親友とリゼロの世界に飛ばされたお話   作:ノラン

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タイトルはすごく壮大ですが、日常です。

書き溜めの終わりも見えてきたので、ここからは一日に一話更新です。追いつかれないようにそろそろ書き進めなければ……。

こうなる前に書きたかったのに、過去の愚かな私が原作の文章をコピペしまくりやがったせいで修正作業で手一杯。恨むぞ過去の私ぃぃ!

更新がない日は作者が裏で頑張ってるんだと思ってください。気が向けば二話とか更新するかもですが。






地獄の始まりか、あるいは幸福の始まりか

 

 

 

 

それは、とある日の朝。食事の時間のことだった。

 

 

屋敷の住民が唯一、揃って何かをする場でもあるその時間。例の如くテンとハヤトはエミリアのように椅子に座って朝食中。

 

二人は向かい合うようにして座るため、毎回毎回変な話が繰り広げられる。その会話を近くで聞いているのはエミリアとベアトリス。

 

どちらがどちらの隣かに座っているかなど察せると思うが。ハヤトの右隣にベアトリスが、テンの左隣にエミリアが。そして、お誕生日席に座るロズワールと彼の背後に構えるレムとラム。

 

最近はこの形が食卓の絵面として確立してきている中、今日はそこにパックの姿もある。勿論、彼の存在がベアトリスに見逃されないわけがなく、いま彼女はパックの毛並みを堪能中。

 

基本、パックが食卓の場に顔を出すのは三日に一回か。四日に一回か。彼は部屋に籠るエミリアから離れないため、必然的に会う機会も少なくなる。つまりはベアトリスにモフモフされていると。

 

そんなに楽しそうにしていれば隣のハヤトも彼の毛並みはどれほどのものかと気になり、

 

 

「なぁベアトリス。俺も触ってみてもいいか?」

「嫌かしら。絶対に、にーちゃは渡さないのよ」

「ボクも遠慮しようかにゃ。握りつぶされたくないし」

「ひでぇ!?」

「ざまぁみろかしら」

 

 

などと即座に拒否られるなどもありながら、食事は進んでいく。

 

一家団欒の時。

 

というのが正しいか。最近はベアトリスも顔を出す頻度が増えてきたこともあり、食卓の時間に一つの机を囲むことがロズワール邸では当たり前になりつつあった。

 

理由は定かではないが、きっとハヤトが関係しているだろう。だってベアトリスは無意識のうちに彼の隣に座っているのだから。この前もそれが原因で、照れ隠しついでにぶっ飛ばしていた。

 

ともかく。何が言いたいかと。

 

最近のロズワール邸の食事時は全員揃うことが多くなってきたのだ。だからこそ、ハヤトには思うことがある。

 

そう、テンではなくハヤトが思うこと。テンならば絶対に考えつかないことが、ハヤトの脳内には考えついて、それから離れていかない。

 

 つまりそれはーー、

 

 

「なぁ、せっかく全員ここにいるんだしよ。偶にはなんかして遊ばねぇか?」

 

 

不意に上げたハヤトの声に全員の視線が集まる。普段はテンに話しかける彼が、今日は珍しくこの場の全員に問いかけ。あまりにも曖昧すぎる彼の問いに浮かべた表情は三者三様。

 

中でも嫌そうな表情を浮かべるラムと、「コイツまたなんか言い出したよ、どう思う?」と小声でエミリアに話すテン。

 

向ける視線があからさまにイカれた人間を見る二人にハヤトは、しかし椅子を押し出す勢いで立ち上がり。楽しげに笑うと、

 

 

「ほら。俺らが集まる時間ってこの時間しかねぇだろ? だから、遊ぶなら今しかないと俺は思うんだよ」

 

「拒否権を使うかしら」

「同じく」

「便乗するわ」

「ハヤト君。お食事の時間は席をお立ちになられては行儀が悪いですよ」

「私もそう思う。ちゃんと座って食べなさい」

「転がった椅子は取ってくるようにねーぇ」

「物は大切に扱うものだよ、ハヤト。リアの教育に悪影響が出ちゃう」

 

「ーーーー」

 

 

