、多重人格の出現、過度な自傷行為 他数件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――記憶にない。

 

こんなもの、書いた覚えがない。

それなのに。

 

 

この字は、俺の字だ。

 

 

おかしい。

 

これが真実なら。本当の回数だとしたら。

 

 

 

 

 

 

 

「何度、()()は繰り返していたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

突如、酷い頭痛が襲い掛かる。

あまりの痛みに声も出ず、その場にしゃがみ込んだ。

 

 

痛い。

痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたい痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいイタイ。

 

 

頭が破裂しそうな、あるいは割れそうな衝撃。

目の奥で何かがうねる。

口からなにかもわからない、黒い液体が垂れる。

 

 

背中が熱い。

確認してみれば、それは焼き切れたフィルムだった。

 

 

フィルムが次々と千切れ、あたりが黒く染まっていく。

 

 

あぁ、自分は死ぬのだろうか。

……もういい。もういいんだ。本当はあの場所で消えるはずだったのだから。

 

 

このまま生き続けるよりは、いっそ……

 

 

 

ほとんどすべてのフィルムが千切れたころ。

あまりの痛みに耐えかねて、遂に意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

黒い。

自分の体液より真っ黒い、闇の中。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()を見た気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の気配を感じ、目を開く。

そこには、床に倒れる俺を心配そうに見るヒナタが居た。

 

「……大丈夫か?」

「うん、まぁ……なんとか」

 

ヒナタの手を借りて立ち上がる。

喉に何かが張り付いて話しづらい。おまけに辺りは真っ黒だ。

 

……深夜ごろの記憶がない。この大惨事も、たぶん自分のせいだろう。

 

近くにある紙は全て黒く染まり、内容が読み取れない。大事なものでなければいいのだが。

取りあえず片付けを何よりも早く優先しよう。話はそれからだ。

 

そう思った俺は真っ黒になった紙を捨て、何か拭くものを取りに行った。





真実は時に、知らない方がいいこともある。


フィルムは管理人たちの記憶が詰まっています。
つまり全てなくなれば記憶喪失。
ありすぎてもだめだけどね。
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