親友とリゼロの世界に飛ばされたお話   作:ノラン

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駄文です。その上、長いです。ので、頭の中を空っぽにして読んでください。

作者なりの解釈が入りますので、少し違和感に感じるところもあると思いますが、流してくれるとありがたいです。





誰も知らない時間の中

 

 

 

 

「……疲れたな」

 

 

静かになった厨房で一人、ハヤトは疲労感を纏いながら吐息。椅子に座り直して元の作業に戻る彼はナイフを片手に、特に使ったわけでもない肩を、なんとなく回した。

 

強く言葉を発するのは中々に体力を使うものだ。病み上がりという、安静にしてなければならない中でとなれば尚更。体にのしかかる怠さが少しだけ勢力を増してきた気がする。

 

流石にやりすぎてしまっただろうか。否、そんなことはないだろう。友人を助けるためにした事だ、やりすぎなんてことはない。それに、自分の体を案じていられる状況でもなかった。

 

それでも疲れるものは疲れるし、怠いものは怠いことに変わりはないのだが。

 

 

「俺の疲労一つでレムの心が軽くなったんなら安いもんか。……俺よりも、ずっと苦しんでるはずだもんな」

 

 

今、自分が感じている疲労感などレムの精神的負担に比べたら小さいもの。比べるほうが申し訳ないと思えるほどに、彼女は苦しんでいるのだから。

 

ちょっとやそっとの疲労感など許容範囲。命に関わるわけでもあるまいし、気にすることでもない。レムの心が一ミリでも晴れたのならば、それで十分。

 

まさか、あんな姉妹愛を見せつけられるとは思わなかったけれど。ハヤトからすれば役得である。テンに見せてやりたかった。

 

彼が見たらどんな反応を示してくれるのか。もしかすると泣き出すかもしれない。

 

普段から不思議くんな彼だが、あれでいて割と涙腺は脆く、泣く時はあっさり泣くのだ。捻くれてるが、『泣く』という感情には素直なのだ。

 

動物が主人公の映画を見ると高確率で一度は泣く男、それがハヤトの知るソラノ・テン。涙は絶対に見せない自分とは相変わらずの真反対。

 

前の世界(故郷)にいたとき。主人公の犬が送るワンダフルなライフを描いた映画をレンタルして、自分とテンを含めた友達数人で見た事があるが、終盤あたりで既に泣いていた。

 

膝を抱え込んで体育座りしながら、無言で、静かに泣いていた。僅かに啜り泣きながら、画面から一秒たりとも目を離さず、真顔で号泣している様は今でも忘れない。

 

その前にも感動する映画は幾つか見たのだが、その中にはアニメもあったのだが、その時は大した反応も見せず。しかしその映画だけは、涙腺を容易く崩壊させていた。

 

案外、動物に弱いのかもしれない。そう考えると、姉妹愛を前にして泣いてくれるかどうか怪しくなってくる——、

 

 

「そんなこと考えてる場合じゃねぇか。作業に集中しねぇと」

 

 

記憶の中で号泣するテンを横目に、ハヤトは頭を左右にブンブン振る。テンとの記憶を漁ると面白い思い出ばかりが過るために色々とその時の感傷に浸ってしまうが、今は一旦置いとく。

 

このお話はテンが目を覚ました後。使用人四人の絵面が戻ってきた時にでも話させもらうことにして、彼は再び作業に集中した。

 

 

 ——今。ハヤトは厨房で一人、昼食の準備に勤しんでいるところだ。

 

 

厨房に漂っていた澱んだ空気は晴れ、美しい姉妹愛が繰り広げられたまでは良かった。レムが胸の内を曝け出し、心の中にある抱え切れない感情を吐き出させるまでは計画通りだった。

 

しかし今、計画とは少し外れた展開が起こったことでハヤトは厨房で一人、せっせと作業を進める羽目になっている。ラムとレムのいなくなった空間で、黙々と。

 

その展開——レムが眠りに落ちたこと。

 

決して予想していなかったわけではない。寧ろ、そうなるのが必然的とすら思える。あれだけ泣いて、あれだけ叫んで、あれだけ体力を使えば、憔悴する彼女がそうなっても仕方ない話。

 

問題視すべきは、眠った彼女が悪夢に魘されないかということ。

 

ラムに背負われ、彼女に厨房から運び出される過程でも目を覚さない程に深い眠りに落ちたレム。

 

眠ったまではいいが、そこから先がどうなるか不確定。なにせ、根本的な問題は何も解決してないのだから。心が軽くなったとはいえど、完全にレムが救われたわけではない。

 

故に、寝ている間に魘される可能性はゼロではなく、飛び起きる事が無きにしも非ずな状況。可能ならば、今くらいは彼女に安眠をと思いたいハヤトだった。

 

 