ハヤトのシナリオとしては。ここから立ち上がった自分が遊ぶことの理由を告げ、それから適当に反発する人間を丸め込み、最後に遊ぶゲームを声高らかに告げるつもりだった。

 

しかし現実はどうだろうか。世界は残酷である。

 

ベアトリスの拒否権が真横から脇腹に突き刺さり、テンとラムによる便乗が胸を貫通し、レムのド正論が真上からタライのように脳天に落下し、残った三人の容赦のない連携で沈む。

 

ノリのいい人間が誰一人としていない中、親友にすら早々に見捨てられる始末。完璧に出鼻をくじかれたハヤト。

 

彼はふつふつと沸き上がる感情を真顔として押さえ込みながら椅子を回収、正しく座り直す。そこから先は、顔を俯かせてしょんぼりした雰囲気を醸し出し始める。

 

提案した刹那で拒否。流石に心に突き刺さる辛辣な態度に囲まれたハヤトは、彼らしからぬ落ち込みを見せて「はぁ……」と分かりやすくため息をついた。

 

それは、数百年に一度、近年稀に見る。超絶ヘコみハヤトの登場である。

 

 

「ーーーー」

 

 

その沈黙は誰の沈黙か、ハヤト以外の沈黙である。一人一言ハヤトにぶつけた七人は、この反応は予想外だったのか、珍しい彼の落ち込む姿に言葉を生むことがない。

 

目を合わせ、アイコンタクトを取る面々。その様は「お前が謝れよ」とでも語るように各々が責任をなすりつけ合う不思議な光景だ。

 

ロズワールがテンと目を合わせ、レムとラムがテンと目を合わせ、エミリアがテンと目を合わせ、ベアトリスとパックがテンと目を合わせーー、

 

 

 ーーえ? おれ?

 

 

キョロキョロと全員を見るテンは、いつの間にか自分自身の背中に責任が乗せられていたことに気づく。あんぐりの彼は胸に手を当てて「自分ですか?」と仕草で語った。

 

対する各々は「うん」と声が聞こえそうな頷き。ハヤトの制御係であるテンに事の始末を任せ、自分は完全に責任逃れ。こういう時は便利屋扱いされるテンである。

 

 

 ーー仕方ねぇなぁ。

 

 

心の中でテンはそうぼやく。このハヤトを見るのは珍しい、初めて見た時は確か付き合っていた彼女と別れたときか。などと思いながら彼は気まずそうに後頭部を掻き、

 

 

「悪かったよ、ハヤト。ちょっと冗談を言ってみただけ。ベアトリスが「ベティーはお前と遊んでやらんこともないかしら」って言ってるよ」

 

「な、このイカれ男! ベティーはそんな事ーー」

「本当か!? よっしゃ! じゃあベアトリスも含めた全員で遊ぼうぜ!」

 

 

先程までの落ち込み具合から一転。水を得た魚のような回復ぶりを見せたハヤトが俯かせていた顔をガバッと上げ、流れるようにベアトリスを持ち上げて喜び出す。パックは予期していたのか、スルリと抜けてエミリアの下へと。

 

やられたベアトリス。彼女は高くなった目線でテンを見下ろすように睨むが、テンは知らん顔。その間にも彼女はハヤトによって高い高い。二、三度それを繰り返されると椅子に下ろされた。

 

頬を赤くしてプンスカ怒るベアトリスの頭を撫でくり回しながらハヤトは満面の笑みを浮かべ、

 

 

「俺さ、思ったんだよ。そろそろ屋敷に来て三ヶ月が経とうとしている今、一度もここにいる全員で何かをしたことがないって」

 

「そりゃ、そうでしょ。基本、全員が揃う時間なんて今しかないんだから。それも最近の話だし」

 

「だよな、だよな。お前もそう思うよな」

 

 

まともに取り合ってくれた感動は一旦頭の片隅に置いとくハヤト。彼は「離すかしらーー!」と、そろそろ本格的に怒り始めたベアトリスから手を離すと、

 

 

「だからよ。今ここで、全員揃ってるこの時間で、何かして遊ばないかって話。普段から楽しくワイワイすることもねぇんだし、偶には良いだろ?」

 

