親友とリゼロの世界に飛ばされたお話   作:ノラン

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タイトルだけで何が起こるか分かる人もいるはず。

人間関係(主にテンとレム)を整理するための準備が着々と進む中、いよいよその準備も終わりが近づいてまいりました。

それが終われば、あとはこの章を締めるだけとなりますね。長かった0章も終わりにできそうです。

さて、あと何十日間かかるか。





ずっと聞きたかった言葉

 

 

 

 

 

「痛かったぁ。手の骨が砕けるかと思ったぁ」

 

 

言いながら、テンは握りしめられていた両手を軽く振り続ける。破滅的な力によって骨が砕かれかけた二つの手を見る彼は「マジで死ぬかと思った……」と戦慄気味に声を溢し、解放された事に一安心の様子。

 

そんな彼をゴミを見るような目で見るのはラム。包まれていた手を膝下に引っ込める彼女が向ける視線の温度は、当たり前のように絶対零度。つまりは凍てついた瞳がテンの冗談を破砕したのだ。

 

しかし依然として、椅子に座ったまま対面する形だけは崩さない両者。気分を害されようとも、その場から立ち上がる気配のない二人。

 

そうなれば自然、ラムが抜刀した言葉の刃が烈火の如く目の前の男に至近距離でぶっ刺さるもの。自分に対して愚行を成してきたテンにラムは「ハッ!」と威圧し、

 

 

「ラムの手を握っていいのはレムとロズワール様だけよ。前にも言ったでしょうーーもう両手は塞がっているの。テンテンが割り込める余地はないわ。諦めてちょうだい」

 

「握るってそーゆー意味じゃなかったんだけど……。単に、もう少し慣れたかったからというだけで」

 

「包み込むだけで我慢することね。ラムの手に触れられたこと最大の褒美として受け取るがいいわ。もう二度と……金輪際、触れられることはないと思いなさい。いい?」

 

「はい。いいです」

 

 

なんの褒美かは分からないものの、それでラムの絶対零度状態が和らいだから無視。背筋を一直線に伸ばし、胡座を崩す彼は両方の足裏を床に置きながら即座に頷いた。

 

ラムも見逃してくれたのだろう。目の前の男の萎縮様に楽しげに鼻を鳴らす彼女は言葉の刃を納刀。尖りを意識的に鎮めると、そこから先は切れ味のある毒舌がテンの胸を貫くことはなかった。

 

そうして、ラムの沈んだ態度が発端となりテンの冗談から派生したわちゃわちゃは収集がつくことになった。気持ちの切り替えが早い二人ならば尚更、その境界線は一瞬で引かれる。

 

 

「紅茶いる?」

「いただくわ。ふぅ」

 

 

一悶着あった後のため息をラムが一つ。疲労のそれか、落着のそれか、何にしてもため息をつきたいのは俺の方だよ——と言いたくなったテンだが、言ったら言ったで百倍になって返ってくる予感がしたため口は閉じておく。

 

触らぬラムに祟りなしだ。否、触ってなくとも視界に入っただけで祟られそうな気しかしないが。なんなら、向こうから祟りにくるとすら思える。毒舌という名の祟りが。

 

 

「紅茶、冷めてしまったわね」

「俺としてはちょうどいいよ」

「長く話すぎたと言いたいのよ。理解力のない男だわ」

 

 

紅茶の温度で時間の流れを感じるらしいラムにテンは「そんなの分かるか」と。小説家が使ってそうな比喩表現を現実に持ってこられると理解するのは大変で、察せなかっただけで理解力がないと言われるのは少しだけイラッときた。

 

紅茶を飲む姿が無駄に様になっているのもイラッとくる。一枚の絵画とさえ思える整った雰囲気が、ラムの美貌を光らせている光景が。特に理由はないがイラッとくる。

 

 

「……まぁいいや」

 

 

イラッときたからなんだと適当に片付け、テンは紅茶を喉に流し込む。前を見れば、ちょうどラムも喉を潤していた。数秒して甘味によって解かれた緊張感に二人の「ほぅ」という吐息が同時に漏れる。

 

そして訪れるのは束の間の沈黙。吐息の余韻と甘みの余韻に浸る二人の視線は斜め下——机の上に置かれたラムが作ったふかし芋。二つのうちの一つ、既に存在感が空気になっていたそれ。

 

この場合、ふかし芋であるかどうかなどさして関係ない。沈黙が破られるまで視線のやり所がそこしかなかったというだけで、

 

 

「さて。脇腹のことだけど」

 

 

沈黙が破られればふかし芋のことなど視野から消える。一瞬で、刹那で、その事実を再び突きつけたテンが己とラムの頭からそれ以外の全てを除外させた。

 

 

 ——再び、厨房に神妙な空気が漂い始める。

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

「話したくないなら話さなくてもいい。その代わり、正しいかどうかだけ教えてほしい」

 