「ーー戻ったわ」

 

 

何分経ったか。多分、十分程度。

 

静かすぎる厨房にハヤトが寂しさを抱き始めてきた頃、扉の開閉音が空間に生じると共にラムの声が鼓膜を叩いた。

 

「おう。お疲れさん」と声の方向に顔を向けるハヤト。その視線の先には一仕事終えた感のあるラム。レムを部屋に運び終えたのか、背中にいた妹はいない。

 

その様子から察するに、どうやら彼女にも疲労感はのしかかっているらしい。

 

当たり前だ。目を背けてきた事と向き合ったのだから、一仕事どころか数年も続いた仕事を終わらせてきたようなもの。疲れるのも無理はない。

 

ただ、それを大っぴらに出さないのがラムという少女。一仕事終えた感以外は表に出さない彼女は澄まし顔でレムが作業をしていた場所に足を進めている。

 

切り替えが速いのか、どうなのか。否、部屋から厨房に戻ってくるまでに心の整理でもつけたのだろう。レムの作業を引き継ぐラムの後ろ姿に先ほどのような弱々しさは無かった。

 

 

「で。レムはどうなった?」

 

「深く眠ってる。あれだけ体力を使えば仕方のないことよ。元から弱っていたのなら尚の事」

 

「そりゃそうだ」

 

 

一つの役目を終えたラムが作業を再開するのを横目にハヤトは問いかけ、返された言葉に彼はラムの背中に軽く頷く。頷いた顔には少しばかりの不安が混ざっていた。

 

今のでレムが眠りに——深い眠りに落ちた事が確定。浅い睡眠しか取れていなかった彼女が漸く確保できたそれは、果たして吉と出るか凶と出るか。

 

レムが眠る。そう聞くと拭っても拭っても心配する思いが次から次へと心の中に生じるせいで、彼女が悪夢に魘されないかという懸念がハヤトは拭い切れない。

 

決してあり得ない話ではないのだ。本当の、本当に、冗談で済ましていい問題ではないのだ。あのレムを見てしまったのならば尚更。

 

 

「……ラム。レムのやつ、大丈夫だと思うか?」

 

「悪夢云々の話をしているなら、大丈夫じゃないでしょうね。あんな事を言っても結局、根本的な問題は何も解決していないもの」

 

「そりゃそうだ………」

 

 

先程と全く同じ返しで会話を閉じたハヤトが大きくため息。言葉は同じでも、声の調子がわかりやすく変化した彼は、間違えなく心に訪れた不安要素に悩まされている。

 

かく故、背中越しにそれを聞いているラムも心の中では悩まされていた。レムの意識を変えるべく想いを伝えたものの、真に解決すべき問題には何も触れられていないからだ。

 

片方の問題に意識を向けすぎた事がダメだったのか。否、そんなわけがない。あそこまでやらないとレムの意識を根本から変えることはできなかったし、想いを伝え切ることはできなかった。

 

何も間違ったことはしていない。自分のした行動は、間違ってはいないはずだ。妹に不利益を齎したことなど、決して、無いに決まっている。

 

 無いに決まって————。

 

 

「取り敢えずの応急処置ってことで、無理やり納得するしかねぇか。あくまで、アイツが目覚めるまでの時間稼ぎ……だと思うことにするよ」

 

 

終わってしまったものはしょうがない。起きてしまったものはしょうがない。過去を引きずるよりも今に意識を向けるハヤトは、そう言って気持ちを無理やり切り替える。

 

レムが自分自身を許せるかどうか。彼女を悪夢から解き放つにはそれを解決する必要があるが、はがゆいことに、自分とラムにはどうすることもできなさそうな気がする。

 

多分、テンじゃないとダメだ。この問題はレムがテンと向き合わないとどうにもならないと思う。傷付けたレムと傷付けられたテンの二人ではないと、きっと解決には繋がらない。

 

全部が全部憶測。考えていて、なんとも曖昧な理由だと自問自答してしまう。けど、そう思ってしまったのだから仕方ないだろう。

 

 それに、

 

 

「大丈夫。アイツならなんとかしてくれるさ」

 

 

この問題はテンとレムの問題だから、その二人でしか話すことができないはずで。どのような形になっていたとしても、どの道テンにレムの救済を委ねることになる。

 

レムのことを真に救えるのはテンだけ——とは、飛躍しすぎた表現かもしれない。

 

けれどレムにとってテンの言葉は、ひょっとしたらラム以上の効果を発揮してくれるかもしれないという希望がハヤトにはある。

 

そのため、飛躍しすぎと言い切れないのもまた事実。

 

 

 ーー瞬間も、刹那も。生涯、この想いが揺らぐことはないと言い切ります。

 

 ーー何があっても、決して、レムの心は変わりません。

 

 

それは森の中でレムが自分に強く語った言葉。

 

