親友とリゼロの世界に飛ばされたお話   作:ノラン

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今回は、最終回に向けてテンの心を整理整頓させるお話。今、彼が一番に熱を注ぐべき存在が誰なのかを彼の心に刻みます。

あと、「あと三話で終わるーー」のやつは、忘れてください。「近いうちに終わる」にしてください。0章で過ごす最後の日なので、一つ一つの場面を細かく書きたいんですよね。

早く原作入れよ。と思ってる方がいましたら、今更ですが謝っておきます。申し訳ございません。





愛も揶揄いも程々に

 

 

 

基本、テンが目覚める瞬間は一瞬だ。

 

予兆もなく瞼が開き、直後から思考の再起動が行われる。眠っていた意識を奥深くから引き上げる機能が二度寝の脅威を避け、ぼんやりしていた思考が熱を帯び始める。

 

割と、自分は寝起きはいい方だとテンは思っている。寝起き直後に機嫌が悪くなるわけでもないし、目覚めた直後に布団でごろつくわけでもないし、変な時間に目覚めなければ二度寝に沈むわけでもない。

 

起きる時はすんなり起きれる。それが一、二時間程度の浅い眠りならば尚更。

 

目覚め、体内の機能の再起動を数秒間で済ませ、意識と思考に目覚めを呼びかけ、そうしてテンは完全に目覚めるのだ。

 

 

 ーー寝てたか

 

 

故に、彼は自分が寝落ちていたことを目覚め直後に理解した。

 

アーラム村から屋敷に帰った後。特にすることもないから部屋でおとなしくして、心の整理整頓をするために色々と考えていたら微睡み始めて、ちょっと横になったら、いつの間にか瞼から力が抜けていた。

 

精神的にも肉体的にも疲れているのかもしれない。否、疲れている。今の自分はロズワールに「不安定」と見抜かれる程に疲れている。目覚めてから今に至るまでに色々なことが雪崩れ込みすぎた。

 

レムの事、エミリアの事——精神的な事。

治癒の事、自分の体の事——肉体的な事。

 

衝撃的な出来事がありすぎて忘れかけていたが、自分はまだ目覚めてから一日と経っていない状態。普通ならば部屋から一歩たりとも出ることは許されない状況。

 

自覚しておいてアーラム村に出かけるとか、自業自得だろう。文句は言えない。だから素直に受け入れて、精神統一もとい心の整理整頓を己の内側に働きかけた。

 

一応、整ったといえば整った。今、自分は誰に意識を注ぐべきなのか。その相手は誰なのか。その名前を何度も何度も何度も心の中で繰り返し、今夜のために気持ちを作った。それが確実なものかどうか、怪しくはあるけども。

 

そう思っていた何時間前。布団に潜った代償として予想した通りに寝落ちたテン。深く吐息する彼はあくびでボヤけた視界を拭うと、現在のおおよその時刻を把握するために周囲に意識を飛ばした。

 

真っ暗だ。何も見えない。完全なる闇の中での眠りを好むテンの部屋はカーテンを閉め切り、月光の一切が遮断された空間では目が慣れていない間は物体の輪郭すらも認識できない。

 

唯一認識できたのは、寝息を立てるレムが左半身に絡みついていることくらい。外の暗さからして日が完全に沈んだことは明白。さしずめ、時間帯的には冥日の六時を過ぎた頃だろうか。

 

屋敷に帰ってきた時はまだ青空が見えていた事からして、どうやら随分と眠っていたらしい。疲れていることを裏付けているのだろうか。それか、ただ単に眠たかっただけか。似たり寄ったりだろう。

 

なんにしろ、あまり眠りすぎるのも良くない。とりあえず体を起こ———、

 

 

「……ちょっと待て」

 

 

起こそうとして、テンは立ち返る。

 

順々に情報を収集、整理していた思考に急ブレーキを踏み、空間全体に広げていた意識の全てを半径十センチ以内に縮小した。

 

理由もなく範囲を縮めたのではない。時間帯の把握をする過程で一つ、聞き捨てならない情報があったことがある。それが理由だ。考えていたことを根こそぎ吹き飛ばして、自分という存在の全てを釘付けにしてしまう感覚を今、彼は感じ取っている。

 

感じたのは左半身に絡みつく人肌の温もり。両腕を左腕に絡められ、両脚が左脚に絡められ、絡めた手と手を繋いで、強くぎゅっとされている感覚。体に当たるふくよかな感触。

 

 

 ーーまさか。まさかまさかまさか

 

 

散漫になっていた意識を自分の間近に寄せたテンはそれらに気付き、頭の中で「まさか」を連呼。予想だにしない出来事を前にした人間の定型とも呼べる反応を静かに見せる。

 

集められた情報から導き出された一つの構図が脳裏を駆け回り今現在の状態を把握——否、これは、百聞は一見に如かず、論より証拠、というやつか。

 