 

恐らく、否、絶対に触れてはいけない部分に触れていると理解していながらもテンはその話題を持ちかける。厨房の空気を無理やり切り替えてでも、確認せねばならないことを問いかける。

 

触れてはいけない理由など愚問だ。先程のラムを見ればそれが禁忌だということくらいは察せる。流石にそこまで鈍くないつもりだし、気遣えないほどテンは堕ちてない。

 

ラムの心に寄り添いたいなら尚更。これ以上、彼女を傷付けたくないテンは土足厳禁の領域に細心の注意を払いながら、けれど容赦なく、深く突っ込む。

 

きっと、今さっき二人の間に訪れた沈黙が切り替え時だったのだろう。喜怒哀楽が次々と切り替わるテンの表情が明らかに真剣なものになると、ラムもまた「えぇ」と緊張に頬を引き締め、

 

 

「いいわ。聞きなさい」

 

 

話し手と聞き手の間での意思疎通が成立した。自分がこの場にいる時点でそれを話すことは決まっていたようなものだと割り切るラムは一度だけ、深くゆっくりと頷く。

 

正直、この話は自分の口から話したくなかった。昨日の出来事を受けて色々と考えさせられているところなのに、またこの事を告げなければならない。姉というものは難儀なものだと思う。

 

それを伝える自分の身にもなってほしい。テンやハヤトの損失によってみんながみんな自分のことしか気に掛けられない中、自分は他のことも気に掛けなければならないのだから。

 

自分だって辛いのだ。自分だって苦しいのだ。

 

ただ、それを発散することができる存在が目と鼻の先にいるというだけで。程度の差こそあれど心傷していることに変わりはない。それを表に出さないだけで、傷ついてることに変わりはない。

 

けど、テンは——テンだけは絶対に知っておかなければならない事だと思うと、少しは話す気にもなれた。

 

だって、彼だけはレムの『今』を知らなければならないのだから。知って、それからどうするのか自分は見届けなければならないのだから。

 

姿勢を正し、心を正し、真っ直ぐにテンの瞳を射抜き。彼の言葉を自分の全てで受け止める。

 

 

「じゃあ聞くけど」

 

 

気配が変わったと表現するべきか。こちら側が真面目な態度をとった途端に態度が切り替わったラムにテンは一呼吸分の時間を置いてから、

 

 

「この傷は、俺とレムが戦った時に付けられたもの。っていう認識で正しい?」

 

「正しいか否かを問うなら、そうなるけど」

 

 

膝の上に添えた(机の下に隠した)拳を軽く握りしめながらラムは即答する。表情、声、態度——できる限り普段通りの自分を装い、テンに言った途端から大波のようにして押し寄せたものを外に出さないように。

 

心が拒絶反応を起こしているかのような反応の早さ。その言葉自体がラムの中で感情の引き金にでもなってしまったのだろう、言葉を心が認識した直後から明らかな嫌悪感を発していた。

 

事実一つ語るだけでここまで心に反動が襲いかかるものなのか。ラムは今、何度も自覚してきた己の精神不安定さを改めて、改すぎるほどに改めて自覚している。

 

勿論、目の前にいるテンがその事に気付かないわけがない。手の握力に潰されて布が僅かに擦れる音を立てているのをその鼓膜が拾い損ねないわけがない。

 

それでも彼は知らないフリ。決して見て見ぬフリをするわけではないが、別に無理に暴くような野暮はせず。

 

あまり長引かせるわけにもいかないとテンは「そっかぁ」と机に乗せた両腕に体重を預けて、

 

 

「やっぱりそうなんだ。記憶が正しければ……ってだけだったけど。ラムが言うなら俺のそれも確かなものなんだね。俺の曖昧な記憶は、正しいのか」

 

 

「この傷は、レムが付けたもので間違えないのか」と言葉を付け足すテンの声は重苦しい。

 

傷を付けたレムにしか分からないものがあったように、傷を付けられたテンにしか分からないものもあるのだろう。言った彼の目元に、はっきりと影が差しているのをラムの瞳は捉えた。

 

彼なりに思うところがあるのだろう。否、思うところしかないはずだ。レムが傷付けた事実とレムに傷付けられた事実という、似て非なる二つのそれに板挟みになる彼の視線はまっすぐ前を向いていない。

 

今、その陰影の中で鈍く光る瞳は何を映し出しているのか。記憶の中の事実だけだった事が現実の事実と一致したことを受けて、何を思っているのか。

 

 

「まさか、あの子ーー」

「思ってない」

 

 

脳裏に電撃が突き抜けたと同時に過ぎった不安をラムが強めに口にした瞬間、その口はテンの割り込みに強制的に閉ざされる。

 