自分がレムに、テンのことを愛する気持ちに揺らぎはないか、と聞いた時に即答された、少女の揺るぎない決意。

 

ならば、テンの言葉は絶対にレムの心に届く。愛する人の言葉ならば、罪の意識に囚われるレムを救い出せる——テンなら、レムを絶望の底から絶対に救ってくれる。

 

ハヤトはそれを信じることにした。彼が自分達の繋いだ命のバトンを持って、最後まで走り抜けてくれると。隣にはレムを連れて、また自分達の下に元気な姿で帰ってきてくれると。

 

そうしたら、また、いつもみたいに。

 

 

「頼んだぜ、テン。お前も、そろそろ男になるときだ。好きな女の子が限界まで憔悴してんのに何もしねぇなんてこと、しないでくれよ?」

 

 

いつの間にか止まっていた手元を見つつ、ハヤトは祈るように声を溢す。彼が眠りから目覚めて、レムの現状を知った時に、男として情けない真似をしないよう。

 

自己肯定感の低さと自己評価の低さが問題で常に自信なさげな彼だが、もうそんなことを言ってられる状況でもなくなったから。彼には好きな人ができて、好きになってくれる人ができたから。

 

己の想いを成就させるためにも彼はレムの想いを受け止める必要があるし、彼女の『今』とも向き合う必要がある。ずっと目を背けてきた事と、真正面からぶつかる事が求められる。

 

それはつまり、ソラノ・テンという名の男が情けない自分から変わる時がきたということ。

 

殻を破り、くだらない縛りを振り払う瞬間が訪れたということ。

 

エミリアの騎士になると誓った日——あの朝、あの瞬間にハヤトがテンに叩きつけた言葉が成される時が、ついに訪れるということ。

 

挙げていたら切りがない。彼が男になる事には、それだけの意味があるのだ。人としての器が一つ上に成長することができるのだから。

 

だからハヤトはテンを信じる。信じて、レムの事は深く考えない。考えた分だけ心が沈んでいくから、これ以上は考えない。

 

 

 ーーテンに任せる。以上

 

 

そうして、ハヤトが無理やり切り替えた気持ちをちゃんと切り替えていると、

 

 

「やっぱり……、脳筋が羨ましい」

 

 

一つの雫が溢れるような小さな声、その波紋がハヤトの鼓膜を弱く振動させる。内側に意識を向けていたままだったら拾い逃していたかもしれない程に弱い音。

 

予兆もなく波紋してきた声に顔を上げ、ハヤトはラムを見る。今日はやけに彼女らしくない声を聞くと不意にも感じるが、それも仕方のない事だと己の中で断ち切った。

 

当の本人は、背中を向けて昼食の盛り付けをしているところだ。メインの料理自体は出来上がっていたらしく、レムの仕事を引き継いだといってもラムがするのは最後の仕上げのみ。

 

さしずめ、今の言葉はそのレム関連のことだろう。その程度のことも察せないハヤトではない。

 

それに、数時間前に同じ言葉をかけられていることを彼は覚えている。

 

あの時はレムの乱入で話せなかったが、ちょうどいい機会。ラムと二人で話せる時間は今しかないと知るハヤトは「それは」と言葉を繋げて、

 

 

「さっきの会話を聞いてて思ったことか? それとも、数時間前の続きか?」

 

 

意識をラムに向けるハヤトは、細切りにした野菜をボウルの中に入れつつ問いかける。対してラムは盛り付けの作業をしつつも「どっちもね」と、浅く頷くと、

 

 

「ラムは、自分一人じゃ何も言えない。脳筋の手助けがないとあの場で声を発することも、レムを抱きしめることもできなかった。……情けないわね」

 

「自分から動ける俺が、羨ましいと? たったそれだけのことでか?」

 

「たったそれだけのことがラムにとって、どれだけ困難なことか。脳筋は何も知らないから、そんなことが言えるのよ」

 

 

妙に素直なラムの言葉は八つ当たりに近い。声に尖りのある彼女の声色には明らかな苛立ちが含まれ、感情を最小限に抑えながらも露わにしている様子がハヤトにはすぐに分かった。

 

恐らくラムも、この瞬間をハヤトに喝を入れられる瞬間にしたのだろう。時間的にも、精神的にも、今しか話す時間が作れないから。

 

胸の内を曝け出す予感を途端に醸し出すラム。そんな背中にハヤトは、細切りにした野菜を入れたボウルに蓋をしながら、

 

 

「お前、それでも姉ちゃんかよ。今の妹を見て何も思わないわけねぇよな? なんとかしてあげたいってお前なら思うよな? ならなんで何もしてあげようとしない? なんで自分から行動に移せねぇんだ」

 

