お労しい兄上になったんだが…ここどこ?   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます!

*オリジナルの型がでます。ご了承ください。


それではどうぞ


第拾壱話

「おはよう」

 

「おはよう姉ちゃん」

 

今日も何気ない一日が始まるかなと思っていたけど、いつも私に挨拶してくれる黒死牟さんが座禅を組んだままピクリとも動いていない……

どうしたんだろう……?何か集中しているみたいだから下手に声を掛けれないからどうすることも出来ないけど。

 

『……』

 

(本当にどうしたんだろう……)

 

「姉ちゃん?どうしたの?外見てボーっとしてさ」

 

「あっ、ちょっと天気確認してただけ」

 

『…………あぁ……済まない……みこ……些か……集中しすぎてたようだ……』

 

ようやく黒死牟さんが動き始めた……

 

『……この鍛錬を……今まで……行っていたが……やった甲斐は……あったようだ……』

 

『……自らの気配を……希薄にすることが……今までよりも……容易にすることが……出来た……これで……同じ過ちは……しなくなった』

 

黒死牟さんの言う通りに確かに目の前にいるのにどこか霧を見ているようにそこに本当にいるのかと錯覚しそうになっているから成果は出てる……

 

『……それで……みこ……朝餉を……食べながらで……構わないが……話を聞いてくれ……』

 

それから黒死牟さんは私に話があるらしい。私は朝食を食べながら話を聞くことにした

 

 


 

黒死牟さんの話をまとめると、

まずこないだの2体の何かは、私と疑似的に契約を結んでいる状態であること。

次に黒死牟さんがあの場にいたのにも関わらず、契約を履行しにきたのは恐らくその大本が無理やり契約を完了させようとしていること。

そして現状、この状況を解決するにはあの神社にいって大本をどうにかするしかないということ

でも黒死牟さんはあの神社に貼られた結界を破れるようになるまでまだ時間がかかるとのこと

よってこの先の私たちが注意することは、

 

『私は今まで通り何かを無視し続けることで、黒死牟さんは今までよりもなるべく近くにいてあれの介入を避けること』

になった

 

『……こういう時……私は己の……無力を……思い知らされる……』

 

『そんなことないですよ、黒死牟さんはいつだって私を守ってきてくれたじゃないですか』

 

『……あるいは……他に人手があれば……』

 

「みこ!おはよう!」

 

「あ、おはようハナ」

 

『……この……話は後に……するとしよう……』

 

黒死牟さんはそう言って姿を消した……私も心を強くしなきゃ!

黒死牟さんに全部まかせっきりなのは申し訳が立たない……!

 

そう考えていると先生が教室に入ってきたみ……え?

 

「荒井先生が産休に入られたため、今日から皆さんのクラスの担当になります」

 

そこにいたのは、子猫を受け取りに来ていた、あのやばかった何かを連れていた、男の人……

 

「遠野 善です。みんなよろしくね」

 

……あの人の周りにはあの時見えていた何かは見えていないけど、どうしてもあの時の印象が強すぎて……!

黒死牟さんに視線を向けると

 

『……みこよ……心配は……いらぬ……あれは……私が……確実に祓った……脅威は無い……』

 

そう言ってはくれたけど……まぁ、その内慣れるかな……?

 

結局この日は特に何も起こらない普通の一日だった……

 

『……』

 

 


 

「それで……話って何ですか?」

 

帰り道黒死牟さんから話があると言われた。黒死牟さんは今日も何やら考えていたみたいだけど……その話かな

 

『……みこよ……今日私は……お前と契約を結んだ奴の……ことを考えていた……』

 

「は、はい」

 

『……今私には……みこから……僅かではあるが……私以外の……何かと縁が結ばれていると……感じる……』

 

『……そして……それは……みこが……大本と……初めて遭遇してから……この日まで……徐々にその縁が……強まっているのを感じる……』

 

「!?」

 

『……恐らく……二回目に……奴らが契約を……履行した時には……より一層その縁が……強まるだろう……』

 

「じゃ、じゃあどうすればいいんですか!?」

 

思わず声を荒げてしまう私、どうすればいいのかわかんなくて困っていると黒死牟さんが

 

『……みこは……これまで通りの日々を……過ごしていれば良い……』

 

「えっ!?」

 

『……正直に言えば……奴らがもう一度現れない限り……得られる情報が無いのだ……』

 

『……しかし……わざと……奴らを呼び出すのは……取り返しがつかなくなる……恐れがある……』

 

確かに、私もふともう一度あれを呼び出そうと考えていたけど、取り返しがつかないとなるとどうしようもない……

歯痒いなぁ、何も出来ないのは……

 

『……みこよ』

 

「うわっ!?」

 

黒死牟さんが頭をなでてきた!?