実際に見た方が早いに決まっている。頭で考えるよりも目を向けた方が手っ取り早い。少しずつ暗闇にも目が慣れてきたなら尚更、この寝息の正体を結論付けるにはその方が早い。

 

尤も。自分の布団に潜り込む時点で、隣で寝息を立てる存在が誰なのかなんて火を見るより明らかだが———。

 

 

「………マジかよ」

 

 

思わずといった具合で漏れたそれは、相手の鼓膜に引っ掛からぬような掠れた声。九割が酸素を占め、残りの一割がテンの声帯という、発した本人の鼓膜ですら危うく拾い逃しかけた極小の驚愕。

 

実際、テンは自分のことを抱き枕として扱っている少女——レムの眠りを妨げないようにと無意識に声を顰めていた。驚き、大声を出すわげもなく、抱きしめる彼女を突き放すわけでもない。ただ、ギョッとしながらも、じっとしている。

 

あまりにも衝撃的すぎて様々な意味合いで固まってしまった、と表現するのが今の彼には適している気がしなくもない。動揺を表に大きく露出させないだけマシだと思うべきなのか、どうなのか。

 

 

「すぅ………すぅ………」

 

 ーーそんな分かりやすく寝息、立てられましても

 

 

口を閉じ、完全に心の中だけで声を発するテンは左肩に額をくっつけながら眠るレムの寝息を聞いた。安眠の中の安眠と言うべきレムの、無防備で無警戒な信頼の証を聞いた。

 

部屋が真っ暗で良かったと心底思う。仮に明度が少しでもあれば、レムの寝顔が視界に映り込んで悩殺。一度も見たことのないそれを至近距離で見た暁には、己の中の獣が暴走しかねない。

 

 と、

 

 

「ん……ぅん」

 

 

妙に艶っぽい吐息を溢しながらレムが身じろぎし、衣擦れ音が布団の中で弱く立った直後、絡みつく力が強まる。ふくよかな感触が更に押し寄せたのは、彼女の抱く力が増したから——なんて考える余裕などテンにはない。

 

何が一番よくないかと。勿論、この状況そのものがよくないが。頭ひとつ抜けているのは、先程から絡みつく腕に押しつけられる彼女のふくよかな感触もとい発育の暴力。

 

当たっている。確実に当たっている。当たって、腕という細く少ない表面積に収まり切らない分が形を変えている。分かりやすく言うなれば、彼女の胸の中に腕が沈んでいる。

 

 

 ーーマズい。ホントにマズイ

 

 

寝起きドッキリにしては心臓に悪すぎるレムの悪戯にドギマギし、しかしテンは平常心を保とうと必死に深呼吸。表から見ても理解できるほどに騒ぎ立てる鼓動の炎に冷水を浴びせて鎮火し、表に出かけた声を唾と共にゴクリと飲み込む。

 

大丈夫。まだ許容範囲の境界線は超えていない。超えるか超えないかのせめぎ合いなものの、辛うじて思考は乱されていない。いつも通り、レムの事しか考えられなくなっている。

 

ヤンデレムにレム色に染め上げられた時に比べたら可愛いもの。彼女に鍛え上げられた耐性がこんな場面で役に立つとは、どんな皮肉だ。

 

 

 ーーさて、どうしたものか

 

 

頭の中を冷やし終えたところで、テンは状況の緩和を図るべく考え始める。

 

この際、どういった経緯でレムが布団に潜り込んだのかはどうだっていい。聞いたところで、平然とした様子で「潜り込みたいからですよ?」とでも言われそうだ。

 

自分の取れる選択肢としてはレムを起こすか、起こさないかの二択だが。恐らく、もう少しで夕飯の時間が訪れるはずだから二度寝の余地は無い。

 

そうなると。必然的にこの場から動く必要性が出てくるから、選択肢は前者になる。それに、この状況が続くと精神的にも厳しいものがある。この温もりを堪能したくないわけではないが、限度というものがあるのだ。

 

ならば、まずはレムを起こすことから始めなければならないが、どうやって声を掛ければよいのやら。

 

 

「——は」

 

 

起こし方に戸惑い、四苦八苦するテン。徐々に火照りつつある心を自制する彼にレムの声が届いたのはそんな時のことだった。

 

一瞬。彼女の体が小さく跳ねた直後、聞こえてきたのは何かにはっとしたような吸息音。穏やかな寝息を継続していたはずの息に乱れが生じ、それは確かな声として目覚めの予感をテンに悟らせる。

 

 

 ーー起きた? 起きた! どうする? と、とりあえず黙って様子見! 分かった!