 

言い、反応を窺うハヤトが一人一人と目を合わせていく。出来ればこれで反対の声が出ないことを祈るばかり。テンは確定で反対するだろうが、付き合ってはくれるはず。

 

そもそもの話、どうしてハヤトがこんなことを言い出したか。それはもちろん、ただ単純に遊びたいからだ。深い理由などは特になく純粋に全員で一つの遊びをしてみたいから。

 

テンとは違い、故郷で友達と色んな場所で色んなことをしてきたハヤトは、大人数で遊ぶことの楽しさをこの中の誰よりも理解しているつもりだ。だから、遊びたい。

 

少なくとも二ヶ月は一緒の屋根の下で時を共にしたのだ。さすがに遊ぶことくらいは受け入れてくれると願うハヤト。そんな彼の視線を受けた面々は、

 

 

「わぁーたしはどちらでも構わないよ。ハヤト君がどぉーしてもってぇ? そういうのなら、喜んで付き合おうじゃぁーないか」

 

 

机に両肘をついて手を合わせるロズワールは興味そうにハヤトの言葉に乗っかり、

 

 

「ロズワール様がそう仰るのなら。ラムも同席させていただきます」

 

 

嫌そうな表情が隠しきれていないラムはロズワールがやるならば自分もやると言い、

 

 

「レムはテン君がやるなら。喜んで」

 

 

テンのことを見つめるレムは自分の行動を彼に委ね、

 

 

「せっかくならやりましょうよ。私、誰かと一緒に遊んだことなんてなかったから、みんなと遊んでみたかったの!」

 

 

すごく悲しい話をさらっと持ち出し、両手を合わせて溌剌と頷くエミリアは文句なしに遊びに参加すると言い、

 

 

「分かったよ。偶には遊ぼっか」

 

 

仕方なさそうに、でも興味津々に笑うテンは流れに任せて首を縦に振り、

 

 

「……仕方ないかしら。一回、一回だけなら乗ってやってもいいのよ。それ以上は付き合わないかしら」

 

 

なんだかんだで乗っかるベアトリスが、撫でくりの余韻に頬を赤くしながら「ふんっ」と向けられた温かい視線から目を背け、

 

 

「リアがやるならボクもやろうかな。それに、ハヤトの言う遊びがなんなのか、少し気になるし」

 

 

最後に呑気そうな声でふわふわと宙を泳ぎながらパックが賛成したことで、全員の了解を得られた。

 

「よし! ならいいぜ」と謎のガッツポーズを見せるハヤト。初めは全員の悪ノリで心が折られかけたものの、最後は自分に付き合ってくれる優しさを見せてくれた全員に喜びしかない。

 

だって今から、自分が頭の中で思い浮かべた遊びができるのだから。大人数が集まる場で、必ずしも一度は開催されると言っても過言ではないそれがこの面子でできるのだから。

 

そう思うと今からでも大はしゃぎしそうなハヤト。彼は胸から徐々に込み上げてくる嬉々とした感情をなんとか抑え込んで自制。

 

 

「それで、なにすんの?」

 

 

そうとも知らずにテンは問いかける。もはや、そこに『否定』の二文字は存在せず、やるとなったら受け入れる彼は気持ちを切り替えていた。

 

正直な話。目の前の男が一体どんな遊びを持ってきたのか、親友ながらに検討がつかない。否、親友でなくともつかないか。だってテン自身も、大人数で遊ぶことを嫌い、少人数を好むのだから。

 

多くて四人。そんな彼は、トランプ以外に手軽に開催する事のできる遊びを知らない。あとは手押し相撲くらいか。

 

もっと他にもあるものを、それ以外に関してはすぐにパッと思いつかないのがテンという人間だ。

 

そんな、遊び初心者のテンに真顔で問いかけられたハヤトは「それはだな……」と不穏な笑みを浮かべると、

 

 

 

 

「ーー王様ゲーム。やろうぜ?」

 

 

 

 

 言った直後。テンの真顔が凍りつき、音を立てて銀食器が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し進んで朝食後。

 

 

 