 

『……そなたは……まだ子供……故に……このようなことに……なったとしても……出来ることは……少ない……』

 

『……みこを……守るのが……私の契約……奴らも物の怪も……任せよ……』

 

「……ありがとうございます」

 

久しぶりに撫でられてどこか安心したかも……最後に撫でられたのいつだっけ

どこかあったかい気分に包まれた帰り道だった。

 

 


 

草木も眠る丑三つ時

 

俺は今宵ある場所に来ていた。

 

『……下手な建物よりも……やはり山の物の怪は……量も質も……違うな』

 

今俺は少々遠出してとある山に来ていた。そこはすっかり廃れた神社がある山であると今日調べていたのだ。

というのも相手は恐らく堕ちた神かそれに類する物、ならば経験を積んでおくに限る

 

『……お初にお目にかかれる……古き存在よ……この神社に伝わる……伝承を……耳にした……ぜひ手合わせを願いたい……』

 

この神社には、かつてこの地にいた剣士が修行の際によく訪れていた場所であり、ここで自らを高めていたという記録があった。

生きている人間が無理ならば、死人である俺ならばどうかと思い立ち寄ってみたのだが……

 

『……流石に無理があったか……』

 

やはりこの地にはもういないのかと、帰ろうとしたがふと周りが霧で包まれていたことに気づく

 

『……これは』

 

伝承には、その剣士が己を高める際にはこの辺りに霧が立ち込めるというのを思い出した。

その事実に気づいた俺は、ふと目の前に何かが現れるのを見た

そこには

 

『……なるほど……確かにこれは……己を高めるのには……最適であるな……』

 

『……』

 

そこに佇んでいたのは『俺』だった。

 

『……感謝するぞ……この地に残りし存在よ……』

 

『……』

 

俺はすかさず刀を構える……

 

『……』 『……』

 

暫く睨み合い、そしてその時は訪れた……

 

『……参る』『……』

 

月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮

 

月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮

 

技が同時に放たれた。考えていることも同じとはな……

互いの一撃が打ち消されていくのを見ながら即座に別の型を繰り出す……相手も同じ型を繰り出してきた

 

月の呼吸 参ノ型 厭忌月・銷り

 

……こちらも全て相殺される。埒が明かぬと判断した俺は敢えて型を繰り出さずに斬り掛る。

相手もそれに応じて俺の刀と鍔迫り合いになった。

 

月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦

 

こちらも同じ型を繰り出してきたかッ!!互いに切り傷を負いながらも距離を取る

……ここからは我慢比べといくか

 

月の呼吸 陸ノ型 常世孤月・無間

 

月の呼吸 捌ノ型 月龍輪尾

 

いつの間にか俺の写し見は大太刀に持ち替えて別の型を放ってきた。俺は回避することを辞めその身で斬撃を受ける

相手も同じようだ

 

月の呼吸 玖ノ型 降り月・連面

 

月の呼吸 拾壱ノ型 百花繚乱・天満月

 

俺も大太刀に持ち替えて型を繰り出し、上下からそれぞれの斬撃が飛び交う地獄絵図となったが……

自分の剣技がこれほどまでに厄介だとは……!

この型も捌ききれずに被弾する。

 

それから俺は写し見に次々と型を繰り出しては、捌き、繰り出しては捌きを繰り返していた。

 

月の呼吸 拾弐ノ型 霹靂神・海月(はたたがみ かいげつ)

 

相手の上方と下方からそれぞれ斬撃を飛ばすこの技に対しても写し見は

 

月の呼吸 肆の型 薄月・黒雲白雨

 

跳んできた斬撃に対して繰り出し、見事斬撃を打ち消した。

我ながら厄介な仕上がりだな……

 

それから俺は夜明けまで戦っていたが、朝を迎えたと同時に写し見は最初からいなかったように消えていた。

どうやら刻限か……

 

『……感謝する……良きもので……あった……』

 

こうして俺は一晩にも及ぶ死闘を制覇したのだった。




閲覧ありがとうございました!

「霹靂神」……激しい雷。雷神。

「海月」……海上の空に出る月。海面に映っている月の影。

イメージとしては、大太刀を2回縦に続けざまに振り相手の上空・足元から斬撃を同時に飛ばす技です。

相手は必然的に横に回避しようとしますが、跳んできた斬撃はその後相手の周囲を取り囲むようにして旋回するので、今回の写し見のように初めから斬撃を打ち消したりしなければ、斬られるという初見殺しの技でした


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