 

 

悟った刹那で決定された今後の方針に、テンは咄嗟に脱力。それが正しいのかは曖昧なものの、頭の中で刹那だけ議論した末に出た結論に半ば条件反射の如く従った。

 

幸いにも今は真っ暗。黙っていれば起きているとは分からないはず。目を開けていても、分からないはず。音に気をつけていればバレないはず。

 

鼓動を静め。呼吸を落ち着かせ。体から力を抜き。目を開けたまま寝たフリを貫く。これができればきっとバレない。

 

 バレない、はず。

 

 

「レムとしたことが、眠ってしまいましたか……」

 

 

まさか、隣の男が起きているとは一欠片も思わないレム。寝起き早々に自分の失態に気付いた彼女は、意図せずに浮かび上がる輪のようなあくびを一度だけ大きくすると、

 

 

「テンくんは………まだ起きてませんね。よかった」

 

 ーーごめんなさい。起きてます

 

 

流石のレムも暗闇では分からなかった。そうやってテンが心の中で謝る中、彼女はほっとしたような声色で息を吐く。あくびの余韻が涙となって目端に溜まると、絡みついたテンの服で拭った。

 

とてつもなく悪い気がしてくるテンだ。突然の事だったからどうしようか迷い、咄嗟に選んだ選択が『様子見』という現状維持。他に方法はあったが、今更遅い。

 

後悔しても仕方ない。この道に進んだのなら、今から考えるのはここからどうするか、だ。様子見を終えた後に、自分が起きていることをどう伝えるかが重要になって———、

 

 

「起きてしまったら、レムが悪戯を完遂することができなくなってしまいますからね。せっかく布団に潜り込んだんですから、ちょっとくらい……揶揄ってもいいですよね」

 

 ーーよし分かった。やり返す

 

 

ここからどう展開していくか、様々な道筋を頭の中で考えていたテン。しかし今、レムが溢した独り言を聞いたことによって彼の意志は即座に決定した。勢いで決定した感が否めないが、決定したものは決定したのだ。

 

口から溢れる微笑を堪えながら言ったレム。テンに聞こえないように呟いたそれには、子どもが悪戯を仕掛けた時のような無邪気さが宿っていて、正しく小悪魔と呼ぶに相応しい。

 

寝ている(と思っている)テンを起こさないよう、声を潜めてることが彼女の無邪気さに拍車をかけたのだろう。より一層のこと、テンの対抗心を燃え上がらせるに至る。

 

きっと、ほんの戯れ合い程度のことなのだろうが。それを毎回のようにされる自分の身にもなってほしい。親しみを持って揶揄っているのは解っているが、それとこれとは話が別だ。

 

なら、ここは是非とも頑張って返り討ちにしてやろう。いつまでも彼女のペースに呑まれるわけにはいかない。偶にはやり返さないとマウントを永遠に取られる。

 

 

「それにしても………」

 

 

表では安眠の演技をしつつも裏で対抗心を燃えたぎらせ、この小悪魔にどうやり返してやろうかと模索する最中。そんなことなど知る由もないレムは言いながら、テンの胸板に額を近づける。

 

小柄な影が視界の左端からぬるりと現れる映像。相手がレムと分かっていなければ軽くビビり散らかしそうな一場面を彼女は無意識にも作り出すと、

 

 スンスン、と。

 

 

「やっぱり、いい匂い……癖になっちゃう」

 

 

鼻を鳴らすレムが甘く上擦った声で呟き、自分の世界に没入する。朝にもあったように、彼女からすればテンの匂いは癖になるらしく、こうして密着している時はとにかく嗅ぎ、その分だけ世界にのめり込む。

 

される側は心穏やかではないことを、レムは知っているだろうか。結局は知っていてもしてくるだろうから、どっちだっていい。

 

そんなことよりも反撃の一撃。起きることを懸念したレムが胸から移動して絡みついた左腕、その肩に顔を埋める今のうちに考えなければならない。

 

自分がレムに反撃を叩き込むなんてできるか、怪しいところではある。なんせ今の今まで、揶揄ったとしても倍になって反撃され、その度に撃沈してきたのだから。

 

彼女に白旗を上げさせたことなど一度もない。つまりは、並の攻撃では彼女に、かいしんの いちげき! を加えることは不可能という事。

 

加えるには、今までにしたことのないような行為を彼女にする必要が求められる。

 

 

「もう、一生レムの傍にいてください。二度と離れないでください。テンくんは、レムだけのものなんですから」

 

 ーー匂いを嗅ぎ返……いやムリムリムリ!