「分からないの。何をするべきか、成すべきか、してあげられるのか、できるのかーーあんなに憔悴したレムを見るのは初めてで、ラムもどうしたらいいか……、分からない」

 

 

言葉を紡いでいく度に、ラムの声から覇気が薄れていくのは気のせいだろうか。発声行為が魂を削るとは、考えたくもない。

 

できれば気のせいであってほしいと思うハヤト。己の作業を終えた彼はボウルを机の真ん中に置きつつ手に付着した水滴をハンカチで拭きながら、

 

 

「だったら、お前のやりたい事をすればいいだろ。面倒な事をごちゃごちゃ考えるから分からなくなんだよ。もっと物事を単純に考えろよ、単純に」

 

「レムとラムのこと、なにも知らないくせに。分かったように言わないで……! 単純に考えられないから『今』がある。そうできたら、ラムだって……ラムだって……っ」

 

「知らないから口出ししちゃいけねぇのか? 分からなきゃ何もしちゃいけねぇのか? んなわけねぇだろうが」

 

 

「だって友達なんだから」と付け足し、ハヤトは立ち上がる。病み上がりの体を重たげに上げ、彼はラムの隣へと立ち並ぶ。その手に持っているのは、野菜を細切りにするために使用したまな板とナイフ。

 

シンクの前に立つ彼は、しかしラムの横顔を見ようとはしない。真隣に立ちながらも、彼女の心を覗き見ようとする挙動を見せることはない。彼女も、そこまでは見られたくないだろう。

 

尤も。隣に立つのだから視界の端っこに自動的に入るが、それも気にしない。気にしないったら気にしない。

 

お湯を出し、始めにまな板から洗うことにした彼は洗剤を付けたスポンジでまな板を擦りながら、

 

 

「単純だよ。単純に決まってんだろ。……お前は何がしたいんだ? 憔悴した妹を助けるために何がしたいんだ? ごちゃごちゃ考えようが、結局はそれなんだから」

 

「ーーーー」

 

「お前はレムに、なにをしてあげたいんだ? なにをしたらいいかとか、なにをするべきかとか、そんなんじゃねぇよ。お前自身が、レムになにをしてあげたいのかを俺はずっと聞いてんだ」

 

 

レムの想いを伝えている時にも過ぎった問いかけが、再びラムに投げかけられる。これから先、道に迷った時に過るであろう記憶が今、脳裏に深く刻み込まれている。

 

己の意志を第一に考える彼だからこそ、その言葉は力を宿す。普段から態度が弱々しい人間が今の言葉を言っても無駄、ハヤトが言うから聞き手の心は揺れ動く。

 

隣で聞いているラムも例外ではない。現に、優しさの中に確かな力強さが宿る言葉を聞く彼女の手は今、少しずつ動きが鈍ってきている。

 

 

「くだらねぇもんに縛られんな。単純に考えるってのはそういうことだよ。アイツ(テン)もそうだが、ここにいる人間はみんな、心にある縛りのせいでいつも躓いちまう。そんなの、もったいなさすぎると俺は思う」

 

 

テン然り。エミリア然り。レム然り。ラム然り。ロズワール然り。パック然り。ベアトリス然り。

 

自分の周りにいる人間は何かしらの『縛り』があるせいで、心に大きな傷を抱えている。決して簡単には取り払うことのできない厄介なものだ。

 

その種類は千差万別で、悲劇の程度も千差万別。しかし程度の差こそあれど、それが生み出す傷が当人に深い傷痕を残していることは全員に共通して当てはまること。

 

そのせいで何かに躓くのなんて、もったえないとハヤトは心底思うのだ。当人が傷痕をどうにかしたいと思っているのなら尚更。縛りとは率直に表すならば過去に起こった出来事だろう。皮肉にも、テンだけは例外だが。

 

改善してやりたいと思う。改善して、そんなつまらないことで自分を抑えないでほしい。だって、自分達が生きているのは『過去』ではなく『今』なのだから。

 

そのためには、その人の過去を知る必要がある。知って、寄り添う必要がある。が、残念なことにラムが話してくれるとは想像しずらい。

 

どうしてか。今の精神状態で人生最大の悲劇をラムが語るとはとても思えないからだ。

 

 だから、少し別の方向から攻める。

 

 

「あぁそうだよ。俺は、お前とレムのことなんざ知ってるようで知らねぇ。何があったかも、その影響で縛られた事も、何もーー何も知らねぇよ」

 

 

これに関して、ハヤトは本当に知らない。

 

アニメを一度見ただけの彼は大まかなことしか理解しておらず、うろ覚えの知識など無いに等しい。

 

故に、その発言に嘘偽りはない。本当の意味でハヤトはレムとラムの事を知らず、それを前提として話を進める。

 

 