まだ全てを言い終えていないにも関わらず先を読んだ否定がラムの不安を破壊すると、陰影が消失したテンが己の視線を押し上げるようにグイッと上げ、

 

 

「そんなこと一欠片も思ってないよ。レムは悪くない。つーか、これは誰のせいでもない」

 

「ラムの言いたい事が分かっていて?」

 

「当たり前だろ。分かってなくてどーすんのさ」

 

 

至って真面目な声色。分かっていることを前提として話を進めているとラムに思わせるテン。実際に分かっているかどうかなど愚問だが、それでも今の発言に軽めの衝撃を受けたラムだった。

 

自分はまだ『まさか、あの子』までしか言っていないのだ。内容の半分も語っていない時点でテンは自分が言わんとしていることを察し、反論となる言葉を強く返してきた。

 

仮に『まさか、あの子のせい』まで話が進んでいたならばこの、胸を跳ねさせる衝撃もなかったろうに。そうじゃないからラムの拳には更に力が込められる。

 

恋心には鈍感なくせに、心の揺れ動きには敏感——彼の持つ矛盾点がこんな形で効果を発揮することになるとは思わなかった。

 

今日は妙に察しがいい。何か、彼の中で変わったものでもあるのかとテンを見るラムは思う。が、肝心な変わったものの理解よりも先にテンが口を開いたため、結局は保留となる。

 

 

「レムは悪くないよ。誰が何と言おうが悪くないと俺は言い切る。そんなの許さないし認めない」

 

 

レムの背中に責任がのしかかることを断固として拒否するとテンは断言。「というよりも、誰が悪いとか……そんなんじゃないと思うよ」と言葉を付け足す彼は「確かに」と更に言葉を繋げて、

 

 

「因果関係で物を語ればレムのせいだと言えちゃうかもだけど。俺はケガをすることくらい承知の上でレムを助けたんだ。その結果として付けられた傷に責任の所在を見つけ出そうとすんのは、なんか違うと思う」

 

 

「んーー。上手く言えない」と、そうやって言葉を終わらせる。自分の心を言葉として上手く表せられない彼は、もどかしさから額に手を当てて悩む素振りを見せた。

 

語彙力の無さが仇となって言いたいことが全く言葉にならないのは前々からだが、それがこんな時にも浮かび上がってこられるのは心底困ってしまう。

 

これでは、目の前の人に自分の言いたいことが完璧に伝えられない。今、自分が思っていることの全てを贈り届けることができない。

 

それでもテンは感情の言語化をやめたりはしない。額に手を当てたまま「えっとぉ……だからぁ、そのぉ」と大いに悩む様子を全面的に出す。

 

悩むという行為そのものを声に出す彼は言葉を形成するまでの時間を稼ぎ——その数秒後に「そう!」とラムと目を合わせながら指をパチンと鳴らし、

 

 

「誰が悪いかとか、そんなんじゃない。みんな自分の意志に従って動いた結果、今なんだ。俺も。レムも。ラムも。ハヤトも。みんなみんな、自分がそうするべきだと思ったから動いた。そこに良いも悪いもあるかよ」

 

「下手な言い回しは結構よ。素直に言いなさい」

 

「レムは悪くないっ! 責任を感じる必要はありませんっ! 以上ですっ!」

 

 

鳴らした親指を聳え立たせるテンは語尾が跳ね上がったと同時に力強いグーサイン。自分の体が傷ついたことなど一欠片も気にしていない彼は、曇り一つない笑顔を弾けさせた。

 

初めからこうすれば良かった。どんな理由を述べようとも最終的にはそれに辿り着くのだから。回りくどい言い方は面倒で、細かく説明しようとする方が逆効果になりやすい。

 

時には、思ってることをストレートに伝えるのも大切——その重要性を今、不意にもテンは実感している。頭でごちゃごちゃ考える事なんてせず、心のままに声を上げることも想いを伝える上では大切なのだと。

 

ハヤトを見ているといつも思わされるが、こうして自身で体験すると改めて思う。現に、ド直球の素直な想いを深く受け止めたラムはしばしの沈黙を置いてから「ふっ」と僅かに微笑み、

 

 

「それが聞ければ十分。あの夜に聞いた事の再確認の意味を込めたものだったけど、意見が変わってなくて良かったわ。テンテンもそう思ってくれてるなら、ラムも安心できる」

 

 

底知れぬ激痛を受けた。否、現在進行形で受け続けている当人の素直な意見にラムは心の中で「ほっ」と一息。物理的に胸を撫で下ろしたくなったが、それはやめておいた。

 

テンがレムを許すことなど知っている。違う、許す以前に責任など無いと主張する彼はレムのことをなんとも思っていない。だから、この質問をすること自体が愚問だったのだろう。

 

知っている。知っているとも。そんなこと、姉として知らないわけがない。少しだけ彼の本音を聞きたかっただけだ。聞いて、彼の想いの強さを確認したかっただけだ。

 