 

 

走り続けるレムの愛が真横で爆発する中、テンもまた心の中で大爆発。飼い主に甘えたがる子犬のような彼女が猫撫で声で擦り寄る子猫のように甘え、愛の行き先となるテンは自分で考えて自爆。

 

子犬と子猫のいいとこ取りなレムの声を耳に挟むテン。彼は今、レムに対する反撃が一つだけ思い浮かんだものの、難易度の高さに身悶えているところだ。

 

流石にそれは壁が高い。まだ抱きしめる以外にしたことのない現状の自分じゃ、却って逆効果になる予感しかしない。第一、嗅ぎ返すと言ってもどこを。そもそもどうやって嗅ぐのか。できるわけがない。

 

しかし、皮肉なことに思いついてからそれ以外に考えられなくなった。できないと思っていても、頭のど真ん中に陣取る反撃の一手がこれでもかと存在を主張している。

 

 

 ーーやるか。やるしかないのか。揶揄われっぱなしの現状を打破するには、これしかないのか

 

 

他に方法は———無い。あるとしてもそれ以上の方法だから却下。仮にやる場合、完全に勢いに任せて誤魔化せる環境を作らなければならないから面倒だ。

 

前提として仕返しをしないという選択肢もあるが、それだと前述したようにいつまで経っても彼女にマウントを取られたまま。加えて、起きた自分を揶揄うレムの遊び道具にされるのが終着点。

 

時には、自分だって男ということを教える必要があるのだ。やるときだけはやる男ということを、その身に刻んでおく必要があるのだ。

 

やるぞ。やってやる。偶にはレムに勝ってみせる。

 

 

「スンスン。スンスン。どうしよう、止められません……いっそのこと、ずっとこのまま——」

 

「おはよう、レム」

 

 

数分間にも及ぶ思考の時間を費やしたテンが心を決め、ついに声を発する。様子見を終えた彼は反撃の一撃を叩き込むべく、レムに呼びかけた。

 

自分の世界にのめり込んでいたレムからすれば不意なそれに彼女は「え?」と、腑抜けた声を思わず漏らして動きを止め、ゆっくりと声の方向を見上げると、

 

 

「…………起きて、しまったんですか?」

 

「うん、起きてしまったね。レムが目覚める少し前に」

 

 

問わずとも告げられた起床時間にレムの時が止まったのが分かった。部屋に満ちる闇のせいで輪郭しか捉えられずとも、モゾモゾと擦り寄っていた挙動が止まれば誰にだって理解できる。

 

彼女にしては珍しい反応。意図していなかったそれにテンは「ふっ」と楽しげな微笑を一欠片だけこぼすと、

 

 

「ごめんね。悪いけど、全部聞かせてもらった」

 

「ぜん……ぶ。それは、つまり……レムの、言ったことを………」

 

「全部、聞きました。はい。ぜーんぶ」

 

 

止まった時を懸命に動かそうとするレムの言葉は気まずそうで歯切れが悪く。最後まで繋ぐテンが言葉を言い終えた途端、「全部ですか……!」と驚愕を押し殺した声が跳ねた体と共に放たれる。

 

暴かれた。というよりも、自らが発した言葉が全てを伝えていたと知り、犯した失態に大きな後悔を抱いた。どうせ聞こえないないし、いいかな。なんて余裕綽々でいなければよかったものを。今更、後悔しても遅い。

 

それ以前に、起きているだなんて知らなかった。

 

知らないことを知って黙っていたのだとしたら、彼も人が悪いことをする。彼のことを揶揄おうとするという意味合いでは、自分も彼のことを言えた立場ではないが。

 

なんにしろどう弁解すべきか、揶揄う事を知られていなければ逃げ道はいくらでもあるが、残念なことに自分自身で全て語ってしまっている。なら、なんと言うべきか。

 

そんなことを考えるレム。しかし彼女は、次にテンが起こした言動によって、その余裕すらも無くなることになる。

 

 

「レムが俺の布団に潜り込んで、俺にイタズラをしようと、俺を揶揄おうとした。それを分かった上で言うね」

 

 

 直後。

 

身を捩るテンが絡みつくレムの体から無理やり抜け出すと、「ぁ」と小さく彼女の声が漏れるのを他所に、布団の中で左腕を軸に素早く身を回した。

 

数々の戦闘で培われた体捌きの技術が無駄に発揮された数秒間、一秒にも満たない僅かな時間——たったそれだけでテンはレムに覆いかぶさる。

 

躊躇、戸惑い、それに似た何か、それらの一切を感じさせない動きに息が詰まるレム。初めて——長いこと彼と接してきて初めて上を取られた瞬間に、彼女は考える力を奪われる。

 

今まで、自分が彼の上に覆いかぶさることは何度だってあった。当たり前だ。恋心を自覚したあの日以降、『朝のおはよう』の時には必ず自分は彼の腹部に跨っていたのだから。

 

けど今、その立場が初めて逆転して。仰向けのレムがテンに覆いかぶさられている、という構図が見事に完成したことにレムは動きを封じられ、目の前にいる彼から視線を逸らすことが不可能になった。

 