「だが、お前はそれでいいのか。ずっとその縛りのことばっか引きずって、姉妹として歪な家族になって。それがお前の、姉と妹の理想像なのかよ」

 

 

洗い終わったまな板を水切りカゴに入れ、ハヤトはナイフに手をかける。洗い物をとっとと済ませたい彼の手は素早く、休むことを知らない。

 

作業片手間の会話。だが、意識の半分以上はラムに向けるハヤトの声は真剣そのもの。レムと話していた時と同じ雰囲気が今の彼には滲み出ていた。

 

蛇口からお湯の流れる音だけが二人の間で鳴り続ける中、ハヤトは楽しげに口角を釣り上げると、

 

 

「一回、姉妹喧嘩でもしてこい。いらねぇもん全部捨てて、ぶつかってこいよ。溜め込んだ感情の全てをぶつけて、ぶつけられてこい。そうじゃなきゃ伝わらない事もあんだぜ」

 

 

言った瞬間、ラムの動きが止まる。ハヤトが話す過程で徐々に動きが鈍っていた彼女は、今の言葉で完全に停止した。

 

その言葉自体がラムにとっては衝撃的な一言だったのか、辛うじて停止から逃れた桃色の前髪が大きく靡きながらハヤトの方を思わずといった風に向く。

 

しかし、ハヤトの視線は洗い終わったナイフに向いている。お湯を止めた彼は握りしめたナイフを軽く水切りし、手に持った布で水分を拭き取りながら、

 

 

「頭の中ぐちゃぐちゃしてどうしたらいいか分かんねぇなら、まず吐き出すんだよ。レムにもさせたように、お前もレムに吐き出して想いをぶつけんだ。話はそれからだろ」

 

 

感情のままに声を発する。心配なら心配だと伝える。こんな単純なことができずして、どうして細かいことを考えることができるか。

 

まずは胸の中にある自分の考えを全て伝える。伝えたら、相手も伝え返してくれるから。そうやってお互いに曝け出して、ようやく先に進むことができるのだ。

 

皮肉にも、そうすることができないからこの二人の関係は一歩たりとも先に進まない。

 

 

「もし、それでレムに嫌われたら……」

 

「多分、レムと同じこと考えてると思うよ。レムもラムに何か言って嫌われでもしたら……って考えてんだよ。だから、互いに素直に言い合えない。言っただろ。姉妹として歪な家族、って」

 

 

だからハヤトは何度でもその背中を押し出す。当たり前で、誰もが一度は立ち止まりそうな壁にぶち当たる姉妹を結ばせるために、彼はラムの不安事を強く否定する。

 

 ——嫌われたくない、大切な人だから。

 

誰もが思うことだろう。嫌われたくない一心で自分の想いに蓋をし、一度でも蓋をすれば蓋をする想いはどんどん数を増していく。増して、増して、それがぐちゃぐちゃした想いと成る。

 

だから一度、それら全ての蓋を解放し、風通しを良くしなければならない。風通しが悪いと、本当に伝えたい想いが出てこなくなるから。

 

ならばその風通し、自分が良くしてやろうではないか。そのキッカケを作ってやろうではないか。

 

 

「俺とテンを見ろよ。俺らなんて自分の言いたいことぶちまけまくってるっての。例え自分と真反対だとしても、自分の思ったことは素直に言ってる」

 

 

水滴を拭き終わったナイフを足下の収納に入れ、ハヤトは体を反転。使っていた布で手についた水分を拭き取る彼はシンクに寄りかかり、

 

 

「それで、俺とテンの仲が悪くなったことが一度でもあったか? お前たちの目には俺とテンが仲悪そうに見えたか?」

 

「見えなかった。見えなさすぎて違和感すら感じてくるけど」

 

「だろ。お前とレムも似たようなもんだって。俺達が大丈夫なら、お前達だって大丈夫だろ。家族なんだし」

 

 

止まった手を動かし始めたラムを横目に、ハヤトは小さく笑う。日常的に言いたい事をぶちまけてるにも関わらずテンと自分の関係が保たれ続けていることが嬉しくて、変に笑ってしまった。

 

確かに違和感かもしれない。普通なら喧嘩に発展しそうな言い合いでも、テンとならば『適当に流す』という形で大体は終わる。

 

関係値の高さが主な理由か。大して仲の良くない相手に言いたい放題した場合、争い事を招くのは必然。そうならないのは、お互いの意思を許容し合えるまでに関係値が高いから。

 

その理由が確かなら、レムとラムの関係が崩れることは万に一つとしてありはしない。家族であり姉妹である二人ならば、ラムが懸念している不安は不必要だ。

 

もし、そうでない場合で想いをぶつけ合うならば、

 

 

「大事なのは、それを一つの考えとして受け入れること。許容してやんだよ。ラムにはラムの考えがあるように、レムにはレムの考えがある。それを理解した上で自分の想いをぶつけんだ」