結果として「まさか、レムのせいだなんて思ってないでしょうね?」と、威圧気味に問いかける予定が狂わされる程の想いの強さがあることが分かった。大収穫だ。

 

自分がそうするべきだと思ったから動いた。そこに良いも悪いもない。——確かにその通りだと思う。

 

レムは魔女教徒の襲撃に誰よりも先に気付いて動き。自分はレムから伝わった共感覚を頼りにレムを助けに動き。ハヤトとテンはレムを助ける自分を、そしてレム自身を助けに動いた。

 

誰かに「動け」と言われて動いたわけでもなく、自分がそうしたいと思ったから動いた。故に、そこから先の出来事が招く悲劇に責任の所在を見出すのは絶対に違う。

 

そもそもの話として、あの戦いに『責任』という言葉は似合わない。

 

何がどうなったとしても誰も悪くない。みんな本気で生きようとして、助けようとして、今になったならばそれを一つの形として受け止める。問題は、受け止めてからどうするか、だ。

 

敢えて見出すとしたら魔女教徒だ。アレが来なければこんなことにはならなかった。血の夜が齎した全ての悲劇の根元は世界にとっての最悪にあり、自分達は何も悪くない。

 

 悪くない——悪くない、はずなのに。

 

 

「テンテンがそう言っても……あの子は、責任を感じてるわ」

 

「だろうね。レムのことだから、なんとなくそんな気はしてたよ」

 

 

事実は変わらない。結果は揺らがない。

 

例え、テンが責任がないと言おうとも。レムは絶対に悪くないと言おうとも。『レムがテンを傷付けた』という事実は決して塗り替えることはできないことを二人は知っている。

 

過去は変わらない。行動と結果によって形を成した事実というのは、どう足掻こうとも書き換えることなどできないのだ。

 

「責任など無い」「悪くない」「自責の念に駆られる必要はない」。そんな言葉をかけてもレムにとっては無駄になってしまう。慈愛に満ちた言葉で包み込もうが、今のレムには大した意味を成さない。

 

だって、レムにとって一番優先されることは『愛する人を傷付けた』という事実そのものなのだから。どんな言葉をかけられようとも、その事実一つが全部覆す。

 

 

「テンテンを傷付けたこと自体が許せないから、レムは自分を許すことができない。自分のせいだ、ってずっと苦しんで、ずっと悲しんで。それをそのままにしてここまで引っ張ってきたーーそれが今のレム」

 

 

 ーーレムがレムを許すことができないんです。

 

 

テンが目覚めるまでの地獄の一週間を思い出す過程で、そんな言葉がラムの中で再生された。震えて、泣いて、もう嫌だと言いたくなるまでに恐怖している妹の声。

 

レム自身、テンが自分のことを許してくれるなど分かっていると彼女は話していた。テンが贈り届けてくれた愛に満ちた言葉の数々に、自分に罪などない、責任など無いと思わされていた。

 

その程度のことをレムが理解できないはずがない。が、それを許容するかどうかは話が別。頭では理解していても心が受け止め切れなかった。心は、その意味を理解しようとはしなかった。

 

自分がテンを傷つけたという事実がなによりも先行することが原因だろう。他の事実を置いてけぼりにして、それしか見えていないのだから。

 

 

「レムがレムを許せない、ね。俺を傷付けたことが精神的に大きかったのかな。まぁ、人一倍、責任感を抱え込みやすい子だからそうならないとは言い切れないけど。そこまで気にする……ことか。気にすることだよね」

 

「えぇ。気にすることね」

 

 

 ーーレムは貴方のことを愛しているから

 ーーレムは俺のことが好きだから

 

 

今、奇しくも同じことを同時に心の中で声として発したテンとラム。二人の表情が目に見えて暗がる。両者とも目の前の存在に釣られる形で顔に影が差し、心が勝手に作った言葉のお陰で無意識に沈んだ。

 

なぜ心はその言葉を形成してくれたのか。理由は分からないが、少なくとも言葉の残酷性を理解させられたせいで、二人揃って胸が強く締め付けられる羽目になっているのは確かだ。

 

——想い人を傷付ける。果たして、これ以上に辛いことなどあるだろうか。あるとすれば殺めることか。どちらにせよ傷付けることに変わりはない。

 

ラムも、自分の手でロズワールを傷付けることがあったら死ぬ覚悟とさえ思えるそれ。姉のラムですら何の迷いもなくそう答えれるのだから、妹のレムもまた然り。

 

理由はなんであれ、愛する人を傷付けることは許されることはあっても許すことはない。他の誰もが許しても、当人だけは許せるはずがない。それはラムもよく分かっている。自分だってそうなのだから。

 

姉妹の心は、いつだって同じ方向を向いているのだから。それ故に、現状を打破することが一筋縄ではいかないことを完全に理解できてしまうのがラムにとっては辛い。

 