そんな新しいテンの姿に心拍数が跳ね上がるレムに対し、とてつもなく頑張っている最中のテンは「レム」と空間に響くような低い声で名を呼び、

 

 

「偶には、仕返しをさせてもらおうかな。いつまでも、何度も、人のことおちょくってんじゃないよ」

 

「あ、ちょ……っ。そ、そんなの、いけませんよ、テンくん。仕返しをしようだなんて——」

 

「今まで俺が……レムが俺のことを好きだと気付くまでの間、俺がレムのことを好きな自分を受け入れるまでの間。どれだけ我慢してきたか……レムは知ってんの?」

 

「テンく………」

 

 

本音を混ぜた迫真のテンに、レムは彼の名を呼ぼうとして止まる。それはきっと、彼の声が嘘をついているようには聞こえなかったから。自分に覆いかぶさる彼が、冗談を言っているようには見えなかったから。

 

表情が見えないのが本当に悔やまれる。けど、それでもレムは彼の真摯な表情が見えた。自分を見下ろす愛する人の本音を告げる顔色が、はっきりと見えた。

 

 

「あんまり、俺を舐めてんじゃねぇぞ」

 

 

多くは崩れない彼の口調が崩れた時、レムは彼が本気であると理解した。軽口を叩き合う時に発するものとはまた違う、気持ちの入ったそれに彼女は全身の力を抜く。

 

自分が揶揄い過ぎたせいで、彼を本気にさせてしまったらしい。勿論、布団に潜り込んだのは彼の隣で寝てみたいという純粋な欲からだが、その先に芽生えた度が過ぎる悪戯心が彼の優しい部分(理性)を引っ剥がした。

 

基本、彼は乱暴だけは絶対にしない人だ。相手が嫌がっていると分かれば身を引くし、するなと言われたら二度としない。心身共に傷付けるような真似は論外。

 

そんな彼は自分に——自分にだけは、少しではあれど乱暴に接してくれている。彼のことを真に愛するレムにとってそれがどれほど嬉しいことなのか、本人ですら計り知れない。

 

 

「だ、だめです。だめですよ……テンくん」

 

 

だからレムは、口では抵抗していても体は受け入れる姿勢に入っている。弱々しい声で啼きながら、けれど両腕は彼の首に回して、包み込むように優しく抱きしめている。

 

彼のことを求めるように、彼のことを逃さないように。開いた三十センチの距離を埋めようとする二つの腕が彼の唇を自分の唇へと誘い、吐息の熱が唇の前に浅く絡み合う。

 

既に、レムのスイッチは入っている。否、テンの態度が自然とそうさせた。度が過ぎた揶揄いに、同じく度が過ぎた揶揄いを返したことで彼女の欲が激しく煽られ、その気にさせた。

 

 ——かなり、まずい精神状態に一瞬にして追い込まれたテンだ。

 

揶揄い返すつもりが、レムのスイッチを入れてしまった事で全く予想外の方向に事が進み、けれど勢いに任せてしまいそうになっているのが今。

 

完全に勢いに任せて誤魔化せる環境を作らなければならないから面倒——その、面倒だと思っていたことがこんなにあっさりと解決されてしまうとは思わなかった。

 

雰囲気——雰囲気に流されている。自分達を取り巻く雰囲気が自分と彼女の心を結びつけているお陰で、本来の趣旨とは脱線した状況を作り出して、それを良しとする本能が理性を叩きのめしている。

 

いいのか。それでいいのか。勢いに任せていいのか。このままの、ただの揶揄いから発展した状態で、いいのか。

 

そう考えているうちにも時間は進み、二人の距離は近づいていく。闇の中で火照る男女の影が、覆いかぶさる影と、かぶさられる影の二つが、三十センチから徐々に近づいていく。

 

 ——二十センチ。

 

互いに、今まで、各々の理由で気持ちを我慢してきたのだ。それが解き放たれてしまえば、勢いに任せてもおかしくない関係性ではあったことは否めない。

 

 ——十五センチ。

 

想いが通じ合えば、なにかの拍子に張っていた糸がプツンと切れて、どちらかがどちらかに迫る事も十分あり得る話。それが今回はレムというだけで、逆の可能性である事も大いにあり得る。

 

 ——十センチ。

 

レムの準備は整っていた。あとは、テンが勢いに任せさせすれば、全てはすんなり行われる。二人はそのような関係だ。認めてしまえば、受け入れてしまえば彼は本能に身を委ねられ、レムはそれを許容でき、事は済む。

 

 ——五センチ。

 

間近に迫った熱にレムが目を瞑った。もういい、我慢しなくていい、勢いに任せてしまえ、と。そう語るようなレムがテンの名を呼び、彼の本能に直接呼びかける。

 

知っているとも。彼はこんなことできる人じゃないことくらい。だって彼は優しくて、変なところで律儀だから。

 