 

 

相手に想いを叩きつけることでしか溜め込んだものを発散することができないハヤトが、いつも意識していることだ。

 

自分のことばかりを一方的に押し付けていてはダメだ。それでは衝突するばかりで話し合いは全く前に進まない。発散するどころかストレスだけが一気に溜まっていく。

 

相手の意思を尊重すること。相手の意見を一つの考えとして受け入れること。受け入れた上で自分の意思を伝えること。

 

 

「こんなこと、言わなくても分かってるよな?」

 

 

確認程度に聞くハヤトに、ラムは何も言えない。軽く視線を合わせてくる彼に、ラムは盛り付ける手元しか見ることができない。

 

自分はレムの考えている事を、ちゃんと知ろうとしなかったのだから。知ったようなつもりでいただけで、心の奥底までは知らないのだから。

 

あの炎の夜——その前までのことしか知らない。それからのことなど、何も知らない。

 

全てが変わったあの瞬間、レムが何を思っていたのかも。全てが変わってから、レムが何を思っているのかも、自分は全部は知らない。

 

距離感に迷って、歩み寄ろうとしなかったせいだ。何か、歯車が狂ったように変わってしまった妹を前にして、どうしたらいいのか分からなかったせいだ。

 

自分の——自分のせいだ。

 

 

「吐き出して、それでもまだどうすればいいか迷ってんなら。自分が何を思い、誰を想っているかテメェの胸に聞いてみな。それが答えだ」

 

「何を思い……、誰を想っているか……」

 

「感情論には理屈も論理もいらねぇ。その人を想う心さえあれば十分だ。そんで、ラム。お前にはそれがある。レムを想う心が、お前には十分すぎるほどにある。ならーー」

 

 

そこまで聞いて、ラムの鼓膜からハヤトの声が離れていく。その先が不意に止まったのだ。

 

順調に喝を入れられていたはずのラムの心に流れ込んでいた活力と気力の供給が止み、視線を手元に固定していたラムはハヤトに何があったのか気付けていない。

 

 

 ーーどうしたのだろうか

 

 

そんなことを思い、釣られるように顔を真横に向けると、

 

 

「ーー迷うことなんて一個もねぇだろ?」

 

 

 瞬間。

 

 ラムは太陽を見た。

 否、太陽のような笑みを見た。

 

見ているだけで自分の中にある陰りが一つ残らず消されていくような、考えていた悪いことが快音を立てて崩されるような、そんな輝かしい笑み。

 

途端から、体がとても軽くなったのは気のせいではないだろう。ずっと迷っていた事が晴れていく爽快感があるのは、気のせいではないと思いたい。

 

何一つとして邪な感情の混濁がない笑み。ただ、純粋な笑顔を浮かべる彼に救われていく。

 

何度となく見てきたそれだが、依然として光が衰えることはなく。釣られて頰が緩みかけたのは意地でも悟らせない。

 

それでも表情が和らいだことは、不本意だが表に出したラム。彼女にハヤトは嬉しそうに笑いを音にすると「まぁ、あれだ」と、

 

 

「一度、お前の中の姉妹像ってのを壊してみろよ。今のお前達の形が、本当に姉妹として在るべき姿なのか考えてみな。もちろん、人によってそれは変わってくるが、少なくともお前にとっては違ぇはずだ」

 

 

 ——姉妹像。

 

力強い瞳を見ながら、自分はレムとどうありたいのかラムは考える。自分という姉と、レムという妹で作られた姉妹関係が、本当はどうなっていてほしいのか。

 

過去の縛りから解放されたレムが鬼族としての拘りから抜け出せて。自分自身の存在を認めて。綺麗な笑顔を見せて。そんな妹を隣にした自分もまた笑顔を浮かべる。それが頭に浮かんできた光景。

 

そんな、理想でしかなかった姉妹像。叶うことなんてないと思っていた光景——果たして、それをそのままで終わらせていいのか。

 

だってまだ、自分は何もしていない。何一つとして行動を起こしていない。やれる事を尽くしていないくせに理想を終わらせるなど愚行もいいところ。

 

叶えたい理想がある。完成させたい光景がある。今すぐには無理でも、いつか、いつの日か脳裏に描いた姉妹像にレムと成れるために。

 

 

 ーーじゃあ、自分はどうしようか?