遊ぶのは良いが、まずは食事を終わらせてからと場を整えたロズワールの一声で面々は朝食をパッパと済ませた。

 

心なしか、全体的に普段よりも食べる速度が上がっているような気がしたのは全員共通のこと。

 

それが終われば、ハヤト以外の使用人が空の食器を台車にせっせと片づけてカーペットと背の低い机を用意。どうしてか、長い机を挟むと面倒だとハヤトが物申した結果だ。

 

敷いたカーペットの上に各々が陣取り、中央に配置された机にあるのは人数分の紅茶。囲むように陣取った面々が顔を合わせれば、団欒の場は整えられた。

 

その中、ハヤトだけが不在。否、彼はついさっき告げた遊びの準備をするために大急ぎで自室に向かっている最中。つまり、彼が戻ってきた時がゲーム開始の合図というわけだ。

 

 

 そして、今。

 

 

 

「王様ゲーム。そうきたか……」

 

 

カーペットの上に陣取る一人、恨めしそうに呟いたのはテンだ。胡座をかいた彼は太ももに頬杖をついて額に手を当てながら盛大にため息を溢している。

 

まさか、そうくるとは思わなかった。言われてみれば手軽にできるゲーム。思い出してみれば過去に一度だけやった事のある苦い思い出(トラウマ)。完全に頭から抜けていた、ハヤトが一番思いつきそうな遊び。

 

悍ましい記憶が脳裏に蘇る気配にもう一度、テンは深くため息をつく。今からでも引き返せるか。仕事があるからと一蹴りしてこの場から立ち去ることは可能か。

 

否、隣に座るエミリアが無邪気な笑顔を浮かべながらゲームの詳細を問いかけてくるものだから、断るに断れない。逃げ道なし、覚悟を決めた。

 

 

「ねぇテン。その、王様げぇむ?ってどんな遊びなの?」

 

 

左耳から通ってくる声にどう説明しようかとテンは悩むが。数秒間の沈黙の末に「うん」と一人でに頷くと、

 

 

「王様ゲームってのは。簡単に説明すると、毎回クジ引きで王様となる人を決めて、運良く王様になった人が、それ以外の人達にひとつだけ命令を下すって遊び」

 

「ほぅ。とても簡潔で分かりやすい。そぉれはつまり、この私が王様になった場合、『テン君とハヤト君が一時間抱き合う』なぁーんて心踊る命令もできちゃったりぃ? もしかしてぇ? するのかぁーな?」

 

「絶対にやめてください。そうなったら腹を切って死にます。命令に背くくらいなら死んでやりますよ」

 

 

男二人の抱き合う絵面を想像したのか。顎に手を当てるロズワールが思わず失笑。笑いを堪えて体を震わせる彼は王様になった暁には本当にやりかねない危うさがある。

 

しかし、このゲームのポイントはそこにある。

 

名指しできてしまったら王様ゲームは単なるデスゲームへと変貌を遂げ、禁忌とされる遊びに認定。ロズワール邸でタブーとなるはずだ。

 

そうならないからこそ。テンは「残念でしたね」と両腕を交差させてバツ印を作ると、

 

 

「名指しはルール違反。王様以外のクジに番号が振ってあるので、王様の人は名前の代わりに番号を呼ぶことに。引いた人はその番号を呼ばれたら命令に従ってください」

 

「ちっ」

「その舌打ちの意味を聞こうか。ラム」

 

 

ハヤトが戻ってくる前に簡単なルール説明。誰でも分かりやすいが故に、自分の要求が意図した人物に通らないと一瞬で理解したラムが隠す気もない舌打ち。

 

ロズワールの隣に腰掛ける彼女は「なんでもないけど。別に」と舌打ちを濁すように紅茶を口に含んだ。十中八九、彼女は仕事を押し付けるつもりだろう。

 

王様ゲームを考えた人に感謝。これでもし名指しだった場合、本当にデスゲームになりかねない。尤も、そうでなくても運が悪ければ数人がデスゲーム並みの被害を受けることになるが。

 

 

「ってことは王様になった人が、例えば『一番と二番の人が握手』みたいな風に命令すればいいの?」

 