 

「それで、レムは今どんな状況? 病んでたりしない? 鬱病とか、それに近しい状態になってたりしてない……よね?」

 

 

精神的な負担から派生して辿り着いた事をテンが恐る恐る問いかける。願望が大半を占める声色の彼は意味もなく人差し指で机に小円を描いた。何かしていないと気が治らないのだ。

 

だってその問いかけは、半ば答え合わせのようなもの。問いかけの返答に予測がつくそれは間違えなく愚問だ。聞かなくとも分かり切っている。

 

しかしテンは僅かな可能性を求めた。もしかしたら、なんて甘すぎる考えが頭の片隅にあるから。一筋にも満たない光を浴びるために彼は必死になる。

 

 その僅かな光は、

 

 

「どうかしらね。昨日の今日だから、少しは発散できたと思いたいところだわ。……それでもまだ、悪夢に魘されてる可能性は否定しきれない。あの子の表情から感情が無くなったことも。あの日からーー」

 

「ちょい。ちょい待ち。まったく追いつけない」

 

 

広げた右手をラムに突き出すテンは「待て」の仕草。言動で止まらない語りに区切りをつける彼は小指と親指を折り畳んで『三』の意味を形作り、

 

 

「情報が混濁しすぎて分からないよ。昨日の今日ってなに? 昨日、なんかあったの? レムが悪夢に魘されてるどーゆーこと? 最後の、感情が無くなった、ってなに?」

 

 

たった一度の言葉に、決して無視できない事がありすぎたせいでテンは疑問符が止まらない。頭の上に三つほど大きなそれを浮かべる彼は首を何度も傾げる。

 

叩き込まれた情報の糸が頭の中で複雑に絡み合う感覚。一つ一つを丁寧に解こうとしても情報を受信した直後の頭では処理が追いつかず、テンは途端に慌て出した。

 

その小さな慌て様にラムは急ブレーキ。それに関しては自身の落ち度だと一瞬で理解した彼女は立ち止まった。

 

なにせ、テンはまだ目覚めてからここまで、ラムの口から語られた事しか知らない。知っていることを前提として話したのが間違えで、配慮に欠けていた。

 

テンの頭の上に大きな疑問符を三つ幻視したラム。彼女はそれらを撃ち抜くように、

 

 

「昨日のことは……話すと長くなるから省略してもいい?」

 

「いいけど。要点だけまとめると?」

 

「レムの溜め込んだものを少しだけ発散させる出来事があったのよ」

 

 

「ん。そっか」と。三つのうちの一つが撃ち抜かれたテンはそう言って無理やり納得。説明足らずにも程があるが、後々聞くとして今はそれだけで済ませる。

 

 

「悪夢ってのは?」

 

「想像つかない?」

 

 

問いかけに対して問いで返されたテン。問いただすはずが逆に疑問符を投げかけられた彼は一呼吸分の間を置くと、

 

 

「安直だけど、話の流れ的に俺を傷付けた事が夢に出てくるみたいな? そんな感じ?」

 

「そんな感じよ。あの日から毎晩、レムは悪夢に魘され続けてる。寝不足になって顔色が悪くなるまでね。化粧までして誤魔化していたもの」

 

 

淡々とした口調で語られたテンは眉間に皺が寄る。軽いテンポで明らかになった事実だが、軽々しく口にしていい内容ではないことは分かった。それを話すラムの表情もあまりいいものとは思えない。

 

背負う責任感が悪夢に繋がっているとは。知りなくなかったし、予想が正しい事であってほしくなかった。それに、実現もしてほしくなかった。

 

それが、どれだけレムの心を追い詰めているかなんて容易く想像できる。底知れぬ恐怖が彼女の精神を毎晩のように抉っている——一体、どれほどの負荷が小さな体に掛かっているか。

 

もしかしたら今も苦しんでいるかもしれない、そう思うテンは珍しく「チッ」と舌打ち。感情を荒ぶらせる方向で露わにする事が少ない彼は下唇を噛み締める。

 

苦しむ彼女を放って自分は八日間も寝ていたのか、と。呑気にも程がある。今すぐ頬をぶん殴ってもいい。

 

 

「最後のだけど。感情が無くなったのは表現が突飛すぎたわ。喜怒哀楽が欠け落ちてしまった、と表現するのが適切かしら。笑顔を見せていないと言ったでしょう。それのことよ」

 

 

荒ぶる感情を抑え込むテンに、ラムはどことなく嬉しそうな気配を漂わせながら語り終える。

 

どうして漂わせたか。普段から身内のことに関しては荒ぶる事が殆どない彼が、レムに対して荒ぶっていることが嬉しいからだ。

 

他でもないレムに対してそうなっていることが、不謹慎ながらに嬉しいからだ。

 

