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>当 然 エ ロ グ ロ あ り<
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目の前に、赤い景色が広がっている。
生きていれば本能的に恐怖を覚えるような光景。
一人残された俺は、勝てそうにない相手に立ち向かっていた。
辺りには惨殺された死体と、それを貪る無数の怪物。完全に囲まれ、逃げ場などない。
雑魚とはいえ数がある。
数の暴力に負け、殴打され、叩きのめされる。
怪物たちはされるがままの俺を見てあざ笑い、蹂躙した。
片腕をもがれ、反射的にうめき声を漏らす。
辺りに、さらに鮮血が飛び散る。
痛みは一周回ったのかもう何も感じず、ただ息苦しさと四肢が欠けたことによる喪失感のみが残っていた。
体から血が抜けて、世界が白黒へと姿を変えていく。
頭の中がぼやけ、何も考えられなくなっていく。
ぱち、と何かがはじけ、そこで意識が途絶えた。
――――ざらざらとした、耳障りなノイズ音が鳴っている。
何事かと思い目を開けると、白い部屋に横たわっていた。
「何が起きて……っ!」
体を動かすと、ちぎられた所から刺すような激痛が走る。
濡れた感触があると思えば、真っ赤な血がそのまま流れ出していた。
痛みが止まらない。体が抉られていくようだ。
血で手が滑ったのもあり、ごと、と重たい音を立てて倒れ伏した。
欠損部分は繋がっているはずなのに、ものすごく痛い。苦痛で気がおかしくなってしまいそうだ。
うつ伏せの状態で、何度もかすれた荒い息を漏らす。そのうち口からもこぷ、と静かに血が流れだし、白い床に広がる。広がっていく鮮血と真っ白い床の色合いはさぞかし綺麗なんだろう、と痛みで擦り切れていく頭で考える。
どれほどの時間が経っただろうか、ようやく体の奥に響くような激痛が収まってきた。
いまだ残る痛みに翻弄されながらも体を起こし、壁に力なくもたれかかる。
口から流れ出た血をぬぐい、やっとのことで息を整えていると。
不意に、声が聞こえた。
《…や……た》
「……?」
立ち上がり音のありかを探すが、それらしいものは見当たらない。
最初はかすかなものだったそれは、徐々に大きさを増していく。
《やり直しますか?》
はっきりと聞こえたその声は、自分のものと酷似していた。
やり直す。そう問われ、思い返す。
体をちぎられる感覚。
痛みも何もない、ただ残る虚しい喪失感。
意識が消える寸前のぼんやりと滲んだ視界。
超えてはならないラインを通過したような痛みと背徳感。
そして、ぐちゃぐちゃに体を傷つけられ、嘲笑される自分のみじめさ。
できることならば、もう一度味わってみたいと思ってしまう。
そんな自分が嫌だった。一度殺されたせいで、感覚がおかしくなってしまったんだろうか。
気づけば体は問いに対し、勝手に頷いていた。
頭に弱い電流が流れた感じがして、力が抜ける。
ここに来た時のように再度倒れると、薄くなった意識をまた手放した。
俺はまだ気づかなかった。
苦痛を思い出した際、微かに体が疼いて痛みを求めてしまった事を。
ここで引き返せばどれだけよかったかを。
後々それが後悔の火種になることを、俺はまだ知らない。
↓
TURN:2
●
《不明な介入を検知しました》
●
●
↓
TURN:7
骨がきしむ音が分かる。
あの時の感覚をまた楽しみたくて無抵抗で居ると、それに応えるように簡単に骨が折られた。
ごき、と掴まれた足から聞こえてはいけないような音が聞こえ、酷い痛みと苦痛が襲い掛かる。
今の俺は傍から見たらどんな姿なのか。
蔑まれるような醜い見た目をしているのだろうか。もしもそんな目で見る人間がここに居たらと思うと、こんな状況でも腹の奥底がどうしようもなく甘く疼いてしまう。
腹を殴られ、現実へと意識を引き戻される。
こぷり、と小さく水音を立てて生暖かい胃の中身を吐き出す。吐いてしまったという事実と、喉を吐瀉物が這い上がってくる感覚にぞくりと背筋が震えた。
薄茶色の吐瀉物が血と混ざり合い、白いシャツを汚す。
もっと。もっとだ。
こんなものでは物足りない。さらにひどく痛めつけて欲しい。
痛みと興奮、どちらのせいなのかもわからない、荒く熱い息を吐く。
「はぁっ、……っと……」
『グルぅ?』
俺をつまみ上げている茶色い毛で覆われた怪物が、聞き返すように唸る。
言葉は無意識に零れ落ちていた。
「もっとぉ……痛くてきもちいの、くだしゃいぃ……」
はぁはぁと浅い息を繰り返しながら幸せそうに笑い、そう呟く姿を想像して、まごうことなき変態だなとその時は冷静に思った。
『……ぐぁぅ』
その言葉を聞いた目の前の蜘蛛っぽいのも、心なしか引いている気がする。だがその視線もなかなかにクるものがある。
……まあ正直、こんな言葉が出てくる自分に、俺自身も少し引いたが。
捨てるように投げられ、地面にたたきつけられる。
かなり折れたな、と思いつつ、その痛みと扱いで更に感じてしまう。
心の底では言葉攻めも欲しいとか思うのだが、まあそこは仕方ないだろうと妥協した。
怪物の爪が背中を貫き、目の前に火花が散る。
それと同時に聞きなじんだノイズ音にかき消されるようにして、熱に浮かされた思考が途切れた。
まだ人前では自分で制御できるので進度は比較的低め。