 

 

「お前は何にも縛られてねぇ、自由なんだ。あれがしたい、これがしたい、全部やれ。自分らしくやりたいことをやれ。それでいいんだ。抑える必要なんてねぇんだ。我慢する必要なんてねぇんだ。だって、お前は自由なんだから」

 

 

心に浮上した一抹の不安を察したかのような語り。脈絡がない割には核心を突いてくるハヤトの鋭い言葉に、ラムの心臓が一度だけ大きく跳ねた。

 

表に出さなかっただけでも御の字。流石に、僅かな動揺までは察する事ができなかったハヤトは「それによ」と指をパチンと鳴らすと、

 

 

「自分が選択した行動の良し悪しなんざ、行動した後の行動次第で百八十度変わるし、変えられる。間違った行為の修正なんて、なんとでもなるもんだ。だから、動けるときに動き出しておいた方がいいぞ」

 

 

表情から陰りが抜けたラムにハヤトは言葉を畳み掛ける。彼女が言葉を返さないため、ハヤトが一方的に言葉を押し付けているようにも感じられるが、それでも言葉に言葉を重ねる。

 

機会は逃さない。ラムの心が闇から引き上げられたなら、二度とそっちへ落ちないよう光に引っ張る。一時的なものにはさせない。迷いが生じない領域にまでラムを連れ戻す。

 

足りないなら、もっと言葉を畳み掛ける。

 

 

「一人で動き出すのが怖かったら、俺やテンを頼れ。俺は、お前が力を貸して欲しいって言ってんなら、いくらでも力を貸すぜ。背中、力強く押してやんよ。ーー友達だからな」

 

 

レムにもしたように、ハヤトは拳を胸に強く打ち付ける。「まかせろ!」とでも言いたげな格好、否、本当にそう言ってるのだろうとラムは思う。

 

彼は本当に、自分が「力を貸しなさい」とでも言えば「まかせろ!」の一つ返事で力を貸す気だ。損得関係なしに、カンザキ・ハヤトという男は友人の助けを求める声に飛びつく。

 

目の前の笑みを見ていると心底思う。この男はやはり、とてつもなく情に厚く、えげつないほどに仲間思いな男で。

 

 本当に頼りになる男だ、と。

 

 

「勿論、テンもだ。アイツは、お前が辛そうな面の一つでも見せたら、すぐに飛びつく。お前が一番知ってんだろ。あの夜にレムのことで不安だったお前を、テンはどうしてくれたよ」

 

「そんなこと、言われなくても分かってる。テンテンは『超』が幾つあっても足りない単純な男。ラムが儚い笑みを浮かべただけで、あの男は身を投げ捨てでも死力を尽くしてくれるでしょうね」

 

 

テンのことを信頼してるのか、或いは自分の儚い笑みが国宝級だと思ってるのか。何にしてもテンの頼もしさは彼女もよく分かっているはずだ。

 

彼は()()()()絶対に折れない。ハヤトと同等の精神的な強さを発揮する。それを間近で見たのだ、その頼もしさをラムが理解できないわけがない。

 

ハヤトとテン。自分と、その相棒の名前を交互に口にしたハヤトは胸につけた拳をラムに突き出し、親指を立ててグーサイン。

 

 

「大丈夫だ。お前()ひとりじゃねぇ。今までは知らねぇけど。今は確実に違う。だって、お前の隣には頼れる男が二人もいるんだぜ。少しは頼ってくれよ。そのためにいるんだからさ」

 

 

「な?」と、最後に付け足すとハヤトは口を閉じ、突き出した拳を下げる。言いたいことを余すことなく伝えた彼は「ほぅ」と一息ついた。

 

正直なところ、頭の中に浮かんだ言葉を伝えただけに過ぎないため、ちゃんと話せていたか不安だが。ラムの表情から陰りが無くなったところを見ると、取り敢えずはなんとかなったらしい。

 

程なくして訪れるのは沈黙。言い切ったハヤトが黙ると、厨房には語り続けた彼の声が薄く反響するだけで、それが自然消滅すると空間は静かな世界に様変わり。

 

頭の中で整理しているのか、硬直したラムは一言も言葉を発してくれない。「大丈夫か、こいつ」とハヤトは思い、ラムの顔を様々な角度から覗き込む。

 

 

「……脳筋」

 

 

そうして数秒後。名を呼んだラムの第一声は、

 

 

「何をボサっとしているの。さっさと昼食を台車に乗せなさい。折角ラムが盛り付けたのに、無駄になってしまうわ」

 

「あれーー?」

 

 

何事もなかったかのような振る舞いにハヤトは首を大きく傾げる。他にもっとあるのかと思ったが、いつも通りの態度に戻ってくれたラムは相変わらずだった。

 

台車を引っ張り出してくる彼女は余韻にも浸ってないらしい。不満げな顔で「他にないのかよ」とハヤトが不満そうに尋ねれば、

 

 

「ない。逆に、あると思うの?」

 

 

ぴしゃりと、シャットアウトされたような気分になった。

 

数分かけて彼女に喝を入れたはずなのだが。その事実を記憶から消し去ったかのように、恐ろしく切り替えが早い。数秒前の出来事をもう頭の片隅に置かれた。片隅どころか、ごみ箱に捨てられてそうな気配。