そんな思いをラムが抱いていることなど気にも止めないテン。噛み締めた下唇に分かりやすく歯形が残る彼は「んーー」と喉を低く唸らせ、

 

 

「要するに、昨日なんかあって溜めた感情を発散させたけど。それが悪夢の解消に直結するとは限らないから、まだ笑顔が戻っている確証はないと」

 

「えぇ」

 

「ついでに、悪夢に魘されている可能性も否定できないと。発散できたとしても、それが根本的な問題を解決した(レムがレム自身を許せる)ことにはならないから、一時的な凌ぎにしかならないと」

 

「要するに、そういうことね」

 

 

情報の糸を解き切ったテンが要点だけをまとめると、返された言葉はラムの無慈悲な肯定。何一つとして間違っていないことが明るみになったところで「そんなの辛すぎるよ」と、彼の声が震え出した。

 

どうしてレムばかりが辛い想いをしなければならない。何も悪くない——本当の本当に悪くないのに、どうして苦しめる。

 

もし、これが神様の悪戯ならば悪質に過ぎる。天罰だかなんだか知らないが、震える女の子をこれ以上痛めつけてなんの意味がある。本当にそうなら、自分は神殺しにでもなってやろうか。

 

 

「化粧までしてラム達に憔悴を悟らせなかったんだもんね……。あーもう、ほんとにダメ。考えてるとなんか泣きそう。目ぇ熱い。すごく熱い」

 

「脳筋は泣かなかったけど」

 

「だから泣くなって? 無理だよ。だって俺、犬が主人公の映画を観て号泣したもん。泣く時は素直に泣くんだよ。信用してる人の前でくらい抵抗なく泣かせてよ。不安定なんだから。あ、まって、ホントにヤバい」

 

 

不意な衝動が起点となって口元が情けなく震え出したテンは重ねた両腕に顔面を乗せ、再び机に突っ伏す。それから言葉を発さなくなった代わりに深呼吸を何度も何度も繰り返し行なった。

 

しばらくして聞こえてくるのは押し殺した嗚咽。殺しても殺しきれなかったのが僅かに音として漏れ、本人が意図していないそれは時間が経てば経つほど数を重ねていく。

 

泣くテンを見たのは初めてだ。男という生物は基本的に涙を見せるものではないとラムは思っていたが、どうやら間違えだった。時折、鼻を啜る音が僅かに聞こえる。

 

レムもテンの事となると途端に感受性が豊かになる傾向があるが、逆もまた然りだった。テンもレムも、二人揃って好きな人の事となると不安定になりがちらしい。

 

当たり前といえば当たり前だが。目の前でそうなられると対応に困るラムだ。妹のことをここまで親身になって考えてくれるのはとても嬉しいし好感が抱けるが、流石に耐えてほしかった。

 

 

「それもまたテンテンらしいと言うべきか……。レムのことで泣いてくれるのは嬉しいけど、せめて一人で泣いてほしかった」

 

「いや、ひとりで泣いちゃダメでしょ。隣に誰かがいるときに泣かないと。泣くってことは自分でも耐え切れない程に辛いってことだから、誰かに涙を拾ってもらう必要があるんだよ」

 

「時と場合にもよるとラムは思うわ。一人で泣きたいときだってあるはずよ。……テンテンもそれはよく分かってるはず」

 

「それを言われると何も言えない。実際に、ひとりで泣きたいときが俺にもあったし。それは、綺麗事が人によってすり替わるのと同じことだからね」

 

 

「でも、少なくとも今は違う」と、言葉を閉じたテンは顔を上げる。目の潤いが数秒前よりも増した彼がラムには見えた。涙を流していたかは定かではないが、噛み締められた下唇を見ればそれも薄々だが察することはできた。

 

生唾をごくりと飲み込み、テンは「ふぅ」と熱を帯びた吐息を一つ。同時に込み上げてくる感情と目の奥の熱を喉の奥に押し込むと、

 

 

「うん。治った。もう平気だよ」

 

「平気そうに見えないけど」

 

「平気ったら平気なんだ」

 

 

気持ちを入れ替えるテンは少量の紅茶を口の中に流し込む。乾いた分を取り戻してほっと一息。何が乾いたのか本人もよく分からないが、取り敢えず甘味成分が乾きを癒したのは分かった。

 

そうして込み上げたものを処理する過程が終わるとテンは「そっかぁ」とトーンが一つ下がった声で、

 

 

「レムが自分自身を許さないのか……。なら、じゃぁもう、これはレム自身の問題ってことになるのか。レムの心をなんとかしないと、悪夢からは解放されないのかな」

 

「それなら、テンテンはどうしたらあの子があの子自身を許すことができると思う?」

 

 

自然な流れで聞きたかったことをラムは問いかける。泣いた事実に関しては後で揶揄いまくってやるとして、彼女はその答えをテンに迫った。

 