「なんだその平和な王様ゲーム。もうずっとエミリアが王様でいいよ」

 

 

それがずっと続くならテンの心は穏やかだった。

しかし、テンが知る王様ゲームはもっと殺伐としている。

 

人間の薄汚い欲望という欲望が飛び交い、被害に遭う人間の苦鳴が木霊し、愉悦に浸る高笑いが空間を支配する。それはまるでデスゲーム。

 

確率という名の女神を味方につけた者のみが許される快楽を得るのは、ほんの一握りの人間。それ以外は邪智暴虐の命令に地べたを這いつくばることしか許されない。

 

恐ろしいことに。邪智暴虐な命令する危険のある人間が二人は確定で、一人が微妙と、少なくともこの中に三人は存在している。願わくば、その三人がこのゲームに厄災を齎さなければいいのだが。

 

 

「特定の人間を指名しなければ、なにをしてもいいのが王様ゲーム。命令の仕方に決まりはないよ。『王様とーー番の人が』とか『ーー番の人とーー番の人が』とか、『全員が』なんて暴君なことをするのもアリ」

 

 

言った途端。エミリアが心の底から楽しそうな声を溢し、ラムとロズワールの口角が不気味に釣り上がり、パックとベアトリスが考えるように喉を唸らせ、テンを見つめるレムの目が光る。

 

一体なにを考えているのか。一番警戒するべきはロズワールだが、ラムも油断できない。精霊二人はきっと大丈夫。左に座るエミリアと右に座るレムは確定で大丈夫だ。

 

 ならばあとはーー、

 

 

「っしゃあ! やるぞーー!!」

 

 

不意に食堂の扉が開き、扉の奥からうるさい声と共にハヤトが突入。彼が邪智暴虐の命令を確定で下す二人のうちの一人。王様ゲームの真髄を把握する彼はきっと、とんでもない命令をしてくるはずだ。

 

もちろん、男女の羞恥心を曝け出させるようなものを。困った話である。幸い、女性において屋敷の美顔率は百パーセントのため、ある意味では役得と言えなくもないが。

 

 

「そういう問題じゃないだろ」

 

「うしっ。じゃ、今からやるわけだが、その前にルール説明をな」

 

「俺がした」

「有能か。なら話は早ぇ、早速やるか」

 

 

 

彼が帰ってくることはゲーム開始の合図。その言葉がそのまま形となったような展開の速さでハヤトがゲーム開始の合図を滑らかに告げた。

 

机の中心に手を置く彼が握るのは、割り箸のような細い木の板。それが八個と人数分、どれか一つに王様と分かる印が描かれ、それ以外は『1〜7』の数字が書かれているはず。

 

両手を擦り合わせる動作で手の中のクジをシャッフル。ロズワールの隣に座るハヤトは公平かつ均等に運を振り分け。数秒して八個の中に王様の権利が紛れたところで、

 

 

「さてさて。お前ら、この中から一つだけ選ぶといい。書かれた数字が自分の番号で、王冠の絵が描いてあったらソイツが王様だ。王様の命令は絶対だからな。これだけは厳守しろ」

 

「ハヤト君。その言葉、絶対に忘れないでくださいね。ぜったいの、ぜったいにですよ?」

 

「もちろんだぜ」

 

 

王様の命令は絶対。そう聞いた途端、テンの隣に座るレムが、かつてないほどにやる気満々な様子を見せながらクジへと手を伸ばす。

 

何が彼女をやる気にさせたのか、理解できるハヤトからすれば初々しい一場面だった。

 

彼女に急かされるように他の面子もクジへと手を伸ばしていく。或いは欲望を願い、或いは幸福を願い、或いは愉悦を願い、或いは平穏を願い。

 

 そして、

 

 

 

「王様だーれだ!」

 

 

 

 

 こうして王様ゲームは本格的に始まった。

 果たして、誰が地獄に堕ち、誰が幸福を味わうことになるか。

 

 

 

 

 

 





前置きだけで七千文字使うって、なんなんですかね。

違うんですよ。本当はこのお話からゲームに入る予定だったんですけど、書いてるうちにどんどん文字が重なってしまい、気がついた時にはこんなに長く……。




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