でも、勢いに身を委ねてくれるなら、自分が彼を導いてみせる。不慣れではあるけど、自分の方がその心構えはできているから。

 

矛盾していると思う。飛躍した行為はしないと言ったはずなのに。少しずつ、歩もうと決めたはずなのに。こうして実際に彼を前にするとやっぱり抑えられなかった。彼を求める自分を、抑えることができなかった。

 

布団に潜り込んだのがいけなかったのだろうか。行き過ぎた揶揄いをしようとしたのがいけなかったのだろうか。

 

いや、もうなんだっていい。だって、もう、自分と彼の距離は零センチ———。

 

 

「ーーーー」

 

 

 零センチ———。

 

 

「ーーーー」

 

 

 零セン———。

 

 

「ーー?」

 

 

感じた違和感に、レムは閉じた瞳を開く。

 

人の形をした黒い影が視界を埋め尽くしていた。勿論、テンのものだ。そして、その人の唇が仰向けになって倒れる自分の唇の間近にある——間近で、ピタリと動きを止めている。

 

ほぼ零センチ。レムが顔をほんの少しでも浮かせばくっつく距離。それこそ今日の朝に自分が彼に口づけをしてしまおうかと考えた時と全く同じか、それよりも近い距離。

 

あと、少し。その焦ったい少しが動かない。勢いに身を委ねているはずのテンの体は、それ以降から動きを止め。それどころか、理性がゆっくりと息を吹き返すような風に離れていく。

 

 

「テンくん……?」

 

 

すんでのところからのまさかの焦らしに、レムが困惑げに名を呼ぶ。不満や不機嫌といった負の感情の混濁が無いそれは、正しく彼の行動に対して彼女が抱いた感情そのもの。

 

離れて、離れて、引き寄せていた腕すらも解いて彼は覆いかぶさっていたレムから離れ。更には布団から出ると寝台から足を下ろし、部屋の隅っこに身を置き、膝を抱えて座り込むと、

 

 

「………よくない」

 

 

絞り出した声だった。震える唇が必死になって感情を表現しようと紡いだ四文字は、ひどく震えていた。

 

 

「やっぱり、よくないよ」

 

 

言い、力無く首を横に振るテン。闇の中に溶け込む彼の行動をレムは捉えきれず、彼の姿を明確にするために布団から出ると、部屋のカーテンを全開にした。

 

差した月光が、テンに降り注ぐ。雲から顔を出し始めた満月の煌びやかな光が、カーテンの妨害が無くなると待ち侘びたと言わんばかりに闇の世界に確かな明るさを与える。

 

その世界でレムは見つけた。部屋の隅、角っこに収まり、抱えた膝に額を押し付けながら座り込むテンの姿。

 

あまりにも痛々しすぎるその様にレムははっとし、自分が調子に乗りすぎていたことを痛感する。彼が受け止めてくれるのをいいことに、やりたい放題していた己を自覚する。

 

 

「ごめん、レム。ほんとにごめん。でも、だめだよ。やっぱりできない。勢いでなんて……俺には無理だ。……その気にさせてごめん。こんな風に、なるはずじゃなかったのに。ごめん」

 

 

「本当にごめん」と。

 

そう言葉を閉じるテンは軽率すぎる行動をしていた事を痛感し。度が過ぎた揶揄い方を選んでいたことを、変にやり返そうとしていた幼い自分を強く咎める。

 

落ち着いて考えれば、あんなことをすれば彼女をその気にさせてしまうなんて簡単に分かったはずだ。変にその気にさせて、最後の最後で引っ込めるとか、最低すぎる。

 

自分は一体、彼女の何を見てきたのか。

 

少し、柄にもなく心に熱が入っていた。いつもなら受け流せるのに、これまでの分が一気に爆発したみたいに、自分を抑えきれなくなっていた。揶揄いに揶揄いで対抗しようとしたのが証拠だ。

 

一歩引いた考え方ができず、ブレーキを踏まずにアクセル全開だった。

 

結果として、今のような醜態をレムに晒すような状況に繋がったと。恥ずかしすぎる。情けなさすぎる。

 

自分を責めるテン。そんな彼にレムは「ごめんなさい、テンくん」と足早に駆け寄り、

 

 

「レムは今、とても調子に乗っていました。テンくんを揶揄うのが楽しくて、度が過ぎた真似をしていました。謝るのはレムの方ですよ」

 

 

「本当にごめんなさい」と。

 

テンと同じように言葉を閉じるレムが、我に返ったような焦った声色で彼の前に座り込む。

 

彼が自分をその気にさせたのもあるかもしれないけど、元を辿れば自分の軽率な行動が招いた結果だ。原因は自分自身の我儘さにある。

 

