奏、根はまともなんだよなあ。性的方面がやばいだけで。
ぜえ、はあ、と荒い息が白く統一された部屋に響く。
何とか壁に寄りかかるように座れたのはいいものの、体を少しでも動かせば抉るような激痛が広がり、同時に酷い快感に襲われた。
「あ、あぐぅ……っひ、ぐ」
痛みによる悲鳴と甲高い喘ぎ声が同時に出て、体も頭も混乱する。
それでも変わらず快感は押し寄せてきて、段々と頭の中がこの部屋と同じ白色に染まっていく。
どうやら自分の体は数度死んだだけで、痛みを気持ちいいものと誤認するようになってしまったようだ。
腰が勝手に動き、布が擦れる。
こんなのはいけない、と蕩けきった頭で止めようとしても、もう手遅れで。
「や、ぃやだ、っ、こんな、の……ふ、ぅっ、……!」
身体を抱きかかえ、勝手に漏れ出る声を殺して情けなくびく、と跳ねる事しかできなかった。
「は……ぁ、ふ……」
霧でかすんだようなぽわぽわとした意識が晴れ、下半身の不快感に思わず顔をしかめる。
……やってしまった。ここまでやるはずなかったというのに、痛みで達してしまうなんて。
深く呼吸をし、荒くなった息を整える。
余韻で痙攣する手足を動かそうとするが、うまく力が入らない。
……ああ、もう最悪だ。
楽な姿勢を探して仕方なく横たわるが、広がった血が絡みつき気持ちが悪い。
上も下も色々とヌルついて気持ち悪く、唸っていると上から呆れたような声が降ってきた。
「はぁ……おーい、大丈夫か?」
それは自分の声を少し重ねて加工したような声だった。
「……?お前、は……俺……?」
それは自分、としか言いようがなかった。
よくよく見れば縞々の平べったい触手のようなものが伸びていたり、目が真っ青だ。
「姿を見せるのは初めてだったな。俺は如月。お前を生き返らせている張本人だ」
「え、うん……?」
目が全く笑っていない、作り笑いのような笑みで俺と同じ姿をしたそれは名乗る。
別世界の自分、とかいうものだろうか。オカルトなんかは信じないたちだが、こんな繰り返すなんて事態が起こっている以上あり得る話だろう。
そこまで考えて、は、と自身の尊厳に関わることを思い出す。
「……さっきの、見てた……か?」
「……さっきって何のことだ?」
その返答を聞き、安堵のため息を吐く。
よかったぁぁぁ……見られてなかったぁ……本当見られてたらメンタルがやられていた……。
「まあお前が大丈夫そうでよかったよ。……で、」
安心して胸をなでおろしていると、如月の笑みが消え、その宝石のように青く澄んだ目がすん、と細くなる。
「
その声色はいつもこの部屋で聞かれる繰り返すかの質問そのものだった。
それに気づき、ああ、やっぱりあの声はお前だったんだな、と確信した。
無言でうなずき、肯定する。
「じゃあ、行ってきな」
いつもと同じように弱く電流が流れた感じがして、意識が消えた。
壊せ壊せ、壊れてしまえ
↓
TURN:???
そうしてもっと、おかしくなるのだろう
辺りにねっとりとした血の匂いが漂っている。昔は嫌な匂いだと思っていたが、今ではもう慣れたものだ。むしろ心地いいとも思ってしまう。
何時ものように一人残された俺の前には――――死神。
ビリビリと肌に突き刺さるような殺気を感じ、背筋にぞくりとしびれるような快感が走る。
止めることのできないスイッチが入ってしまう。
腰が砕けそうになるのを必死に抑えていると、死神が銃口を向けた。
たん、と重いような、衝撃のあるような大きな発砲音が鳴り響く。
俺は目を閉じ、その衝撃を受け止めた。
ぱん、という肉がはじける小気味いい音とともに額が撃ち抜かれ、眼前に紅い花が散る。
なんてきれいなんだろう、とゆっくりになった世界の中そう思った。
その時だけは気持ちがいいかどうかなんてものは考えず、ただ自分の血に見とれていた。
まぁどうせ、この後すぐにでもどろどろに蕩けきって、そんな事などどうでもよく思ってしまうのだろうが。
視界が黒く染まり、ふと聞こえてきたいつものノイズ音とともに目を閉じた。
……こちらからはノーコメントということで。