テンならばなんて言うだろうか。ラムという人間にとって行動の先読みが恐ろしく困難な相手ならば、どんな答えを導き出すのだろうか。

 

本当に分からない。ただ、自分が見当もつかない答えを出すことは分かる。

 

相変わらず読めない思考回路が辿り着く答えは、レムがレムを許せるようになる答えは、きっと屋敷の誰もが頭の片隅にもないようなもので————、

 

 

「別に、無理に許す必要はないんじゃないかな」

 

 

それら全てを、当然のようにひっくり返してきたテンにラムは己の時を停止させられた。

 

彼からすれば、許す以前の問題だったらしい。

 

屋敷の人間に関わらず、レムですら自分をどうやって許せるかと四苦八苦しているのに、目の前の男はなんと言った。

 

 

「許せないなら許さなくてもいいと俺は思うけど。誰しも生きてれば、これだけは絶対に許せないことの一つや二つあるもんでしょ。絶対に許していいわけがない、ってさ」

 

 

許せないなら許さなくてもいい。

 

確かに頭の片隅にも、否、片隅はおろか思考の片隅にもなかった考えだ。言葉そのままの意味で、考えもしなかった。

 

だって、それ以外に道はないと思っていた——思い込んでいたのかもしれない。レムを救うためには、レムがレム自身を許せるようになるしかないと、勝手に固定化していたのかもしれない。

 

 

「だから、その代わりに受け入れる。許せない自分を受け入れて前を向いていくしかない、と思いました。レムの場合は、自分が許せない!で、止まってるから今みたいになってんじゃないかな」

 

 

少し前までは「んーー」と悩ましげに喉を唸らせていたはずのテンは、しかし今に限って迷いなく言い切る。誰も思いつかなかった『許容』という新たな道を引いた彼は、小さく頷いた。

 

その瞳に嘘の色は混じっていない。真実のみを映し出す瞳は至って大真面目。本当の本当に、彼はそう思って言っている。

 

この男だけはやはり周りとは違う意見。皆が「どうしたら許せるか」と思うところを、彼は「別に許す必要はない」とあっさり言った。あっさり言うことが本心であることの裏返しだろう。

 

まさか、前提条件を書き換えられるとは思わなかった。相変わらず読めない男だと心底思わされる。

 

 

「ならテンテンは、レムが自分を許せない自分を受け入れられたら、そうなることができたら。悪夢から解放されると思うの?」

 

「そーなるね。否定でも肯定でもない許容。それをそれだと受け入れてあげる。どんな自分だって自分なんだから。そうやって前を向いていくしかない」

 

「テンテンは情けない自分のこと否定したのに?」

 

「それは、俺の場合はその自分を否定できるからの話だよ。レムの場合は、許せない自分を否定も肯定もできない、なら受け入れてあげようよってこと」

 

 

首を傾げてくるラムにテンは人差し指をピンと立てて返答する。その指が表すのは『許容』の二文字、許せない自分を肯定することも否定することも困難なレムに対してテンが見つけた救済のヒント。

 

きっとレムの前には今、許せない自分を『肯定』するか『否定』するかの二つの道があるはずで。レムはその分かれ道の手前で蹲っているとテンは思う。

 

否定の道を進むなら、許せない自分を許す必要がある。それができたら今のようになっていない。許す方法が分からないのだから。なら、この道は進めない。

 

肯定の道を進むなら、許せない自分を正しいと認める必要がある。これはレムとしては論外だろう。愛する人を傷つけた自分を誰が肯定できるか。冗談も大概にしてほしいと思うだろう。なら、この道も進めない。

 

そうなれば、レムに道はない。『肯定』も『否定』もできずにただ蹲ることしかできない。だから、今の状態がある。何かしらの答えをレムが自分の手で出していれば、そうはなっていない。

 

 

「レムが自分を許せないなら、別の方向から救い出すしかないでしょ。なにも、否定と肯定だけが救済の形じゃないんだしさ。方法はいくらでもある」

 

 

なら、テンはそこに新たな道を作る。許せない自分を受け入れる『許容』という道を。

 

目を逸らさず、真正面から受け止めさせる。受け止めて、前を向かせる。前を向かなければ、何も進まないのだから。そこに蹲ったままでは、何も始まらないし終わらない。

 

それをテンは知っている。否、知った。

 

立ち止まったままでは、自分に向けられた想いと向き合うことなど決してできないと。俯いてる暇があれば、前進することに意識を向けるべきだと。

 

 

「許せないなら無理に許す必要はない。けど、その代わりに受け入れる。これが、否定も肯定もできなくなった人に残された最後の道だと俺は勝手に思ってる」

 

「他にあるとすれば?」

 

「最後の道だ、って言ったの聞いてました?」

 

「嘘よ。テンテンらしからぬテンテンを見た気がして揶揄いたくなっただけ」

 