本当は、単に添い寝をして終わるだけだった。ただ、テンの隣で一緒に寝てみたいという純粋な愛からくる欲だけで。目覚めたらそう話すつもりだった。

 

なのに。気がつけば自分の意識は彼を揶揄う方向に向いて。愛が深まるばかりの彼にやりたい放題してきた今日一日の自分が悪戯心を刺激して。

 

一つの方向に走り続けて、そのままの勢いで止まろうとしなかった。

 

結果として、テンにあのような行動をさせるに至らせてしまったと。恥ずかしい。情けなさすぎる。

 

 

「今日一日、テンくんにたくさん甘えて。そのせいでレムがレムを抑えきれなかった。度が過ぎた揶揄いも、そのせいです。レムが、レムが自分のことばかりで、テンくんの事、何も考えていなかった」

 

「それは違う。俺が……ちゃんと受け止めてあげられなかったから。レムは悪くないよ。確かに、布団に潜り込んでたのはビビったけど、レムの揶揄いに揶揄いでやり返そうとした俺が子どもだった。もっと適した対応はあったはずだよ」

 

「そんなことありません。レムのせいです」

「そんなことない。俺のせいだ」

 

「レムのせいです」

「俺のせいだ」

 

 

顔を上げたテンが顔を顰めると、目の前にいるレムも顰める。先の問題の原因は自分のせいだと互いに主張し合う不思議な構図は、この二人だからこそ当然のように成立した。

 

どっちもどっちだ。自分の愛ばかりを優先して、彼の心を疎かにしてしまっていたレムも。その彼女に対して子どもじみた理由で揶揄おうとしたテンも、今回の件は両方に非がある。

 

当然、そのことに気がつかない二人ではない。

 

 

「分かった。じゃあ。どっちも悪い、ってことにしよう。俺もレムもお互い様だよ。ね?」

 

「……分かりました。それでレムも納得することにします」

 

 

俺が悪い、レムが悪い。

 

そんな言い合いが十往復したところでテンが妥協案を提示し、渋々といった具合で納得したレムは頷く。どっちも悪い、それでお互い様。そうやって互いに認め合い、許し合った。

 

そこですんなり納得できるのは、自分にも相手にも落ち度があったことを、両者共に薄々察していることに他ならない。自分のせいとはいえど、相手にとも非があると思うのは共通のこと。

 

故に、お互いがお互いの罪を認め合って許し合うのに時間は使わない。「ちょっとやり過ぎたね」と。そうやって、恋に不器用な二人は軽く笑い合いながら立ち上がる。

 

 と、

 

 

「それじゃぁ。口づけ……できなかった代わりに」

 

 

立ち上がり、そう言うと、テンは恥ずかしそうな態度を漂わせながらもレムの体を抱きしめる。不意なそれにレムは一瞬だけ息を喉に詰まらせるが、その一瞬を越えると彼女も抱きしめ返した。

 

お預けとなった口づけのお詫びにしては緩すぎると、テンは思わなくもないが。レムが満足そうに喉を鳴らしてくれているから触れない。胸に顔を埋める彼女は、例の如く鼻を鳴らしている。

 

 

「一つ。聞いてもいいですか?」

 

「なんでも」

 

「レムの揶揄いに揶揄いでやり返そうとした、と。先程のテンくんは仰っていましたが、なにするおつもりだったんですか?」

 

 

見上げ、興味そうなレムが小首を傾げながら問いかける。もはや、ゼロ距離にレムがいることに関しては動揺の気配が消えてきたテン。彼は「んーー」と向けられる視線から目を逸らし、

 

 

「言わなきゃダメ?」

 

「ダメです。言うまで離しません」

 

「えぇ……」

 

 

視線のやり場に困るテンは、即答された返しに月を眺めながら喉を低く唸らせる。ぎゅーー!っと強く抱きしめられた事から察するに、本気で離してくれなさそうだ。

 

どうやら度が過ぎた我儘は控えたが、それ以外の我儘は有効らしい。可愛らしく小悪魔の笑みを浮かべる彼女は「早く教えてください」と、体を揺さぶって返答を急かしてくる。

 

その境界線が曖昧なレムに、テンは「んーー」と未だに喉を唸らせるが。「分かった、教える」とおずおずとした様子でレムとは目を合わせぬまま、

 

 

「レムの……匂いを………嗅ごうと……」

 

「はい?」

 

「だから、レムがいつも俺の匂いを嗅いでくるから俺もそうやれば少しはレムにやり返せるんじゃないのかなって思ったの!」

 

 

「なんか文句あるか」と、これに関しては勢いそのままに走り切るテンが全てを言い切る。それは、レムからすればあまりにも自分と酷似する揶揄い方で、とても魅力的なものだとも知らずに。

 

事実として。テンの口から聞いたレムは数秒間だけポカンとした顔つきをした後、表情筋を緩ませて「ふふふ」と溢れる笑みを隠そうともせずに曝け出しながら、

 