 

澄まし顔で、余裕そうな態度で、見下すような雰囲気を纏うラムは、いつも通りと言い表すのが適している。落ち込むハヤトに「ハッ」と、嘲笑まで投擲されれば彼は清々しさすら感じた。

 

尤も、いつも通りのラムが帰ってきた——この事実がラムなりの礼なのだろう。自分が見慣れた彼女がいること自体が、心にあった迷いが晴れたことに違いないと思わせてくれる。

 

「はいはい、そうですかよ」と渋々といった具合で従うハヤトは、いつも通りのラムが帰ってきてくれたことに感謝するとして。それ以上は気にしないことにした。

 

 

「つかお前さ、色々と言いたいことを全部ぶちまけるとか言ってなかったか? 結果的に、俺が一方的に話す感じに終わったが。いいのか? あるなら聞くが」

 

 

人数分の食事を台車に乗せる間。ふと、思い出したことをハヤトは口に出した。

 

数時間前の話が確かならば、自分が喝を入れるときにラムも言いたいことを言う——みたいなことを言っていたはず。なら、あれは彼女的には良かったのだろうかと今更ながらに思ったのだ。

 

そんな素朴な疑問にラムは「何を今更」と、

 

 

「あれだけラムに言葉を押し付けておいて、ラムにもやれと? 冗談はやめてちょうだい。脳筋と同族にはなりたくないから。それにほら、馬鹿が移るでしょう?」

 

「お前、俺の語りをそんな風に聞いてやがったのか? 普通に傷つくんだが。てか、まだそのノリ続いてたのかよ」

 

 

軽蔑するような目で見てくるラムにハヤトは苦笑。言ってる事が全く違う彼女には何を言っても通用する気配がせず、それより先の言葉を言い返す気にもならない。

 

元のラムに戻ったならば、自分が口論で勝てるわけがなく。一に対して百で返してくる彼女にはどんな返しをしても悉く迎え撃たれ、そこに毒舌と「ハッ!」が加われば成す術なし。

 

盤石の布陣。テン並に口がよく回るラムには呆れるしかない。

 

 

「昼食まで時間がないわね、遅刻したとなればロズワール様に合わせる顔がないわ……。脳筋、少しそこに倒れなさい」

 

「何で俺が倒れんだ?」

 

「脳筋が倒れて、片付けるのに手間取っていたと伝えるためよ。遅刻の正当な理由になる」

 

「どこが正当だよ! 真反対すぎて一瞬で見破られるわ!」

 

 

本気で言っているのか。少なくともギロリと光る瞳は嘘を言っていないことに戦慄するハヤト。

 

真横のラムが淡々とした様子で右手の手刀を構えるのを見た瞬間、冗談抜きで背筋が凍った彼は食事を積み終わった台車の取っ手を素早く強く握りしめると、

 

 

「そんなこと言ってる暇があったらとっとと運ぶぞ。ほら、こい!」

 

「あ、待ちなさい! そんな運び方をして料理が崩れでもしたら、脳筋の昼食は地竜の餌になるわよ!」

 

「それ、どっちの意味だよ!?」

 

 

盛られた食事が崩れない程度の速度で厨房を飛び出すハヤトが勢いよく駆け出す。大きく音を立てながら扉を開ける彼は、勢いそのままに廊下を真っ直ぐに走った。

 

話してる時間が惜しいなら行動に移した彼は、後ろから鬼の形相で追いかけてくるラムの声に楽しげに返し、それでも止まらない。

 

止まらず、ただ突っ走った。

 

振り返ると見える。鬼の形相に混じった、ラムの楽しげな表情を見ながら。

 

 

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 

 その夜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間が目覚める瞬間は、いつだって突然だ。

 

 

意図的に眠りから起こされるのだと仮定すれば突然ではないかもしれないが、そうでない場合は突然に覚醒する事がほとんどで。

 

その瞬間を完璧に理解できる人間などいない。大凡の時間は把握できたとしても、寸分の狂いもなく目覚めの瞬間を理解することは決して簡単ではない。

 

起床時間というものは、睡眠量や運動量、更には光を浴びた量等によって微々たる誤差を生じさせる。時に、それは数時間もの誤差を眠る者に齎すことだってありえる。

 

その『誤差』を完璧に把握し、起床時間を予測するなど困難な話。故に、目覚めを待つ人間は待つこと以外にできることはない。

 

 故に————、

 

 

「こーゆーのって、朝に目覚めるのでは……?」

 

 

 この男が起きた事など、誰も知らない。

 

 

 

 

 深夜。誰もが寝静まった世界の中。

 

 

 ——ついに、この男が目を開けた。

 

 

 

 






この男、起きる時間を明らかに間違えている。

いま起きて、一体誰が分かるのか!


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