 

人が真面目に考えて、それ以上の真面目さで話しているのにラムは相変わらずだ。それを真面目な表情で言われるものだから、テンも「お前ほんとさ……」と半笑い。

 

そこに「話を続けなさい」と発言権を与えられれば、テンは「はいはい」と適当に返事をしてやり過ごす他にない。ラムクオリティが発揮された時は適度に流すのだ。

 

 

「許容って言葉は、『許す』という意味もあるけど。この場合は『受け入れる』って捉えてほしい。許さなくていいけど、受け入れる。許せない自分を受け入れる、みたいな」

 

「でもそれは、否定も肯定もできずに決断することから逃げた人間がすることだとラムは思うわよ。責任感の強いレムが、そんな簡単に現実を飲み込めると思っているの? 許せない自分を受け入れる? 本気で言ってるの?」

 

「ーーーー」

 

 

核心をついた言葉にテンが黙り込む。真摯な目つきで問うてくるラムの瞳から目を逸らすことができない彼は、その顔に浮かべた瞬間の迷いを彼女に露わにした。

 

その通りだ。自分が引いた道はあくまで否定と肯定のどちらからも逃げた選択肢。受け入れるということは、決断することから目を背けたことに等しい。

 

美しく語っているが結局はそうだ。許容という最後の選択肢は、その二つから逃げた者が手に取るもので、形としては良くはない。受け入れて前に進めることなんて、そんな簡単にできることじゃない。

 

果たして、レムがそれをできるだろうか。許せない自分を丸ごと飲み込むことができるだろうか。飲み込んで、前に進むことがレムにはできるだろうか。

 

 否、

 

 

「なんとかする。受け入れさせる。肯定も否定もできないなら、それしかないでしょ。他にもあるかもだけど、俺には思いつかない」

 

「レムの姉として言わせてもらうけど、それは厳しいわよ。あの子の自己肯定感の低さは筋金入り、そんな子に受け入れさせられるの? テンテンは、自分の声をあの子の心に届かせられるの?」

 

「俺の声なら届くと信じてる」

 

 

否定的な疑問を叩きつけてくるラムにテンは一歩も譲らない。自分の考えを真っ直ぐ貫き通す彼は、ついに精神論まで持ち出してレムにレム自身を受け入れさせると断言した。

 

またしても予想外な言葉。彼らしくもない発言にラムは目を細める。彼の覚悟を確かめるために敢えて否定的な言葉をかけているのだが、これは偶然の産物だ。

 

その言葉の意味。もしかしたら、自分が待ち望んでいた発言を聞き出すことができるかもしれない。本当に偶然だが、次の問いかけ次第ではテンの口から言わせたい言葉を言わせられるかもしれない。

 

全てが願望に近しいが、それでもいい。可能性があるなら、それでいい。

 

ならば試す。確かめさせてほしい。そして、期待通りの言葉を言ってほしい。そうすればきっと、自分は妹のことを任せられる。

 

彼に——ソラノ・テンという男に、レムという世界で唯一の妹の全てを預けられる。

 

 

 ーーならば何を問う?

 

 

そんなの決まっている。考えるまでもない。

 

一度だけ跳ねた鼓動を落ち着かせるラム。彼女はそうして、決定的な一言を誘い出すための問いかけをテンに投げかける。

 

普通通りに、平常心を装い、込み上げるものを抑え込みながら、万感の想いを胸に抱いて、

 

 

「どうしてそう言えるのか。教えなさい」

 

 

 問う。

 

 数ヶ月間、ずっと聞きたかった言葉を聞くために。もどかしかった日々を終わらせるために。

 

問われたテンは命の時間が止まったように静止した。問いかけに対しての答えが一つしかないことに、彼は数秒間だけ沈黙を纏っている。

 

その沈黙も終わると、テンは覚悟したように「うん」とひとりでに頷き、

 

 

「そんなの決まってるよ」

 

 

陰りの一つもない純粋な笑み。迷いのない真っ直ぐな瞳。邪な感情が含まれぬ声。それら全てを目の前の存在に向けて。

 

その発言をすればもう後には引き返せない、()()()()()()人間としての役目を背負うことになると。今、この胸に深く、深く刻み込みながら。

 

 言った。

 

 

 

「だって、レムはーー俺のことが好きだから」

 

 

 

 







今回のタイトル、『鈍感が鈍感じゃなくなった日』でもいいかなぁと思ったんですが露骨すぎて没に。

レムの想いに気付いたことで主人公=鈍感という枠からついに抜け出したテン。そうなると、エミリアとの距離感がどうなるのか。

『そよ風に願いを』のエミリアなんて完全に恋する乙女ですもんね。

自分で描いておきながら、構図が完璧すぎて「ヒロインでない」と言うのに無理が生じているような……。



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