 

「確かに、それは少し困ってしまいますね。魅力的ではありますけど、匂いを嗅がれるとなるとレムも恥ずかしいです」

 

「だろ? だから、そーしよーと思ったのに。まぁ、結局はレムをその気にさせちゃって、それ以上のことを勢いに任せてやっちゃいそうになったんだけどね。…………頭に血が上ってたよ」

 

「任せてくれても、構わなかったんですよ? レムは受け入れるつもりでしたし。あのまま口づけをしてくだされば、そのまま布団の中に引きずり込んでしまおうとすら考えてしまった程に」

 

「今はやめて」

「今は?」

 

 

触れてほしくない部分をちゃんと触れてくるレムにテンは何も言わない。「今は。では、いつなら?」とグイグイ聞き返す彼女の額を胸に押し付けると、無言で頭を撫でた。

 

これ以上、取り合う気はないの意思表示。今よりも話し続けると余計なことを言いかねないと判断した彼は、口づけできなかったお詫びに熱を注ぎ。

 

彼の姿勢を察したレムも「ふふ」と、はにかみながら微笑を溢し、そこから先を詮索しようとはしなかった。

 

 

「まぁでも。レムが布団に潜り込んでくれたおかげで頭ン中が冷えたから、結果としては良かったのかもしれない」

 

 

一つの会話が終わる気配に両者は口を閉じるかと思われたが、しかし会話を続けるテンが再び口を開く。

 

なんのことだろうか。「冷えた?」と同じ言葉を復唱するレムにテンは「そう」と言葉を紡ぎ、

 

 

「一人になって。今日のこと振り返って。心の整理整頓をして。色々と考えて——今のお前が、そーゆーの全部吹き飛ばしてった。いつも思うけど。俺、っていう男の単純さに呆れそうになる」

 

 

語られる内容に思い当たる節がないレムの疑問符が更に増え、押し付けられた顔を無理やり見上げる彼女は疑問を視線として表現する。

 

絡み合わぬ視線の先にいるテンは、どこか遠い目をしながら月を見ていた。

 

 

「都合のいい話だよ。ほんと。今は、その方がいいのかもしれないけど…………この先、そうも言ってられないよな」

 

 

聞けば聞くほどレムの疑問が深まる。そんな、独り言のように語られては困る話だ。自分もいるのだから、自分にも理解できるように話を進めてほしい。

 

けれど。テンは胸に抱くレムを他所に己の中で何かしらの覚悟を固めたのか「よし」と、一人で呟くと視線を月からレムへと移して薄く微笑み、

 

 

「今はレムだけに集中するべきだよね。今夜、俺とレムは恋人になるんだから。それもこれも、頭の片隅に寄せておこう。どの道、これでもかってくらいに悩むんだから」

 

 

心の中にあった気掛かり——その存在を一旦、頭の隅っこに追いやるテン。整えた上から更に整えた彼は、決してそんな風にしていいわけがないと思いながら、今はレムだけを頭のど真ん中に置く。

 

もう平気だ。これで整った。迷いはない。今日は色々な出来事がありすぎて気が滅入りそうだったけど、レムがそれら全てを自分の存在で覆い隠してくれた。お陰で、彼女のことしか考えられない。

 

 

「テンくん。あの、先ほどから何のことを言っているのか……レムにはよく分からないのですが」

 

「ん? ……そうねぇ」

 

 

今夜に向けての準備を終えていたところで、テンはレムに服の裾を引っ張られる。少し、自分の中に入り込んでいたらしい。

 

己の内側から外側に意識が戻ると、視界に映ったのは「むっ」としたレム。無視されたことがそこまで不満だったのだろうか、分かりやすく不満アピールを全開にしている。

 

なんて説明しようか。そのままに語れば彼女に誤解を招きかねないし、下手に濁そうものなら一瞬で見抜かれる。

 

悩む素振りを見せるテン。彼は数秒間だけ瞑目し、頭の中で言葉を作っては崩し、作っては崩しを何度と繰り返し。

 

その果てに「うん」と頷きながら目を開けると、この世界で唯一の存在に優しく笑いかけ、

 

 

「俺が、人生で初めて本気で好きになった人はレムだ。ということです」

 

 

 

 






あ、そういえば。原作に入ったらこの小説自体を完結させることにしました。もう一つの枠を設けて、そこで原作の物語を進めていこうと思います。

このままこの小説内で書き進めると話数がえげつないことになっちゃいますし。一つの終わりとして、締めようと思います。


どのタイトルが気になりますか?

  • 雷の鳴る夜に
  • (ソラノ・)レムの幸せに溢れた日々
  • お酒少女達には勝てない
  • 恋人っぽいこと
  • ありふれて、ほのぼのとした一日
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